前原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年1月22日

(平成22年1月22日(金) 17:35~17:58  於:国土交通省会見室)

1.発言要旨

 私の方から1点お話をさせて頂きます。就任直後に建築基準法の改正というものをしっかりやっていきたいということを申し上げておりました。確認期間の短縮、提出書類の簡素化、そして厳罰化と。皆さんご承知のとおり姉歯の問題があり、建築基準法の改正で非常に厳しくなったがためにかなりの落ち込みを一時的にしましたし、今尚、そういった事業に携われる方々からは見直しをして欲しいという要望がかなり寄せられております。そういう意味で、今回まずは運用改善の案をまとめさせて頂きました。それを皆さん方に発表をさせて頂きたいと思います。詳しくは後で住宅局から説明をさせて頂きます。今般、緊急に対応すべき事項について建築確認手続き等の運用改善の方針のとりまとめを行ったところであり、施行規則や関係告示等の改正については、3月末目途に公布を行い、6月に施行する予定であります。今回の運用改善のポイントは、大きく4つございます。ひとつは、確認審査と構造計算適合性判定の並行審査を可能とすること等により現在の審査期間、約70日の概ね半減を目指します。2つ目は、構造計算概要書の廃止や設備関係図書の簡素化等関係図書を大幅に簡素化いたします。3つ目は、違反設計等に対する処分を徹底いたします。4つ目は、建築基準法以外の住宅性能評価や長期優良住宅の認定に係る図書を簡素化いたします。この4つでございます。そして、先程申し上げたように、今後更に制度の見直しを進めて必要なものについては法改正を検討して参ります。法改正のポイントといたしましては、この建築確認日数の短縮というものをしっかり書き込むということも行っていきたいと思っております。また、適判の対象建築物を限定するということも改正の中身で検討していきたいと思っています。そしてもう1つは、故意の場合に限って罰則を強化することです。まずは運用改善で業者の皆さん方の加重な負担というものを減らして、そして更にヒアリングを行う中で法改正も目指していきたいと、このように考えております。私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)会社更生法の適用を申請した日本航空ですが、当初運航継続への懸念も一部あったと思いますが、その後取引とか運航で支障が出ているという報告が大臣のところに来ていますでしょうか。
(答)関係者の方々のご努力、或いは報道関係者の皆さん方がかなり事前に報道して頂いたことによって19日の前後、継続をして日本航空が飛び続けておりますし、大きな混乱ということも私の手元に報告は全くございません。少々デポジットを積んでくれと、こういうような話はあるようですが、それ程大きな混乱には至っていないという報告を受けております。気を抜かずに引き続き万全を期して、飛び続けながら再生を図るという日本航空の基本姿勢というものをしっかりと貫いて参りたいと思います。
(問)民主党の小沢幹事長の土地取引を巡る問題に関連して、明日幹事長が東京地検の事情聴取に応じられるという見通しになっていますが、どのような対応を期待されますでしょうか。
(答)事情聴取に応じられるという決断をされたことは大変良かったことだと思います。あとは、検察がしっかりと話をされて、そして小沢幹事長が仰っているように自ら疑念を晴らすための努力をして頂ければと。また、検察もしっかりと話を聞き事実解明をしっかり求めてもらいたいと思っています。
(問)国際線の2社体制について3年目途に1社にするかどうかというご発言がありましたが、大臣は以前の会見で、「全日空が何か要望があれば堂々と私に言ってこい」という発言をなされましたが、全日空からこれまでに国際線について発着枠も含めて、国交省に対して何か要望が来ているのであれば教えて下さい。
(答)私は従来から2社体制が望ましいと申し上げて参りましたし、一部の新聞では軌道修正のような話がありましたが、私は今までずっと言ってきたのは、国内の2社体制というものはしっかり堅持していかなくてはいけないと、そして国際線でも今後、日米のオープンスカイ協定、アライアンス間の競争といったものが定着をしていって、そして無駄が省かれる中でコードシェアがより進んで、そして2社がそういったアライアンス間で競争されて発展をしていくということであれば、それはそれで私は結構なことだと思っております。なにも国際線を1社にしなくてはいけないということを申し上げたことはございません。しかし今後の航空需要、これは観光立国も含めて増やしていきたいと思っておりますし、またアジアの成長というものをしっかり日本の航空産業も取り入れるような経営努力をしていただくということによって、私は人口減少社会においても需要が減るとは思っておりませんし、むしろ増えていくだろうと考えております。また例えば1つの例で申し上げると、人口は1千万人にも満たないシンガポールがシンガポールエアラインという立派な航空会社を持っておられる訳でございまして、人口とその航空会社の成功というのは必ずしもパラレルに結びつくものではない訳ですので、そういう意味では競争をしっかりとやってもらう中で、今まで通り2社体制で切磋琢磨してもらいたいという基本的な認識は変わっておりません。