仙谷大臣記者会見要旨 平成22年2月5日

(平成22年2月5日(金) 17:59~18:17  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 閣議の報告はそれほどございませんが、政治主導確保法案が閣議決定をされましたので、提出されて成立をしましたら、行政刷新会議も、それから戦略室も国家戦略局として法律的に位置付けられます。そして、定員もそれ相応にきちっととした格好で増やせることができるようになるんではないかと、こんなふうに思っております。
 もう一つ、例のハトミミ・ドットコムに寄せられた「国民の声」ですが、2月4日受付分までで1,002件ということであります。
 内訳としては、規制・制度の撤廃や見直しが約50%、それから、ムダの排除・見直しが116件の12%、事務や事業の廃止が31件、3%、そんな感じになっておるようです。個人情報の問題もありますので、どこまで詳しくお教えできるかわかりませんが、個人的な問題にかかわらない範囲でお問い合わせをいただければ、できるだけ詳しく情報提供したいと思いますので、興味のある方は事務局のほうへお申し出いただければと思います。というよりも、皆様に興味を是非持って、ある種の双方向コミュニケーションといいましょうか、国民の参加で進めることにしたいと。つまり、行政刷新の鴨居の下で、規制の問題、公益法人の問題、独立行政法人の問題で、いわゆる公的なサービス、公共サービスについての意見や、あるいはそれらの中で民間の事業活動を阻害するものがあるといった話がニュースネタとしては存在すると思いますので、その点、積極的によろしくお願いしたいと思います。

