川端内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年6月22日

(平成22年6月22日(火) 11:08~11:25  於:文部科学省 記者会見室)

1.発言要旨

 一点だけ私の方から御報告をさせていただきます。カラーの資料が配られていると思いますので、それを見ながら聞いてください。「「国民との科学・技術対話」の推進について」ということで、政権交代以来、税金の使い道を国民の前に明らかにし、効率よく使うということで仕分け等をやって参りました。その中で、科学技術は大変大事なものであるということについては、国民の大きな理解を得ているところでありますが、ただ、中身がよく分からないという声が、一方であるのも事実でございます。そういうことを踏まえながら、「「国民との科学・技術対話」の推進について」ということで、基本的な取組方針を決定いたしました。研究者自身の研究活動が、社会に対して分かりやすく説明されていかなければいけないということから、双方向のコミュニケーション活動を「国民との科学・技術対話」ということで位置付けまして、積極的に展開しようということであります。具体的には年間3,000万円以上の配分を受ける研究者を対象にいたしまして、「国民との科学・技術対話」を積極的に推進し、中間評価、事後評価の対象とするように関係府省、配分機関に求めるということで、 3,000万円以上配分を受けた方々に関しては評価の対象ということで、小・中・高等学校の理科授業での特別授業、大学・研究機関の一般公開での研究成果の講演、あるいは各種団体や研究会が開催するシンポジウム・講演等々で対話活動をやっていただきたい。研究者の所属する大学・研究機関に対しては、科学コミュニケーター等の支援体制の整備を求め、実施に当たってはアンケート調査を実施して、質の高い活動を確保したいということであります。今後、この方針に従って活動していただくことによって、より国民に理解を得られるように、支援されるようにということで期待をしております。

