仙谷大臣記者会見要旨 平成22年1月29日

(平成22年1月29日(金) 10:48~11:13  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 まず、閣議の前に、少子化社会対策会議で、子ども・子育てビジョンが決定されました。それを受けて、私と福島大臣を共同議長として、子ども・子育て新システム検討会議を立ち上げるということでございます。
 皆さん方にも子ども・子育てビジョンそのものもお読みいただければと思います。当然のことながら、この件に共同議長として対応するというのは、幼保一体化の問題がございますし、あるいは地域主権のところで問題になっておりますいろんな規制がございますので、規制改革として義務付け、枠付け、官に対する規制、民に対する規制といったものを突破して、子ども本位の次世代育成支援というものをつくっていくと、こういう観点で私ども行政刷新会議が強く関与するという趣旨であります。
 それから、今日の閣議は盛りだくさんでありましたが、私の所管との関係で申し上げますと、公務員制度改革で今国会に法案を提出いたしますが、内閣による人事管理機能の強化、そのために内閣人事局を設置すると、そして、幹部人事の内閣一元管理を行うということについて、閣僚懇談会で総理大臣の発言がなされました。今回の法案において、実質的には官房長官のところに審査委員会等々がつくられると思うのでありますが、官房長官が幹部職員としての適格性を審査して、事務次官・局長級の幹部候補者名簿と、部長級の幹部候補者名簿を府省横断的に作成すると。要するに、名簿を作成して、2層の幹部候補生をプールするということが一つです。
 それから、その名簿の中から、内閣総理大臣または官房長官が、内閣全体の視点から適正な人材を登用する必要があると判断するときには、任命権者である各府省大臣に対して、幹部職員の人事について協議を総理大臣、官房長官のほうから求めることができると。
 それから、任命権者である各府省大臣は、幹部職員人事を行うときに、総理大臣及び内閣官房長官と協議すると。これは、総理大臣、官房長官のほうからもできるし、反対に任命権者の各府省大臣が幹部職員人事を行うときには、総理大臣と官房長官と協議をしなければならないと、こういう趣旨であります。
 そして、局長級以上の幹部職員について、適材適所の人事を柔軟に行えるようにするために、事務次官級から局長級への異動を可能とする。つまり、今までは、降格・降任のような話ができないこととされていて、慣行的にもそうなっておるんですが、それが降格とか降任というような言い方ではなくて、そこのところは自由に行ったり来たりできるようにすると、こういうことであります。
 それから、幹部職員の公募は、これは民間からも含めてでありますが、内閣が一元的に行うと。現職の方々も手を挙げていただいて結構でありますし、民間からも手を挙げていただいて結構と。
 それから、中立性が要求される法執行部門については、この独立性に配慮して行うということなどが盛り込まれるということで、法案の具体的な内容について、公務員制度改革担当大臣を中心に、各府省との調整をお願いしたいと、こういう総理大臣の発言がございました。
 閣議の報告は以上でございます。
 それから、私のところでは、今日既に今行われておるようでありますが、公共サービス改革推進室、官民競争入札等監理委員会が、市場化テストについて、いわゆる官製市場を少しでも民間に開放していくという観点で行っております作業のうち、今日は永田町合同庁舎1階の第一共用会議室で、公物管理分科会を開いて、道路、河川・ダム、国営公園、国有林各事業の見直しについて、公開のもとで国土交通省と農林水産省の局長級以上をお呼びして、入札の方法を見直せといったことについて、事実上の仕分け的議論を行政刷新会議のボードメンバーでもある片山善博先生が主査となって行っているということでございますので、それも皆さん方に御紹介をしておきたいと思います。
 なお、新聞広告等々で御覧いただいていると思いますが、独法役員の公募について、今度は3月末日までの任期の方々の分、つまり4月からの新しい役員の公募も始まっておりますので、その点も皆さん方にまたまたお願いをできたらと思います。
 私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)鳩山総理の公務員制度改革についての発言なんですけれども、確認ですけれども、これは閣僚懇での発言でしょうか。
(答)そうです。
(問)これは誰に向けて言った発言なのでしょうか、それから、どうしてこういうタイミングでなのでしょうか。
(答)各閣僚の御理解をお願いしますというのが最後についていますので、各大臣にお願いをしたということです。
