前原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年8月31日

(平成22年8月31日(火) 11:13~11:38  於:国土交通省会見室)

1.発言要旨

 では、私の方から一点お話をしたいと思います。まず、日本航空の更生計画案の提出についてでございます。日本航空の更生計画案が、本日午後に、企業再生支援機構から東京地方裁判所に提出される予定でありますことから、本日閣議の後に、官房長官、財務大臣、国家戦略担当大臣、そして私の四者で、日本航空の更生計画案に関する閣僚会議を開催いたしました。この閣僚会議におきまして、日本航空の更生計画案について、三点、政府としての考え方を確認いたしましたので、私の方から皆様にお伝えをさせていただきます。まず第一点は、事前に説明を受けている更生計画案については、政府としても、路線の見直し等の事業面での再構築を通じて財務面での健全化が図られるなど、評価のできる内容であると考えていること。二つ目には、日本航空の再生を図る上で、日本航空において、人員削減計画を始めとして、更生計画案に盛り込まれた施策を着実に実施して、目標とされる業績を達成すべく努力することが極めて重要であるということ。また、更生計画案に示されたとおり、リファイナンス等による更生債権等の早期一括弁済が実現されて、更生手続きが早期に終了することを期待しているということであります。最後に、政府としては、更生計画案に従い日本航空の確実な再生が図られるよう、引き続き必要な支援を政府全体として行っていくとともに、この更生計画案が着実に実施されるように、国土交通省としてもしっかりと指導・監督をしていきたいと考えております。私の方からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)JALの関係閣僚会議について、その他の閣僚の皆さんから何か意見、どういう議論が出たのか、可能であれば教えてください。
(答)まず、荒井国家戦略担当大臣から御発言がございまして、企業再生支援機構を所管する大臣としてしっかり、政府全体としてバックアップをしていくことが重大であるという話がございました。野田財務大臣からは、この中身については了とするけれども、しっかりリファイナンスを含めてこの計画が着実に実施されるように、所管する国土交通相としてしっかりと指導・監督をしてもらいたいという話がございました。また、私からは今までの企業再生支援機構、また日本政策投資銀行を始め、政府全体となって日本航空の再生についてバックアップをしていただいたことについて感謝を申し上げ、そして荒井大臣、野田大臣がおっしゃったことを我々も政府一体として支援をしていくべく努力をするとともに、何よりも大事なことはこの更生計画案の着実な実施、実行でございますので、それが図られるように所管大臣として指導・監督をしていくということを申し上げたところでございます。
(問)内閣府の消費者委員会の方から、自動車のリコール制度についての改善の建議があったかと思うんですけれども、その対応をお願いいたします。
(答)消費者委員会は、自動車のリコールに関しまして調査を開始することを5月26日に発表されております。国土交通省といたしましては、これまでも消費者委員会に対しまして、自動車リコール制度に関する説明、資料の提供等、協力を行ってまいりました。私にもこのメンバーの一人から資料提出、具体的な要求がございまして、事務方にできる限り協力をするようにということで指示をいたしましたし、その国土交通省の協力体制については感謝を頂いているところでございます。また、国土交通省ではリコール制度につきまして、より一層ユーザー目線に立ったものになるように、情報収集体制及び調査分析体制の強化について検討を行ってまいりました。具体的には、この機会ですので申し上げますと、今までは「リコール対策室」というところで、メーカーから出されたリコールの届出、年300件くらいでございますけれども、これを受理し、そして様々な事務手続を行ってきたということでございますが、やはりこのリコールをメーカーから届けてきたものだけ、受動的に処理をするのではなくて、メーカー、関係省庁の様々な情報、例えば事故とか火災とか、あるいはユーザー等が保有している様々な情報、こういったいわゆる不具合情報というものを、独自にしっかりと収集をすると、そしてまた海外からのリコールの関連情報、これも収集をしていき、自らが受動的にだけではなくて能動的に情報を国内外から集めてきて、そしてそれを分析し、そして調査をする、こういった「不具合情報調査推進室」というものを作りました。