しかしながら今回、企業再生支援機構という半官半民の公的資金も使って会社更生法を適用したJALを再生をさせていくということでありますので、これは必ずうまく成功させなければなりませんし、色々な専門家の中でも、果たして日本は国際線メガキャリア2社体制というものが果たして成り立ちうるのかという疑問を投げかける方々もおられる訳でございます。それはおそらくLCC等の台頭による競争の激化というものが大きな背景にあるのだと思いますが、そういうことも含めて機構から手を離れる時には、そういったことも選択肢として考えておかなければならないことだと思っております。そして全日空からそういう話があったかどうかですが、正式に全日空から日本航空の国際線を引き受けたいという話はございません。
(問)小沢幹事長の件できちんと説明してもらいたいと話をしていましたが、先日の秘書の方3人が逮捕され、国民は疑念を持っていると思うと仰っていましたが、明日このような形で応じれば疑念というのはどの程度払拭されるとお考えですか。
(答)捜査中のことですので、小沢幹事長自らがどういう取り調べがあってどういうことを話したということを仰れれば、その中身については知りうる訳ですが、捜査中であり私は仰ることも含めて是非も含めてそういうことにはならないだろうと思います。従って慎重な捜査が行われると信じておりますし、小沢さんも自ら潔白だと仰っている訳ですから真摯にお話をされるのではないかと思っております。
(問)事件の関係ですが、鳩山総理が昨晩、石川議員について起訴されないことを望むと仰られ、今日になってその発言を撤回されたのですが、一連の発言についてどう思われますか。
(答)総理ご自身が仰られた発言で、予算委員会という極めて公式の場で撤回をされたのですから、それで結構じゃないでしょうか。
(問)あの発言が不用意だとか軽いという指摘もありましたが。
(答)総理が色々お考えられて撤回をされたのですから総理のお考え方というものを尊重したいと思います。
(問)日航の問題ですが、機構の支援を受けて、しかも法的整理をしたということで、財務的に相当日航が改善するということで、産業的にはある種のクラウディングアウトがあるみたいなことが起こる可能性がある訳です。こういったものを行政としてどういう風に注意を払っていくのか。実際にライバル会社の方から航空局に対して何らかのそういった規制みたいなものが必要ではないかとの申し入れもあったようですが、これについてどうお考えでしょうか。
(答)どの産業界においても、私的整理であれ法的整理であれ税金を入れる入れないは別にし整理をされてピカピカになったりピカピカまではいかなくても競争力がついた場合においては、同業他社が相対的に不利な状況に置かれるということはあり得る話だと思いますし、その点についての懸念と言うのは今回の日航の問題でも打たなければいけないと考えております。私共といたしましては従来から申し上げておりますように、観光立国でインバウンドのお客さんを精力的に増やしていくということと、空整勘定の見直し、公租公課の見直しを含めて航空会社全体の負担軽減というものを如何にやっていくかということを成長戦略会議で今まとめている最中でございますので、そういったことをやる中で日本の航空会社の競争力を全体として底上げをしていくとこういった戦略、政策、対策これを取っていかなければいけないのではないかと思っておりますし、全日空や他の日本航空以外の航空会社の懸念に応えるような対応を国として、国土交通省としても行って参りたいと考えております。
(問)何らかの新しい規制のようなものを設けると、支援を受けた会社に対してそういったお考えはあるのでしょうか。
(答)これは先程申し上げたように他の産業分野においても必ず言われる問題なんですね。従って今回の日本航空の問題を受けて国土交通省が何らかの指針を出すというよりは、公正取引委員会が私は主体的にあらゆる産業分野に適用されるような指針というものをお作りになられるのが適当ではないかと思っております。特にこの企業再生支援機構というのは次から次へと案件が持ち込まれているようでありますので、航空業界のみならず他の業界においても恐らくそういった懸念が生まれてくると思いますので、是非、公正取引委員会においてはそういった取組みをして頂きたいと思いますし、私も担当である仙谷大臣にはそのお願いをしたいと考えております。
(問)その関係ですが、例えばこれから運賃でJALが比較的リーズナブルな非常に低いレートを出してきた場合に、果たしてそれは企業努力によって出されたものなのかどうかというのが非常に僕らもよく分からない、公的資金がいろいろ入ってきているものですから。そうするとそこは非常に安い運賃を出してくるとですね、当然ライバル企業のANAやスカイマークもみな引きずられていく訳で、勿論僕らにとっては一瞬良いことなんですけれども、それで本当にJALが再生するのかどうか非常に心配で、体質改善になっているかどうか分からないので、そういうことは中々公正取引委員会でも分からないのではないかと、つまり業界のことをよく知っている国土交通省ではないと中々分からないのではないかと思うのですが。その辺り、特にETICの中に入ってしまっていると僕らも中々見れないので、その辺りどうなのかJALの今後にも係わるので心配なのですがどうでしょうか。
