仙谷大臣記者会見要旨 平成21年11月10日

(平成21年11月10日(火) 10:05~10:25  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 本日の閣議は、質問主意書に対する答弁書の決定が主たるテーマでございまして、あとは外交的な決定等々でございました。
 1つですね、例の直轄事業負担金の、地方負担金の問題が国交省を中心にこれからこれをどうするのか、つまり地方負担金をできるだけ合理的なものにする、あるいは少なくするというような観点で、国交省を中心に検討チームを設けて作業を進めていくというお話がございました。
 そこで、私のほうからも、これ実は国交省中心のハード事業の直轄事業のみならず、せっかく地方自治法の改正が分権推進との関係でつくられておることを逆用するかのようなことが、麻生政権の定額給付金事業、あるいは様々な自治事務とされているものについて、予算をひどいのは10分の10つけるということで、自治事務なのに補助金が10分の10つくと。法律関係については全くそこで関係性がつくられてないと。この奇妙な関係を今後やっぱり整理していかなければいけないんじゃないかという問題提起をしておきました。
 つまり、直轄事業と法定受託事務と自治事務と、こういうふうに今日本では3種類になっているわけですが、国策として行わせるのを自治事務という位置付けで行わせて、間を中央の省庁が技術的な助言でつなぐと。そこには様々な拘束的な行政法規制が実質上あるにもかかわらず、これは形式的な法律関係になっていないと。つまり、国会で金の多寡が議論をされたり、交付されることによって地方が潤うのか潤わないのかというような損得議論はあっても、法治国家としてあるべき行政法の法律関係が議論されてこなかったという、まことに珍妙なことになっているのを、ちゃんと改めてそういう面も議論してくれということを総務大臣及び国交大臣に申し上げておきました。
 以上でございますが、もう1点、皆さん方にお願いをしたいことがあります。
 独立行政法人役員の公募の件でございます。10月30日に独立行政法人の役員の公募を開始いたしました。その旨御案内をいたしまして、皆さん方にも相当程度記事にしていただきました。先週末の段階で応募状況が、公募を行っております28法人50ポストのうち、9法人11ポスト、12名の応募がございました。
 政府といたしましては、この独法改革、公益法人改革、これに強く関係のあるというか、影響のある独立行政法人役員の選任問題に日本の多くの皆さん方に応募をしていただいて、ある種の競争をしていただいて、適性を持たれる方、特に民間企業で働いていた方々に独法に新しい風を吹き込んでいただきたいという思いでこの公募をしておるものですから、締切日の25日までに奮って応募をいただきたいと。
 私もある種広告塔になって、テレビに出していただいてこのことを申し上げたり、雑誌等々にもこのことを訴えておるんでありますけれども、皆さん方に改めて周知に御協力をいただきたいと思います。現時点で50ポストが国民の皆さん方を待っていると、こういうことを是非皆さん方に改めて特集記事でもつくっていただければ、なおありがたいなと思っております。
 つらつら考えますと、やっぱり独法改革、公益法人改革というのは、国民の多くの方々が今大変関心のあることだと思うんですね。一方では税金の使い道でございますし、ここで行われている事業が公共サービスとして、あるいは準公共サービスとして国民の生活に役に立っているのかどうなのかと。本来役に立つべきだけども、役に立っていない状態が起こっている場合もこれは相当程度あるんだと思います。
 一方、考えますと、我々世代を含めて、民間企業の方々は、その会社の勤務の中でいろんな経験や知識、あるいは会社の人材養成の中で、ある種の投資を受けて力を持っていらっしゃる方が相当いらっしゃると思うんですね。だけども、組織というのは、ある時点、時点で経営計画等々があって、ラインからは外れざるを得ないという方々が相当、これまた能力がありながら、しかるべきラインからは外れてスタッフとして生きていく、あるいは他に自分の力量を発揮する場所を探すというようなことにならざるを得ないというような、これはやむを得ない事態でありますから、そういう腕に覚えのある方々は、日本人の場合には相当数いらっしゃるというか、いっぱいいらっしゃるのではないかと私は見ております。
 そういう方々に是非ですね、この半分官の世界というか、半分要するに運営費交付金、税金で賄われる世界でありがちな顧客満足度を全く考慮しないで、だらだらというふうにしか国民に見えない組織を、やっぱり国民のニーズにどうやったらこたえることができるのか、あるいはその組織が国民にとって非常にありがたいものだと感謝してもらえるか、そういう観点で事業活動そのものを見直して展開していただくと。それはやっぱり最後は人でありますから、そういう人に応募していただきたいと。そういう志を持った人に応募をしていただきたいと。これは真剣に私自身は考えておりますので、是非そのことを皆さん方に訴えていただきたいと思います。
 つまり、公益法人と独法が、特に政府関連法人といいましょうか、政府の周辺法人が日々の皆さん方の報道によって、けしからんと、何をやっとるんだと、この怒りはあっても、自分で、じゃあ俺もそこの改革をやってみようかという人が出てこない限り、他人事であっては全然変わりません。皆さん方から非難を受けつつ、天下りあっせんまがいのことをやらざるを得なくなるということもまた一つの現実になってくる可能性もありますので、是非民間の方々の積極的な応募をお願いをしたいと改めて思っております。
 以上であります。
 何か御質問、どうぞ。