(問)これは、法案に盛り込まれる内容を言ったということでしょうか。
(答)骨子をおっしゃって、そして、その点について各府省との調整を私が中心になって行うことになると思いますが、このことについて御理解と御協力をお願いしたいということを総理のほうから言ったと、こういうことです。
(問)特段の異論とか、意見とかは出ていませんか。
(答)全然出ておりません。
(問)このタイミングで言われたのはどうしてでしょうか。
(答)今度は、この内閣人事局づくり、そして、総理大臣と官房長官が幹部職員の人事を仕切ることが果たしてできるかどうかという、いわば分水嶺というか天王山に差しかかっておりますので、各大臣が協力をしていただかないとこれはできないと。要するに、一段高いところからの俯瞰的な立場で幹部人事については行うという、ある種の宣言ですから、どちらかというと、従来、分担管理のもとで持っていた、法律上は独占的に持っていたことになっている各省大臣の人事権について、今までのようなわけにはいかないということになってきます。
 それは、人事の話というのは難しい話であり、取りも直さず、キャリアシステムとの関連が当然陰に陽に関係してくることでありますから、内閣官房の下にある公務員制度改革担当大臣が横並びで他省庁と折衝をするというようなことではなかなかうまくいかないと。これは、総理大臣の意向でこういう骨格の幹部人事法案をつくるんだよと、そういう総理大臣の宣言というか意思表明だというふうにお考えいただければいいと思いますが。
(問)この法案の提出なんですけれども、いつごろになるのかということと、あと、内閣人事局長はどなたが務められるのかというのは。
(答)まだそこまでわかりません。従来は官房副長官という話が国会答弁で、前の内閣の時代には出ておったわけですね。そこは、そういうふうになるのか。
 いずれにしても、見通すと、改革された国家公務員法の下で、人事労務管理というのを全体として誰が責任を持つのかということにかかわってきますから。人事局長をどのように配置するのかということについては、これからの折衝等々の中でまたいろんな案が出てくると思います。ただ、そんなに選択肢は多くないわけですから。
(問)いつごろ提出されますか、法案は。
(答)法案としては、事務方、内閣官房の下での法制化担当でやってくれておるようですから、法案自身としては、各省折衝が済めばできると思います。
(問)2月のいつごろですか。
(答)上旬頃でしょうか。
(問)公務員制度改革で確認したいんですけれども、事務次官級から局長級への異動を自由にできるようにするとおっしゃいましたけれども、ちょっと降任との関係がわからなかったんですが、自民党の法案でいっていた特例降任とか分限処分とはこれ違うわけですか。
(答)自民党の法案は僕ちょっと存じ上げませんので、詳しくそれと違うとか同じとかは言えないけども、要するに、次官の人でも次の人事では局長になることができるような法律です。
(問)分限処分上の降格というのとは違うんですね。
(答)分限とは関係ない。全く人事権の行使としてということです。適材適所の配置として。
(問)次官・局長級の異動を可能にするということですが、事務次官制度は存続するという前提でしょうか。大臣、今まで事務次官は……。
(答)そこのところは、正に中身が変わるけども、名前は残すということでいこうということですね、現時点ではね。
(問)中身が変わるといいますと。
(答)局長になる、ほかの任務につく可能性もある次官というのは今までは考えられないわけでしょ。ということは、ある省の中でも、要するに政治主導の執務体系が行われるわけだから、各省によってそれぞれ政務三役の個性によって違ってくるのかもわかりませんけども、多分、そうなった日には、今までとは次官の役割が違うと。それから、各職員も、社長と呼ぶ事務次官の御意向を伺いながら執務をするというのは大幅に減る可能性があると。
 だから、事務次官会議がなくなり、それから、人事のあっせん等々がなくなれば、今も相当変わっておると思いますけども、その役割が変わってくる可能性があるし、変わってもらわなければならないということでしょうね。
(問)役割が変わるとしても、ポスト自体は存続させるということでよろしいですか。
(答)名前が存続するという程度のことになる可能性はありますね。
(問)法執行部門の幹部人事に関しては、独立性に配慮するというふうにおっしゃいましたけれども、具体的に言いますとどのポストが。
(答)今日、例えば中井大臣からも「当然我が社は」みたいな話がありましたけども、そういう特殊性に配慮しなければいけない分は、人事院、検察庁、会計検査院、警察庁、それから公正取引委員会等ということになりますが、それから、実施庁と言われておるようなところというようなことなんでしょう。というふうに考えておりますが。
