仙谷大臣記者会見要旨 平成21年10月6日

(平成21年10月6日(火) 11:08~11:32  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 まず、閣議及び閣僚懇談会について申し上げます。
 本日の閣議及び閣僚懇談会で、私のほうから例の現在進めております補正予算の見直し作業について、今日4時半から総理に第1次集約結果を報告をして、その後、記者の皆さん方に発表をしたいと。さらに、これは第1次集約でございますので、明日以降、副大臣レベルでまずは査定調整といいましょうか、精査、調整の過程に入っていくので、各大臣におかれて、よろしく御協力方を願いたいというふうに申し上げて、了解をいただいたところでございます。それが閣議の、あるいは閣僚懇談会で私のほうから皆様方に報告をすべき事柄でございます。
 それから、今日は閣議に先立ちまして、ここにいらっしゃいます加藤秀樹さんに、行政刷新会議の議員としての辞令を交付をしていただきました。加藤秀樹さんには、行政刷新会議の議員であると同時に、行政刷新会議の事務局長を担っていただくということでございますので、本日、発表をいたしたいと存じます。
 閣僚の議員といたしまして、この行政刷新会議の議員でありますが、議長が内閣総理大臣、副議長が行政刷新担当大臣の私、そのほか菅国家戦略担当大臣・副総理、内閣官房長官、それから財務大臣、それから総務大臣の4名が指名をされました。
 有識者の議員といたしまして、行財政改革について、優れた識見を有していらっしゃる5名の方にお願いすることといたしまして、本日、発令をいたしました。
 稲盛和夫さん、京セラ株式会社の名誉会長さんであります。
 片山善博さん、慶應義塾大学の法学部の教授でございます。
 加藤秀樹さん、今御紹介申し上げましたとおりでございます。
 草野忠義さん、財団法人連合総研生活開発研究所の理事長をお務めになっております。
 茂木友三郎さん、キッコーマン株式会社の代表取締役会長、CEOでございます。
 これによりまして、行政刷新会議は、議長以下計11名で構成されることとなります。皆さん方のお手元にもメンバー一覧表をお配りをさせていただいているところでございます。
 それでは、加藤議員・事務局長から若干のごあいさつを皆さん方にお聞きいただければと思います。
 (加藤行政刷新会議事務局長)加藤秀樹でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 既に、行政刷新会議の事務局長職は発令されておりましたが、今日あわせて行政刷新会議の委員も委嘱されました。事務局の取りまとめとあわせて一生懸命やっていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

2.質疑応答

(問)まず初めに、加藤事務局長さんに抱負を一言いただきたいということとどういったことに取り組みたいか、あと仙谷大臣に行政刷新、今日で正式に発足ということで発表になったわけですけれども、行政刷新、どういうふうに取り組んでいくのか、補正と来年度予算ありますけれども、どういうふうな姿勢で取り組んでいくのか、改めてお願いします。
(加藤行政刷新会議事務局長)行政刷新会議でどこまでの範囲で、正にこの行政の刷新を行うかというのは、これは刷新会議で議論をした上で決まっていくことだと思います。
 じゃあ、おまえの考えはどうかということで言えば、行政改革なり、財政改革、あるいは地方分権、私はこれは全部ワンセットなんだと思います。すべてがつながっている。それぞれ何を変えないといけないかということについては、もう今まで、本当に10年、20年、いろんな場所で議論されてきたわけですから、そこに新しい項目が出てくるということはあまりないんじゃないかなと思っております。むしろ今まで長時間かけて議論されてきたことが実行されてきてないわけですね。これにはいろんな壁があるんだと思います。
 ですから、その壁を崩しながらやらないといけないことを実行していく、実行するための具体策を出して、それを実現させるというのが、この行政刷新会議の役割だと私は考えておりますし、そのための材料と手法を出していくのが事務局の仕事だと考えております。
 もう一つつけ加えるとすると、私が事務局長として選ばれたのは、今でも引き続き兼務しておりますけれども、構想日本という政策シンクタンクで、7年前から行政の事業仕分けというのを行っております。この行政の事業仕分けというものを、7年間で今までに50回ほど開いて、実際の自治体ですね、市町村、それから県で具体的な行革、財政改革の実績を挙げてきたものですから、それが多分評価されて、その手法を使ってやってみろということなんだと考えております。
