川端内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年4月6日

(平成22年4月6日(火) 09:08~09:34  於:文部科学省記者会見室)

1.発言要旨

私の方から2点。1点は昨日の午後7時21分に、スペースシャトル「ディスカバリー号」で山崎直子さんが無事に国際宇宙ステーションに向けて出発をされ、打上げは成功いたしました。多くの国民の皆さんの関心も非常に高まりましたが、今回の山崎さんは日本人女性としては二人目、そしてお母さんとしては初めて、宇宙ステーションで野口さんと、日本人が二人活動するということも初めて。初物づくしの打上げが成功し、順調に飛行しておられることは大変喜ばしいことだと思いますし、多くの皆さんに期待と勇気を、女性の活躍も含めて与えてくれたというふうに思っております。このミッション全体が成功するように、強く期待をしているところでございます。もう一つは、今日の閣議後の閣僚懇談会で、官房長官から高速増殖炉「もんじゅ」の運転再開についての発言がありました。発言の趣旨としては、資源の少ない国として、「もんじゅ」の運転再開が長期的なエネルギーの安定供給、それから地球温暖化対策の推進、この二つの役割を担っていくために大変有意義なものであるということで、我が国の原子力政策の推進にとって大きな一歩であるということの発言と同時に、福井県及び敦賀市を含め関係の皆さん、地元の皆さんに御協力をいただいていると同時に、そのいろんな思いを政府全体として受け止めて、安全確保と情報公開に万全を期して早期に運転を再開し、所期の成果を上げることを期待しているという、2点の御発言がありました。文部科学省といたしましても、安全確保と国民の理解、地元の協力を得る中で、「もんじゅ」が無事に運転再開されることを期待しているところでございます。私の方からの報告は以上であります。

2.質疑応答

(問)スペースシャトルですが、スペースシャトルは年内に退役する予定で、日本人の搭乗も山崎さんが最後になる予定です。スペースシャトルのこれまでの経験を、どのように日本の宇宙政策に生かしていくのか、大臣の御所見をお願いいたします。
(答)これまでも、いわゆるISSに関しては、正に世界的なミッションの中で、日本が非常に大きな役割を果たしてきました。「きぼう」の中におけるいろんな諸実験は当然のことながら、HTVのドッキング成功、物資の輸送を含めてですね、日本の役割をしっかり果たすと同時に、日本の役割が、国際宇宙ステーションの活動において欠くことのできない位置付けになっているというふうに評価をいたしております。アメリカのオバマ大統領の教書においても、当分の間続けるという報告がなされまして、日本ではこれからどうするかというのはこれからの議論でありますけれども、文部科学省としては、今まで大きな貢献をしてきているという意味で、引き続きしっかりと進められるように、当然ながらいろんな費用の問題、費用対効果とか、無駄がないようにという検証は当然でありますけれども、そういうようなものを踏まえながら、将来像を明確に示していく時期にそろそろ来ているのではないかというふうに思っております。
(問)記者室と会見室のコストについて伺いたいと思います。文部科学省では、記者室が322.65平方メートル、会見室が110平方メートルということで、会見室よりも記者室の方が3倍近く広いんですけれども、この賃料というのはですね、記者室を利用している記者クラブは負担していないと思うんです。この辺りの相場で試算をすると年間9,436万4,028円というのを、小学館の雑誌SAPIOでジャーナリストの上杉隆さん、佐々木奎一さんらが試算をしているんですけれども、この年間9,400万円というコストについて大臣はどうお考えになるか御見解を伺えればと思います。
(答)その記事はきちんと読んでいなかったので初めて聞いたのですが、相場として、この場所だったらそれぐらいかもしれませんね。それで、文部科学省、各役所それぞれあるんだと思うんですけれども、私たちがいろんな行政で活動しているときに、メディアを通じていろんな情報発信は当然必要であります。そういう意味で、こういう定例の会見以外も、いろんなプレス発表、貼り出しを含めてやるということでの、この場所の設営と、そして、今までのある種の慣行も含めてですね、そういう御協力をいただいているという意味での、担当の記者さんにある種の便宜供与をしているということです。家賃もですね、前の建物のときと比べて、これが出来上がったときで、多分、一気に相場は上がったというふうに思うんですが、正直申し上げて、そういうコストというよりも、御協力をいただいているということに対しての便宜供与を、引き続き提供しているというものだと思っていますので、値段が高い安いということをあんまり意識したことはありません。
