仙谷大臣記者会見要旨 平成21年9月29日

(平成21年9月29日(火) 11:07~11:32  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 今日の閣議について申し上げたいと存じます。
 9月末、そして10月1日ということで、従来は定例的な人事異動のような形で独立行政法人等の役員人事というものが行われてきたようであります。各省各大臣のところに理事長人事だけは大臣の任命権がございますので、その任命方の要請がある。それから、理事の人事については、内閣官房長官のところに事実上の了承方を求めてやってくるというお話でございました。
 かねてから、そのうちのいろんな形があったわけでありますが、これこそが玉突き人事といいましょうか、天下りの、そして渡りの姿であるということで、民主党が野党時代に問題視をしてきたやり方でもあったということで、この間、官房長官を中心に協議をしてきたわけであります。
 そこで、最終的にこの問題は各省各大臣の任命権でありますから、そこで判断をして任命するかどうかということを判断をしてもらうわけでありますが、各省、横串を入れるといいましょうか、通底するといいましょうか、その基準を作ろうということで、今日、内閣官房長官からの提起で、独立行政法人の役員人事に関する当面の対応方針についてということで、閣議決定がされたということであります。
 ただ、時間の関係もございますので、選び方、そして選ばれる方の適性というようなものをこの数日で拙速に行うのもいかがなものかという問題もございます。そこを勘案した上で閣議決定がなされたということでございます。
 これ、一般論として理事長あるいはその他の役員について、後任人事というものが申請された場合には、現在の役員数や、あるいは交付金がどのぐらい出ているかどうか、あるいは随意契約が行われているのかどうかということも含めて考えて、あるいは報酬の額等も考えて、当該役員ポストの任命が必要と判断を大臣がした場合には、官房長官と協議の上、後任者の任命を行うというのが一般原則であります。
 次に、天下りに対する国民の厳しい批判を踏まえて、そして人事の透明性というものを確保する観点から、現在、公務員OBが役員に就任しているポストについて、後任者を任命しようとする場合、及び新たに公務員OBを役員に任命しようとする場合は、公募により後任者の選考を行うと。公募方式を取り入れてほしいということを各大臣に内閣の方針として指示をするといいましょうか、やり方の問題として指示をすると。公募による役員の任命は、職務内容書の作成や外部の有識者による選考委員会の開催など、選考の公平性及び透明性を十二分に確保するために、3カ月程度の期間をかけて、つまり本年の12月末までに行うと。現在役員に就任する者も含めて、公務員OBからの応募も認める。つまり、現在、いわゆる天下りというふうな指摘を受けながら、就任しているOBの方が再度その職務にチャレンジしようとする場合には、それはどうぞ応募してくださいということであります。
 それから、これは各省が各法人ごとに役員選考委員会みたいなものをつくっていただいても結構なんでありますが、ただ、より客観性を担保するためには、今、各省で評価委員会というふうなものを持っておるようでありますから、そういう委員会を活用して、そこでいろんな独立行政法人、つまり数多く存在する省庁もありますので、その評価委員会にそういう役割をさせる、あるいは改めてそういう役員選考委員会を開くということもよろしいのではないかと、こういう趣旨であります。
 それから、この作業を行うことに伴って、後任者がない独立行政法人のポストが出てまいります。そこに後任者を任命することは非常に困難でありますから、法人の運営に支障が生じるおそれがある場合には、公募による後任者の任命までの間、現任者の再任について、本人の同意を条件に認めますと。つまり、3カ月間の期間限定付で、引き続き業務を行っていただけるとすれば、その人に3カ月たったらお引き取りいただくということをお約束をした上で、3カ月間は事務についていただくということであります。こういう対応方針を決めました。
 21年10月以降に任期満了となる役員人事についても、今申し上げたことと同じように扱っていただきたいということでございます。
 そこで、そういう閣議決定がなされるに際して、私のほうから一言発言をいたしました。これは、今後、行政刷新会議が中心となって独立行政法人の抜本的な見直しをすると。それから、今日の閣議決定された対応方針の円滑な実施はもとより、今後とも責任を持って各省が法人を監督して、独立行政法人の見直しについても、理解と協力をお願いしたいということでございます。
 これは、多分業務見直しとの関係でも、一体全体こんなに交付金が下ろされる必要があるのかと。この業務自身がそもそも必要なのかと。あるいはこういう役員体制が必要なのかと。あるいは事務局の体制がどうなっているんだというような総合的なことが行われると思いますので、そのことについて御協力方をあえてお願いをしたということであります。
 そのことについて、総理からも天下りのあっせんの根絶についてという発言がございました。主要な観点は、公務員の再就職について府省庁によるあっせんを直ちに禁止。それから、官民人材交流センターによるあっせんも、組織の改編等より離職せざるを得ない場合を除いては今後は一切行わない。天下りの根絶を図ると。なお、あわせて公務員が定年まで勤務できる環境を整備するなどの公務員制度改革を速やかに実施していくこととしておりますと。閣僚皆さん方の御協力をお願いしたと、こういう総理の発言をお願いをしたところでございます。