(問)幼保一体化の新しいシステムの会議なんですが、これはどれぐらいのスケジュールで基本方針なり、考え方をまとめるお考えなんでしょうか。
(答)これはやっぱり6月頃までにはがっちりしたものをまとめなきゃいかんと僕は思っていますけども。
(問)メンバーは閣僚のほかにも入られるんですか。
(答)これは、福島大臣のところから発表されるんではないかと思いますが、私と福島大臣が共同議長、それから、構成員は、総務大臣、財務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣、その他必要に応じて議長が指名する者ということになっています。この検討会議のもとに作業グループを設置すると。作業グループは、会議の構成員たる府省、先ほど申し上げました府省の副大臣または政務官及び必要に応じて議長が指名する者とするというふうになっております。平成22年6月を目途に基本的な方向を固め、少子化社会対策会議、行政刷新会議及び成長戦略策定会議に報告すると、こういうことでございます。
(問)人事局の関係なんですけれども、幹部の対象というのは審議官のところまでかかるということでよろしいですか。
(答)それは部長級と2層にするわけですね。次官・局長級と部長級。部長級は審議官、部長ということになると思います。
(問)公募の関係なんですけれども、これは、官僚の方というのはポジションとかは関係なく公募できると。
(答)それは関係ないですけども、常識的には課長級の方でも手を挙げていただいて大いに結構ということなんじゃないんでしょうか。
(問)その件で、局長級が部長級に自由になるというシステムは今回導入されないんですよね。
(答)はい。
(問)ということは、自由な人事を内閣の意思でしたくても、ちょっと局長が詰まっていたら実際運用上はなかなかできないとか、そういう弊害が出ませんか。
(答)補職の話と、会社で言えば資格の話とは別で、例えば普通の会社では理事と参事という形で、試験が適宜なされて、そういう資格を持って、その中から選ばれてラインの何とか部長とか、何とか局長とか、何とか本部長とかというふうにされますね。だから、今度の幹部人事の一元化というのは、いわばそのプールをつくるということですね、資格者をつくる。その中から、各省大臣が総理、官房長官に協議を求めて、協議の結果、例えば財務省の誰々を我が省のどこどこの次の局長にしたいんだけども、というような話です。
(問)民間からの公募のやり方というのは、どのような形を想定しているんでしょうか。
(答)具体的にはまだ詰まってませんけども、おいでになりたい方はどうぞ試験を受けてくださいということになるんじゃないですか。
(問)つまり各省庁ごとにということなのか……。
(答)まずはプールの中に入っていただかなきゃいけませんね。
(問)それは何人程度を想定しているんでしょうか。
(答)今のポストで言えば、約200から250が次官・局長級と言われていますね。それから、部長・審議官級は600人程度というふうに言われていますから、常時その5割増ぐらいのプールを持つのか、あるいは倍の人間をプールするのか、それはもうちょっと煮詰まってみないとわからないと思いますが。
(問)公募対象となる幹部職員というのは、部長・審議官も公募対象になるんですか。
(答)当然ですね、それは。
(問)あと、目指す人事局のスタート時期、要するに運用がスタートされる時期というのはいつごろになりますか。
(答)それは法案が通って速やかにということになるんじゃないでしょうか。それは私の所管ではなくて、内閣官房の所管でしょうから、そこが例えば法案が速やかに通れば、今年の10月1日からそういうことでやりたいというふうになるのか、来年の1月1日からになるのか、それは僕はちょっと今のところわかりません。
(問)成立は4月までを目指すんですか、政府としては。
(答)政治主導確保法案と一体のものとして出されるわけですけども、審議時間がどうとれるのかということですから、必ずしも、政治主導確保法案のような日程的緊迫した話ではないとは僕は思っていますけれども。
(問)ちょっと話は変わるんですけれども、鳩山総理が先日、参議院選後に中央省庁の再編に取り組む方針を示されましたけれども、現時点での大臣のお考えをお聞かせください。
(答)全体的な絵を書くとなると、これは大変ですけども、私自身の理解で言えば、いかに機能的に再編をするのかと。つまり、コンクリートから人へ、それから知識経済とか福祉経済というふうに言われるわけですが、それに対応するようにこの霞が関の体制をどう組み替えることができるのかというような観点で臨もうということなんだろうと思います。多分、政権交代後のある種のエネルギーがあるときでないとできないというふうに思っていらっしゃるかもわかりませんね。

(以上)