(答)価格についてはこれは民間企業が決められることでありますし国がとやかく介入すべきものでは基本的にはないと思います。しかし日本には独占禁止法というものとか、それを取り締まる公正取引委員会という組織がある訳です。従って先程お話を申し上げたように会社更生法、或いは民事再生法、或いは企業再生支援機構を使った企業再生、こういったものが行われて同業他社が不公平な競争条件に置かれるということがあってはならない訳でありますので、公正取引委員会でそういった指針を作って頂くことが望ましいということは基本だと思います。そしてその指針を仮に作って頂いたとしたときに、これも難しいのですけれども、例えば恐らく日本の航空会社でもLCCを作られるということになると思います。つまり価格というのはそのサービスの内容とも深く関わる訳ですね。LCCというのは徹底的にサービスを無くして、そして価格を下げると。つまりは、価格はある程度取られるけれども、サービスが付いているものを望まれる方もおられれば、そうでないと、安ければそれで良いんだという方もおられますので、それでその安いチケットを出してきた会社に対して、特に行政が何らかの指導を行うということは基本的は慎むべきだと思いますけれども、ただ何らかの、明らかに不当な価格であるということが起きた場合には、公正取引委員会と相談をするという場面が出てくるかもしれません。何れにしても、国土交通省の中で何らかの基準を作るということは今のところ考えておりません。公正取引委員会に一般的な全産業に通ずるような指針というものを作って頂くよう仙谷大臣にお願いしたいと考えております。
(問)24日に名護市長選が行われるんですけれども、大臣は名護市長選の結果が米軍普天間基地の移設問題に与える影響をどのようにお考えでしょうか。
(答)大きいでしょうね。賛成派、反対派に分かれて選挙が行われているわけでありますので。直接市長に決定権があるわけではありません。公水面の利用を許可するかどうかは知事の権限でございますので、市長選が直接影響を及ぼすわけではありませんけれども、しかし、やはり住民の意思というものがどういう形に出るかということは大変注視をすべきことだと思っております。ただ、どういう投票行動をされたのかということはしっかり分析をしないと、単なる辺野古にイエスかノーかだけではなくて、他の経済問題や市政に関わる問題も含めて候補者を選んでおられる方々もおられるでしょうから、そういう意味では単なる住民投票ではないと。あくまでも今後4年間の市政をどう運営されるかという判断をされる市長選挙だということは踏まえておかなければならないと思います。ただ、一番始めに申し上げたように影響はあると思います。
(問)24日の日曜日なんですが、八ッ場ダムに行かれて初めて住民の方と意見交換されると思うのですが、改めてどういった立場で臨まれるのか、そして住民の方とどういった意見交換の場にしたいのかというのを改めてお聞かせ願えますでしょうか。
(答)まず、政権交代が起きた訳であります。そしてダムを中止するという決定を鳩山政権として行わせて頂きました。しかし、住民の方々は当初ダムを造ることは反対であったにも関わらず、最終的には苦渋の選択を受け入れて頂いてダムの建設に協力をして頂いていた訳であります。それが政権交代が起きて、政策変更で今度はまたダムが中止だということになって、一番迷惑を被っておられる方々は住民の方々だと思います。住民の方々に何の瑕疵もありません。むしろ被害者だと思っております。そういう意味では、住民の方々に政策変更によって大変なご迷惑をおかけをしていることについて、真摯に心からお詫びを申し上げたい、これがまず第一点でございます。そして2つ目は、何故ダムによらない治水というものを考えて八ッ場ダムをその対象にしているのかといったことを利根川水系全体の観点のみならず、全国のダムによらない治水というものの考え方を、併せて私の口から住民の方々にご説明させて頂きたいと思います。そして3点目、最後に、もしお許しを頂けるのであれば、ダムにたよらない生活再建というものがどういうものとしてあり得るのか、住民の方々の具体的なご要望があるのであれば、そういったもののお話を聞かせて頂きながら、今後の参考にさせて頂きたいと考えております。何れにいたしましても、3番目については、ダム中止という前提での話でありますので、なかなか住民の方々は応じて頂けないかもしれませんが、何度もしっかりと現場に通って、皆さん方とお話をする中で、最終的にはダムにたよらない生活再建についての意見交換が出来ればと考えております。
(問)まず日曜日は、前半の2つということになるのでしょうか。
(答)そうですね。あとはどういったご要望なり、お話をされるのかということを承って、私でお答え出来ることについては真摯にお答えをさせて頂きたいと考えております。

(以上)