2.質疑応答

(問)政治主導確保法案のことで、戦略室から局に格上げされることについて、体制を含めて、今日も国会の答弁でちょこっとありましたけれども、国家戦略局がどういう役割を担っていくのか、お考えがあったら教えていただきたいのと、あともう1点、国家戦略局は内閣官房に設置されますけれども、官房長官と国家戦略担当大臣のどちらの下につくのかというようなところがもしわかれば。
(答)これは総理の直属機関ですから、日常的な総合調整という役割は官房長官でしょう。人事の問題も含めてですね。基本的な、例えば税財政の骨格、あるいは今回の場合には成長戦略といったものが戦略局の鴨居の内ということになるんでしょう。
 ただ、この間見ておりましたら、政策マターというか、政策制度的な事項について、分担管理原則の下で、横並び官庁がいわゆる同レベルというポジションで折衝、交渉となって、結局は押し合い、引っ張り合いがどうしても決着つかずに、現状維持のまま動いてきているというケースが随分ありますね。
 そういう中で、総理大臣が議長になっている部局がこれからもどんどんできていくというふうに思われますので、そういう俯瞰的な立場から、正に官邸主導、あるいは総理主導の下で、官庁間の押し合い、へし合いではなくて、ちょっと高いところからどんと行政刷新会議が、ある種、今までのやり方からすると、各省庁から見て、「ちょっと強引なことを君たちやるね」みたいな話、例えば、この間、「埋蔵金を返せ」とか、「独法の人事を勝手にやらせるな」ということをやってきたわけですけども、今度は社会保障と税にかかわる番号制度の問題。それから、今考えられているのは、年金制度そのものの問題、それから、例のチャレンジ25といった地球温暖化に対する問題など、従来、省庁間調整で行っていた短中期的政策についても、勧進元を担わなければいけないのかなというふうに思います。
 余り手を広げても、それだけ力が分散することになるんで、選別はしようとは思っていますけども、なかなかどうしてもそういうことになる。つまり、昔で言えば、業際問題とか、総合問題ということですから、そういうことになるだろうなというふうに思っています。
 もちろん、成長戦略については具体的な肉付けをすると。それから、中期財政フレーム、財政運営戦略をやっぱり6月までには仕上げるという役目もございますので、そのことも含めて、結構忙しい部局になるなと思っております。
(問)今日、日経平均株価が年初来安値で、今、取引されている先物を見ると、もう1万円を切っているんですけれども、今回の株安の背景には、欧州の一部の国で財政懸念が生じて、それが世界的に広がって株安になっているという背景があるんですが、まず株安をどういうふうにとらえているかということと、今おっしゃった中期財政フレームの中でちゃんとした目標みたいなものを示していかれるのかどうか、この2点をお願いします。
(答)一つは、株安について、ヨーロッパ発だということになれば、これはまたもう一遍世界経済、あるいは金融の動揺が広がらないように、明日から始まるG7でよく国際協調という観点からの議論を菅財務大臣にお願いをしてきたいというふうに思います。
 株の問題も債券の問題も、極めてグローバライズされている領域ですから、一国だけの観測とか口先介入のような対応では、サステイナブルな景気回復ということにはなかなか結びつかないと。やっぱりここは国際協調路線というのが一番必要なんだろうなというふうに考えます。
 もう一つ、この間のダボス会議の経験もそうなんですが、やっぱり財政赤字の問題ですね。特に今のヨーロッパの話で言うと、ギリシャのこの間の財政赤字と、欧州委員会が国家財政についての再建案を示したと聞いてます。そして、スペインについても、先般のダボス会議でも語られておりました。それからもう一つは、金融機関の資産が対GDP比で極めて大きくなっているということが議論をされておりました。出口戦略を考える必要があるけれども、これはタイミングを間違って、早過ぎることがあってはならないというような議論がこの間の経済フォーラムの中で議論されておりまして、今度の日本の財政も、一番悩ましいのは、やっぱり地域の中小企業、あるいは地域の経済動向というのを配慮するということがまず一番にあったものですから、どうしても財政全体としての規模をそんなに縮小するわけにいかないというのが、92兆円路線を選択した大きい理由なんですね。
 だから、マニフェストをできる限り実現しつつも、全体の規模として、昨年度当初予算よりは大きく、しかしながら、第二次補正を含めたものほどは大きくないものをつくろうというのが92兆円路線になっているわけでありまして、やはり財政の規律のほうも非常に気にはなっておるんですけども、景気動向との関係でブレーキを踏み込んでいくというようなやり方が今の時期いいのかどうなのか。これは、世界の先進各国すべてがやっぱり悩み抜いているというふうに思います。
 だから、途上国で経常収支が余りよくない国・地域が落ち込むことで、それがトリガーにならないように、そこは先進各国も、どういう手があるのか、そこが議論でありますが、財政出動及び金融政策を国際協調でやっていただかなければならないと、今お聞きして、この間の全体的な印象も含めてそう思います。
 つまり、いろんなところにリスク要因が相当あるということだけは間違いないと思います。
(問)今おっしゃったことに関連するんですが、財政運営戦略として、恐らく10年単位のちょっと長いタームのものが考えられると思うんですが、その中で消費税の位置付けはどうなるのか。かつての政権ですと、何%上げるような形の試算をいろいろ出していましたけれども、ロングタームになると、どうしてもそうした議論を入れないと発散傾向になってしまうと思いますが、その点は今のところどういうふうにやっていくおつもりですか。
(答)税調の方々とも議論しないといけないんですが、ここまで来ますと、税制の見直しは果たして消費税だけで済むのかどうなのかという議論もあるんではないかと。所得税、法人税を含めて、課税ベースをどうするのかという議論もある。あるいは、今日も問題になっておりましたけども、資産税といった問題もある。
 もちろん、消費税というのは、歴史的に社会保障目的税としてどう位置付けるのかというような議論に、中長期的には当然のことながら僕はなるんじゃないかとも思っていますけれども、そうした議論をいつごろから本格的に始めるのかというのは、党の方針もありますけども、もう一つは、経済動向が今のようにリスクが大変多種多様に存在して、いわば触れなば落ちんというか、デリケートに扱わないといけないんじゃないかという気がしているものですから、そこであまり論理的に財政規律一直線の財政運営戦略みたいなものを書くことが、例えば今年の5月、6月の段階でいいのかどうなのか、まだ判断つきかねています、正直申し上げて。
(問)小沢幹事長の政治資金団体による問題について、改めて1問だけ。
 今日も委員会に出席されて、国会審議への影響という点については改めてどうお感じになったかということを教えていただけますか。
(答)国会審議への影響は、自民党の出方次第みたいなところがありますから、これからどうなるのか、ちょっと私どもにはわかりません。
 ただ、先ほどから問題になっておりますように、景気と経済の動向が大変神経質にならざるを得ない局面であるとすれば、これは一日も早く予算を通していただきたいと、そういうことになりますから、これは誠に申しわけないんだけども、我が党の国会対策委員会の現場の方々に、一汗も二汗もかいてもらわなければいけないと思います。
 それから、やっぱり相当断定的な犯罪用語が生でぼんぼん出てきて、そのことに終始するような議論になるとすれば、せっかくの予算委員会ですから、もったいないな、残念だなと、審議の中身のほうの影響についてはそういうふうに思います。

(以上)