仙谷大臣記者会見要旨 平成21年11月20日

(平成21年11月20日(金) 9:11~9:33  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 どうも昨夜は御苦労さまでございました。
 今日、私のほうから閣議について申し上げることは、ただ1点。閣僚懇談会で、行政刷新会議による「事業仕分けと事務事業の横断的な見直しについて」ということで発言をいたしました。昨日皆さん方に記者会見でお話しした内容と、そして今日も、ほとんど報道していただいている内容のとおりでございますので、あと皆さん方から、むしろ質問をお受けする格好で進めたほうがいいんじゃないかと思います。
 もう一つ、独立行政法人の役員の公募関係でございますが、昨日の段階で、28法人50ポストに対しまして452名の応募があったということでございます。この間まで107でしたので、107から452の応募があったということでございます。今日の東京新聞でも、ちょっと批判的な記事をお書きいただいておるわけでありますが、現時点ではこういうことでございます。
 それから、日経ビジネスも、なかなか正確に書いていただいておるんですが、見出しが「閑古鳥」というんで、まあちょっと450人まで来ると閑古鳥ということはないんではないかとは思っておりますが、しかし、いずれにしても452名まで来たと。あと、これは5日あるんですね。25日まで。したがいまして、皆さん方が、やっぱりここにこそ、奮って応募をされるような記事を書いていただければ、さらによろしいんではないかと思います。
 この間から申し上げていますように、どうも、この政治の世界で言うと観客民主主義みたいな感じで、あれ悪い、これ悪いというのも、それ悪いことも確かなんだけども、政治の世界とか行政の世界でですね、是非ここは、国民の皆さん方がやっぱり変えていくために、自らが能動的に参加するという行為がないと、何とかの遠吠えみたいな格好の話ばっかりをやってても変わりませんので、どうぞ現職の方も、生き方を変えるというか職業をかえるというのは割と新鮮ですばらしいことであるという観点、あるいは現在は一仕事終えられた方も含めてですね。
 それから、ちょっと男女の別を見ておりませんけれども、女性の方々なんかも、大いにこういう独法の管理職なんかに挑戦していただければいいんじゃないかなあと。やっぱり日本は、昨日も参議院内閣委員会の議論で、やっぱり女性の処遇というか女性の管理職への登用というふうなものが少ないというのが、これは保育のシステムの問題とか、男女の家庭での役割のあり方とか、いろいろ日本のある種の宿痾みたいなところがあるわけでありますが、しかし、そうはいっても、女性のやっぱり積極的なチャレンジということも先進国では珍しくない状況になっている。日本がそうなっていないことの理由の一つとしては、そこにも多少の問題、問題というか、原因があるんではないかというふうに私自身は思っておりまして、これもう是非女性こそ、こういう仕事にチャレンジしてほしいと、ちょっと私が言ったというふうに書いておいてください。見出しでも出してください。
 どうぞ。

2.質疑応答

(問)まず閣僚懇での大臣の発言、後ほど御紹介いただければ幸いなんですけれども、あと、それに対して総理あるいは財務大臣なり、何か発言はあったんでしょうか。
(答)私の前に総理のほうから、それを要約したような発言をしていただいております。 総理も、この事業仕分けを評価した上で、この横串問題と、それから第二弾の事業仕分けについて、協力方をお願いする発言をしていただきました。それから財務大臣も、その旨の発言をしていただきました。
(問)関連して確認ですが、今日の閣僚懇談会では、総理が、その横断的見直し、それに沿った見直しを各閣僚に指示したという理解でよろしいんでしょうか。
(答)そうですね。私のほうからは、例の8項目プラス地方の関係の、昨日皆さん方の手元にもお配りした「事務事業の横断的見直しについて」というのを添付して、今日の閣僚懇談会でのペーパーとして配ってございます。
 総理がその指示をしたというお話でございますが、総理の発言要旨は、事業仕分けを実施することによる意義を確認するとともに、事業仕分けを実施したことにより明らかになった横断的な見直しが必要な項目について、徹底した事業の見直しを行い、その結果を平成22年度予算に反映することを決定した、昨日の行政刷新会議において決定をしたということです。各大臣及び財務大臣におかれては、行政刷新会議で決定した方針に従って、事業仕分けの対象とならなかった事業についても、徹底した見直しに取り組んでいただきたいと。これに伴い必要となる制度改正、組織改正などについても、所要の対応をしていただくよう御協力をお願いしたいと、こういう発言でございます。