 それから、次に予算の概算要求について、これも閣議決定がなされました。これは、非常に雑駁に申し上げれば、改めて前内閣の概算要求基準は、これを廃止すると。さらに、マニフェストを踏まえて、要求の提出は10月15日までに行うと。そして、マニフェストに従って新規施策を実現するために、すべての予算を組み替えて、新たな財源を生み出すと。これによって財政規律を守って、国債マーケット、ボンドマーケットの信任を確保していくということであります。
 それから、各大臣に既存予算についてゼロベースで厳しく優先順位を見直し、できる限り要求段階から積極的な減額を行うこととすると。これは、ひとえにマニフェストの工程表に掲げた主要な事項を実現していくための方針でございますし、中身としては、無駄遣いや不要不急な事業を根絶するということであります。
 そして、22年度予算については、年内に編成するという大方針を掲げたということでございます。
 この件につきましても、行政刷新担当大臣として、マニフェストの主要な事項の実現、そのためには既存予算の思い切った削減、これに積極的に取り組むということ、さらには既存予算の徹底的な見直し、徹底した歳出削減に行政刷新会議とともに取り組んでいただきたいと。
 その際の視点については、行政刷新会議について、早急に整理をしてお示しをしたいということを申し上げました。さらに各大臣におかれては、概算要求についても、ただいま申し上げましたように、要求提出後に徹底した見直しが行われることを十分念頭に置いていただいて御検討いただきたいと。これは、鳩山内閣の一員として、内閣を挙げての課題でございます。無駄遣い、不要不急の事業の根絶、このことに向けて、最大限の協力をお願いいたします。
 閣僚委員会の席上でもこのことが議論になったわけでありますが、藤井財務大臣からは、各大臣に、要求大臣である以前に査定大臣として、各省の中でも各省のトップとして、査定大臣としてちゃんとマニフェストの主要な事項の実現、それから無駄遣い、不要不急の事業の根絶という観点から、厳しく査定をするという発想で、そういう立場で概算要求もつくって提出していただきたいと、こういうお話がありましたので、そのこともあわせて皆さん方に報告をさせていただきます。
 以上です。どうぞ。

2.質疑応答

(問)3点お願いします。
 まず、独法のほうの話ですけれども、麻生内閣で決められた人事についての取り扱いをどうするのかということと、ちょっとデータ的なことで恐縮なんですが、今回10月1日付の人事が何件くらいあって、今回の決定によって何件くらいが公募となるのか。あと、今回の独法の天下りの禁止が今後の公務員制度改革に向けてどういう影響というか、どういうものになるのか、大臣の抱負を伺いたいんですが、その3点をお願いします。
(答)ある意味で暫定的な措置であるということであります。
 それから、役員と職員の問題というのはやや分けて考えなければいけないだろうなということであります。
 それから、今度のこの措置でどうなるのかというのは、各省に聞いていただかないとわかりません。というのは、この役員人事については、こういう方針を出しましたから、具体的な人名を掲げて後任人事を出してきて、官房長官のところで蹴るという話には、多分ならないんだろうなと。つまり、出してくるのを御遠慮されるので、こちらのほうとしては数がわからない、その部分は。本来はこういう後任人事をしたかったんだけれども、こういう方針が決まった以上、それは出してもオーケーが得られないとすれば、出すのを遠慮しておこうかなと、こういう話になるはずでありますから、そこの部分は、ちょっと私どものところでは不明でございます。
 数については、各大臣のところと内閣官房のほうにお問い合わせいただかないと、正確な数がわかりません。つまり、それは9月30日にある意味で任期が切れると。それから、職員の場合にはいわゆる退職勧奨が実質上行われて、麻生内閣時代の天下り、官民人材交流センターであっせんが行われて、マッチングが成功して、ある種の新しい労働契約が成立しているというものを、我々のほうで首にするかどうかというのは、それは法律的にも至難のわざというか、できないことであろうと思いますので、そういう例がどのぐらいそのままになっていくのかというのはわからないと。わからないというか、日にちが来ないとわからないということで御了解をいただきたいと思っております。
 いずれにしても、先ほど将来の見通しについては、これは事業仕分けの中で具体的にやっていく中で、独立行政法人の人事、あるいは運営、あるいはその存在理由、存否のあり方も含めて、これはもう徹底してやっていかなければならないと、こういうふうに考えております。
 お答えになったかどうかわかりませんが。
(問)天下りの問題で確認なんですが、定年退職者のあっせんについては、今後どうされるのか。そして、また官民人材交流センターの存廃についてはどうされるのか、この辺の御見解をお願いいたします。
(答)定年退職者のあっせんというのは。
(問)つまり、早期勧奨退職については、天下りを伴うものは、これは禁止するということですよね。では、定年までいって退職する、その場合にはどういう対応になるのか。
(答)定年でハッピーリタイアされる方について。