(問)メディアと今おっしゃいましたけれども、そのメディアというのは、今まで記者室を使用していた記者クラブ以外のメディア、例えば雑誌ですとか、フリーランスのジャーナリストたちも、そのメディアの中に含まれると考えてよろしいんでしょうか。
(答)といいますかね、先ほど今までの慣行としてと申し上げたのは、慣行として記者クラブがあり、そのクラブに対して提供していたという意味で、ある種メンバーシップになっているのが現実であるというふうに思います。この会見を含めて、どうあるべきかというのは新内閣の課題でもありますが、今話にありましたように、この建物の場所がここですから、セキュリティ上の問題もあるのでお申し出いただいて、特にそれを排除することではないけれども、フリーにいつでもということに関しては一定のメンバーシップを取って、その場所を提供しているという状況に今あるということを御理解いただきたい。ですから、フリーの雑誌や他の方々に、自由に出入りをして、どうぞこの場所をお使いくださいというところまでいっていないのは現実です。
(問)今後、それがもう少し開かれた形になるというのは。
(答)会見も、我々としてはどうあるべきかという議論の中で、一応お届けをいただいて、おいでいただいて良いというところまでで、それ以降のことに関してはまだ検討中ということですので、今のお話も含めてですね、課題だと思っております。
(問)「もんじゅ」についてですけども、官房長官の発言を受けてですね、今後の展開というのをどのようにお考えですか。
(答)今は、地元における安全専門委員会が先般開かれて、国の安全委員会の耐震の報告を受けて、その中身においては了とすると。そして、再開については引き続き検討ということでありますので、そのお答えが出て、「再開は地元としても了とする」ということを、今待っているところでありますので、それが出れば、地元と私どもと経産省のいわゆる三者の会合を持たせていただきたいということです。その答えが出やすい環境整備ということを含めて、今日の官房長官の談話は、政府としても再開を期待しているし、地元のいろんな皆さんの思いも政府全体として受け止めているという御発言があったのではないかと思っています。
(問)奨学金制度についてですが、アメリカのオバマ大統領が3月末に、給付型奨学金を強化する法案に署名をして、今後、更に連邦も給付型奨学金に政府がかかわっていくという方針を示しました。民主党のマニフェスト、政権交代直後の大臣指針の中にも奨学金の見直しという項目が入っていたと思うんですが、見直しの現状をお伺いしたいんですが。
(答)制度的にどういうふうにしていくのがいいのか、この前の無償化のときは高校のレベルが随分問題になりましたけれども、私たちはその後の高等教育における奨学金も非常に現実大きな問題として認識していますので、今ある、いわゆる貸与型の奨学金制度に加えて給付型を導入する方向で、制度的にはいろんな議論をしていることは事実です。が、もう一つはやっぱり財源の問題を含めて、マニフェスト的に言えば貸与型は枠は広げましたけれども、給付型に関しては、高校を含めて概算要求したけれどもなくなったというのが現実でありますので、その大きなもう一つの財源、財源の裏打ちというのと両方ありますので、こういう制度でもっと拡充したいという前提でのいろんな議論はしていますが、まだ、タイムテーブルに乗ってこうしていこうというところまでは具体化していません。無償化の附帯決議の議論から言えば、何とか高校のレベルにおいては給付型の奨学金を導入したいという強い思いは持っておりますし、附帯決議の要請もそういうところにあると思うんですけれども、その上の段階に関しては、これからの大きな課題だということです。今朝もテレビでやっていましたね、学生さんが最近の事情で大変だし、個室を借りるより昔型の寮型を借りたら1万円ほど安くつくとか、皆苦労しながらやっているみたいな話をやっていましたけれども、現実にはやっぱり大変である状況は認識しています。
