前原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年7月23日

(平成22年7月23日(金) 12:30~12:55  於:国土交通省会見室)

1.発言要旨

 私からは特にございません。

2.質疑応答

(問)今日の朝、民主党の提言について、概算要求基準についてですが、議論があったかと思うんですが、それについて御発言等あればよろしくお願いします。
(答)過去の閣僚懇談会などで概算要求について、まずはマニフェストを実行していく上で、特に207兆円の予算の組替えによって財源を捻出するということについて、4年間でやるということをしっかりフォローしなくてはいけないということを申し上げてまいりまして、今日もこの207兆円の予算の組替えのうち、マニフェストの目玉政策を実行する上での9.1兆円について、4年間でどのように調達するのかという工程表を作ってもらいたいと、こういうことを申し上げました。これについては玄葉大臣からそれについては検討したいと、こういったお話がございました。後は、我々の主張としては、それぞれの役所の予算だけではなくて、例えば、新成長戦略には医療や介護というものを成長産業にしていくということが書かれているわけで、その場合、単純に1.3兆円という自然増を認めるということでいいのかと、こういう話も私からさせていただきました。それは自民党の時にみたいに、機械的に毎年2,200億円削るとかそういう意味ではなくて、例えば、今長妻さんのところと私のところで協力をしておりますけれども、高齢者向けの住宅、つまりはそういう施策がしっかりできていないので、病院は病気を治す所であるのに高齢者にとって亡くなられる所になっていると、つまりは高齢者のうち8割が病院で亡くなられるということになって、結果として医療費が上がっていると。例えば、こういう高齢者向けの住宅政策を充実させていく中で医療費も削れるところがあるし、様々な取組を省庁横断的にやっていく中で、予算の根本的な見直しということをやっていかないと、これだけ自民党政権のときに借金を作ったわけですから、持続的な予算編成はできないと、こういうことを申し上げました。来週の火曜日にはまた新たな骨子を出されるということでありますので、党の提言というのはあくまでも党の提言で、これも私の方から玄葉大臣に確認をいたしましたけれども、最終的に決定をするのは内閣であるということでございますので、党の提言をしっかりと真摯に受け止めながら、最終的な責任は内閣の中で判断をしていくということで、良い予算を作っていくために私も努力をしていきたいと考えております。
(問)先ほど言われた工程表というのは、大臣としてはいつごろまでに等、イメージはお持ちなのでしょうか。
(答)やはり1年目に9.1兆円の組替えがどれだけできたかということについての検証も必要でしょうし、それを基にして4年間でマニフェストというのは実行するわけでありますし、特に予算を削るということについては、なし崩し的になってしまうと、結果的にできないということになりますので、それであればマニフェストを実行するための財源は生み出されないということになりますので、これはできるだけ早くに工程表については、玄葉大臣はしっかりと検討したいということをおっしゃっておりましたので、概算要求、あるいは予算編成に資する形で御提示を頂ければありがたいと考えております。
(問)今の予算に関連してなんですが、各省が要求段階で削減努力をすれば、特別枠かわかりませんけれども、成長戦略分野に使えるという話もありまして、そういう方針が実際に示された場合にも、大臣が今までおっしゃっている公共事業の削減というのはしないという姿勢なのかどうか。
(答)これについても、我々はマニフェストに従って、農水省と合わせて1.3兆円の公共事業費をもう既に削っているわけですね。4年間でやるといったことについてもう削っているわけですから、当然ながら達成したところが達成していないところと同じように、更なる削減努力をするというのはおかしい、だからこそ工程表を作って検証しながらやらなければいけないと。努力したところがその割を食うというものでは誰も努力をしなくなりますよということは申し上げております。
(問)21日に新幹線の調整会議、有識者のヒアリングがありまして、有識者ヒアリングは一区切りということなんですが、これを踏まえまして、未着工区間についての判断を概算要求までになされるかどうか、この辺りの御所見をお願いします。