(問)にもあっせんというのが。
(答)何でそんなあっせんが必要なんですか。どこの国でも定年でハッピーリタイアする人は、それから自由な人生を送られるわけでしょう。それにあっせんか何かが必要なんですか。今までは、官房長かOBか知りませんけれども、そういう人が事実上やっていた例はあるんでしょうけども、これは法的な話ではないんじゃないですか、それは。
(問)定年までいった退職者については、これまで事実上というところも含めてあっせんというのはないと。
(答)一切根絶するということです、あっせんは。
(問)それは事実上というところも含めて。
(答)いや、だから、総理がだって根絶するというふうにおっしゃっているわけですから、一切やらない。
 だから、ヘッドハンティングを例えば政府においてする可能性は、それは全くないわけじゃないでしょう、その人の能力を。天下りのあっせんというような格好は、一切やらないと、こういうことです。
(問)早期勧奨退職については、総理の発言を踏まえて、今日閣議で確認をされたという理解でよろしいんでしょうか。
(答)そうです。
(問)さっきの質問の積み残しなんですが、官民人材交流センターの存廃については、どう対応されるんでしょうか。
(答)だから、それは官民人材交流センターは廃止するというのが我々の方針ですから。ただ、法律がある限りは、そういう機構だけは残りますよね。そこでのあっせん作業は、少なくとも鳩山内閣が成立した以降は、一切やってないし、やらせないと、こういうことです。
(問)それは法的にセンターの扱いについて、今後いつまでにどういう対処をされるんでしょうか。
(答)それは、臨時国会に出すのか、通常国会に出すのか、これは公務員制度改革関連法案の中で検討するということになると思います。
(問)国の事業の無駄の洗い出しについて、先ほどおっしゃった事業仕分け、この手法を国全体の事業について行政刷新会議の作業の中で活用していくというふうなお考えでよろしいでしょうか。
(答)それは一つの重要な手段として使っていくということでいいと思います。
(問)現在、自治体レベルでは、ある程度効果が上がっているんですが、大型公共事業とかが多い国の全体の事業の見直し、無駄の削減で、果たして事業仕分けという手法が有効なのかどうかという意見もあるんですが、そこら辺について大臣のお考えを。
(答)まあ御覧いただくしかないんじゃないでしょうか。つまり、やる前からあれやこれや言われても、私のほうからお答えのしようがないということでしょう。
(問)今まで大臣が野党時代にやられた中でも、事業仕分けというのが有効に活用するというふうな見通しというのは。
(答)それは精査すれば幾らでも出てくるんじゃないでしょうか。
(問)繰り返しになりますけれども、今回の独法の関係で人事のおおよその人数みたいなものは、内閣官房なり、どちらかに問い合わせればざくっとしたものを公表してもらうことというのはできるんでしょうか。
(答)独法の役員人事の問題ですか。
(問)ええ、対象になる人数とか。
(答)私どものところは、基準を各省庁の持ってらっしゃる問題点を、多少個別の問題点も頭に入れながら、ちょっと普遍化して基準をつくるという作業で、当然官房長官とも協議しながらやったということでありますけれども、その基準に従って、各省各大臣が、あるいは各省でどのように処理をしたかというのは、多分官房でも集約すると思いますけども、基本的には官房に、長官もしくは副長官のところにお問い合わせいただければ、早急に9月30日の時点ですか、あるいは10月1日の時点かしら、そこでデータを整理、集約して、皆さん方にお示しするということにはなろうかと思います。
(問)現時点では困難ということ、今日時点では。
(答)私には困難という意味です。
(問)早期勧奨退職もやめるということですけれども、そうしますと、年配の職員の方が増えて、人件費も増えるということになりますけれども、その辺の対応についてどのように考えていらっしゃいますか。
(答)将来的には、その賃金体系をどうするのかというのは、これはある意味で、私は公務員制度改革の問題でもあり、それから政府全体のガバナンスの問題であり、あるいは各省庁のガバナンスの問題ということになってくるんだろうと思います。
 ここまでは、多分これは私の感想というか感慨なんですが、全部その辺を人事院に丸投げしてきて、各省独自のガバナンスというものが全くないというのが、この人事制度の年功序列といいましょうか、あるいは補職の関係といいましょうか、こういうすべてについて硬直化させていて、そこの部分の硬直性が、要するに退職勧奨と天下りと、こういう一連の系統になっておるんではないかという直感的な感覚を持っておりまして、公務員制度改革のところで、早急にこの問題は決着をつけなければいけないなと思っております。
 だから、正に公務員制度改革の人事評価だったり、そういう問題の一つだというふうに考えております。
(問)行政刷新会議のことで1点だけ。
 大臣が当初お示しになっていたスケジュール感とは、ボードメンバーの人選など、大分遅くなっていると思いますけれども、その理由と、遅れていることが今後の作業に与える影響は何かありますでしょうか。
(答)早ければ早いほどいいと思いますけれども、総理がいらっしゃらないところでやるわけにもいきませんし、ということです。
 また総理が出張されるんでしょうから、間隙を縫って、ちょっと詰めてきたいと思っています。

(以上)