前原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年7月13日

(平成22年7月13日(火) 10:35~10:55  於:国土交通省会見室)

1.発言要旨

 私からは特にございません。

2.質疑応答

(問)日曜日の参院選の結果ですが、敗因と党執行部の責任問題、総括の在り方含めてお考えがあればお願いします。
(答)参議院選挙の結果は、大変厳しいものがございました。真摯に受け止めなくてはいけないと、このように思っております。また他方、比例代表の票を見ておりますと民主党が第一党でございますし、一人区で競り負けたところがたくさんございます。自公の協力というところが大方のところだったと思いますし、そういう意味では自民党が完全に復調したとは思っておりませんし、みんなの党が伸びたという部分については、むしろ我々が政権を取って様々な制約の中で現実的な対応をしていることについて、よりラディカルに改革を進めようというところがみんなの党の支援に回ったということを考えれば、私の総括はやはり政権交代、変革の期待を頂いたということをしっかりやっていくということが必要でその点についてはぶれてはいけない、そういう思いを新たにいたしました。衆参ねじれで国会運営が大変になると思いますし、執行部の責任うんぬんを言うよりも菅総理がこのねじれをどうとらえて、政策ごとの連携というものを模索をされるのか、あるいは連立というものを新たな党に呼びかけられるのか、そういったところはまさに総理御自身がお決めになることでありますけれども、より安定した政治を作るということ、それは野合ではなくて政策本意で安定した政治を作るということをやはり目指していかれるべきではないかと、このように考えております。
(問)厳しい国会運営を迫られるということだと思いますが、先ほど総理がどういうふうに決めるかというふうにおっしゃっていましたけれども、大臣自身はどのように考えているのかということと、今後の国交省の政策もある意味野党ともいろいろ議論しながらということになると思いますが、今後概算要求も控えておりますしその辺どのように考えているかお伺いします。
(答)ねじれになってどういう運営をこれから与党として、責任政党として行っていくのかということは、これは総理御自身が考えられることだと思います。総理以外には、そういうものを考える人はいないわけで、そういう意味では総理が政策ごとの連携を模索をされるのか、あるいは連立という、より安定な方策を他党に呼びかけて模索をされるのか、それは総理がお決めになることだと私は思います。その上で、私はやはり今回の民意というもの、もちろん我々は反省すべきところは多々ありますけれども、自民党の政治の延長線上では少子化にも歯止めがかかっていないし、社会保障はガタガタだし、そして何よりもGDPの1.8倍以上の借金を抱えてしまって予算を組むにも組めないような状況にしたのは自民党ですから、そういう意味ではいろいろなところに聖域なき改革をやっていかなければ、日本の運営はできないということで古い政治に戻るということはあり得ないと私は思っております。そういう意味では、不断の改革をやっていくということが必要であり、国土交通行政もその視点に立ってやっていくと。河川にしても道路にしても他の公共事業にしても今までのような自民党政権下のような総花的な事業をやっていてはもうもたないということを我々は政権交代で変え始めたのですから、その点についてはぶれずにやっていくということに尽きると思っております。
(問)敗因については、菅総理の消費税の発言が唐突だったということに敗因を求めていらっしゃる方も党内でいらっしゃいますが、それについて大臣はどう考えられるのか。また、党内では今はこの執行部でやると菅総理はおっしゃっていて、松木謙公さんはその中で変えるべきだと話をしていらっしゃいますが、このタイミングで変えるべきだという声についてはどう思われるのかということと、当然ながら9月の代表選が民主党にはあるわけですが、そこに向かって小沢氏の発言力を高めるべきだというグループもありますけれども、代表選をどういう形で臨んでいくかという点について、大臣の考えがもしあればお聞かせください。
(答)先ほど申し上げたように、今、党内がごたごたしているのではなくて、やはり一致結束をする中でどう立て直しをしていくのか、前提条件として私は改革を進めていくしかないと思っておりますし、またそうでなければ日本の持続的な発展はあり得ないということだと思います。そういう意味では、しっかりとした選挙の総括をしなくてはいけないし、私は閣僚懇談会でも申し上げたのですが、消費税の発言だけに敗因を求めていたら本当の選挙の総括はできない。もちろん、それで大きな影響があったのは事実でありますけれども、やはり我々の10か月というものを見られているということが大きなポイントとしてなければいけないと思うのですね。そういう意味においては、予算そしてマニフェストの主要項目、こういったものについて我々はしっかりと原点に戻ってやり抜くという決意を持たなくてはいけないし、その根本になっていたのがやはり予算の組替え、税金の無駄遣いを徹底的に無くしていくということでありましたので、特別会計の仕分けが秋から始まるということでありますけれども、その前にそれぞれの役所で徹底的に公益法人の見直しなどをしっかりやっていくということに尽きるのではないかと思っております。代表選挙については、様々な方が日本を良くしたいという思いの中で代表選挙をとらえていかれると思います。それは私は全くのオープン、自由であって良いのだろうと思います。