(問)今の検討というのは、大学レベルで給付型奨学金を導入する方向で検討されているということですか。
(答)いや、導入したらどれぐらいお金がかかるのかね。それで今、元々の奨学金制度の部分で、回収が甘いんではないかとか、制度をよく周知していないから、滞納というのは繰り延べできたり免除しているという制度をよく知らないで、何か急に取り立てられて大変なことになったとか、いろんなことが昨年一年、今の制度の運用執行においてもいろいろ課題が出て参りました。その部分はきちんと周知すると同時に、弾力的な運用ができるようにということは一生懸命今やってもらっていますが、それに加えて給付型をどうするかというのは、マニフェスト的に言えばやはりそれは非常に意識したことになっていますが、最終的には、お金の話がやっぱりネックになっていることは事実です。私たちとしては、それはやはり教育への投資、人への投資というのは鳩山内閣のメインの考え方だから是非とも実現したいと思って、これは当然ながら平成23年度予算に向けての、夏の概算要求へ向けて、今、うちは準備をしているということです。まだ、具体的にというところまでは申し上げる段階ではありません。
(問)先日、「iPad」という電子書籍の端末がアメリカで発売されて話題になっておりましたけれども、中川副大臣が御担当で、日本においても、今、電子書籍の議論を、どうやったら日本に流通するかという仕組みの検討が始まっておりますが、その第1回の会合においてはですね、出版社や、いわゆる作家や権利者の側から、非常に、もっと権利をきちんと守ってほしいというような、どちらかというと慎重な声が強く出たということは御存じだと思うんですが、文化庁を抱える文科省として、正にその著作権をどうやって守っていくかということを、あまり過剰に守りすぎると流通に支障が出てきますので、その辺りについて大臣の御所見を伺いたいと思います。
(答)一つは、いわゆるIT、ICTの技術の進歩と、それからいわゆるハードの普及の速度はですね、もう想像をはるかに超えて速い。そして、そこの中へのコンテンツの対応ということで言うと、今までの、ある種の権利と利益と利害とを大きく変えるという事態になることは間違いないわけです。そういう権利の調整等々を慎重にやると遅れてしまう、実態はもっと早く進んでしまう。たまたま日本は日本語という文化であるので、少し猶予されているポジションに今いるけれども、当然ながら、そんなに時間的猶予はないんだと思います。そういう意味で、まず始めたのは、もう時代はどんどん進んで変わっていくということを踏まえながら、今、先ほどの出版社や著作者等々がどう考えておられるのか、今までどおりでいたいという希望はあってもそれはかなわないという、こういう事態に対応してどういうことが必要なのか、そういう著作権の問題とかいろいろ、まずは当事者の皆さんが、これは当事者間でもまた当然ながら利害があるんですね。そういう意味で、それぞれ時代が変わり環境が変わるのを踏まえたときに、懸念されておられること、あるいは、これだけは守ってほしいと思われること、新しい仕組みで対応してほしいことを、一回全部出してくださいという段階に今あるんです。最終的には、皆が丸く収まってうまくいく答えは、住み慣れた今の住み家というのは許されないという意味ではなかなか難しい問題です。時間もないという部分でしっかりと現場の御意見を踏まえる中での選択は我々がやっぱりやらざるを得ないときが、そう遠くないときにくるんだろうと思っていますが、今はまだ少し時間の余裕が、日本文化には多少許されているのかなと思っています。
(問)版面権ということで出版社が訴えていますけれども、これを、著作権法を改正して実現するというのは、かなりハードルがいろいろあると思うんですけれども。
(答)そういうお声もあれば、作家の皆さん、著作権者でも両方あるんです、その中でもね。そういうところに乗せてどんどん触れた方が、最近あんまり本が売れない中で出版するというのに、ハードルの高い部分が下がった方が皆に触れる機会が増えるからいいと思われる人もいるし、いやいやという方もおられるという部分で、やっぱり非常に大局的な部分で見ないといけないことになるんだと思います。その中の一つのアイデアとして、今、出ているようなお話があることは事実です。
