仙谷大臣記者会見要旨 平成21年12月1日

(平成21年12月1日(火) 9:05~9:27  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 今日は閣議の報告もございますが、その前に、皆様方にも御協力をいただきました例の独立行政法人の役員の公募についてでございます。昨日の午前零時時点で、28法人50ポストの公募に対しまして応募総数で2,386名となっています。25日の消印有効で公募を行っている法人もございますので、最終的に確定的な数字は、今のところ、もう少したたないとわからないということでございますが、そんなに大きく変動はしないと思います。いずれにしても、おかげさまで閑古鳥が鳴くと冷やかされましたが、2,386名の応募がございました。これは延べ人数でございます。
 詳細な数字、公務員OBがどのぐらいかとか、実数がどのぐらいかということは、もし御興味がおありになれば、後で申し上げる、もしくは事務局のほうにお聞きいただくということでお願いいたします。
 これから各大臣にもお願いを申し上げて、各大臣のほうでできる限り公明正大な、そして適材適所の人材配置ができるような選考過程をしていただきたい。選考委員会が独立行政法人ごとにつくられておるようでございますので、その選考を各大臣がよくグリップをして管理をしていただこうと思っております。それが第1点でございます。
 それから、今日の閣僚懇でも申し上げたわけでございますが、昨日の行政刷新会議後、皆様方にも夕べの段階で記者会見で申し上げましたけれども、事業仕分け関係の結果並びに今後の予算編成に当たっての方針につきまして、昨日の行政刷新会議で決定した行政刷新の観点から今後に臨む基本姿勢について発言をいたしました。それから、例の横串についても改めて念押しをしておきました。
 国民の声、職員の声、この政策的な提言や、あるいは不公正なことについての指摘をいただくための窓口設置、これについて閣議決定をいただきまして、さらにそのことについて、しっかりとこれに対応をされた方、とりわけ行政の職員に対して不利益な取り扱いをしないようにということを私のほうからもお願いしまして、総理大臣のほうからも、そのことについて重ねて発言をいただいたところでございます。ハトミミ.comということで、皆さん方にもロゴをお渡ししてあると思いますが、是非多くの国民、職員からの意見聴取をしたいと思っております。今後の行政刷新に活かしていきたいと思っております。
 さらに、今日の閣僚懇の中で、前原国交大臣から、是非早急に公益法人を事業仕分けという手法で俎上に上らせてほしいと御発言がございました。国交省は1,100程の法人があるんだそうであります。国交省だけの力では、一つ一つしらみつぶしにやっていくのはなかなか容易ではないんで、是非行政刷新部局のほうもこれに取り組んでもらいたいということでございました。昨日も行政刷新会議の中でも、公益法人改革、公益法人の見直しについて、私どものほうで基本的な方針を提起をし、決定していただいておりますけども、そういうことならば、具体的な事案についてもどういうことができるのか考えていくのかなと思います。
 事業仕分けの中でも私の聞いている範囲では、35ぐらいがある種の関連部分として対象になっておったようでありますけれども、何せ4,700が相手であります。国交省だけでも1,100ということであります。これらを逐次ピックアップして、存在そのものも問うという観点から、どういうやり方でできるのか、早急にその件は検討に入りたいと思っております。
 今日のところは以上でございます。
 質問がございましたら、どうぞ。

2.質疑応答

(問)昨日、厚労省からの事業仕分けの異論について、仙谷大臣が政務三役での交渉になるということをおっしゃっていたと思いますが、その政務三役の交渉というのは、ある意味公開される性質のものなんでしょうか。その意図というのは。
(答)できるだけ公開すると財務省が言っているようですから、財務省の政務三役と厚労省の政務三役ということになろうかと思います。
(問)今回、公開の場での予算の議論が大事だという結論の下に、仙谷大臣としても、そういう政治家同士の生の交渉というのも、国民の目に公開していくべきだという方針でよろしいでしょうか。