15名のメンバーでこれを作ったところでございます。したがいまして、ある意味「能動的なリコール」の届出を受け取っていた「リコール対策室」から、それについてももちろん「リコール監理室」ということで残りますけれども、他方それと合わせて「不具合情報調査推進室」というものを作ることにいたしました。そして、独立行政法人交通安全環境研究所、その中に「リコール技術検証部」というものがございます。国会でもこの組織の手薄さというものを指摘されました。常勤が1名で、非常勤が15名というものについてはいかがなものかと、こういった指摘がございました。これをしっかりと体制強化するために、常勤を6名、そして非常勤を19名、合わせて25名の体制にして、この不具合、リコールの技術的な検証をしっかりとこの独立行政法人交通安全環境研究所リコール技術検証部において行うということで、体制面での強化をしたところでございます。なお、この消費者委員会から出されました建議については、本年12月までに実施状況の報告を求めておられることは承知をしておりますし、この座長さんから建議を私自身に手渡したいと、手交したいというお申し出がございますので、それについてはお受けをするように指示をしたところでございます。建議の主な情報としては、不具合情報のホットラインの周知、メーカーから収集した不具合情報等を詳細に公表すること、再リコールが多いことから対策を行うこと、リコールの届出に時間を要している事例があるので改善すること、こういうことでございますので、内容はしっかりと精査をして改善すべきところは改善する、またそのための体制強化も既に図って動き始めているところでございます。
(問)日本航空についてですが、先ほどの政府の引き続きの支援というのは、今後経営改善がうまくいかなった場合において、資金難等が出た場合は政投銀等を中心に支援していくという合意があったのでしょうか。
(答)前提は、更生計画案を着実に実行していただくということが大前提となっておりまして、それを国土交通省が厳しく指導・監督をしていくということが大事なことかと思います。ただ、様々な要因で、例えば大自然災害が起きるとか、あるいは2009年のようなリーマンショック、世界全体の同時不況が起きるということで、日本航空のみならず全ての航空会社が等しく大きなダメージを受けるというようなことはあり得るわけでございまして、そういうことについては3年間、企業再生支援機構がバックアップをして更生計画案を行っていくに当たって柔軟な対応があり得ると。そういった面においては政府全体としてバックアップをしていくということでございます。
(問)日本航空の関連ですが、今回公的資金を使った再建スキームになっており、政府系金融による金融支援ですとか、機構による出資であると。仮に今後、二次破綻ということになると国民負担が生じるおそれがあると。今回、今朝計画を了承したということですが、内容を御覧になって二次破綻はないと言えるものになっているのかどうか、御所見をお願いいたします。
(答)更生計画案に基づいてお話をいたしますと、まず支援機構が出資をして資本増強を行う。これは、3,500億円の出資でございます。そして、金融機関が債権放棄をすると。これは一般更正債権の87.5%、金額にいたしますと5,215億円の債権放棄を行う。そして、またそれを前提として日本航空は、人員削減をしっかり行っていくということでございまして、関連企業を含めますとグループ全体の48,714名から10年度末においては32,600名まで、つまりは16,000名の人員削減をし、そして国内線、国際線においても不採算路線からは大胆に撤退をすると。そして、燃費が悪くて非効率だった機材の変更をしっかりやる。また、子会社の整理も行っていく。こういうことでございまして、これが着実に実施をされるということが私は大前提になると思っています。そうすれば、2011年3月末においては、248億円の資産超過と。そして、初年度の営業黒字も達成できるということで641億円の営業黒字ということでございます。したがいまして、繰り返しになりますけれども、更生計画をしっかりと着実に実行してもらうということに尽きると思います。機材の変更、そして路線の撤退、これについてはかなりしっかりやれることになろうかと思いますけれども、私が日本航空に対してしっかり申し上げたいのは、この人員の削減をしっかりと本当に計画どおり行っていけるのかどうなのかといったことが極めて大事なことだと思っておりますし、それと同時に今回の更生計画案にはLCCの創設というものも盛り込まれました。これは、今後のLCCが世界全体で割合が増えていく、大競争時代、大交流時代というものを迎えるに当たって、新たな経営戦略を持ったグループの中の別会社を作らないと脆弱性というものは増してしまう可能性が高いということで、私といたしましては日本航空が単にLCCを検討するのではなくて、しっかり検討した上で具体的な一歩を踏み出して、そして体質強化につなげていくということが大事なことではないかと思っております。
