仙谷大臣記者会見要旨 平成21年10月16日

(平成21年10月16日(金) 9:29~9:51  於:内閣府地下1階講堂)

1.発言要旨

 どうもおはようございます。
 先ほどの閣議で平成21年度第一次補正予算の執行見直しについて、閣議決定をいただきました。数字につきましては、皆さん方のお手元にも配られていると思います。後でまた御質問があればと思うんですが、この執行見直しについては、各省の各大臣にいわば査定大臣としての立場での仕事をしていただきたいと、その役割を担っていただきまして、さらに副大臣及び大臣政務官にも大変な御尽力をいただいたところであります。そして、補正予算として緊急性があるのか、そしてこの時点での景気経済対策としての必要性がどのぐらいあるのかという観点から、そしていわばいろいろな意味で積み上げあるわけでございますが、無駄な予算になっていないかという観点から、全事業を点検をしていただく。
 この第一次補正予算では、約600だということでございますが、600の事業を点検をしていただいたということになります。その結果、昨日の段階で2兆9,000億円強の見直しができることとなり、そして閣議決定を本日いたしたところでございます。
 この場をお借りいたしまして、各大臣、それから関係者の皆さん方にこの御協力に感謝を申し上げておきたいと思います。
 今後は、この見直しの結果を平成21年度第二次補正予算及び平成22年度予算に反映をして、私どもがずっと主張しております「コンクリートから人へ」のコンセプトのもとで、生活者の視点から予算を再配分していくということになろうかと考えております。
 なお、今後は、今度は平成22年度予算編成が本格化することになるわけでありますが、各大臣に引き続き国務大臣として鳩山内閣の大臣としての意識、査定大臣としての意識を持って、既存予算の徹底的な見直しのために、予算の一層の効率化や優先順位づけに取り組んでいただきたいと思っているところでございます。
  以上でございます。