 ですから、もちろん自治体における今までやってきた事業仕分けと、国の事業についての、あるいは組織についての仕分けというのは当然違うと思いますけれども、使えるものは大いにあると思いますので、それは今までのノウハウと蓄積を使っていきたいと思います。
 ちなみに、事業仕分けというのは、数十名の行政経験もあるボランティアの、これは身内の中では「仕分け人」と呼んでいるんですけれども、その人たちが時間を使って、市とか県に出向いていって、そこの事業を精査して議論するんですね。ですから、この人たちにも、私はいろんな形で協力をしてもらいたいなと考えております。
 多分、そういうことは今までの政府ではあまりなかったことかなと。ですから、現場の視線、あるいはある意味での草の根的な活動、作業、そういうものも私は大いに取り入れながらやっていきたいなと考えております。
 それと、一つこれは是非くれぐれもお願いしたいのは、行政刷新会議という言葉でわかりますように、それから今までやってきた事業仕分けもそうなんですけれども、予算の削減が目的ではないんですね。ですから、幾ら削減されたという数字、予算に、行政刷新会議及びこの事務局としては、そこに最大のターゲットを絞っているわけではないわけですし、私はもっと広い意味での、さっき申し上げたような、正に行政全般の刷新をやっていきたいと考えております。そのことに関しては、まだ集まってはないですけれども、ほかの有識者議員、あるいは行政刷新会議のメンバー全員、多分共有できていることだと思います。
 往々にして、当面は来年度の予算編成に向けて、ある程度無駄な予算を削るということをやっていくわけですけれども、それは入り口であって、事業とか、そこについているお金の向こうに、必ず組織と制度があるわけですね。大事なのは、その組織と制度に関して、必要なものと必要でないもの、大いに変えるべきもの、あるいは国から地方に移すべきもの、そういうものを整理していくということだと思います。
 ですから、事務局の役割としては、そういう材料をできるだけ早い段階でこなれた格好にして、刷新会議に提出していき、刷新会議で議論していただき、それが実行できるようにしていくということだと思います。そういうことについて、まずは事務局長として、全力を尽くしたいと思いますし、そういうことに関して、私は行政の枠というんでしょうか、行政にかかわる人の枠を超えて、大勢の方に協力してやっていただきたい、やっていこうと思っておりますし、このことに関しては、マスメディアの協力というのは、非常に重要なわけですね。メディアのところでどうやって世の中に情報を出していただけるか、その出し方によっては、全く違う印象があります。
 私は、ですから是非日本全体のために、日本の国をよくするために行政刷新をする。そのためには、是非皆様の御協力を、本当に心からお願いしたいなと思っております。
 よろしくお願いいたします。
(答)今、加藤さんからも正確にお話がございましたが、行政刷新会議のミッション、これについては行政刷新会議の議員の皆さん方にお集まりいただいたところで、まずはしっかりと議論をしていただきたいと思っておりますが、大臣任命後の記者会見以降申し上げてきたとおり、行政は、これはあくまでも手段でございますし、行政刷新も手段たる行政が組織、金の流れ、そして国民参画という観点から、大変さびついているといいましょうか、膿がたまっていると。こういうものの大掃除と、そして事業の見直しというものが極めて重要な段階に差しかかっていると。その先にあるのが、多分国の形を再定義すると。私どもは、マニフェストで地域主権国家というふうに言っておりますが、そういうものに近づいていける条件づくりがこの行政刷新の仕事ではないかと、私は考えておるわけでございます。
 そういう観点から、時期的な問題といいましょうか、年末に向かってあと3カ月少々という時期でありますので、まずは事業仕分けと私どもの申し上げております行政、政治の透明化ということに向けて、行政刷新会議の発信できるメッセージと施策というものに取り組みたいと思っておりまして、加藤さんには、主として、今御説明いただきました事業仕分けについては、全力を挙げて、我々の持てる資源をすべて効率的に使いながら、取り組んでいただくということをお願いをしたいというふうに考えているところでございます。
 私からは、今日の段階はそういうことでございますが、ほかにあと若干の時間でありますれば、御質問いただければお答えをいたします。どうぞ。
(問)行政刷新会議の初会合はいつごろになりそうなのかということと、あと補正予算の見直し、今日1次報告ということですが、現時点でどの程度の財源を捻出できそうかということの2点お願いします。
(答)1点目は、これは有識者議員の方々の日程もございますので、しかるべく速やかにということしかお答えできないと思いますが、速やかに発足をさせて、事業仕分け、あるいはその他の業務を精力的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 それから、今日の金額については、夕方の記者会見のときにちゃんと発表をしたいと思っております。
