中井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年7月20日

(平成22年7月20日(火) 11:34~11:59  於:警察庁18階第4会議室)

1.発言要旨

 先週金曜日は新潟県中越沖地震の3周年の式典に行っておりまして、閣議を欠席をいたしましたので、失礼をいたしました。
 本日、閣議が開かれまして、御報告するような決定はありませんが、前原さんが今週海外へ御出張で、私が代理を務めることになりました。
 閣議の中で、総理から硫黄島の遺骨の収集について、厚労大臣と防衛大臣に特にお願いをしたので、よろしくというお話があり、この遺骨収集という言葉がいいのかというようなことを含めて、幾つかの議論があったところでございます。
 閣僚懇で私から、この梅雨の末期の大雨被害の状況、そして総理並びに私や原口大臣も含めて現場視察に飛んだという話、そして、激甚災害の制度や被災者生活再建支援制度というものを、少し見直しをしないと、局地的なゲリラ豪雨に対して十分な国の支援が出来ないのではないかと、こういうことを申し上げて、是非早急に検討して、案を官房長官の所へ持っていくということになりました。
 なお、また私から今日金賢姫元北朝鮮工作員が来日をしたと、そしてこのことは総理、官房長官、外務大臣、法務大臣の大変な御協力のおかげで実現をした。同時に、韓国政府、金賢姫さんを含めて関係者の皆さんの大変な御決断のもとで実現をした。しかし、御当人の御希望、韓国政府の希望、これありで、静かな環境で何日かお過ごしをいただき、お会いいただく人にはお会いいただいてという感じでおるので、場所も日程も一切申し上げられない、こういうことを御報告を申し上げました。
 なお、だれかしゃべるのがおると見えて、マスコミの皆さんは一斉に現場へ押しかけておられる。ヘリコプターでもって飛ばれると。取材は当然だということかもしれませんが、余りの騒音に地域の皆さんから大苦情、大ブーイングであります。ヘリコプターを飛ばしている社等はぜひ御遠慮願いたい。こういう騒がれ方をすると、今後韓国からいろいろな情報を持った方にお越しをいただこうとしても、だれも来てくれなくなると僕は心配しています。
 極秘の日程、極秘の来日、これはやむを得ないことと決断をいたしてます。皆さん方からすればけしからんと、記者会見もしないじゃないかというおしかりもあるんでしょうが、御当人は元死刑囚という立場も十分考えてほしい。強い御要請であります。したがって、ぜひ御理解、御協力をこの機会にいただきたい。私はあえてこの場でお願いを申し上げておきます。
 この後、官房長官のほうから予算編成に関する概算要求組みかえの骨子、こういった案が簡単なものですが、配られまして、約1時間にわたってさまざまな点で閣僚から議論がございました。この中で戦略室というのをポリシーユニットという菅首相の前々からの思いで、玄葉大臣と仙谷大臣が主で予算編成というものについて中心的な役割を果たす、こういうことを含めて、さまざま充実した議論のあったところでございます。
 この後、その原案につきまして、これからも7月いっぱい議論をすると、こういうことを前提に骨子として了承をされました。これを受けて、今閣議後の予算関連閣僚会議が開かれて、この骨子に対する肉づけ、こういったものを議論を始めたところであります。
 大体以上が今日の閣議の模様でございます。

