仙谷大臣記者会見要旨 平成22年2月16日

(平成22年2月16日(火) 8:51~9:02  於:衆議院議員食堂)

1.発言要旨

 おはようございます。
 さあどうぞ、聞いてください。

2.質疑応答

(問)公務員制度改革についてなんですが、減給を伴う転任というのは実際に運用していけるとお考えかということと、将来的に次官と部長までの間の給料の俸給表分を圧縮するお考えはありますでしょうか。
(答)「圧縮」というのがちょっとよくわからないのですが、当然運用できると思ってやっているわけですから。
 それから、圧縮とか何とかは、これはすべて全体的な、財政との関係もあるでしょうし、あるいは位置付けと給料表については、改めて新制度の下で内閣人事局が考えていかれるんじゃないでしょうか。
(問)場合によっては、圧縮することも可能であれば……。
(答)圧縮することもあれば、拡大することもあるかもわかりませんよ、それは。
(問)消費税についてですけれども、大臣は、以前から消費税については活発に議論すべきだとおっしゃっていますけれども、消費税については上げないのか、それとも4年間は上げないというだけなのか。そうすると議論は4年間やって、5年後以降に上げるとお考えなのか、その点についてどういうふうにお考えなんでしょうか。
(答)もうずっと以前から申し上げていますが、私は消費税だけの問題を言ったことはないですよ。税制全体の消費、資産、所得、すべてのバランスを新しい時代に適応するような税制を改めて考える必要があるんではないかと、こういう趣旨で申し上げているわけですね。現に資産課税の考え方についても、いろんなところから御批判いただいたり、御賛同いただいたりしているわけですよね。あるいは法人税の現状の姿から見て、このままでいいのかということも、当然、産業構造の転換との関係で考えていかなければいけないんじゃないでしょうか、と私は思っていますけども。
 それから、税をめぐるいろんなインフラについても、これは改めて考えないといけない。だから、番号制度についての総合的な検討会を発足させたということでもありますから。そういう趣旨ですよ。
(問)財務大臣は、3月から消費税を含めた税制の議論をするとおっしゃっていますが、その点については税調でやるべきだと。
(答)だから、消費税を含めて、全体を議論するのは当たり前の話じゃないですか。
(問)やっぱり全パッケージで議論すべきだというふうに。
(答)いや、パッケージになるのか、すべての項目にわたるのか、そういう時代環境に来ているということを申し上げているんですね。
(問)公務員の関係なんですけれども、大臣はこの間おっしゃったように、濫用防止のような条項を今回の改正案に入れるというお考えはありますか。
(答)法律で入るのか、運用の問題とすれば規則の問題になるのか、あるいは政令になるのか、そういうことでしょう。だから、それはこれから議論を通じて考えていくということでいいんじゃないでしょうか。
(問)中期財政フレームは、税制の歳入面の改革を織り込んだ姿と考えていらっしゃいますか。
(答)皆さん方、今の景気と経済の世界的な状況というのを、あるいは日本が置かれた状況というものをどういうふうに把握していらっしゃるのか、僕にはわかりませんが、そこを深く静かに、じっと見ながら、分析しながら考えなければならないということを、この間ずっと申し上げているわけでしょう。
 我々が、内閣を担っていく上で、予測を全くしないわけじゃないけども、非常に大きいショックが、去年の秋はドバイ、今年はまずギリシャというふうに起こっているわけですよね。昔よりも圧倒的に実体経済も金融面でも、いい影響も悪い影響も速く国境を越えて伝播してくるという状況なわけだから、一国の財政と金融政策をどう展開するのかというのは、10年前とは圧倒的に違う経済金融環境にあることを踏まえ、その中で財政を考えるということになろうかと思います。やっぱりここはスピードも必要だけども、慎重な見極めも必要ということですから、先般から申し上げているように、もう少しそこはじっくり見ないと、どちらにどう我々がフレームを掲げるかということは、一概に言えません。
(問)先週金曜日の12日の衆院の予算委員会の集中審議で、小沢幹事長の陸山会の問題に関して、棚橋さんの質問に対して、大臣が、報道等でフレームアップされて報道されているという話をされたんですけれども、それの発言の真意というか、「フレームアップ」という英単語は「捏造」とか「でっち上げ」みたいな意味があるそうなんですけれども、どういう真意でおっしゃったのか伺えれば。
(答)あなた方、証拠を確認して書いているんですか。
(問)ええと……。
(答)僕が申し上げているのは、犯罪事実との関係で、間接的には関係あるかもわからんけども、全く関係がないかもわからない事実を、どういう証拠に基づいてお書きになっているかわからないから、そういうのを「フレームアップ」と言っているんですよ。
(問)特定の何か「この部分が」というのがあって、想定されておっしゃったわけではないと。
(答)少なくとも僕には、証拠に基づいて書いていないなと思われる部分は相当あるなと、こう見ています。
 現に皆さん方、今度の菅谷さんの事件だって、事件が発生した当初にお書きになったことについて、もう一遍検証して、これは記事自身がフレームアップだったと、事件がフレームアップの極め付きの冤罪であった場合に、記事自身もフレームアップだったということを、真摯な反省をお書きになった新聞というのは、僕は見たことがありません。
 僕もフレームアップ事件をやって、冤罪か、冤罪で無罪を勝ち取った例が数件ありますけれども、それは事件の開始のときの報道の仕方というのは、それはもう大変なものですよね。これは皆さん方、御承知だと思うけども。
 そして、無罪で確認したときに、その人たちを褒めそやすことはあっても、あるいは弁護団を褒めそやすことはあっても、なぜあのときの報道がこうだったのかという、これをちゃんとお書きになった新聞というのは、僕は、まあないことはないんだけども、それでも量と質において、その点については非常に甘いなと思っているものだから、私が担当しない事件でも「あ、これおかしいな」と感じる事件と感じない事件があります。あるいは、これは検察の無理筋だと思う事件とそうじゃない事件がございますから、そのことを申し上げたわけです。
 皆さん方は、例えば近いところでは、福島県立大野病院事件の加藤さんというドクターが逮捕されたときに、どういうことをお書きになって、彼のドクター生命がどういうふうになろうとしたか、なっているのか、現在もどういう状況に置かれているか。結果として、これは無罪ですよ。そして、あの事件によって、日本の産科の治療というのは、ますます崩壊が増幅されたと、こういうことは間違いないじゃないですか。
 私が言いたいのは、それぞれの事件にふさわしい書き方とか分析とかというのはあってしかるべきなんだけども、事件が始まるときにはぶわあっと盛り上げて書くから、そのことによって社会のシステムも、あるいはそのターゲットにされた個人も、必要以上に傷つくというケースは大いにあるんじゃないかということです。事件報道については、事実を押さえておいたところをお書きになるのはいいんだけども、それに盛りつけいっぱいにしてお書きになるから、我々の立場としても、ちゃんと見ておかなければならない。これは申し上げておきますけども、内閣の一員としての発言じゃなくて、弁護士を20年やった経験での発言というふうに聞いてください。

(以上)