2.質疑応答

(問)今回の2兆9,000億強という数字についてなんですが、大臣が見直し作業に着手される際に想定されていた数字と比べて多かったのか、少なかったのか数字の印象と、あと今まで言われていた3兆という数字には届かなかったんですが、その感想をお願いします。
(答)予算は、経済対策ですから、当然のことながら規模の問題でもあろうかと思うんですけれども、私は、各大臣によく頑張っていただいて、ここまで絞り込んでいただいたなと、そういう評価をいたしております。
 行政刷新の古川副大臣、それから泉大臣政務官にも大変な嫌な思いをしながら、よく頑張っていただいたなと、こういう評価でございます。
 したがって、どちらかといえば、当時から額にこだわっているわけではないというふうに申し上げましたけれども、そのプライオリティーをどうつけていくのか、今の時代にふさわしい、つまり我々は「コンクリートから人へ」というふうに言っておるわけですが、資源配分をソフトパワー時代の資源配分に変えるという、そういう方向性のための前提条件としての執行見直しという点では、相当程度というか、成果が上がったというふうに評価をしております。
 後段の御質問については今お答えしたことに尽きるだろうと思いますが、3兆円に届くかどうかというのは、むしろメディアの方々がおっしゃっている話だったように記憶しておりまして、そこでそのことを基準にして、できたとか、できないとか、いいできだとか、悪いできだとか、そういうことは全く考えておりません。
(問)経済産業省の見直し額が中間報告のときは877億円だったのが602億円に減額されている理由と、それから内閣所管の地域活性化・公共投資臨時交付金について、確定した数字の発表のめどはいつかということを。
(答)後者の話は、多分一両日後にでも財務省のほうに御確認いただければわかると思います。つまり、他省庁の公共事業関連を中心とする支出の削減というか、執行停止に伴って、その裏負担を言われておるようですけれども、90%の裏負担が多分1兆円だったと思うんですが、ついておるものが、自動的に削減をされてくると、そういう金額ですから、これは各省庁で詰めたものを財務省のほうに情報として返して、それに伴って財務省のほうが数字を詰めるということですから、それはそういうふうなやり方で聞いていただければと思います。私のところでも、この程度ということしかわかりません。
 それから、経済産業省のほうもこれも専門的な話で、余り実質的な話ではなくて、予算の計算の仕方で、プラスマイナスが出てきたということですから、余り他意もなく、意味のない話だというふうに私どもは確認をしております。これも経済産業省のほうに聞いていただければすぐわかります。
(問)中には、農林水産省なんかは、大臣折衝を仙谷大臣と赤松大臣とされたにもかかわらず、一次のときの数字から上積みがないんですけれども、この点についてはどういうふうにお考えになられるんでしょうか。
(答)これは私どもで、今の時点でエネルギーを使って、時間を使うよりは、多分今後の事業仕分け等々で詳細に見ていただいたほうがいい話だなと判断したものですから、それと金額との見合いで、余りエネルギーをこの段階で、つまり時間がない段階で使うのもいかがなものかという判断をして、もう農林水産省にはこれ以上の執行停止を認めないことにしたという、そういう私の判断です。
(問)もう1点だけよろしいですか。先ほど財源について、二次補正の話を大臣がされていましたけれども、それは今回執行停止したものを二次補正に回すと、つまり二次補正を出すということが大体固まったという認識でよろしいですか。
(答)それは財務大臣及び官邸の、そして菅国家戦略担当大臣のお考え、我々も意見を申し上げますけれども、ここで書いてある二次補正は、少なくとも数字の上で執行を停止するわけだから、これは戻す作業を予算上も表現しなければならない。さらに、景気経済状況を見て、二次補正として実質的な波が、例えば雇用の問題について追加的な何かを打つということがあり得るとすれば、当然これは内容的なものが出てきてますけれども、一応私の気持ちとしては、二次補正がそういう実質的な意味があるものになるかは、これからの正に雇用の状況やあるいは経済の成長、いろいろな要素があると思うんですけれども、今日も経済報告を伺いますので、ここから先の話だと思います。
(問)1つが、今回総額で4,090億円ぐらいの上積みとなったと思うんですが、前回の2兆5,169億円に比べて、大きいところを金額を含めて御紹介していただければなというのが一つと、あともう一つ、今日のこの報告の閣議、閣僚懇の中で、鳩山総理なり各大臣からの御発言があったのであれば、御紹介いただければと思います。
(答)後者のほうの御質問でありますが、財務大臣、それから総理から発言がございまして、大変各省各大臣にも御尽力をいただき、あるいは行政刷新部局にも御尽力をいだたいて、至上初めての一旦各省についたものを執行停止ということで、返納させることができると、支出としては極めて画期的な執行見直しであったというふうな評価をいただいたところであります。
 それから、額として大きいのは、やはり一つは先ほどの内閣本府の裏負担分の自動的な返却ということで返ってくることを除けば、やはり厚生労働省の子育て応援特別手当を含むもの、つまり4,090億円の話ですね。それから、これは文部科学省に入っていますが、先端科学技術担当関係、この辺が大物と言えば大物だったと思います。
(問)それぞれの額というのは今わかりますか。
(答)今、精査中で、後でそれは提示をしましょう。
(問)今回、見直しに当たって、地方に与える混乱とか景気への影響、こういったものは判断材料としてあったんでしょうか。
(答)地方への混乱とおっしゃるけれども、むしろ私は地方分については、そもそも見直しの対象からほとんど除いてあったわけですね。そういう意味では、私どもがやや批判してきた選挙対策用に地方にばらまいたと、そういう批判を選挙の期間中はしてきたわけでありますけれども、そういう意味では、私は地方に対しては非常に優しい見直しだったという総括をしております。
 ただ、中央省庁の事業のうちに、これも私どもこの間の、とりわけ麻生内閣の定額給付金のやり方、法的根拠なく予算を決定しただけで、金だけ渡していくというやり方を、私は個人的に随分批判をしてきましたけれども、その傾向を残したまま基金事業等々を地方につくっていくやり方で、これもなるべくご迷惑がかからないように、つまり事務作業に入って、地方が基金をつくっているものは執行停止の見直し作業から除くというふうなことを含めて、非常に御迷惑をかからないようにしましたけれども、一部子育て応援手当ですか、それを含めて地方に御迷惑かかる面があると思います。これは、政権交代前後に、ある種急遽地方議会のほうで予算づけをしたとか、つまり選挙結果がわかってからなさっているところもあるわけでございまして、この点は少々の御迷惑は勘弁をいただきたい。私どものほうで、混乱、あるいは迷惑について、これは頭を下げなければいけない部分があると思いますし、それも頭を下げるのはやぶさかじゃないんですけれども、しかしこの選挙を挟んでこの事態に至っているということをどうぞ御考慮いただきたいということです。
(問)景気に与える影響は。
(答)景気に与える影響は、執行停止をかけた部分、相当部分が基金事業で、要するに平成22年度以降の支出分が相当部分を占めておりますので、景気の問題というのは実質的な支出額がなされないと、右左、プラスマイナスで左右されるはずはないんですね、理論的には。
 したがって、私は今度の見直しでほとんど景気に与える影響はないと思っております。
(問)今回の見直しに関して、先ほど各省庁の大臣について評価するという見解を示されたと思うんですが、一方で、折衝過程において、最終的に大臣のほうから要求があったり、折衝にエネルギーをある程度費やされたのは事実だと思うんです。そういう中で、いわゆる各閣僚、特定の省庁で、いわゆる査定大臣になりきれなかった、府省の代弁者になってしまったような例があったという見方も出ていると思うんですけれども、このあたりはどういうお考えですか。
(答)彼らから言わせれば、私自身もある種行政刷新担当としての使命のほうに自分を置いているじゃないかという評価もできるかもしれませんが、それぞれの皆さん方は、各省大臣としての立場もおありになりますし、鳩山内閣の国務大臣としての立場もおありになって、それぞれ頭の中に、あるいは気持ちの中に、オール・オア・ナッシングでなさっているわけではない。だから、そこが私は自民党政権時代と違うところだと感じながらやっています。つまり、100%要求大臣になるというふうなことではなくて、鳩山内閣全体の「コンクリートから人へ」というコンセプトを頭に置いて、あるいは財政規律ということを頭に置いて、それから先ほども御質問で出ていましたように、景気回復、とりわけ景気対策問題は、これは家計の所得を何とかして少なくしないように、あるいはできればそこにプラスになるような、そういう政策方法をやらなければいけないという、各省の部分的な、各省の合理性追求ということのみならず、全体的な鳩山内閣の目指すものをやらなければいけないという立場で査定をするというか、執行見直し、事業の見直しに取り組んでいただいたと。
 ただ、直感的に言えば、ああ、この大臣は、この割合が60で、個別要求が40なのかなと、この人は65対35なのかなと、この人は45対55なのかなということを感じながらやっていましたけれども、それは誰がどうのという話ではないというふうに今のところは考えています。

(以上)