菅大臣記者会見要旨 平成22年5月28日

(平成22年5月28日(金) 9:05~9:22  於:参議院議員食堂)

1.発言要旨

 色々な雇用統計等が出ておりますが、やや雇用などに関しては厳しめのものも出ております。ただ、OECDの見通しなどでは日本も含めて上方修正ということで明るい数字も出ております。しっかりと経済を上昇させると、景気上昇をさせていくということで、色々さらに考えていきたいと思っています。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)普天間問題についてですけれども、日米の共同声明に関連して、政府方針を決める文書の署名を福島大臣が拒否する姿勢をずっと示しておられます。この問題について、福島大臣の対応について、まずお考えを伺いたいと思います。
(答)今日、どういう形で内閣としての一つの考え方をまとめるのか、まだ必ずしも段取りは明確になっておりません。色々な動きがあるということは承知をしておりますが、社民党内の色々な調整もあるようですし、注意深く、私からすれば今のところ見守っていると。もちろん担当されている人は、直接的にも色々と御本人ないしは社民党の幹部の皆さんと協議をされているのではないかと思います。
(問)今回の一連の普天間をめぐる問題というか、政権内の色々な動きというのか、揺れについて、ある種の閣内不一致状態であるように見られます。ここまで連立政権内の対応というのか、方針が乱れたことについて、やはり総理のこれまでの普天間問題への対応のまずさというのか、閣僚への統率力のなさがやはり問題になるんじゃないかというふうに思われますが、副総理は、総理の姿勢、これまでの普天間問題に対する総理の姿勢について、問題はないというふうにお考えでしょうか。
(答)あまり一般的に物を考えることとはちょっと違うのではないかなと。つまり閣内不一致という表現を今されましたけれども、やはりこれは連立政権なわけです。党が違うわけです。ですから、基本的な考え方で差があることを前提にして、しかし、政権運営の中ではある幅で政権を共にしましょうということで、3党合意を踏まえて、この間政権運営をしているわけです。ただ、その3党合意という枠の中でも多少の差が出る、あるいは意見の差が出ることは、同じ党内でもありますけれども、特に連立で党が違えばそういうことはあり得ることで、それをどのようにして3党でぎりぎりまとまっていけるかどうかという、そういった問題であると。だから、一般的な閣内の統一というよりも、やはり3党がそれぞれの立場を持ちながらも、どこまで折り合っていけるかという状況で、先ほど申し上げたように、そういう意味を含めて、それぞれの党内調整、あるいは色々な、両党と言って良いのか、総理なり官房長官なり担当している人と、各党との話し合い等が行われていると、今はそういう状況です。
(問)今日、消費者物価指数も出たと思うんですが、それについての御見解と、あとやはり一番懸念されているのは、今、雇用というところなのでしょうか。
(答)消費者物価指数は若干まだ下がり気味ですので、緩やかなデフレ状況が続いているという従来の範囲内にあるのかなと思っています。何とかこのデフレを解決するということで、もちろん色々な政策的なことを日銀と政府でそれぞれやっていくわけですが、今私が特に関心というか、私なりに色々検討しているのは、やはりデフレという状況を、どのように、原因をどのように理解するかということがあります。もちろん色々な議論がこれまでもあったわけですけれども、やはりデフレというものを生み出している今日的なデフレの原因、日本の今日的なデフレの原因というのは、多少言葉は他の方の言葉でありますが、いわゆる貨幣に関する貨幣に対しての選好とでも言うのですか、流動性選好という表現をされる方もありますが、つまりお金のままで持っていたいという、個人も企業も。物にかえて、物を買いたいとか、投資をしたいというよりも、お金のままで持っていたいという、そういう状況が、やはり先進国というか、どちらかというと成熟した国においてそういう傾向がある。特に日本がそういう傾向が続いているわけですが、そういうところにデフレの原因がやはりあるというふうに考えて、やはりそれに対してきちっと対応できる政策を打っていくことが必要かなと、このように思っております。
 今の質問の中で雇用のことが言われましたが、実は雇用についても、雇用そのものがもちろん重要というか、失業が減ることが重要だということは当然なのですけれども、実は雇用もデフレに非常に大きく関連していると。つまりは雇用が悪い、つまり失業率が高いというときはどうしてもデフレ傾向を促進するというか、雇用がタイトになってくれば賃金もやや上昇気味になりますし、雇用がタイトということは、需要があるから仕事があるわけですから、そうすると需給ギャップも小さくなってくると。ですから雇用対策という意味は、単に失業している人が困っているから何とかしようということを超えて、デフレからの脱却のためにも、ある意味では雇用ということが極めて重要な要素だと、このように考えて、色々取り組みをしていきたいと思っています。
