仙谷大臣記者会見要旨 平成21年10月20日

(平成21年10月20日(火) 10:26~10:41  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 閣議的には、ほとんど私のほうからは御報告すべきことはございませんので、御質問をいただきます。
 その前に、日曜日の厚生労働省の3つに分けたほうがいいんじゃないかという発言の新聞記事等々で、皆さん方が、まさかこんなお間違いをするとは思わなくて、念押しをしなかったんですけども、社会保健の「健」が、私の頭のイメージの中では健康の「健」、つまりこれはもうヨーロッパでは常識の話で、なぜあそこでインシュアランスの「険」を各紙ともお書きになったのか、理解に私自身は苦しんだんでありますが、いずれにしても、それはもうそういうふうに、今日以降、皆さん方の、もしお書きになるときはそういうふうにしていただければと思っております。
 以上です。御質問ございましたら。

2.質疑応答

(問)来年度の本予算についてですが、年内の予算編成に向けて、行政刷新会議としては事業仕分けなんかが本格化していくかと思うんですが、12月末までに、どこにターゲットを絞り込み、どのようなペースで進めていこうかとお考えでしょうか。
(答)それは基本的に、菅大臣のところと藤井大臣のところでお考えいただくというのがまず第一だと思いますので、私どもは、これから始まる事業仕分け、これに全精力を注ぐという以外に、年内何日までに等、日程を私どものほうで管理するような立場にはないと思っていますけれども。
(問)その事業仕分けなんですけれども、大臣は以前、年内は事業の10%程度を晒せるんじゃないかというお話がありましたけれども、これは事業の選定は、誰がどういう基準で仕分けする事業を選ぶということになるのでしょうか。
(答)責任は私にあると思いますが、あるいはボードメンバーに御報告申し上げるわけですから、ボードで決定していただくということになると思いますけれども、実質的には、現在も事務局で加藤事務局長以下が精力的に、何を取り上げてどのように問題提起をしていくのかということを精力的に作業していただいていますので、そこで上がってくるだろうと思います。
(問)まず一つが、今日の閣僚懇などで概算要求を受けての予算編成に向けた、何か発言がなかったかどうかということが一つと、あと今後、一般会計を事業仕分けだけではなかなか捻出というのは難しい部分があると思うんですが、特別会計、年金特会なども含めてどのように考えていらっしゃるのか、あと公益法人改革も含めて、どういうイメージを持たれているのか、お願いします。
(答)まず1番目の御質問については、概算要求あるいは本予算の規模等々についての議論は、閣僚懇でも全く出ませんでした。ただ、もう少し一般的に、現在の景気・経済動向あるいは地域社会の「疲弊」という表現がいいのかどうかわかりませんが、相当、生活現場に近いところで経済が厳しい状況になっているんじゃないかという議論がございまして、暗に「財政出動が必要ではないか」と受け止められるニュアンスの御発言もございました。
 これは、二次補正をやるかどうかというようなこととも絡むと、私はそういうふうに思って聞いておりましたけれども、ただ、他方、従来型の財政政策をすることが意味があるのかないのか。それからもう一つは、そもそも、このグローバリゼーションのもとでの景気・経済というのが、果たして一国の財政の持つ力がどこまで景気浮揚なり、国民の生活の持続的な成長につながるのかということについての吟味が、本格的にされる必要があると、そのニュアンスの御発言もございまして、ここは、いわばアメリカ金融資本主義のある種の極限的な状況下におけるバブル崩壊の余波を、つまりその清算も含めて世界経済がかぶっていて、そのことが、今後さらにもう一段世界経済にマイナスの影響を与えるのか、あるいはもうここで底を打って実体経済中心の成長に、特にアジアの成長を牽引役とする成長に持っていけるのかどうなのか、まだまだ見極めが必要な時期で、したがって、日本の財政出動についても、あんまり中途半端な逐次投入みたいなことを、私はすべきではないという立場でありますけれども、そういう議論がなされたということだと思います。したがって、後段の質問についても、議論はなかったといえばなかったというお答えしかできないと思います。
(問)あと、特別会計に対する……。
(答)それも今日の閣議では議論はなかったんですけれども、私自身は、当然これは207兆を対象にして、そのことに切り込んでいくと、あるいは207兆の先にある公益法人に流れている金がストックされている「埋蔵金」のようなものというのは、当然のことながら有効な資産として、次の予算でも使わせていただくという措置がとれるものはとっていくということだろうと思っています。
