仙谷大臣記者会見要旨 平成21年10月23日

(平成21年10月23日(金) 13:29~13:52  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 今日は、閣議、その前の予算に関する閣僚委員会、それから緊急雇用対策本部、それから行政刷新会議の昨日のスタートを受けての各省の次官、官房長の皆様方に対する要請というふうなことがございまして、この記者の皆さん方に御説明をする時間帯がずれましたので、そのことをお詫びをしながらお話をしたいと思います。
 御承知だと思いますが、閣議では、昨日の行政刷新会議の発足を受けて、主として、各省庁における担当者の方々から、副大臣、政務官に対する働きかけと、事業仕分けの過程における働きかけという点を自粛いただきたいと、慎んでいただきたいと。それから、この資料提供等々も含めて、歳出の徹底した見直しに取り組んでいただきたいということを閣僚懇でも申し上げまして、さらに同趣旨のことを総理──、総理は私に先立ってでありますが、お話がございましたし、財務大臣、それから菅国家戦略担当大臣からも同様の説明がございました。そして、事務次官、官房長にも同様のお話をさせていただきました。事務次官、官房長からは、ほとんどその協力依頼の説明会での質問もございませんでした。
 以上であります。

2.質疑応答

(問)まず閣僚懇での総理の発言をもうちょっと御紹介、どういう内容かは大体わかるんですが、御紹介いただければなというのと、あと、事務次官、官房長に対する大臣からの御発言もちょっと御紹介いただければと思うんですけれども。
(答)昨日来の、内閣の構成員として、「査定大臣」という言葉は私のほうからは使いませんでしたけれども、この税収の落ち込みという緊急事態の中で、内閣の一員として歳出の見直しというものをやっていただきたい。それから、この歳出の見直しに当たっては、透明性の確保が一番の肝要な事項であるというお話を中心にしました。したがって、内々の接触を厳に慎んでいただきたいという話でございます。
 それは総理も、昨日、「必殺仕分け人」というお言葉を使われたようでありますが、仕分けという非常に透明性の高いプロセスを予算編成において事業仕分けという方法を取り入れると。そこで、この透明性の維持というのを図るためにも働きかけを厳に慎んでいただきたいということを総理のほうからも力説をしていただいたということであります。
(問)確認なんですが、働きかけをやめてほしいというのは、それは閣議での発言。
(答)閣議でも総理からも、閣僚懇での総理からの発言もございまして、さらに、事務次官、官房長に対する説明会でも同様の総理からの要請というのがございました。
(問)閣僚懇での総理の発言というのはどういう発言だったんですか。
(答)昨日の副大臣、政務官に対する話とまったく同じ趣旨でございました。今申し上げたように、歳出の徹底的な見直しのために事業仕分けという手法をとって行うと。そのために、各大臣におかれましては、大臣からも内々の接触を慎むように事務方にも指示をしてもらいたいと、こういう話をしていただきました。
(問)民主党の事業の仕分けで無駄と判断された事業が概算要求に含まれていることがわかったんですが、大臣は認識されていましたか。また、今後どう対応されるのでしょうか。
(答)一部の報道に書かれているようなですね、「無駄とわかった」と断定されますが、それは一部の報道がそういうふうにおっしゃっておるんで、ただ、継続的な事業の中で、私が眉に唾をつけて見ておったものが入っているなあと思って、その報道は読ませていただきましたけれども、それも一体全体、執行の現場、それから執行された後の効果としてどうなのかというのは、正にこれからの事業仕分けの中で明らかにしていただかなければならないという点だと思います。
 あの費目、項目が事業仕分けの中で取り上げられるものの中に入っているかどうか、私は今のところ確認はしておりません。
(問)昨日、行政刷新会議の中でも、国民から情報を得る窓口をつくるとお話をされていましたけれども、それをもうちょっと具体的に、どういう名前、名称でいつごろからという、ある程度決まっているものがあれば教えていただければと思うんですが。
