仙谷大臣記者会見要旨 平成22年4月30日

(平成22年4月30日(金) 9:32~9:50  於:本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 閣議では御承知のように郵政改革関連法案を閣議決定をしたということと、労働力調査、消費者物価指数及び家計調査の結果について、それから、有効求人倍率の結果についての報告などがございました。
 郵政改革関連法案の閣議決定の際に、外務大臣の臨時代理からでありますが、WTOのサービス貿易に関する一般協定を始めとする我が国が締結している国際約束と整合的に運用されることが確保されるよう協力依頼がございました。
 私のほうからは以上であります。
 それから、今日から御同行いただく方々もいらっしゃるようでありますが、今日発って、上海に2泊3日、その後、ベトナムで、これも2泊3日になりましょうか、5日の早朝日本に帰ってくるという予定で外遊をいたします。
 上海は、総理の特使として万博の今日の開幕式と明日の日本館の開館式に出席するということが一番大きな目的で、今のところ、政府関係の首脳としては、賈慶林さんと会談をするということであります。
 ベトナムは、日本との関係、特に人的な交流及びインフラの構築について、日本とベトナム間の協力度合がどういうふうになっているのかということを見たり、伺ったり、現地の日本人の方々ともお会いして話を聞くとともに、ベトナム政府とも、ズン首相以下お会いできればお会いをするということであります。
 憶測も飛んでおりますが、前原大臣とは先方の交通運輸大臣とお会いをして、ベトナムに現時点で必要な鉄道、あるいは道路を含めたインフラ構築についてお話を伺うということですし、特に前原大臣は現地にお泊まりにもならないんだろうと思いますので、おもしろおかしくお書きになっても、余り意味がないということだけは申し上げておきたいと思います。
 以上です。何か御質問ございましたら。