(問)計画の実現可能性も含めて、二次破綻というのはないと信じるに十分な内容になっているということでしょうか。
(答)ですから、着実にこれを実施してもらうということで、先ほどから申し上げているように、それを実施できれば一年目からは営業黒字が出ますと、こういうことであります。
(問)昨夜、菅総理と鳩山さんが会談をされまして、いわゆるトロイカ+1体制を大事にしていきたいということで両者合意しました。明日の告示を控えて若干潮目が変わったような感じもありますが、それについての大臣の受け止めと、既に大臣は極めて早い段階から菅総理支持というふうに打ち出してきましたけれども、明日の告示、それからその後の民主党を見通して、どういった点に注目していかれるのか、菅総理支持に変わりがないのかという点をお願いします。
(答)いろいろな方々が党を思い、また党を思うということは、党というのはあくまでも国民の生活を豊かにし、日本を発展させるための公器でありますから、党のためではなくて国民のためにいろいろ考えて動かれていて、そして様々な努力がされているということは認識をしております。私が申し上げられることは、まず一つは国民の目線から見て、不透明な形で一本化が図られるようなことは厳に慎むべきであるということであります。不透明な形ということはどういうことかと言うと、例えばポストを約束する、そういった取引をして一本化が図られるということは厳に慎むべきではないかと思っておりますし、菅総理はそういったことはされないと思っております。あくまでも、菅総理がおっしゃっている挙党一致というのは、具体的なポストのやり取りではなくて党全体の中におられる方々を正に適材適所で登用していって、全党的にこの国家的な厳しい状況を乗り越えて、政権交代を行ったその実績を残していける人材、布陣にしていくということだと思いますので、そういう意味でどういう結果になるかということは私は承知をしておりませんけれども、私が望むことはただ一つ、国民目線に立ったオープンな形で話合いが行われて、仮に一本化がされるにしても、具体的なポジションでやり取りをされるようなことで国民の失望を買わないようにしていただけるものと私は確信をしております。
(問) 一方で会談と言ってもすべてがオープンになるわけではなくて、何をもって大臣の場合はオープンになったというように見られるのでしょうか。
(答)国民がやはり一番胡散臭く思うのは、要はポストのやり取りをして、誰々さん、あなたはこのポストに就けるから何とか一本化をしましょうなんていう交換条件、あるいはそういった前提で一本化をされるということは、国民目線から見て透明な代表選挙とは言えないと思います。そういう意味においては、挙党態勢ということを皆さん方思っておられて、私は代表選挙をしても党が割れるとは思っておりませんけれども、挙党態勢をしっかり取るということで一本化を模索されている方々がおられるとすれば、具体的なポストではなくて、まさに一般論としての挙党態勢というものをお互い確認し合うということで、話合いが行われることを私は望んでおります。
(問)結果として小沢前幹事長時代の党運営は不透明なところがあるとおっしゃってましたけれども、そういった方々が執行部なり内閣に入るという判断を菅さんが下したとしても、形がオープンであればそれは是とするということなのでしょうか。
(答)菅さんが今までおっしゃっておられた党の運営の問題、または政党助成金という税金の入った党のお金の運営の方法、これは私は菅さんは透明度を上げていくということを必ずやられることを信じておりますので、その点について疑っておりません。
(問)沖縄振興について伺いたいのですけれども、昨日、仲井眞沖縄県知事と会われて沖縄県振興について国と沖縄県で話し合う協議の場を早々に設けたいとおっしゃってましたけれども、具体的に設置の時期だとか、メンバーとか協議の内容、知事は基地から派生する日常的な騒音問題とかについても話し合いたいともおっしゃってましたけれども、その辺具体的にどのようにお考えでしょうか。