(問)事業仕分けのあり方についてお聞きしたいのですけれども、仕分けの対象となっている概算要求は、形式的には各省の政務三役が査定三役となってまとめたものであって、政務三役も役所側の評価者の質問を受けるべきではないかとの意見が政務三役の一部からも出ておりますが、大臣はどうお考えになりますでしょうか。
(答)概算要求をつくられた立場もそうでありますけれども、国務大臣の立場もおありになって、そういう矛盾した中身を含んだ、「混合物」みたいな存在であることは認めますけれども、何よりも我が党の予算編成の仕方は、マニフェストあるいはその前提として、トップダウンで予算というのは組んでいくんだということを、そもそもの、つまり英国式に、まずは総額を決めて重点的な配分を決めて、その中でやっていくと。これが内閣の原則でございますので、部分、部分をホッチキスでとめて、その集合体を予算にするというやり方はとらないと。それから、今回の場合には、全体的に整合性があるかのように見せるために従来の予算を一律にシーリングをかけるという予算編成の方針はとらないんだということでありますから、内閣の一員である方は、当然、部分的な事業あるいは予算費目について、これはこれで、その合理的な理由というのをお感じになっている方もいらっしゃるかもわかりませんが、と同時に、全体的なトップダウンからする予算全体の整合性というのも、いつも頭に入れて御活動いただくということでありますから、それは菅副総理とか財務大臣とか私とか、要するに、仕事としてあまり個別の省庁の事業の、そのまた個別のミクロ的なところに、あまり考慮する要素が少ない大臣とは、ちょっと違うと思っています。それは両方ないといけないんで、ただあんまり比重がその個別の話にばかり置かれると、非常に旧来型になってしまうんではないかというふうに私自身は思って、半分同情しながら、これはしかし、全体のことも絶えず頭の片隅に、あるいは半分ぐらいに置いていただきたいなあと思いながら、拝見をしております。
(問)事業仕分けの今後のことなんですけれども、総理は来年以降も継続されるという御意向を示されていて、官房長官は一方で、来年通常国会の政治活動を主導する、その中で行政刷新会議の法的な位置付け、担保というのも検討されていると。
 今、国会議員なり民間有識者の仕分け人の方の立場の話もいろいろ出ていますけれども、そういったところも含めて、見直されるお考えというのは大臣はお持ちですか。
(答)「民間人からいろいろ出ておりますけれども」というのはどういうご趣旨でしょうか。
(問)国会議員とか民間有識者の、その仕分け人の立場についての自民党から反発が出たり、いろいろ意見が出ていますけれども、そのあたりを含めて見直されるお考えというのはありますか。
(答)今の最後のほうの問題について、日本では、伝統的な、まだまだ中央集権的色彩が強い。これは地方の自治体の職員というかお役人の意識、感覚、体質ですね。それからそれを取り巻く日本人総体の良い面でもあるけれども、やっぱり、もうこの百四、五十年続いてきた「お上依存」みたいな部分からして、私は、何でもかんでも官と民に分けて、官的な位置づけを法律的にがっしりしなければいけないのだろうか、果たしてそのことがこういう事業仕分けのようなことになじむのだろうか、と思うのですね。やっぱり、ある種の自由な立場で日常活動を、日常活動というか、日常のお仕事とか人生を生きられているとか、官とは違った立場である種の専門領域をこなしているとか、あるいは与党の議員だけども、政府の官職そのものではないとか、そういう方々の重層的な目線があったほうが、複眼的な目線があったほうがいいことは間違いないわけですから、それはちょっと、仕分け人の位置付けにしても、何か相当の工夫が要るんじゃないかなと思います。  つまり、アドホックなほうがバランスのとれた、あるいは素人感覚とおっしゃられるけれども、要するに、玄人感覚と言われることでやってきたことが、ここ数十年この事態を招いているという反省からすると、そういうのは必要だと思います。  それから、最初おっしゃった継続の話は、これはいつも申し上げているんだけど、自己規律とか理想的な、自らを点検しスリムな予算がつくれるかどうかというのは、人間のというか、組織の永遠の課題かもわかりませんね。