(答)はい、そう思います。
(問)今日、閣議決定された職員からの意見聴取の件ですが、内容を読みますと、内部通報者の保護ということが観点かと思うんですが、改めてその狙いと、あと閣議決定という最も重たい意思決定をした理由というのを教えていただけますでしょうか。
(答)これは閣議決定ですが、実質上、行政刷新会議の議長の名前で事務連絡という形をとって、各職員に具体的な政策的な提言とか、あるいは事業仕分けじゃございませんけれども、こんなことをやってて何になるんだという話、現時点での話もあると思いますが、積もり積もった悪習というかそういうものは、現在の担当者の責任でも何でもないわけですから、そういったことについての改善提案とか、そういうようなことも直接こちらのほうに出していただくというものです。
 今、各府省でなさっているところも少々あるようでありますけれども、これを一斉にやろうということです。今、上場会社を中心にして、改革されつつある会社というか、そういうところではそういう装置、内部告発あるいは公益通報みたいなものがあります。我々のほうでも、そういうことをちゃんと提起してくれる方について、その利益を完全に保護しながら、適宜取り上げるべきものは取り上げるという作業をしたいと思います。
 これについては、昨日も、何でもかんでもそのままストレートに取り上げて公表するというようなことがあってはならないという指摘も、行政刷新会議の方から御指摘いただきました。これは、専門家であれば、大体中身を見ればどういう取り上げ方をするのがいいのかと、つまり、どういうスクリーニングをかけるのかということがわかりますから、それはノウハウというか、経験上の知見で、ちゃんとスクリーニングをやれるような体制をつくるということになると思います。総理のやっぱり指示ということでなければ、なかなか本気に動かないであろうということで閣議決定いただいたと、こういうふうに御理解をいただければいいかと思います。
(問)さっきの事業仕分けの関係なんですけれども、まず、今回政治判断が必要なものについて意見が出されてはいますけれども、前原大臣以外から、閣議、閣僚懇の中では、何か意見が出されたんでしょうか。
(答)原口総務大臣から、昨日の行政刷新会議での発言と同じような発言がございました。強く支持すると。今日は200%ぐらい支持すると、こういう前置きで、ただ、NPOとの関係とか、昨日とほとんど同じ発言ではありました。
(問)事業仕分けについてはほかには特になかったですか。
(答)閣僚懇の場ではございませんでしたね。
(問)先ほど前原大臣の発言の関係で、どういうやり方にするのか検討に入りたいと言われていましたけれども、公益法人の事業仕分けをやるべきとお考えですか。
(答)前原国交大臣からは、例の道路保全技術センターですか、この公益法人の廃止を宣言していると。1,100というんですから、全公益法人の5分の1は国交省関係だということで、スパゲッティのように絡み合いながらいろいろあるんでしょう。それの整理をしたいという話で、結果としては、そこから、ため込んだものも、埋蔵金のようなものも出てくるんではないかというのが前原大臣のお話でした。さらにそれに続けて、小沢環境大臣からも、これは当然存廃をめぐってちゃんと仕分けをするんでしょうねと、力強いお話がございましたので、それは当然のことながら、その存在理由そのものを問うことになるんじゃないでしょうかという話を私のほうからしておきました。
 それから、北澤防衛大臣と前原大臣から、存廃の問題は公務員制度全般にかかわってくると、今までのシステムから言うと、玉突きのように、出すほうについては行政の公務員のポジションと関係がございますし、それから、公益法人のほうでは当然雇用問題というのが発生するので、公務員制度改革とのつながりを是非ちゃんと示してほしいという要望も出されました。
(問)実際に事業仕分けをしてくれという前原大臣の提案については、事業仕分けすることもやっぱり検討することになるんですか。
(答)そういうことになると思います。
(問)あるいは、いつごろになるんでしょうか、そういうやりとりは。
