仙谷大臣記者会見要旨 平成22年1月26日

(平成22年1月26日(火) 19:12~19:30  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 お疲れ様です。
 参議院の予算委員会の審議後、閣議がございました。閣議決定としては、ハイチに対する約7,000万ドルの資金供与の件がありました。多分、岡田外務大臣のほうから報告が詳しくされると思います。
 さらに、PKO法に基づいて現在、防衛医官がハイチへ行っておるようですが、それに加えて、瓦礫の整理とか復旧・復興について、自衛隊を出動させる準備命令をしたという報告もございました。
 それから、閣議では時間をかけて総理の所信、財政演説、経済演説、外交演説について、趣旨の説明を受け、討議をしたということでございます。当日の直前まで公表しないようにという扱いで、原案は回収されておりますので、あらかじめ御了承をいただきたいと思います。
 閣議終了後、地球温暖化問題に関する閣僚委員会が開かれまして、先般のコペンハーゲンでの会議で、各参加国に31日までにCOP事務局に提出するという義務付けが行われたようでございまして、提出する文案を小沢環境大臣から提案があって、それを決定をしました。
 併せて、菅大臣が今まで責任者のポジションであったわけでありますが、その場所に私が国家戦略担当大臣として、菅大臣の行っていた役割というか、職務を行うと、そういうふうに変更するという提案があって、了承を得たということでございます。
 これから地球温暖化対策基本法案、それから削減目標達成のための対策、施策を明らかにするロードマップ、国内排出量取引制度という3つのテーマについて、私が座長役といいましょうか、取りまとめ役の責任者、その他、もちろん古川副大臣もその役割を担うわけですが、小沢環境大臣が事務局長格になって、そして副大臣会議の検討チームを改めてつくって、そこで検討していくと。基本法は今国会に提出するということになっておりますので、早急に練り上げなければならないということであります。
 それから、2020年の経済全体の数量化された排出目標を出すことになっておるんですが、それは小沢大臣のほうから詳しく報告がありますが、今まで総理がずっと一貫して唱えてきた25%削減をすると。ただし、すべての主要国による公平かつ実効性のある国際枠組みの構築及び意欲的な目標の合意を前提とすると。こういう今までの表現そのものを、附属書として日本が提出するということで確認をされました。そのことを御報告を申し上げておきます。
 私のほうからは以上でございますが、どうぞ。