だから、第三者的な監視機関とか、そういうのが必要だと思われるのはやっぱりそういうことだし、ただ、予算にしても予算執行の体制にしても、やっぱりその自己規律的なものを装置としてというか、制度として自分の中で埋め込んでおくというのはそうだけども、それが正常に作動しているかどうかというのは誰かがやっぱり点検する必要がある、違った目で点検する必要があるということでしょうから、毎年毎年やらなくてもいいという議論があるとしてもですよ、2年に一遍やってみるかとか、これは毎年毎年、こういう費目によっては3年に一遍とか、何か、そういうことが必要なんだろうと思いますね。  昨日、ちょっと加藤行政刷新会議事務局長も、後で資料を持ってきてくれるというふうにおっしゃっていましたが、カナダは1994年に、全ての省庁の事業、体制等々を1年4カ月かけて、プログラムレビューをやったと。各省ごとの予算はこんな生易しい話ではなくて、後で振り返ってみても、各省単位 20%か30%ぐらいの歳出カットをかけたと。つまり、そうしないと、あのときのカナダの財政破綻的状況を手術することができなかったんだろうと。そして、そのことによってカナダは今、国家財政の優良度から見れば優等生ですよね。だから、これは、多分にやるときの客観的状況というか、そのウミみたいな話、あるいは政治家がちゃんとタイミングをつかまえて、今の時期であれば、このぐらい削減しても景気、経済、国民の生活に大きな影響を及ぼさないという時期のタイミングをとるのは大変難しいんだけども、これはここまで経済がグローバル化すると、なかなか容易ならざる話なんだろうなあと思って、その話を聞きましたけどね、そういうことだと思います。答えになっているかどうかわかりませんが。
(問)昨日、刷新会議でまとめた独法の抜本的見直しの関係なんですけれども、一応確認で、各省の主管の関係と刷新会議の取組の整理というか、見直しを刷新会議で主体的にやっていくということでよいかどうかということと、かつ、タイムスケジュール的にどれぐらいの時間をかけていかれる考えか。
(答)結局、私の頭の中にあるのは、独法通則法的なものの監視とか評価というのはあるわけですけども、どうもそこがうまくいっていないんじゃないかと。だから、それを個別にできる限り、今度の事業仕分けで出てきたものも含めて、それから対象になっていないところにも、事業仕分けから浮かび上がってきたものと、私どものこれから持てるであろう能力を使って、ちょっと来年当初から個別の独法も、それから通則法もやっていくと。  ただ、独法の場合は、私どものところはヒアリングをかけるぐらいのところはできても、あるいは資料を要求することはできても、実際にそれを指導するというか、そのとおり実行させるというのは、所管の大臣しかないということは、もう間違いない。それじゃなくてやろうとすれば、独法通則法でも書いてない、ほかのやり方をしなければならない。ただ、もっと言えば一つの事業体なわけですから、結局は、ガバナンスの問題になってくるというふうに思います。
(問)昨日の刷新会議で、原口総務大臣から指摘があったかと思うんですけれども、事業仕分けのやり方で、最初に財務省の主計官が歳出カットの視点を紹介して、流れをちょっとつくっているんじゃないかという指摘があったようなんですけれども、事業仕分けのやり方としては、最初に財務省主計官が説明するような形を見直すようなお考えは、今のところはないですか。
(答)最初は、事業の担当者が説明しているんじゃないですか。
(問)ええ。その次に、財務省の主計官が説明しているんです。
(答)それで、それに引っ張られるっておっしゃっているんでしょう。
(問)ええ。
(答)ちょっとそれは偏見じゃありませんか。  事業シートの事業の説明がまず来ていて、それから最後のところに主計局の担当者が説明するペーパー(論点等説明シート)がついていますよね。最初に事業シートの事業説明を各事業担当者がやっているわけでしょう。次に査定当局がやっているわけですよね。ということは、誰が最初にやればいいんですか。最初は事業説明、事業担当者が説明して、次にじゃあ査定当局の御意見も伺いましょうという話に、あれはしているんだと思う。これはやめろと、こういう話ですか。
(問)一番最初にやってしまうことで……。
(答)一番最初ではないと思います。
(問)各省の事業の説明の後に一番最初にやることで、イメージをすり込んでいるんじゃないかというような指摘だったと思うんですけれども。
(答)それは、その方の独自の御見解としか、いいようがないんじゃないですか。  それで、すり込まれるかどうかなんというのも、そういう表現を使うのは、担当している仕分け人とか政治家に対して失礼ではないでしょうか。

(以上)