(答)未着工の判断について概算要求までにまとめるというのはなかなか厳しいと、私は思っております。今後検討していくことになろうかというふうに思いますけれども、財源と並行在来線の問題、地方の負担など、様々な問題がございますので、8月末の概算要求をまとめるまでにしっかりと、どれをやって、どれをやらない、あるいは全部やる、全部やらないも含めて判断するというのは、時間的に難しいのではないかと、このように思っております。しかしながら、留保金90億円も含めて今後どう考えていくかということについては、我々としては予断を持たずに検証を加えて、しかるべき時期に判断をしたいと考えております。
(問)関連して、既に建設中の区間については、これまでどおり計画に沿ってやっていくという理解でよろしいでしょうか。
(答)はい。基本的にその計画で進めていきたいと考えております。
(問)宇宙分野で二つお伺いしたいのですが、宇宙開発戦略本部の事務局長に京都大学の山川教授を抜擢されましたが、そのねらいや意図についてお伺いしたいのが一点と、来週月探査に関する懇談会が最終回を迎えますが、概算要求に向けて今後の取組や方針についてお考えをお聞かせください。
(答)先般の宇宙開発戦略本部におきまして、開発から利用へということで、この宇宙についても成長分野として取り組んでいこうと。私の造語でございますけれども、いわゆる産業自給率が非常に低いということにおいて、産業化を進めていくためにはやはり利用に向けてのシフトをしっかりやっていかなくてはいけない。もちろん、ベースとなる基礎研究、あるいは開発というものも大事でございますけれども、利用にどう移行していくかということが政権交代後の大きなテーマでございます。その中で、宇宙開発担当大臣の私の下で、松井孝典先生を座長とする有識者会議を作りまして、そしてその利用計画をまとめていただきました。その中にありまして、全ての委員の方が素晴らしい御見識をお持ちでございましたけれども、若くて有能でやる気のある山川先生に、非常勤ではございますけれども、是非事務局長に就任していただけないかということを打診をいたしまして、山川先生も初めは躊躇されておりました。大学の教授でいらっしゃいますし、ただ京大の松本総長と御相談をして、総長からも是非そういうポストをということであれば、大学側としても協力したいと、こういったお話がございましたので、山川先生に事務局長になっていただいて、既にその仕事をしていただいているということで、大変期待をしているところでございます。特に、利用の分野におきましては、準天頂衛星、これはGPSの補正をしていく上で、また日本の独自の情報収集システムを高めていく上で極めて重要な位置付けだと私は思っておりまして、そういうことも含めて山川事務局長の手腕に期待をしているところでございます。それから、月探査の懇談会でございますが、今度最終回を迎えるということでございます。いずれにいたしましても、先般の宇宙開発戦略本部でまとめた考え方に基づいて概算要求もしていかなくてはいけませんし、利用へと軸足を移していくことも必要であると思っておりますので、そういう意味におきましては、文部科学省、あるいは経済産業省、そして我々内閣官房、それぞれの考え方をしっかりと、宇宙に関する予算要求も含めて伺って、トータルでしっかりと話をし、整合性を持ちながら、単に各省庁からの言い分をホチキスで留めたような形にならないような概算要求をまとめていきたいと、このように考えております。
(問)昨日、金賢姫元死刑囚に関連しまして、航空局から報道各社に対して取材の自粛要請、ヘリコプターの飛行自粛要請がございまして、ノータムが発出されたのですが、どういう経緯でこれが発出されたのかということと、従来こういう場合は事前に報道機関側と協議をした上でノータムを発することになっているのですが、今回は急に発せられたと。この点についてはいかがお考えでしょうか。