2.質疑応答

(問)今応募されている12名の方なんですが、いずれも民間の方でしょうか。あるいは官僚のOBの方でしょうか。
(答)民間の方、官僚の方と両方混じっているようです。何だったら調べて人数ぐらいは公表させていただいても結構です。
(問)今日、人事院人事官の所信聴取があります。日本郵政の社長と副社長人事に続く官僚OBの起用になりますけれども、脱官僚、天下り禁止を掲げるお立場としてはどのようにお考えでしょうか。
(答)私は、官の世界に民間の方が入って、民間の感覚でガバナンスをとっていただくというのは大変いいことだし、重要だと思っております。
 ただ、この間の私の所管の中を見ましても、定数問題や官の中の処遇もあって、位置付けが日本ではまだちゃんと整備されていませんから、だから、そこはミックスでいかなければ仕事にならない部分が相当あるのではないかというふうに見ております。
 つまり、私の守備範囲で言えば、規制改革会議であったり、行政改革推進本部であったり、それから国家公務員制度改革推進本部であるわけですが、この事務局に民間の方々と公務員現職の方が入り混じって作業しておりますが、このガバナンスをどうするのかというのは、全部民間の人にとっかえれば何かできると、それほど甘いものではないと。
 人事院もこれから大きく変えていただかなければならないと私は思っておりますけれども、やっぱりある意味で霞が関の皆さん方の、必ずしもそのこと自身がすべていいとは思いませんけども、慣行ややり方、このことについてわかっている人じゃないとできない部分があるんで、今人事官は民間の方が2人ですから、そのミックスの仕方としては、今回3人目として江利川毅氏を指示したというのは私はそういう人事でいい、むしろ人事院をこれから変えていくためにはああいう人材が必要だと、こういうふうに見ております。
(問)郵政のほうについては。
(答)日本郵政はこの間お話ししましたけど、日本郵政もここまで硬直してきたら、ある種の組織を動かす力がある人がいいという判断を亀井郵政改革担当大臣もされたり、官邸筋もされたんじゃないんでしょうか。
 この間の国会でも答弁しましたけども、「であること」よりも「すること」のほうが私はずっと大事だというふうに思っておりまして、ただ、それが何をするかという点において期待外れになれば、それは任命した政治家が責任をとるべきだと思いますけれども、いわゆる指定席を渡っていくような話ではなくて、やっぱりトップ人事を含めてガバナンスの人事というのは、これはやっぱりある種の政治決断で、適材適所といいましょうか、任命権者が責任と自信を持ってやるんであれば、過去その人が官僚であろうが、あるいは民間人であろうが、それはその人ならばやってくれるだろうという人事だと思います。
 衆議院、参議院選挙の候補者、あるいは県議会議員の候補者でもいいですけども、これは選挙というある種のテストをくぐらせるから、官僚であろうがなかろうがいいんだという理論も成り立つわけですけども、私は、今まで選挙の候補者選定に当たって、元官僚であろうがなかろうが、その人の力、つまり政治家として日本の中でこの今の時代に必ず力を奮ってくれると、その人の能力をいかんなく発揮してですね、我々が考える改革の方向で活躍してくれるということを視点に、今まで元キャリア官僚の方々も、あるいはノンキャリの方も含めて選んできたつもりで、ちょっとそれとは選挙をくぐらない分違うというふうにお思いになるかもわかりませんけども、日本郵政の人事とか、ちょっとした問題になった大きい組織の人事というのは、むしろそちらのほうが優先すると、優先して考えるべきだというふうに常々思っていまして、元官僚だったから、それのみで、そのことだけで、言っていることとやっていることが違うじゃないかという理論は当たらないと、余りにもその論理は形式的過ぎると。それをやっていけば、日本の霞が関を変えることもかえってできなくなるんではないかと私は思っています。
(問)財政の予算の全体的な枠組みの話なんですけれども、総理も財務大臣も、国債の発行を44兆円を超さないようにするというのは、それは市場が受け止められる範囲だというふうにおっしゃっていますし、大臣としては、フレームとして92兆円ぐらいがいいのではないかと以前おっしゃられていましたけれども、もし税収がもっと40兆、もっと低く下がるとすれば、それでもそれは相当厳しいのかなと思うんですが、今のお考えはどうですか。
(答)だから、要するに赤字国債、建設国債を含めて、公債金収入というか、公債発行が44兆以下というところに限定してしまえば、総体予算は税収と、それとその他の収入ですから、その他収入をどこまで持ってこれるか。あるいは税収も、今議論になっているような環境税関係なり、あるいはたばこの問題等々でどういう政治決断をするかということで、総額はかなり決まってこざるを得ないと思います。
 昨日の記者会見でも申し上げましたように、姿として美しいのは、申し上げたような──、美しいかどうか知りませんけど、美しいとまで言えないかもわかりませんが、バランスがまあまああると思われるのは、マクロ的に考えてそんなところだろうなというふうに僕は思っております。
 だから、事業仕分けが歳出削減を自己目的化するんじゃなくて、正に予算の組み替え、選択と集中を実行できるような査定当局なり菅さんのところなりができるような材料を提供するということができれば、最後の段階でめりはりをつけた、プライオリティをつけた予算編成ができ上がるんではないかと、そういうふうに期待はしております。
 いいですか。
 どうも、ひとつ独立行政法人役員の公募をよろしくお願いいたします。

(以上)