2.質疑応答

(問)27日から開かれるダボス会議なんですが、鳩山首相が出席を見送る方向ということなんですが、仙谷大臣が首相の代理として出席する方向へ調整が進んでいるのかどうかをお伺いします。
(答)代理というほどのことはありませんが、御名代みたいな格好で、国会の御了解さえいただければ、そういう予定で行おうと。国会の議運、国対に対してお願いをしていただいておると、こういうことのようです。
 もし行くとなれば、ダボスで、たまたまWTOの会合が開かれますので、多分、経産大臣、農水大臣も、ともに国会の審議に全く支障のない範囲で動くことになる可能性が大であるということのようであります。
(問)仮に行く場合でしたら、やはり金曜日に出て、日曜日に戻られるような……。
(答)国会の審議がすべて終わってからということになると思います。
(問)小沢幹事長への東京地検特捜部による任意の事情聴取に関連して、仙谷大臣のお考えを聞かせてください。
 23日の聴取後に小沢幹事長が行った記者会見で、一連の疑惑の説明責任は果たされたとお考えでしょうか。また、衆院で政治と金の集中審議が行われるようですが、陸山会をめぐる疑惑について、国会で真相解明に乗り出すべきだとお考えですか。その場合、具体的にどのような方法で、どこまで解明すべきだとお考えですか。
(答)先般から申し上げているように、もし、被疑者としての事情聴取が始まったという報道が事実だとすれば、小沢幹事長には当然のことながら防御権、弁護権があるわけですから、そこへ説明責任というものを振りかざして何かをしゃべれと、こうおっしゃられても、それは御本人は甚だ当惑すると。それは御本人がその気になって、積極的にお話をされる場合には、それはいいんでしょうけども、事件のある種の決着がつかない段階で、被疑者だと言われている方に話をせいという、この論理は私にはわからない。
 つまり、長い間弁護士をやってきた者としては、そんな無茶苦茶な話があるかというぐらいの感じを、実際問題として持っているんですね。それは、刑事事件というのは、やはり個人の責任を問うものですから、そこにはおのずから配慮されなければならない、免れなければならない権利というのが、憲法31 条以下にずっと書かれているように、刑事訴訟法にも全部書かれているように、そのバランスの上に民主主義のルールというのは成り立っているわけですから、聞くことが足りないとか何とかという話は、私はちょっと違うんではないかと。やっぱり刑事事件の決着がつくまで、ということは、つまり、ある種の事実の確定が、蓋然性の高い確定が行われる時期まで、そのことを要求されるのは、やっぱり無理があるんじゃないかという気が、僕はしています。御本人が積極的に自らお話になるという場合を除いてはですね。
 多分、既に弁護人の方もおつきになっているでしょうから、弁護人の立場からしても、皆さん方が多分お知りになりたいのは、政治家としての議論の問題のみならずというか、そちらよりも新聞報道等で区々に出ておる事実がどうなんだという、早い話が「お白洲裁判」みたいな状況になるんだろうなという気がしますから、むしろ、そういうことが余り好ましくないというのが刑事事件の諸手続だと私は思っているんですよね。
 これは当然、検察側からいっても、密行性がなければ、その捜査というのは適正な捜査はできないというのは当たり前ですから。私は、今の時点での説明責任云々の話は、そういうふうにとらえています。
(問)国会での真相解明に乗り出すべきかどうかについては。
(答)国会の「真相解明」というのが何なのかというのは、よくわからない。つまり、捜査機関でもなければ、調査機能とか調査権限とか、国政調査権を除いては、そういうのはないわけですよね。僕は国政調査権も含めて、前から行政監視院(GAO)をつくれというふうに申し上げているときも、そこの調査のスタッフを含めた機能を持っていないと、割と「真相究明」なんて簡単におっしゃるけども、それを、こんなことを言ったら何だけれども、調査とか捜査とか、それの素人である政治家が「真相究明」なんていうことを声高に叫んで言っても、余り効果的な話ではないんではないかという疑問があります。国会でそういう質問に立ってやってきた経験から。
 問題は、ある種の事実が確定されたときに、それを踏まえて、そして政治家として、その事実を政治的にどう評価するのか、あるいは我々がどうこれをとらえて、枠組み、制度、ルール、あるいは一人一人の政治家に問われるべき行動のあり方が問題なのか、あるいは精神のありようというか、気持ちのありようが問題なのか、そういう議論は、国会でも大いにやらなければいけないと思いますけども、余り事実究明とか何とかということを、最大3時間とか5時間の場で行うというのは、真相究明とか実体的真実の発見とかにかけては、メディア的な興味はおありになるんでしょうけども、それほど意味があるとは思えない。
 だから、政治責任のあり方等々を含めた議論をするのは、御本人にどこかの時点で、つまり事実が確定した時点でお願いするというようなことはあり得るんだろうとは思いますけどね。
(問)話は変わりますが、今日午後、アメリカの格付機関が日本の国債の見通しについて、「安定的」から「ネガティブ」と下方修正し、さらに格下げの可能性もあるということを指摘したんですが、これに対する受け止めをまずお伺いしたいと思います。
(答)今日も予算委員会でも申し上げましたように、格付機関が評価を下げてくるかという話は、マーケットの警戒信号というか、マーケットのサインだというふうに、ちゃんと受け止めなきゃいかんと思いますね。
 長期債務が970兆を超えるわけですから、それはゆめゆめ安閑としておられない。つまり、昨日も中期財政フレームの検討会のあいさつで申し上げましたけども、武村大蔵大臣が95年だったと思いますけども、「財政危機宣言」をして、その後、全くよくなっていないわけです。むしろ悪化をし、とりわけ麻生政権において実質20兆円も国債発行が増えているわけですよね。麻生政権の後始末として増えたわけですよね。そういう状況が財政によかろうはずはない。
 ただ、マーケットの問題は、僕はこれは為替を通じてというか、アメリカ及びヨーロッパの財政もどういう格付けになっているのかわかりませんけども、主権国家単位の財政は、アメリカも極度に悪くなっている。ヨーロッパも相当というか、極度に悪くなって、弱いところから順に、デフォルトに近いような状態、最近、ギリシャがそういうふうに追い込まれているみたいですね。アイスランドに続いてギリシャ、それからラトビアだったかな、何かありましたよね。つまり、弱いところからそういうところに追い込まれていくという状況はあるので、日本もそういうマーケットのサインを軽視してはならないというふうに思います。
(問)その上でちょっとお伺いしたいんですが、成長戦略にしろ、中期財政フレームにしろ、昨日検討会が始まりましたけれども、これをもっと早くやっていくという、前倒しでやっていくという、あるいは議論の過程をもっと見せていくということはございますか。
(答)早くやっていくという趣旨がよくわかりませんが。
(問)つまり、6月にまとめるというのは、ややちょっと遅いんではないかという指摘が、いずれにしてもあると。
(答)私はずっと以前から申し上げているように、事ここに至って、一、二カ月ばたばた慌てふためいたところでしようがないと。こんな時こそあんまり慌てないということが重要で、私はまだ日本の純債務の問題も含めて、少々の余裕はあると、数年の余裕はあると、こう見ていますけども。
(問)話は変わって恐縮なんですが、普天間飛行場の移設の問題で、平野官房長官が「名護市長選挙の結果を斟酌する理由はない」と発言しまして、野党もそうですが、与党内からも沖縄選出の議員などから反発が出ていますけれども、同じ閣僚として平野官房長官のこういった発言をどのように受け止めていらっしゃいますか。
(答)平野官房長官が一生懸命、新たな検討委員会を立ち上げてやっているわけですから、私のほうからはコメントすることはありません。

(以上)