(答)内閣官房の事務方と、そして沖縄県庁のしかるべき立場の方と具体的な相談をさせていただいているという報告は受けておりますし、その協議の中身についてはできる限り沖縄の皆様方の御要望を受け取る形で、幅広くテーマを設定していくということになろうかと思います。
(問)メンバーについては、かつてあった政策協議会は、総理を除く全大臣がメンバーになっていましたけれども、政府側の出席メンバーについてはどういうふうにお考えでしょうか。
(答)これからの議論になると思いますし、このメンバーについても沖縄県の御要望をできる限りしっかりと承るということになろうかと思います。
(問)設置時期については。
(答)それも今、事務方で鋭意議論しているということでございまして、整い次第そういうことができるのではないかと思います。
(問)民主党が割れることはないとお考えになっているということですが、今回の一連の話の中で昨年の衆院選のマニフェストのとらえ方、位置付けとか、財政再建の方法論とか、根本的な部分で考えの違いというものが明確になっているのですけれども、民主党は一つとしてやっていくことが可能なのでしょうか。
(答)十分可能だと思いますね。右と左が全く違う政策ではなくて、マニフェストの骨格はお互い共通認識を持っている、これを旗印に戦ったわけですから。しかし現実の財政状況やあるいは国民とのキャッチボールの中で、今各種世論調査の中でも多くの国民の皆様方が現実に即して修正してやったらいいということであって、何が何でも昨年の衆議院選挙時のマニフェストを厳格に実施をしろということについては極めて国民の皆様方の期待は低いと思っておりますので、そういう思いを受けてどのように、しかし我々は政権交代で実現をしようと思っていたマニフェストの中身というものについては、例えば子ども手当であれば、自民党では少子化対策に何ら有効な手立てが取れなかったわけでありますから、それについて基本は維持しながらもどう現実的に対応していくのか、現金給付だけでなくて様々なやり方があるという、むしろ地方自治体や国民の皆様方との意見交換の中でより発展させていくということについては、誰も党内で異論を挟む人はいないと思いますし、また私が所管している高速道路についても段階的な無料化を社会実験を行いながらやっていくということで、今まさに社会実験をやって様々な声が当該地域から寄せられているところでありますので、そういうことを踏まえながら最終形を決めていくということについても、私は多くの党の所属議員が理解をしてくれるということでありますので、そんなに大きな違いはないのではないかと思っております。
(問)先ほどオープンなということをおっしゃっておりましたけれども、国民から見れば最もオープンなのは政策を議論させて、代表選挙を行うという形がオープンだと思いますし、民主党の流れを見ると逆行している感がありますが、大臣からすれば、代表選挙はそもそも行うべきとお思いなのか、それとも合意されれば代表選挙なしでも構わないとお思いなのかお聞かせください。
(答)様々な努力がなされている最中ですので、あまり個人的な思いを申し上げるのは現時点では適切ではないのではないかと思っております。
(問)沖縄のことなんですけれども、昨日、仲井眞知事は振興策に限らず基地から派生する様々な問題についても協議の場で話し合うことを念頭に置いてもらいたいということをおっしゃっておられましたけれども、大臣としては振興策以外ということについても協議の場で扱われるお気持ちをお持ちなのでしょうか。
(答)これは仲井眞知事からの御要望でございますので、協議機関を設置する。そのための今、事務方の協議を内閣官房と沖縄県でやらせていただいているということでございますし、その取り扱うテーマについてもできる限り沖縄県の御要望に即した形になるように努力をしていくということでございますので、こちらが中身について想定するというよりは出されたテーマについて真摯にこちらが協議の場に乗せていくということになろうかと思います。ただ、昨日の話の中で私がもしお話の材料として乗せられるのであれば、軍転法を見直した跡地利用の推進を更にバージョンアップしたものにしてほしいと、こういう御要望もございましたので、そういったものも念頭に置いて仲井眞知事はおっしゃっているのかなという私自身の感覚は持っております。
(問)仮に不透明な形で無投票になった場合に、これは御自身で立候補するという御意向はお持ちですか。
(答)菅さんと私は昨日、直接話をしておりますけれども、そのような決着をつけられるとは全く思っておりません。

(以上)