(問)民間議員の方々なんですが、選ばれた理由をそれぞれ簡単に説明していただけますか。
(答)それでは、私から申し上げますが、稲盛京セラ名誉会長でありますが、民間企業の創始者として、世界有数の国際的企業に京セラを育て上げられたと。非常に幅広い経済活動を長年にわたって展開をされていると。さらには、やはり我々から拝見しても、いろんな業種に対する新規事業の展開、あるいは起業、自ら一から創業され、ここまで育てられてきた仕事を拝見しても、やっぱりガバナンスというものについて、経験と実績とお考えをお持ちだということで、私どもは強くお願いをしたところでございます。
 片山教授につきましては、御存じのとおりで、鳥取県知事を8年間務められて、地方行政にも精通をされ、それからダム事業の停止、廃止、あるいは私が記憶に残っておりますのは、国が例の大地震のときに、被災者の住宅再建にああだらこうだら言ってなかなか取り組めないときに、国よりも一足も二足も早く、こういう言い方をしたら鳥取県の方に叱られるかもわかりませんが、人口が少なく、財政力の小さいところではありましたけれども、優先的に資源を配分すると。それから、陳情等々の関係でも、大変物事をオープンに処理をされたと。議会運営についても、議会で堂々と議論をして、修正されても、否決されても、それはそれとして、むしろオープンに議論することのほうが、日本の政治、行政にとって大事なんだというお考えを実践をされたということを、私どもは深く評価をして、お願いをした次第でございます。
 それから、加藤さんは、今もうここで抱負も語っていただきましたので、私のほうから申し上げるまでもありません。
 それから、草野連合総研の理事長でありますが、連合で事務局長をお務めになって、働く人々を取り巻く問題に精通もしておりますし、現時点では組合の第一線から引かれているわけですが、そういう経験をもとに、生活者、消費者としての目線で政策論、あるいは組織と地域論を展開をされてきておりますので、そういう観点から、行く行くは公務員制度の問題にも実態的に踏み込まなければならない。あるいは、独法改革にも踏み込まなければならないという視野のもとにお願いをしたところでございます。
 それから、茂木キッコーマン会長さんは、行政減量効率化有識者会議や行政支出総点検会議などの今まで座長として、リーダーシップを発揮されておりますので、この組織をこれからどうするかは、この行政刷新会議の中でも議論をしていただくわけでありますが、その座長を務められておりますので、この経験、それからもちろんキッコーマンという世界に冠たる会社を発展されて、そのガバナンスの能力、力というのは大変我々としても敬意を払っているところで、その考え方を行政改革、あるいは行政刷新の点に持ち込んでいただきたいということでお願いをした次第でございます。
 以上です。
(問)以前の会見で、メンバーについて、多くて7人ぐらいじゃないかとおっしゃっていたと思うんですが、公認会計士の方だったり、法曹関係者の方であったり、そのときのイメージと比べると多少人数も増えて、中に経済界の方が多かったりと、多少変わったところもあると思うんですけれども、その理由と、あと最初の頃には、9月の終わりのほうには初会合に向けた準備会合を開きたいとおっしゃっていたと思うんですが、それがこの時期までメンバーの発表がややずれ込んだ理由について伺えますでしょうか。
(答)ずれ込んだとおっしゃるのは、あなた方の時間軸の話で、私は全然ずれ込んだとも、何とも思ってません。
 それから、最初の人数とか、非常に実務的能力の中堅どころというイメージで私はおったんでありますが、やはりここは一つは政治的な観点が必要だろうということで、大臣の方々も私の想定よりも増えられたということであります。これは、内閣官房、あるいは総理とも御相談の結果、そういうふうにここは判断したほうがいいだろうと。要するに、私の考え方を修正をしたと、こういうふうに理解していただければよろしいかと思います。
(問)まず、行政刷新会議について、以前、いわゆるボードメンバーの会議の議論というのを、方法はともかくオープンにするとおっしゃったと思うんですけれども、陣容が固まって、そのお考えに変わりはないかということと、補正についてこれから副大臣レベルで精査作業をするということですが、これの時間的メドをどの程度考えているか……。
(答)まず、第1点はできる限りというよりも、原則として公開をしたいと思っております。
 それから、補正の見通しですが、これも概算要求の問題も迫ってきておりますので、できるだけ早くというふうに思っておりますが、皆さん方と少々スピード感も違うかもわかりませんが、そんなにだらだらやるつもりはありません。
 ただ、今週中というわけにはなかなかまいらんだろうなというふうには思っております。

(以上)