(答)それはできれば早いほうがいいと思いますが、ただ、これは補正予算の編成、それから通常国会がどこから開かれるかということとも関係がございますが、どういう方法で行うかを含めて、事務当局のほうにはちょっとお願いをするというか、検討を始めるように指示をしたいと思っていますけど。
(問)関連で、そうすると、さらに公益法人の基金の関係も、埋蔵金の関係も絡むとすると、年度内にすべきだというお考えでよろしいですか。
(答)だけど、年度内にしても、それが直ちに結びつく部分と結びつかない部分があるでしょう。この政府関連公益法人については、これは私が民主党の政調会長をやっていた2004年、2005年のときも予備的調査をかけて、膨大な資料を出してきたんだけども、これを分析する手間というのはもう本当に大変なんですね。さらにそれを仕分けにかけるというと、かなりの予備調査というか、基礎的な調査が必要なんだろうなと思います。だから、予算の場合は事業数で言えば3,000とか言われていましたけども、公益法人だけで4,700ということになりますと、これは容易ならざる作業になるだろうなと思いますので、ちょっとその時期については、今のところ、見通しは直ちには立ちません。
(問)二次補正の関係なんですけれども、今日の閣議あるいは閣僚懇でも何らかの発言なりがあったかとは思うんですが、それについて、仙谷大臣としては、ドバイショックなどもありまして、今どのように規模も含めて考えていらっしゃるか。
(答)まあ、これはもうほとんど総理と菅副総理のところの専権事項のような話ですから。特に規模等々についてはですね。今日の閣議では、御存知かもわかりませんが、現下の経済状況の変化に適切に対応できる第二次補正予算を編成すると、新たな需要創出に向けて、制・度規制など、ルールの変更に積極的に取り組むと、こうした政府の取組と整合的になるよう、日本銀行に対して金融面から経済を下支えするよう期待すると、この3項目を踏まえた経済対策を、為替市場の動向について厳しく注視しつつ、週内に策定するというのが閣議了解されておりますから、この範囲でされるんだろうなということであります。
 つまり、今回の事業仕分けがデフレ的効果を持つということをお書きになっている報道機関もありますが、これはデフレ的効果を持つか、インフレ的効果を持つかは予算総額の話であって、その内側でこれを厳しく見て、縮減、見直しするということになっても、必ずしも総額は変わらないわけですね。どこかでそれをつけるということですから。だから、マクロ経済的には別にデフレ効果を持たないんだけども、削るとか縮減とか言われたら、何となく気が冷え冷えしてくるという、そういうことをお書きになっているんだろうなと。何でも多ければいいという、今までの水膨れ経済の推進者みたいな方がそういうことを言っているんだなと僕は思って、新聞を読んでいるんですが、いずれにしても、昨年のリーマンショックに続くこのドバイショックの大きさ、深刻度というのはちょっとはかりかねます。
 私は、割と従前から、去年のリーマンショックの1年前から、これはえらいことが始まったなと思っておりました。過剰流動性がもたらすバブルとバブルの崩壊というのを繰り返しているわけですよね。これはえらいことが始まったなと、特に通貨の問題に飛び火しなければいいがなと思っておりました。いろんな要素を考えておるんですが、本当に金融というしっぽに振り回される実体経済みたいな、しっぽと胴体の関連が逆さまになっているような状況が十数年続いていますからね、なかなか容易ならざるこの市場経済ということに、あるいは金融市場経済みたいな話になってきているんだと私は見ているんですね。だから、一国の施策がどういう効果をもたらすのかということについては、もう少し恒久的な感覚が必要、もうちょっと時間をかけて、じっくりした検討が必要だと思っています。だけれども、とりあえず年末年始という重要な局面に差しかかっていますし、だから、ここで第二次補正予算を打つということ自身は、正に気の問題としては意味があるということで、しかし、日本の場合も財政とボンドマーケットの規律の問題を絶えず頭に置いておかないといけませんので、そのことは十二分に頭に置きながら、日本の景気の元気を活性化させるようなことを、総理、菅副総理と藤井財務大臣のところで今週中に策定されるんだろうと思って見ています。

(以上)