(答)名前については皆様方からも別途お知恵があればいただきたいと思います。多分、私の腹積もりでは、2週間から3週間後に皆さん方に発表し、それから国民の皆様方にも幅広く情報提供をお願いするという、そういう運びになろうかと思っております。
(問)広い意味での目安箱みたいな、そういうイメージですか。
(答)そうですね。ただ、目安箱と言うとちょっと目線が高いかなと思っていますので、目安箱と言わないようにしておるんですが、いずれにしても、いろんな観点から、いろんな切り口から国民の皆さん方が自分の持っている問題と現在の行政執行のあり方、あるいは政策の問題点というのをお寄せいただきたいなと思っています。
(問)今でも各省でそういう国民からの意見募集みたいなものをしているところもあると思うんですけれども、それを一定期間区切って大臣のところで一元化されるというようなイメージなんですか。
(答)量的にも、各省でなさっている分は大いに結構ですし、私との関係のところでも規制改革会議の中にあじさい月間がありますし、それから、特区のところは特区のところで特区提案を受け付けているようでありますけれども、どうもそれがうまく整理されていなんで、その分の整理も含めて一遍作業しなければいかんなとは思ってますけれども、各省庁でやっているものは、それは独自におやりいただければいいと思っていますが、ただ、この問題は、パブリックコメントにしても、果たしてうまく政策に生かせているのかどうなのかというのはちょっと、やっぱりそこの取捨選択が難しいんでしょうね、と思います。
(問)今日から実質的に刷新会議のワーキンググループの各グループが財務省からヒアリングをしたりとかいう作業を始めていますが、期待を改めてということと、一部主計局の下請けになりかねないという懸念も党内のほうから出たりもしていますが、その辺大臣はどうお考えですか。
(答)結局、藤井大臣は、我々が行政刷新会議の下請けだと、こういう発言をあえてしていただいているわけでありますけれども、これは、仕分けチームの主体性の問題だというふうに思います。
 それから、主体性の問題と、財務省の下請けになるかどうかは、正に公開をして行うわけでありますから、そこがやっぱり要素としては全然違うと。だから、国民の皆さん方がそれに対してどう反応というと語弊がありますけれども、どういうふうに声を寄せていただけるのかどうなのかということによって大きく変わってくるんじゃないでしょうか。
 皆さん方も御承知のように、今までの予算の査定というのは、やっぱりプロセスはほとんどわからないですよね。この間聞こえてくるのは、どうも組み替えるとか、付け替えるとか、それから歳出を効率的な方向で見直すというか、歳出削減をするというふうな局面で政治家が折衝したり、交渉したり、議論をしたというのはどうもここ数十年はなかったような声が聞こえてまいりまして、そのある種政治家として嫌な部分を回避をして、そこは霞が関の各省庁間の余り見えないところで行われていたという実態であったというふうに聞きますし、私どももそういうふうにしか見えなかったと、今までの予算編成はですね。そこは大きく違うんだろうなと。
 もし公開されるということになると、そこに対する国民の声は、やっぱりそれは当然ここまでの皆さん方の報道に対する、各報道機関を通してですけども、国民の皆さん方の期待や、それからその反応を私見ておりますと、やっぱりその声にポピュリスティックに迎合しては私はいけないと思っていますが、それでもやはりその声に、ある種の良識には当然押されるといいましょうか、それを踏まえないと予算編成ができないと、そういう局面なんだろうなと思っておりますから、それは下請けにもし結果としてなれば、財務省の下請けになったり、前さばき機関になれば、皆さん方からの大いなる批判を受けるということだろうと、それは覚悟をしていますが、そうならないように多分やっていただけるし、それから我々も最後の段階で、昨日申し上げたように、私どもの立場からも、つまり、ボードメンバーの皆さん方もボードとしてある種の政治判断というか、価値判断をしなければならないということだろうと思ってます。