2.質疑応答

(問)先日、小沢幹事長が不起訴不当だという検察審査会の結果が出まして、まだ大臣のコメントを正式にいただいていないものですから、その後、議決文を読まれていかがでしたか。
(答)法律家的には、従来の不起訴になった控訴事実と今度の起訴相当の事実がちょっと重なり合ってないかなという感想ですけども、いずれにしても、粛々と法律的な手続に従って東京地検がもう一遍捜査をすることになるんでしょうから、我々はそれを見守るということしかないかなと思っております。
(問)昨日、一昨日の共同通信の世論調査で、内閣支持率が20.7%、不支持が64.4%、また、参院選で民主党が単独過半数を占めたほうがよいという答えが24.3%で、占めないほうがよいが56.1%とかなり差がついた結果になっていますが、受け止めを……。
(答)厳しい数字ですねとしか言いようがないですね。
(問)上海万博の今の中国と大阪万博の頃の日本では、割と高度経済成長も含めて似ていると言われていますけれども、上海万博を御覧になられて、中国との関係について、どんなふうに見ていらっしゃるか、どういうお話をされるかというのを……。
(答)近々、日中韓の外務大臣会談や首脳会談も開かれると。それから、鳩山総理は、総理になる以前から、あるいは総理になってからも東アジア共同体について力説をしているということですから、少なくとも、もう既に経済的、文化的、あるいは人の交流という面でも国境が大変低くなっていると。
 中国のみならず、アジアの成長を日本の内需とするという観点から、しかし、にもかかわらず、日本が日本的なるもの、あるいは日本の長所というものを確認をして、生かしながらアジアとの融合、あるいは一体化を進めていく。日本人は歴史的に翻訳的適用がそんなに不得意ではないというふうに私は思いますので、そのことをどう進めていくのかということが、これからの重要なのだろうなと思います。
 やっぱり脱亜入欧路線というのは、ちょっと相手側から見れば、どうしてもなぜか目線が上から見ているような部分がある。アジアから見れば、いつから日本人は、あるいは日本は欧米的になったんだみたいな、こういう行き違いの中で、戦後65年、生きてきたという部分はなきにしもあらずです。その辺、同じ目線で、アジアの中でどう溶け込んで生き抜いていくのかというのが21世紀的課題だと思いますので、中国には中国の問題もあれば、日米にとってあまり気持ちのよくない問題というのも相当数あると、あるいは、日本にとってもそれほど気持ちのいい話ではないこともあると。
 しかし、昔のように銃砲でそれを解決するということはあり得ないわけだし、我々はそれをもう根本的に否定しているわけですから、そこは発展段階に応じたエンゲージを中国もしていただくように、これはもう粘り強くやっていかなければならないと。
 だから、経済ではやっぱり違法コピーの問題をどうするのかということもありますし、これも制度的にやっていかなければならないと。
 それから、安全保障では、やっぱりアメリカとの関係を強固に維持しつつ、中国の太平洋に対するある種の思惑に基づいた行動というものについて、虚心坦懐にお話をしたほうがいい、そういう時期に来ていると。その上で、文化・人的交流、あるいは経済的一体化について、何が障害になるのかということについて、これは早急に首脳会議、外務大臣会議、あるいはその他の場でも話をしないと、日本だけが中国とASEANに対して全く関与できないということになれば、これは大変なことになるというふうに私はちょっと危機感を持って見ていますけども、そのためには、日本のほうも片付けなければならない問題というのは、特に意識の問題含めて相当あるなと、こういうふうに見ています。
(問)今のお話の中で国際会議なんかで関わるということの関連で、東京五輪もそうですけれども、誘致に失敗したりもしてきて、こういった万博なり、五輪なり、ワールドカップといった国際的イベントが今後の日本にとって必要な段階なのか、それはやっぱりもう中国みたいな成長している過程の国でこそやるべきなのか、その辺はどう見ていらっしゃいますか。
(答)何というんですか、こういうイベントが成長途上の段階で、大変意義のあるエポックメーキングなイベントになることは間違いがないと思います。
 これからは、ある意味で日本の立場からすれば、それを起点にインフラ整備を進めるとかということではないんでしょうけども、やっぱりグリーンイノベーションにかかわることやライフイノベーションにかかわるようなこと、それから、ジャパンクールというふうに言われているもの、これらについて巨大イベントまではやる必要はないと思いますけども、常時そういうものを仕掛けることによって、人や技術や産業の交流が行われるというのは、私はいいことだというふうに思っておりまして、それは民間の方々に強力に進めていただく、いろんなアイディアを出して、あるいは業界の方々も集まってやっていただく、それをこちらのほうが後押しし、側面支援するということは、必要なことだと思います。
 昨日、テレビで、東京ガールズコレクションというんですか、若い女性のファッションショーみたいなものを沖縄でやっていたのを見ました。沖縄に国内から、中国からもいらっしゃったのかわかりませんが、全部で5,000人ぐらい集まって、大変盛り上がったファッションショーをやっているというのがありましたけども、これなんかも私は物すごくいい企画だと思いますね。
 だから、ファッションも、アニメも、漫画も、映画も、大いにこういう交流で、中国や韓国の若い人、あるいはASEANの若い世代に訴えかけていくというのは、いい企画だと思いますね。
(問)マニフェストについてお伺いします。日本に戻られてからの話になるかと思うんですが、いよいよ5月ということで作成作業が本格化するかと思うんですが、今後、3研究会の提言を精査していくに当たって、企画委員会の委員長として基本的なお考えというのをお尋ねできますでしょうか。
(答)ギリシャの問題に明らかなように、財政、経済、金融という問題がどのようにこれから転んでいくのかということをやっぱり注視しなくてはいけませんが、何だかんだといっても、日本はGDP比で見て世界一の債務国でありますから、おのずから政策展開するのには財政の制約というのがある。その前提で、国民生活がマーケットのほうから破壊されないような、あるいはそれに近いようなことにならないような規律を十二分に頭に置いて政策的な優先順位をつけていくと。
 私は、そういう観点から時期設定のされたマニフェスト項目についても、参議院選挙はありますけども、あまり無理筋を主張しないで、期間を少々延ばしていただくとか、延期していただくとか、あるいは一挙にできないで部分的にやることをお願いするとか、そういうことは十二分にあっていいだろうというふうに思っております。だから、公務員制度改革の議論の中でも、あたかも直ちに総人件費2割削減をやらなきゃいかんような議論をしているけども、これはマニフェストの約束も4年間ということになっているわけですし、それをできる仕組みをつくらないと、結論部分だけ声高に押しつけようとしたって、それは無理というものと思っております。
 だから、経済財政の基本方針とか骨格づくりを担当する者としては、ギリシャなどヨーロッパの状況を他山の石として、一挙に根底から吹き飛ばされるようなことがマーケットのほうから仕掛けられる余地はできるだけ排除するという立場で臨んでいきたいと思っております。
(問)訪米中の前原大臣が小沢幹事長の進退について、続投は参議院選挙に影響があると思うとした上で、出処進退は本人が決断するべきだと述べられたそうなんですが、この前原大臣の発言をどのようにお受け止めになるか、それから、小沢幹事長の続投について、大臣自体はどのようにお考えでしょうか。
(答)前原大臣がもしそう言ったとすれば、額面どおり受け取っておいたらいいんじゃないでしょうか。去年も申し上げたけども、それはやっぱり御本人、あるいは鳩山総理との2人で判断されるべき事柄であるというのは、一般論としてもそのとおりでしょうから。

(以上)