(問)事業仕分けについて確認なんですが、今度から行う事業仕分けの結論、仕分け人の方々の結論というのは、いわゆる、イコール政府方針というか拘束力を持つものなのかどうか、あるいは主管官庁に投げ返していくということになるのか、その辺お願いします。
(答)主管官庁よりも国家戦略局なり、あるいは財務省なり官邸なり、あるいは私どもなりの、そこは政治的な価値判断が大きく左右すると思います。
 先ほど申し上げました地域、地方の景気・経済動向との兼ね合いも当然出てきますでしょうし、それから医療、介護と、あるいは教育、あるいは環境関連というふうな、これから伸ばすべき分野に対する優先度のつけ方というふうなこともあるかと思いますので、そこは現在のやり方が悪いというものについて、例えばですね、あるいはこういう法人を使ってこういうやり方をしているのはまずいというようなものについては、その額を変えないままやり方を変えろということが、事業仕分けの結果、あるいは、それを御覧になった国民の皆様方の評価として出てくれば、そういう方向で仕切っていくというか仕分けていくということになろうかと思うし、いろんなケースが僕は出てくると思いまして、それはもちろん、これを拘束力を持つのかと言われれば、それは法律的な意味での拘束力はないでありましょう。ただ、オープンな格好でやりますから、そこには国民の声が寄せられて大方の評価がそこで決められてくるというふうに、私は思っておりますけれども。
(問)先ほどの世界経済の情勢とも関連するんですが、独立行政法人の資金運用の関係なんですけれども、20年度の財務諸表などを見ますと、年金積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人が9兆円以上の損失を出していると。あるいは中小企業基盤整備機構ですとか、勤労者退職金共済機構なんかも数千億円規模の損失を出しているんですが、これは株価下落による一時的な運用損ということで、ある程度いたし方ないと見るのか、それとも政府として一定の運用のあり方の改善、あるいは独法自体が高リスクの運用に関与すること自体の見直しを検討すべきかどうなのか、その辺の御見解をお願いいたします。
(答)私の立場から、その大きい問題について、余り論評できるような材料を持ち合わせていないというか、そういうことだと思います。
 一方では、これはPKOにどうも動員されているんじゃないかということが、マーケット周辺では割と言われていますよね。だから、PKO的な使い方をすると必ず株価が下がったときには損をしますよね。つまり、落とさないように落とさないようにマーケットに介入するわけですから、当然その足元は外国人投資家に見られているというのが普通で、どこかで売り浴びせられて落ちてくると。そうすると運用損が出ると、こういう仕組みですね。
 ある意味で、日本人は貯めるのは好きだけども、要するに「売って何ぼ」という、この習慣がない、弱いですから、つまり利益というのは売って初めて出てくるんで、買って時価が上がると儲かったような気になるというこの我々の習性を、アングロサクソン流に変えられなければ、本格的な切った張ったの運用というのはなかなか難しいんじゃないかという気が僕はもうかねてからしているんですね。それを政府とか公的な立場でやるというのは一体いかなるものか。しかし、公的に国民の皆さん方からお預かりしたお金のストックを、全く運用しないということも、これはあり得ないわけですから、どこかに委託して運用しているんでしょうけれども、これもまたまた問題というのは複雑で、シンガポールのように国内マーケットで運用してはならないということは、割と経済の規模が小さくて、自国通貨に対する信認よりも、要するに預かり資産の健全さを優先するという立場であれば、ほかのマーケットでうまく運用して、そこだけは運用益を上げられるという、こういうやり方でしょうけども、それでもそのシンガポールでも、今度のリーマンショック以降の状況では、やっぱり相当、例の投資運用公社でしたっけ、あれも損しているという情報も耳にしますので、この運用問題だけは、やっぱり一概に、何とも言い難いと私は思っております。
(問)それは、各省マターで検討していくという。
(答)いや、各省マターというのは、やっぱりそれこそ、官邸マターなのか、あるいは官邸が独自に、そういう運用専門家を集めた何か、そういうタスクフォースでも持つのかという議論になるんじゃないかと思いますね。
(問)郵政の人事について、一言だけ。今日、閣議決定も基本方針があったと思うんですけれども、どういうお考えですか。
(答)閣議では、郵政の人事については全く、特に西川さんの問題については触れられなかったというか、誰も議論を出しませんでした。
(問)大臣の御見解というか、お考えとしては。
(答)ここまで来て、余り個人的な見解を申し上げてもしようがないんじゃないんですか。

(以上)