(答)昨日、航空局に対しまして内閣官房拉致問題対策本部より、警備の都合上、取材ヘリ等の飛行の自粛を報道関係機関に求めた旨の連絡と、小型飛行機の飛行自粛についての協力要請がございました。報道各社の皆さん方にも届いているかと思いますけれども、内閣官房拉致問題対策本部事務局長代理の三谷さんという方のお名前で航空局長に対して協力依頼というものがございました。その中身は、どういう中身だったかと言いますと、テロ等の発生に備えた警察の警備諸対策への支障、ホテル利用者や周辺歩行者の通行の妨げ、交通事故、交通トラブル等の発生等が懸念されているということでございまして、各種事故防止、ホテル利用者への配慮等の観点から、公道上への取材用車両等の駐車、ホテル玄関周辺等での多数の報道関係者による取材、ホテルへの本件滞在に関する照会等については自粛をお願いしたいということとともにヘリを使って取材をされることについては、あるいは追尾することについては、ホバリング等で取材をすることは大変危険であり、また近隣住民に多大な迷惑をおかけすることになるので自粛をお願いしたいと。また都内滞在予定のホテル上空でのホバリング等による取材についても警備上問題が多く、ホテル利用者にも迷惑になるので是非自粛をお願いしたいという要請がまいりまして、航空局といたしましてはそういった要望を踏まえまして、この協力要請にこたえる必要があるという判断をいたしまして、同本部が求めた飛行自粛の要請をノータムにより運航者に周知したものでございまして、国土交通省としては取材のための飛行の自粛を求めたものではないということでございます。
(問)従来ですと、マスコミ側と協議をした上で決めていくのですが、今回は協議も無く突然の発令だったので、こういったやり方についていかがお考えですか。
(答)そうですね。内閣官房の拉致問題対策本部から要請がありましたのも直前でございました。そういう意味では、協議をする時間的余裕が無かったという面もあろうと思います。また軽井沢において、会談の中身が聞き取れないほどヘリコプターのホバリングの音がうるさかったということ。また様々な苦情等が寄せられておりまして、そういうものを勘案して内閣官房の拉致対策本部において御判断をされたのだと思います。
(問)当省の組織再編に伴って北海道局が廃止されるかもしれないという心配が地元では浮上しています。今日、北海道知事も改めて地域に与える影響が大きいということで、枠組みの継続等、北海道局の存続を要望しますけれども、大臣は北海道局の存廃についてはどのようにお考えか、またいつごろに方針を出すのか、その時期についてお聞かせください。
(答)基本的には、来年の4月1日からスタートするということの組織改編要求というものを行う前提として、今、省内で4省庁を一体にした今の体制をより融合して効率的かつ現状に即した業務が行えるような組織変革を指示しているところでございます。現時点においては、決まっていることは何一つございません。したがいまして、今、何らかの形で予断を持って申し上げるという段階ではございません。
(問)二点お願いします。まず、先ほどの金賢姫さんのことなんですけれども、今日もリリースされますが、今回の訪日についての総括というか評価をお伺いしたいというのが一点で、まずそちらの方からお願いします。
(答)私も昨日、一昨日と韓国に行ってまいりまして、向こう側の韓日国会議員連盟、あるいはハンナラ党の主要幹部、国会議員、あるいは柳外交通商部長官、あるいは玄仁沢統一部長官、あるいは青瓦台の秘書室長などとお話をいたしまして、冒頭に、私がごあいさつするときに必ず申し上げておりましたのが、大韓航空機爆破事件の実行犯である元死刑囚、金賢姫さんを韓国政府の取り計らいによって日本に送っていただいたこと、出国をさせていただいたことについては心から御礼を申し上げるということを申し上げて、それに対して、それぞれのほとんどの方からお話がございましたのは、拉致問題は日本にとっては特別な大変重要な問題であると認識をしていると。我々も韓国の中で、北朝鮮に拉致をされた人達がいて、日本の思いはよく理解をしていると。何らかの情報が提供されたり、あるいはこういったものを通じて拉致というものについて国民に更に意識を高めていただいて、そして拉致問題の全容解明と問題解決につながれば、我々としても喜ばしいことだといったお話がございました。正に韓国側もそういった思いで、金賢姫元死刑囚を出国させてくれたのだと思っておりますし、今回、拉致被害者の家族の方々と直接お話をされ、そしてまた皆さん方に取り上げていただくことによって、もう一度国民の皆さん方に拉致問題の重要性ということを再認識していただく機会を得たということで、私は大変意味のあったことではないかと思っております。
(問)もう一点が、昨日、鳩山前総理大臣が、都内で記者団に対して参議院選挙の反省や国家戦略室構想を諦めないという注文を付けた上で、現段階での9月の代表選で、菅総理大臣を支持したいという考えを表明されました。大臣としては菅さんを指示するお考えはあるのか、また御自身の出馬というのは考えていらっしゃらないのか、この二点をお聞かせください。