(問)6月から子ども手当の支給が始まりますけれども、今仰ったような緩やかなデフレが続いている状況下で1万3,000円ずつ配られるという中で、消費とか景気に与える影響というのを今どのようにお考えか、改めて御見解をお聞かせください。
(答)これは色々な見通しもあり得ますが、やはり実際の支給が始まる中で、それがどのように消費につながっていくのか、そういうものがはっきりしてくるのは、もう少し色々な状況を見なければいけないのかなと思います。何らかの消費につながることは当然ながら期待されるわけですが、その中身というか、どの程度かということについては、もう少し様子を見なければいけないのかなと思っています。  それで一つ、これはもうちょっとニュースが古いかもしれませんが、IMFがこの間、ジョン・リプスキー筆頭副専務理事が来られた後に、日本に対する一つの提案というのか、声明を発表されておりまして、その中に、プライマリーバランスを10%改善することが必要で、それにはこういう組み合わせが必要だという、皆さんの手元にも多分いっていると思いますが、そういうものが出ております。やはり大変厳しいという言い方が良いのか、ドラスチックな提案が出されておりますけれども、つまりはIMFがもちろん全てではありませんが、より第三者的な立場の一つの見方として、そういうものもしっかりと念頭に置かなければならないと思っております。
(問)2点お伺いしたいんですが、普天間問題について、連立の離脱のような事態に発展するのではないかという声もありますけれども、大臣は今どのようにお考えになっているのかということと、それから別件で、来週末に韓国でG20の財務相会談が行われますけれども、大臣は現在でどのようなことが議論になるというふうにお考えか、日本としてどのようなことを主張するというふうにお考えでしょうか。
(答)連立については先ほど来申し上げているように、連立合意というものがあって、しかしその中で意見が色々と差が出ることはこれまでもあったわけですが、何とかそれを意見調整をして一定の合意にしていくと。この問題でもぎりぎりの今調整が続いているというふうに見ておりますので、総理もとにかく理解を得るように最大限努力をするという姿勢で臨まれていますので、私も今の段階でそれ以上のことを申し上げることは控えたいと思います。
 G20についてですけれども、G20というのは言うまでもありませんが、G7というのがどちらかといえば先進国クラブであるとすれば、G20というのは、それにいわゆるエマージング・カントリーと言うのでしょうか、新興国が加わった、ある意味ではより数が多いというだけではなくて、そういう新興諸国も加わったという、世界的な影響力という意味では、より大きな影響力をトータルとしては持った国々の集まりであります。ですから、一般的な議論としては、やはりリーマン・ショック以来の経済の動向をそれぞれ確認しながら、場合によってはその後の展開、それが出口戦略であるのか、あるいは色々な金融規制であるのか、色々あると思いますが、そういう課題の議論があると思っております。もう一つは、やはりヨーロッパの問題、ギリシャに端を発した問題も、当然G7の中にはヨーロッパ勢もおりますし、またそのことが、例えばヨーロッパに対する輸出に影響を与えているという形で他の国にも波及がありますので、やはりヨーロッパのことも一つの大きな課題になるだろうと。それと、先ほど申し上げた金融規制の問題も一つの課題になるだろうと。色々と為替のことも国によっては注目されておりますが、これもそういう新たな様相がどのような形で影響するのか、つまりはヨーロッパのこの状況がそういった議論にもどのように影響するのか、そういったあたりがG20における議論の中心になるのではないかと予測をしております。
(問)北朝鮮に対する制裁に関してなんですが、今日にも固める、発表するのではないかという見通しがあるんですけれども、その発表のタイミングの見通しについてと、それから海外送金などの届け出額を引き下げるという金融面での制裁強化ということも取りざたされているんですが、かなり金と物の流れがほとんどない中で、そういった政策がどれだけの効力を持つとお考えなのか、改めて教えてください。
(答)その件については、官房長官がまとめて発表なり会見される中で触れられるということを聞いていますので、そちらで聞いてください。
 効力については、これは確か昨日か一昨日の話でもしましたが、既に拉致に対する制裁でかなり厳しい制裁水準になっているし、さらに言えば、今認められている枠の中でも、かなり実質はそれをぐっと下回った状況が現実ですので、そういう意味での大きな影響というのは、あるいはそれほど現実にそういう流通がないという意味では、厳しくしてもあまり大きな影響はないのかもしれませんが、やはりここはちゃんとできることはしっかりと韓国やアメリカと連携してやっていくという、やはりそういう姿勢を示すという、そういう意味は私はかなり大きいと、こう思っています。

(以上)