仙谷大臣記者会見要旨 平成22年2月23日

(平成22年2月23日(火) 8:55~9:09  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 どうもおはようございます。
 閣議については、取り立てて報告することはほとんどございませんが、新成長戦略について、菅大臣から、各大臣のところで芽出しがあるようなプロジェクトがあれば戦略室のほうに集めていただきたいというお話がございました。予算審議もそろそろ収斂される方向性が見えてまいりましたので、国家戦略室としては、ちょっとドライブをかけて、取りまとめの方向に入っていきたいと思います。
 私としては、この環境で、正に戦略的なプロジェクトを前向きに引っ張ってまいりたいと思っております。
 日本がある種、世界経済の中の実体経済を、エコフレンドリーといいましょうか、地球環境を良くする方向に引っ張っていくため、そして実体経済を改めてつくり直すために、日本が世界経済にも貢献する。そういうコンセプトの下に、日本に強みがあるもの、誇るべきものについて、個々の輸出競争をするんではなくて、一つのシステムとして、ワン・パッケージ、ワン・ボイスというような形で、政府としてこれを強力に支援し、後押しするということを考えたいというふうに考えております。
 考えられるのは、先進国向けを含む高速鉄道、あるいはCO2削減と一体となった太陽光・原子力発電、そして海水の淡水化プロジェクトというふうなものを、パッケージとして輸出をする。それをファイナンスをつけた形で政府が後押しをしていく、あるいは官民一体となって、これを東アジア、あるいは北米に展開をしていくというふうなことをやりたいと考えております。
 もう一つは、国内的にも重要なことですが、産業構造の転換に対応できる人づくり戦略を、市場任せにするのではなくて意識的にやっていくということである。高付加価値化、知識経済化、情報産業化、あるいはサービス産業化に対応する人づくりを展開する施策をこれから本格的にやっていく。
 この課題としては、中央政府が直接やるほかに、やっぱり地域、地域の特性を生かしながら、各地域で人づくりができる体制をつくっていくことが重要だと思っておりまして、これは中央政府とは独自に、主体的な人づくりのための機関を各都道府県、あるいは政令指定都市ぐらいに立ち上げていただくという論議を深めていくし、そのための予算を振り向けていくということを考えていきたいと思っているところであります。
 日本はまだまだ個々の省エネ・環境技術、あるいは制度的インフラ、また、法制度や財務会計の基礎たる簿記から始まる技術体系といったものについて非常にすぐれたものを持っており、蓄積してきたということについて自信を持っていいと思います。そういうものを通じて、東アジアの経済成長についても貢献ができると。それから、北米大陸を中心とする実体経済の再建というものにも私どもは貢献できる。そのことが、ひいてはCO2対策、地球温暖化対応に対する日本の大きな貢献につながっていけるというふうに今のところ考えておりまして、各省からのプロジェクトもそうでありますが、今、我々が持てるカードを組み合わせて、総合化してやっていける体制にしたいと考えております。
 とりあえず以上でございます。御質問、どうぞ。

2.質疑応答

(問)長崎県知事選の関係なんですけれども、敗因の一つとなっている政治とカネの問題に対して、小沢幹事長はどういうふうに対応すべきとお考えでしょうか。
(答)昨日、申し上げたとおりであります。
(問)民主党としてこの問題に対してどう取り組むべきかというのは。
(答)一般論として、もう十数年前からいろんな選挙があって、政党には結果がいいときも悪いときもありますが、きっちりとした総括をすべきだということは絶えず申し上げてきております。特に支持率動向等々は刻々と変わる場合もありますけども、構造的な変動と、何らかの一時的な特定要因が加わった、ある種の劇的な結果みたいなことがありますから、それをやっぱり冷静に分析して総括をすべきだというふうには思っておりますし、そういうことをその時々の執行部には申し上げてきたつもりです。だから、今度の選挙についても、そういうことを分析して、次の選挙に備えるべきだと思います。
(問)今日、一部で報じられていますが、国家戦略室の関係で、政策達成目標明示制度でしたか、政策達成の目標を明示するという制度をやるという話になっています。それとマニフェストとの関係について、マニフェストの仕分けに当たるのではないかということもあるんですが、政策達成目標とマニフェストの関係について、大臣はどのようにお考えなのか、どういった形で4月から始めていくのか、現在のお考えを聞かせてほしいんですが。
(答)マニフェストについては、基本的に一政権内でのある種の達成度というか、業績評価というのはなされるべきですが、この報道については、あまり戦略室では今のところ議論していませんから、どこからああいう記事が流されているのか、私はちょっとわかりませんし、「何なのかな、これは」という程度にしか今のところ考えていません。
(問)マニフェストの達成度は達成度で、政権の4年間、次の選挙までの間にどれだけ達成したか評価するべきだというお考えという理解でいいですか。
(答)会社の業績が四半期ごとにどうのこうのなんていう傾向があって、皆さん方の世界では何かちょっとでも他社より早ければいいみたいな雰囲気でああいうことをお書きになりたいんだろうけども、一体全体、それにその時々の意味があるのかないのかと、ちょっと疑問ですね。もうちょっとゆとりのある議論というのがないといけないんじゃないでしょうか。
 1日遅れたとか、1週間遅れたとか、一月遅れたとか、一月早かったとかって、そんなことにそれほどの意味が僕はあるとは思えないですね。あるいは、年度でそのことが未達成であるとか、不十分であるとか、その議論はいいですけども、そのことがいかにもなんか世の中がひっくり返るかのような話であるかのように、政権そのものの信頼性がどうのこうのみたいなことを、もしそういう観点から議論するとすれば、ちょっと行き過ぎの感があるのではないかなという気がしますね。
(問)民主党内で今、廃止された政策調査会の復活を求める動きがありますが、こうした動きを大臣はどう御覧になっていますか。
(答)現在は、政府・与党の一体化、一元化ということで、自民党が従来なさっていたような政策調査会で、法案の事前審査をし、総務会で決定をしないと決まらないという、この二元的体制というのは間違っているというふうに思います。
 ただ、一方で議会というのは、議論をする場でありますし、政策議論が中心にならないといけないということも間違いありません。先ほど申し上げた事前審査性的な枠組みではなくて、政府に入っていない与党の国会議員による政策議論がどのように生かされるか、この噛み合わせというのはなかなか難しいんだと思いますけども、やっぱり基本は「万機公論に決すべし」というか、やっぱり大らかに広く議論がされて、それが政策的に収斂されていくと新たな合意形成がなされるということがあっていいし、なければならないんじゃないかということを私は考えております。
 したがって、国会の中で与党修正あるいは野党修正というようなものが法案について行われることは、そのことで何か面子が汚されるとか何とかという話ではない。一旦内閣で決定されたものであっても、議会で修正されることにそれほど否定的な態度をとる必要は全くないと。従来は、与党でまず事前審査して決めて、これを閣法という格好で出す。一旦出したものは最善であるからして、絶対何が何でもそのまま通さなきゃいかん、数で通せばいいんだと、議論よりも採決が問題なんだという議会運営がなされてきたように感じておりまして、それについては私はある種の否定的論者です。

(以上)