2.質疑応答

(問) 大臣は金元死刑囚の来日についていろいろ御尽力されたと思うので、長い時間をかけて御尽力されて実現したわけなんですけれども、もう少し実現したあたりの感想をお聞かせいただければと思います。
(答)パフォーマンスだとか、テロリストを入国さすのはけしからんとか、いろいろな御議論を、御批判をいただいておるようでありますが、パフォーマンスなら選挙前にやって実現を図っておりますし、彼女自身は死刑の判決を受け、恩赦で特赦をされて、隠遁みたいな生活を送っている。彼女の証言によって、初めてリ・ウネ、田口八重子さんの存在というものが確認をされ、田口八重子さんの北朝鮮における存在というものが確認をされて、拉致被害者というものが本当にいるんだと、こういう認識のもとに今日まで政府が、あるいは国会が、国民が挙げて、救済に向けて頑張ってきたところです。
 彼女の話がなければ、田口八重子さんの当時の存在、なかなかわからなかったんだろうと思ってます。そういう意味では、彼女が恩赦された後、特赦された後、10年間以上苦しい生活、精神的にも肉体的にも大変つらい生活の中を御家族と一緒に生き抜いてこられた。そして、今回去年の日本政府の調べに対して、横田めぐみさんに会ったことがある、こういう証言をされて、この話を横田さん御両親に直接していただく、こういうことでお招きをいたして、約10カ月かかりましたが、実現できたことは本当に僕としては大きな拉致問題解明についての前進をできるものと考えています。
 もちろんどういう話になるのか、どういう話をされるのか、予測もつきません。しかし、横田さん御夫妻にとれば、元気なめぐみさんの実態というものを直接見聞きした人に初めて会われる。このことは御夫妻の長い、長い戦いの中で初めてのことであり、一つの励ましにもなるんだろうと考えています。
 同時に、韓国と日本政府との間の信頼関係、これらがファン・ジャンヤプ氏の招聘と今回の金賢姫さんの招聘と2つ続きまして、いろいろ困難な問題はありましたけれども、実現したことは、この拉致、あるいは北朝鮮の人権問題、人道上の問題、こういったことに関して、世界に日本と韓国は一体となって取り組んでいくんだ、こういう姿勢を強く示せたと思っています。
 また、私自身は今年の連休、4月終わり、ソウルにおりまして、哨戒艦の事件、葬儀にたまたま滞在をいたしましたので、韓国から見れば外国の大臣として初めて弔意をあらわしたところでありますが、この事件が何か北の犯行でないような空気や話が大いに北の宣伝の中で流されている中で、大韓航空機爆破事件の実行犯、彼女が来日をする。非常に大きな私は世界に対する問題提起だと考えています。
 日本政府はこの哨戒艦に関しては、韓国政府の立場を一貫して支援を申し上げてきたところであります。金賢姫さん自身は、10年間ほどあの事件はでっち上げだとか、彼女自身も偽物だとかというような韓国内部でのいろいろな非難、中傷の中で、先ほど申し上げたように苦しんでこられただけに、こういう時期での来日ということに非常に感慨深いものがあるんではないかと私は思っています。
 また、彼女自身は大変記憶力のいい、頭のいい女性だと、歴代調査に韓国まで行った人や、あるいは書類から報告を受けています。したがいまして、十数年前、あるいは二十数年前のできごととはいえ、彼女がいろいろなことを思い出す中で、新しい証言が得られれば、これはまた大きな前進になると、こんなふうにも考えています。しかし、これは彼女の話次第ですから、私も確証があるわけではありません。そんなふうに思っております。ただ、彼女の希望どおり静かに日本滞在を過ごさせてあげたい、こう思っています。
 鳩山さんの別荘という形で言われておりますが、私どもは個人のお家をお借りするかどうかも迷いました。しかし、彼女は耕一郎さんに食事をつくってあげたい、去年釜山で約束をされていた。この実行について考えざるを得なかったと、いろいろな幅広な選択の中で私どもは苦労をし続けたわけでございます。そういう意味で、ぜひマスコミの皆さん方の静かな対応をお願いを申し上げたい。重ねて御要請を申し上げます。
(問)もちろん静かな対応ということなのですが、現場のほうで何ら一切中身ではなくて、何が行われたかということをちょっとした事務方なりのレクなり、ぶら下がり取材なり応じていただければなという。
(答)家族の方は、それぞれに御感想は言われるんだと思いますが、あの御近所でというのはぜひお願いして、おやめをいただくように。
(問)ちょっと離れた場所で。
(答)場所は知りません。私どもがセットする立場ではありません。産経さんは、私どもに聞かなくても別の情報がたくさんおありで、さんざんいろいろなことをお書きになったからいいんじゃないですか。
(問)混乱を避ける意味で、ぜひ大臣みずからでも。
(答)混乱を避けるのはマスコミの皆さんです。僕がどうしてボディガードするんですか、マスコミの皆さんの。
(問)話が変わって、豪雨災害に対する激甚指定の見直しなのですが、どのようなポイントで見直しを進められるのでしょうか。
(答)局地激甚災害も含めて、その地域の予算規模とかの基準があるわけですね。従来の災害だとその市全体を覆うような災害ですから、税収の基準というのはクリアできるんですね。今度のは本当に局地的ですから、襲われた家や地域は非常な被害だと、しかし地域の市全体ではそうでもないと、予算規模的にいけば。そうすると、局地激甚にならないと。あるいは広島でいえば庄原という所は、僕はヘリコプターで視察しましたが、14軒家が倒壊している、10軒以上倒壊すると支援の法律の適用があってですね、援助等、それから新築等で300万くらいのお金が出ることになっている。しかし、その時に広島県で、5軒以上倒壊が出た地域は補償がある、5軒以下だとないんですね。総理が見に行かれた岐阜は2軒なんですね、これは支援金が出ない。だけど被災者から見れば、全部土石流、これによる、それもゲリラ豪雨による短期間の間での同じ被害ではないかと。こうなって当たり前だと、私は思います。
 したがってこういう基準を政令で決めてあるわけですから、これらを見直して、できる限りお助けを申し上げたい。この検討を今朝、事務方に命じておりますので、今週中には案を作って調整に入りたいと思っています。
(問)そうすると、今回の大雨なんですが、激甚災害の算定がされていると思いますが、今回は指定されそうですか。それともそうではないでしょうか。
(答)まだ、全然被害額があがっていません。被害額はこれからでございます。個人のお家はいま申し上げたような状況ですが、局地激甚は地域の税収の何%以上の被害とかそういう形になっているんですね。農業でも極めて限られた範囲だと採用されないところが多くある。これをどう考えるか。これをどういうふうに政令で変えていけばいいか。それじゃあお家がこけたら、お家が住めなくなったら、全部国でお助けするということになれば、火事はどうなんだとかいろんなことが出てきますから、水害と土石流と地震など、こういう限定を考えるかとか。
 いろんな事をいっぺん従来と違った発想で見直して、できるだけ幅広にご支援をさせていただけるようにしようと、こう総理からも指示をいただいています。
(問) 見直した場合に、今回の災害は対象と考えていらっしゃっていますか。
(答)そうです。今回の被害に適用できるということを考えていきたい。それも迅速にできるように。
(問)金賢姫氏の滞在先を鳩山前総理の別荘にされた理由について改めてお伺いします。
(答)僕らは滞在先を言わないということになっていますので、だれがしゃべったのか、皆さんがおつけになったのか、知りませんが、理由については金賢姫さんがお帰りになってから申し上げる。
(問)先ほど耕一郎さんに食事をつくられたいという事情を勘案されたということですが。
(答)それも一つです。日本じゅうのホテルは今夏休みに入りまして、これだけ騒ぎになったらお客さんが来なくなると、迷惑になるということもあります。

(以上)