2.質疑応答

(問)大相撲の賭博問題で、日本相撲協会は名古屋場所の開催について、特別調査委員会の調査結果を基に、来月4日の臨時理事会で最終判断をすると決めました。場合によっては開催を見送る可能性についても触れられていますが、来月4日という判断時期も含めて、大臣のお考えをお聞かせください。
(答)もとはと言えば、例の砂かぶりの席に暴力団関係者がいて、チケットが横流しされたのではないかということに端を発して、暴力団との関係が明るみに出て参りました。監督官庁として、私としては、相撲協会に対して、それ以降、野球賭博の問題も含めて、これは後に週刊誌で報道がありましたが、このことを含めて、徹底的に事実を調査し事態を明らかにするとともに、再発防止に努めるように指導してきたところであります。そういう中で、昨日、第三者機関による調査をやるべきであるということも指導をして参りました。そういうことを受けて、若干予定よりは手間がかかった感想は少しありますけれども、完全な第三者による調査機関の設置ということで、もう御承知だと思いますけれども、大変強い権限、権能を持った組織として、ただちにプロの弁護士、この部分を特に専門とする弁護士を中心として、個別聴取を含めて実情調査をすること、それから、個々の力士が出場していいか、いけないかという判断、そして、トータルとして場所を開催すべきか、すべきでないかということの意見を、今月中を目途にまとめて、協会に御答申をいただき、それを踏まえて7月4日に最終判断をするということです。我々も、できるならば開催できた方がいいのは当然ですが、私がかねがね申し上げておりますように、開催するということであれば、力士が心おきなく晴れ晴れと相撲ができるように、そして、ファンはしっかりと一生懸命応援できるようにという状況でなければいけない。そういうことで、今、開催できるということを確定する段階に至っていないのが現実でありますので、このように強い権限を持った調査委員会が精力的に実態を把握し、対処して、7月4日に、これもぎりぎりのタイミングだと思いますけれども最終判断をしたいというふうに思っています。なお、捜査当局とも連携を取っておりますが、捜査当局は、いよいよ事情聴取から捜査段階に入る可能性があると私は思っていますので、実際は、最終的な段階まではもっと時間が掛かるというふうに思います。それは捜査にお任せするしかありませんので、私としては、それを踏まえながらの調査委員会の答申と最終判断になるというふうに思っています。
(問)安心して力士と観客が相撲に取り組める、応援できる体制というふうにおっしゃっていますけれども、今、これまでどういうことがあったのかという調査がなされているとは思うんですが、なぜそういう事態になってしまったのかという部分まで、今回の調査で踏み込んで判断なり対応を取るということは可能なんでしょうか。
(答)全部ということは時間的には無理だと思います。これは、差し迫った7月場所に向けて、前にも申し上げましたが、優勝力士インタビューで、「あなたは野球賭博は大丈夫ですか」という話が起こってはいけないということでありますし、相撲の取組を見ているファンが、「この人は大丈夫なんだろうか」と思いながら相撲を見るということは、あってはいけないということのために、最大の環境整備をするということです。ただ、野球賭博を含めた賭博体質、そして、いわゆる非合法社会とのお付き合いというか、関係は、同時に維持員席問題にもつながって参ります。維持員席がどういうルートでどう流れたのか、そこに金銭はどう流れたのかというのが、まだ明らかになっておりません。場所前までには野球賭博にかかわる人の調査・対応をやりますけれども、その後については、昨日の理事会でも確認されていますが、引き続き維持員席問題も7月中を目途に最大調査をする。そういうことで、いろんな事実関係が明るみに出る中で、これを元から断ち切るということ、なぜ起こったのかということも当然含まれますけれども、実態が明らかになれば、どうすれば断ち切れるのかということも明らかになるというふうに思います。起こってはいけないことで御心配をおかけしている事態に至っているのは極めて残念ですけれども、この機会に本当に大掃除する、徹底的にクリーンに生まれ変わるというように是非ともしたいと思っておりますので、関係者になお一層の協力と努力を求めているところであります。
(問)今のお話でいうと、力士が心おきなく相撲がとれて、ファンが心おきなく応援できるというまでには、割と結構な時間と手間が掛かるというお考えでしょうか。
(答)少なくとも、今、野球賭博も含めたいろんな賭博をしていたというふうに自己申告した人のリストがあるわけです。この部分でしっかり調査することと同時に、それ以外にいないのかということは、月内に調査を終えたい。その中身によって、出てもいい人と出てはいけない人というのも調査委員会として答申をするということであります。このことに関して、私が一番懸念しているのは、全く関係なく、相撲に精進をし頑張っている力士もたくさんいると思うんです。そういう人にとっては迷惑以外の何ものでもないわけですから、そういうときに、土俵に上がっている人は少なくとも、今回のこういう問題に関しては問題がない、あるいは、これはちょっと分かりませんけれども、いわゆる一定のけじめを付けたという形がないとですね、要するに、「この人はどうなんだろう」という、「はてなマーク」が付いた形で土俵に上がることがあれば、何もない、一生懸命精進して頑張っている力士も同じように思われるわけですから、それはあってはいけないということです。だから、調査の中身は、正にプロの調査委員会のメンバーでやっていただく中の議論として出てくるというふうに思っていますが、これ以上のことは今はまだ、正に仮定の話でしかありません。
(問)もし仮に、今おっしゃる土俵に出してはいけないという判定をされた力士が相当数いた場合、非常に番付構成が相当いびつなものになる場合もございますが、そういった形の開催もやむを得ないということでしょうか。
(答)いや、だから、そういうふうに個々の力士のかかわり方の程度もこれから調査されて、それを踏まえて出てもいい人、出てはいけない人という、出場のことを調査するというふうに昨日決めたわけです。それを踏まえて、場所の開催も決めるということですから、言われたように、この程度だったらいいと言うのか、これはちょっと無理だと言うのかということは、そこでの判断です。今、正に仮定の話で、どれだけになるかも分かりませんから、そこの判断も調査委員会に委ねてあるということです。
(問)調査は6月末を目途に終えて、公表も6月末という線でおっしゃっていたと思うんですが。
(答)これは、いずれディスクローズされることは間違いありませんが、期日を今確定することは、私の立場ではありません。少なくとも、最終的に7月4日の段階で、何か分からないけれども、もうこういうふうにしましたという話はあり得ないわけですから、これはディスクローズされると私は思いますし、しなければいけないと思っています。それが末なのか、4日なのかは分かりません。
(問)「国民との科学・技術対話」に関してですけれども、科学技術政策担当大臣として、各省に要請するというふうに理解をしているんですが、これを受けて、文部科学省として早速対応するのかということと、あと、昨日、会計検査院が、科学研究費補助金の報告書を出していない研究者が多いということで、改善を要請しましたが、そちらも併せて、ある意味、報告という意味ではリンクするのではないかと思うのですが、どのように対処されますか。
(答)冒頭の御指摘のとおり、科学技術政策担当大臣としてのプレスリリースでありますので、これを受けて、当然ながら実際の研究者を多く抱える文科省としては、これに対応していきたいと思っております。それと、報道でありましたが、会計検査院から御指摘を受けたものが658件というのは事実なんですけれども、9年間で658件ということです。そして、会計検査院から指摘を受けて督促をいたしました。督促をきちんとできていなかったということ自体は、我々としては反省すべき点があると思います。督促いたしまして、658件のうち558件は提出されました。残り100件は、こういう理由で提出できませんでしたという理由書が出て参りました。これは、今、精査をしておりまして、もう少し待ってほしいというものなのか、出せませんというものなのか、事情を精査しておりますので、事実上、報告というものに関しては、ほぼ御指摘を受けてきちんと対応ができたと思っています。ただ、こういう指摘を受けるまでこういう状態にあったことは、率直に反省することであると思っていますし、今後こういうことのないようにしたいと思います。こういうことと同時に、提出されていないものは全体でいうと、0.8パーセントぐらいなんですが、そういう部分ではわずかではありますが、意識として、やはりそういう人がいること自体が問題であるということで、逆に、積極的にこういう「国民との科学・技術対話」ということで、皆さんそういうことが役割としてあるんですよと。一部の人には、忙しく研究をしているのに、そんな負担をかけて何かノルマのようにするのは、という意見があることはあります。ただ、やはり、どういう段階かにおいて、子どもさんに分かりやすく説明できるテーマもあれば、非常に難しいというテーマもあると思うんですが、それはそれなりに、大学や相当のシンポジウム等で説明をして理解を得るということは、我々としてはどうしても必要だと思っています。先ほどの会計検査院の指摘も含めて、研究者の意識改革ということでいえば、こういうことも併せて取り組んで参りたいと思っています。
(問)文科省としての対応ですが、文科省の持っている競争的な研究資金の公募要領には、すべてきちんと記されるということでよろしいんでしょうか。
(答)今までの部分には書いていなかったので、それについては協力要請することになるんですけれども、これからは、こういうことを基本的には書いていくということで、条件にしていくというふうにしたいと思っています。

(以上)