(問)大臣御自身は。
(答)私は菅さんに指名された閣僚でございますので、閣僚としての役割をしっかり果たしていくと、それに尽きると考えております。
(問)参院選の群馬選挙区で八ッ場ダム推進を掲げた自民党の候補が圧勝した形になりましたけれども、改めて中止の方針に変わりはないか伺います。
(答)先ほど申し上げたように、GDPの1.8倍もの借金を抱えて、ほぼ予算が組めないような状況にしたのは自民党であります。その自民党から政権交代で、総花的な公共事業の在り方を見直すということで、ダムの建設事業についても本体工事に着工していないものついては予断なき再検証をしていくということでありますし、八ッ場ダムについても中止の方向で予断なき検証をしていくという方向に全く変わりはありません。
(問)八ッ場ダムに関連してですが、今日、今後の治水対策のあり方に対する有識者会議が開かれて、再検証の中間取りまとめ案が発表されますが、八ッ場ダムについて大臣は以前、中止の方針を示して予断なき検証をしていくとおっしゃってますが、再検証の結果にかかわらず、例えば建設継続という再検証の結果が出た場合でも最終的には建設中止と判断されるのでしょうか。
(答)中止の方向で考えております。ただ、予断なき再検証ということを行っていると。これ以上、これ以下でもございません。
(問)概算要求についてお伺いします。去年の政権交代後に、民主党は概算要求時にシーリングを廃止しましたけれども、今週、玄葉政調会長が来年度の予算方針について党が一つの指針を作って、それを参考に政府としてのシーリングをやってもらうと話しています。 国交省としてこれから概算要求に向けて作業を進めるわけですけれども、シーリングが一部復活するということの趣旨についてお願いします。
(答)詳しくは聞いておりませんし、まだ閣議でも閣僚懇談会でも具体的な話はございませんので、具体的な話が出てきたときに私の意見を申し上げたいと思いますが、マニフェストでは4年間で1.3兆円の公共事業費を削るということで、国土交通省と農水省については1年で1.3兆円削っておりますので、そのことをしっかりと前提に置いた対応というものを取っていかなくてはいけないと考えております。
(問)先ほど、大臣の御発言の中で反省すべきところが多々あるとかというようなこととか、我々の10か月が見られているとおっしゃいました。具体的には、今回の選挙でその辺りの点に関してどういう民意が示されたかというふうに受け止められているのかというのがまず一点、もう一点が増税とその背後に恒久財源無きばらまきとも指摘される子ども手当であるとか、農業の戸別補償、あるいは高速道路の無料化もその辺りに入ってくると思いますが、その辺りへの民意の反発というものもあったという受け止めもあるのですが、その点について御所見をお伺いします。
(答)先ほどみんなの党はラディカルな改革をということで、我々が政権を取って現実に直面する中でモデレートになった部分もあったと思うのです。例えば子ども手当にしても月々一人当たり26,000円と言っていたものが13,000円になったと。農家への戸別補償については、まずは米農家からということになりましたし、高速道路の無料化についても、これは元々原則無料化、段階的にということで、2割の高速道路を無料化したということで、マニフェストに掲げたことについて全く真逆のことをやったわけではないし、嘘をついたわけではありませんけれども、しかし財源の問題との絡みの中でマニフェストどおりにやれてないということについては、やれなかった理由と、そして今後どうするのかということについて、我々はしっかり説明しているつもりでも有権者、国民には十二分に伝わってない面もあるのではないかと、このように思っております。もちろん、今後、例えば子ども手当についてはなぜこれを導入したのかということでありますけれども、数十年続いてきた自民党政権下で有効な少子化対策が取れなかったわけです。今の日本の窮状というものの大きな原因の一つは人口減少と、それに伴う超高齢化が進んでいるというところにあるわけで、いかにこの少子化傾向を止めてバランスの取れた人口構成にするのかということが急務だと思うのです。そこに子ども手当が一つの大きな柱としてあったわけでありますからそこがぶれてはいけない。しかし今後、地方自治体と相談をしながら、例えばそのサービスというか現金給付については半額にして、他の部分については自治体に任せる、あるいは不妊治療の支援などをやっていく、様々な形での少子化対策というものをやっていくというバリエーションはあっていいのではないかと思います。いずれにしましても、なぜそういう方策、政策を取り入れたのかということについてぶれることが私は一番良くないことであって、ただそこのバリエーションについては国民にしっかりと説明をしながら、堂々と政治を行っていくということが大事なことなのかなと思っております。