(問)与謝野さんと平沼さんの新党立上げという話が最近出ていますけれども、別の形の保守を目指すんだという本人たちの意思がある一方で、今いちその概念がよく分からないと、目指すところが分からないという意見があるんですけれども、大臣はどういうふうにお考えですか。
(答)といいますかね、私は民社党という政党にいて、新進党ができて新進党に合流をして、新進党国会議員離党第一号になりまして、新党を作ろうといった日に阪神淡路大震災が起こりまして頓挫をしまして、1年弱で新進党に復党をしまして、そしてその新進党がなくなって新党友愛を作り、今の民主党に来たということで、いろんな局面を、私も離党もしましたし、新党も作りましたし、合流もしたという意味では、それぞれの当事者は大変な決断をされたことは間違いはない。そして大変な葛藤と悩みの中におられることも間違いはないので、中身はなかなか外からは分からないこともいっぱいあるというふうに思いますので、特段コメントはないんですけれども、政治家が自分のいるパーティーを出るとか、新しく作るとかというのは半端なことではありません。その部分では、相当な思いがおありなことは間違いない。ただ、それが全部に分かってもらえるかどうかは、なかなか難しいことですね。当事者しか分からないこともあるんだろうと思います。高校の同級生だったというのが理由ではないと思いますけどね。
(問)理化学研究所でですね、旧科学技術庁のOBが経営している企業が、1社応札あるいは随契で、大きな労務契約、あるいは単純な図書館業務であるとか、物流管理みたいな仕事を請け負っていたということが一部の新聞に出ていますけれども、まず、これについての御認識とですね、今後こういった結果的に1社入札になるとしても過程で不透明な部分があるとすれば、やはり実質的には競争入札ではないという状態になるかもしれないんですけれども、その辺についての対応というのはいかがですか。
(答)報道があって、いわゆる定型的な事務業務をアウトソーシングしておられるということは事実だと思うんですね。それが結果として1社、そしてかなりの部分が随契、そしてそれが俗に言う天下りないしはそれに類する人たちがやっている法人という意味では、いろんな指摘というときに、国民的に見て大丈夫なのという疑念を持たれることはよくないということであると思います。やはりそういう疑念を持たれたことに関して、しっかり検証して、これからそういう憶測も含めて言われないような発注の仕方、そして公正で透明な業務の発注の仕方ということをやるのが当然だというふうに思っておりますので、これから理研自体が、どう分析をし、どう改善されるのか、第一義的にはまずは見たいと思っています。我々として期待するような改善がされるように願っています。
(問)先ほどの給付型奨学金のお話の中でですが、お金の話がネックになっているということでしたけれども。
(答)現に高校無償化のときは、127億円の概算がゼロ査定だったということです。
(問)そういった意味で、連合の古賀会長もですね、マニフェストの見直しとか、そういった発想が出されています。そういった中で第二ステージとして教員の数の充実や質の向上とか、新たな施策をこれから進めていく中で、そういった影響というのはどういうふうに御覧なっておられるでしょうか。
(答)今週スタートした、いわゆる党としてのマニフェスト検討委員会が、3つの分野に分けた部分でスタートをして、我々も政府の立場でヒアリングに応じるということの仕事が始まりました。そういう意味では、前回のマニフェストで、例えば無償化のように実現したこと、それから、是非とも引き続きやりたいこと、それから、新たに加えてこういうことをやりたいというふうなことを、我々としては提起をして、政府の立場で言えば、この前でやりましたということと、新たにやりたいこと、引き続き是非ともやりたいことというのを、いわゆるやりたいベースで提起をすることで、やめるベースの話は政府からはありません。それを受けて、民主党としてマニフェストをどうするのかという議論が精力的に今からスタートいたしましたので、先ほど連合会長のお話をされましたけれども、トータルとしてどういう優先順位でどういう選択をするのかという、参議院選挙に向けたマニフェストという形で整理されていくのではないかと思っています。

(以上)