(答)私は菅総理から指名をされた閣僚でございますので、菅内閣をしっかり支えて自分の仕事をしていくということが自分に与えられた使命だと、このように考えております。
(問)それは代表選でも支持すると理解してよろしいでしょうか。
(答)今申し上げたとおりでございます。
(問)昨日、渉外知事会という米軍基地を抱える知事さん達が官邸などに行って要請をしたのですが、その中で会長の松沢神奈川県知事が、沖縄の基地問題を代表とする専任の大臣を置いてほしいという要望を官房長官に伝えたのですが、官房長官は大臣の数が限られているという理由で難しいというふうに返答をされていますが、現在兼任という形で沖縄担当大臣をされている大臣として、このような要望が出たということの受け止めをお願いします。
(答)兼務という中で沖縄問題に対して私も真摯に取り組んでまいりました。これからもしっかりと、沖縄担当大臣というのは基本的には沖縄の振興をつかさどる大臣でございますので、沖縄の自立的な経済発展につながるような振興策をしっかり沖縄県と協力して、今後も続けてまいりたいと考えております。
(問)昨日、山陽新幹線のトンネル内で事故がありましたし、一昨日はJR西日本の車掌が防護無線装置のヒューズを抜き取ったということで逮捕されています。JR西日本に相次いで、また安全対策に疑問符がつくような出来事が起きておりますけれども、受け止めをお願いします。
(答)まず、7月21日にJR西日本の車掌が器物損壊容疑及び偽計業務妨害によりまして、警察に逮捕されるということが起きました。これは複数の車両の無線装置ヒューズを抜き取っていたと、こういうことでございます。これは極めて由々しき問題でございまして、どういったヒューズを抜き取っていたかと言いますと、列車防護無線の予備電源のヒューズを抜き取っていたと。列車防護無線というのはどういうことかと言いますと、最後の砦なんですね。つまりは踏切に何らかの障害物、トラックが止まって出ていけないと、こういうようなときに知らせるための最後の砦としての大事な事故防止のためのボタンの予備電源のヒューズを抜いていたということで、もしこれが見つかっていなくてこれが使用されていたとすれば通常電源が壊れていた場合に機能しなくなるわけでありまして、重大な事故が起きていた可能性があったということで、私は極めて問題だという認識をしております。極めて遺憾でございます。このため7月21日、近畿運輸局長からJR西日本の社長に対しまして、今回の事案を含めた背景の説明と、そして車両や乗務員の管理などの安全管理体制の状況等を徹底的に調査及び検証の上、必要な措置を講ずるように文書により厳重に警告をいたしまして、検証結果について文書により報告をするように指示をいたしました。また、昨日は午前4時20分にJR西日本山陽新幹線の新神戸-西明石の間の須磨トンネル内におきまして、保守用車両が他の保守用車両に追突して、追突した車両の一部が脱線をしたと、警察の現場の保全命令もありまして、復旧をしたのが同日の午後2時半であったと、6万人以上の方々の足が乱れたということでございます。これも、毎日毎日やる補修というもので事故が起きたということで、これは大変問題だと私は思っております。話を聞きますと、2つの保守用車両というのは別会社によって下請けに出されていたということでございまして、この保守体制に何らかの問題点がなかったのかどうなのかということをしっかりと調べなければいけません。したがいまして、昨日これもまた近畿運輸局からJR西日本に対しまして文書による厳重警告をいたしました。そして、原因及び再発防止策につきまして、これまた文書により報告を求めるといった手続きを取ったところでございます。私も先般慰霊式に出席をさせていただきましたけれども、5年前の4月25日にJR福知山線で107名の方がお亡くなりになられるという、また多数の怪我人を出すという痛ましい脱線転覆事故を起こした、そしてその安全管理が最も求められている交通事業者、そしてその取組をしてきたと思われていたJR西日本が、繰り返しこういう安全にかかわる問題を起こすということは極めて遺憾でございまして、警告を行いましたし、また文書による状況把握、問題の分析、そして再発防止策こういったものをしっかりと出していただき、必要があれば更なる指導をしていきたいと、このように考えております。

(以上)