(問)参議院選のマニフェストと前の衆議院選のマニフェストと同じような記述の部分がある政策の中で、選挙の判断、有権者の判断が前回と今回とでは違うのですけれども、そこはやりにくくなかったでしょうか。
(答)54議席から44議席に減りましたけれども、先ほど申し上げたようにこの結果は真摯に受け止めなくてはいけません。しかし、比例代表の得票は我々が第1位でございますし、一人区で競り負けたというのは公明党の協力というものがあって自民党が競り勝った部分もあったわけでありますので、そういう意味においては我々は選挙の結果は真摯に受け止めながらも細かな分析をしっかり行って、そして何よりも自民党の政治の延長ではもう日本は立ち行かなくなるということで政権交代が起きたわけですので、その方向転換というものをしっかりとやり続けるということ、先ほど八ッ場の御指摘もありましたけれども、様々な意見があると思いますが、我々は自民党の政治の延長線上では日本はもう立ち行かないということの中で政権交代をさせていただいたんだという思いの中で、しっかり日本の舵取り、改革を行い続けるということが大事なことだと思っております。
(問)今回の選挙結果を受けて、選挙の総括にも当然時間を要するでしょうし、当然いろんな政策の検討にも時間がかかるかもしれないという部分もあると思うのですが、改めてになりますが、国交省の組織改革を来年春からやりたいというようなことをおっしゃっていたと思うのですが、その辺に変わりがないか、そしてその際の方向性をこの夏までにお示しするお考えがあるか、改めてその辺をお聞きしたいのですが。
(答)時代に合った国土交通省の組織にしていくということは大事なことでございますし、選挙結果いかんにかかわらず、これからの国土交通省の使命を果たしていくために、そしてより4省庁の統合というものを進めるために組織変革というものは行っていきたいと思いますし、ある一定期間までにその考え方をまとめていきたいと、そして来年の4月からはそれでスタートをさせていきたいと、その考えに変わりはございません。
(問)夏までにというのは、そこはまだですか。
(答)夏までというのはいつですか。
(問)概算要求に組織、人員の要求を盛り込むかどうかということとの関係なんですが。
(答)ほぼそれにパラレルだというふうにお考えいただいて結構です。
(問)高速道路の料金の見直しについてなんですが、参院選の結果で参議院の状況がこういう状況になって、なかなか法案が通りづらくなる状況になったと思うんですけれども、改めてどのようなスタンスで臨まれるのかということを教えてください。
(答)高速道路の料金の問題のみならず、これから全会一致で通るような法案以外はすべてねじれが続くとなれば、厳しい状況に置かれるのは間違いないというふうに思います。だからこそ一番初めに申し上げたのは、政策ごとの部分連合という形を菅さんが模索されるのか、あるいは新たな連立を模索されるのか。私はやはり、より安定した政権運営の形を模索しないと個別の法案ですぐ行き詰まると。我々もねじれというものをてこに与党を追い詰めていったという経験があるわけで、3分の2以上持っていた自民党、公明党の連立政権でさえ、大変な政権運営をされていたわけでありますので、決して甘くないと、3分の2もありませんしね。そう考えると、私は何もせずにねじれの状況でこのままいってもなかなか展望が描けないのではないかというふうに思っておりますので、菅さんがどういう御判断をされるのかと。また、そういうものも代表選挙に私は大きく影響してくるのではないかと思います。
(問)今年は日航ジャンボ機の墜落事故から25年となりますが、来月12日の慰霊の日に御巣鷹の尾根に登られる意向はございますでしょうか。
(答)現時点では、慰霊登山をさせていただいて亡くなられた520名の方々の御霊に改めて哀悼の意を表したいと、このように考えております。25年という、四半世紀という節目でもございますし、また所管担当大臣として1月19日に日本航空の再生というものを決断して、そして今その途上にあるわけでございまして、そういう意味では日本航空の再生というものと、そしてやはりああいう事故が二度とあってはいけないと、こういう思いをしっかりと日本航空のみならず航空会社、あるいは航空事業者すべてに共有していただきたいと、こういう思いで慰霊登山をさせていただきたいと考えております。
(問)その意向について、日本航空に伝えられたということなのでしょうか。
(答)事務的にどうなっているかはわかりませんけれども、群馬県知事、そして上野村長さんから是非というお話がございまして、私も先ほど申し上げたように、520名の多くの方々が亡くなられて、四半世紀を過ぎたこの時期に、また日本航空の再生を今行っている時にお参りをさせていただいて、亡くなられた方の御冥福を改めてお祈り申し上げるとともに、ああいう事故が二度と起こってはいけないと。520名の方々の犠牲の上に、これからしっかりとした航空事業の安全を確保していかなければいけないと、そういう思いを新たにしてまいりたいと、このように考えております。

(以上)