(問)そういうことであれば、どうも事業仕分けのやり方を聞いていますと、事業仕分けを事業ごとにやるときに、最後に決をとるときに紙に書いて渡すということで、これまで事業仕分けというのはすべて挙手で行われてきたものだと思うんですが、そこで何で国会議員一人一人の責任を問わずに匿名性を出してしまうのかが余り理解できないんですが。
(答)多分、それはもしそういうやり方になるとすれば、もう一つ極限のところ、政治責任、道義的な責任みたいなものは、もちろん政治家ですから、その事業仕分けの際の言動によってとっていくことになりますけども、最終的な法律上の責任みたいな話になると、これは今のところ法改正も行われてませんから、その地位がそれほどはっきりしないというところに配慮しているんではないかと私は思いますけれども。
 それから、そういう堅い話になってくると、どうしてこの人が仕分け人になっているんだという、今度選任の根拠みたいな話ですね。代表的なんだけども、代表であるその正当性の根拠みたいな話にもなっていくとややこしい話ですね。だから、結局は、判断をするについての、つまりボードメンバーが判断をし、さらにその上で予算編成の最終の責任者、私も共同責任になるんだろうと思いますが、財務大臣であり、内閣総理大臣であるということでありますから、そのことをもって何か法律的拘束力のある決議というか、決定というわけではない。つまり、政治的には多分非常に大きな影響力を持つ判断にはなると思いますけども、そういうことだろうなというふうに私は理解しています。
(問)資産公開について、ばくっとした質問で恐縮なんですけれども、資産公開を受けての御自身の額についての何か御感想があれば、御所感、大きな感想で結構ですのでお願いします。
(答)現実に、ばくっとした感想は、配偶者と長女まで出さされて、この程度の財産しか持っていないというのはちょっと恥ずかしいのか、さわやかなのか、よくわからないなというのがばくっとした感想であります。
 私自身も19年間弁護士の生活をして、今年で政治家生活20年でありますが、政治家をやって経済的には全く困ったなと。困ったなというよりも、政治家をやるときに、やる以上はそういう経済的・数量的豊かさを求めないということでいかざるを得んなと思ってて、そのとおりになって、良いのか悪いのかよくわかりませんが、これしかなかったのかなと思っています。
(問)この制度そのものについての御感想と、あと、閣僚の中でも、総理以下、非常に公開資産がほとんどないとか、ばらつきがあると思うんですけれども、そのあたりはどうお考えですか。
(答)この間、政治家の資産公開というのが行われて、ともすれば、政治家というのは経済的にも機密情報に触れる場合がありますから、やっぱり李下に冠を正さずということが重要なんで、やっぱり妻・子の財産公開までしたほうがいいのかどうなのかわかりませんけれども、本人はやっぱり資産公開をして見ていただくということが重要なんだろうと思います。
 私の住まいも、皆さん方、お家まで来ていただける方はよくおわかりだと思いますけども、あれは昭和48年に1,600万で購入したマンションでありまして、ということは、公共建築物とすれば既に建て替えの時代に建っておりまして、耐震構造にもなっていないんで大変心配しておるんですが、資金も、あそこの共同居住者も資金がある人はほとんどなくて困ったもんだなと、こういうことです。
 閣僚によって資産の違いがあるというのは、それはもうやむを得ないことで、多分やっぱり生き方の問題、特に物に対する欲の問題だと思います。
 私は、父・母からも割と、特に今、その父・母が亡くなってからつくづく思うんですけども、財産は、相続税の申告をしなければならないような財産は全然残してくれなかったけども、教育とか、それから親の信用というもので今も生かされている部分があるというふうに自覚してて、やっぱりそこのところが多分自分の子供たちに対しても、あるいは友達との関係とか、そっちのほうが人生においては重要なんだなあと思いきかせて、人の財産が多いとか少ないというのは余り気にしないようにしています。まずまずの、経済生活としては、それは何だかんだとしても、それは今の時代から見れば、「極めて」がつくかどうかわかりませんけども、恵まれた生活をさせていただいているということで、いろんなことに感謝しています。

(以上)