菅大臣記者会見要旨 平成22年5月14日

(平成22年5月14日(金) 8:41~9:03  於:衆議院議員食堂)

1.発言要旨

 おはようございます。色々と経済の数字は出ておりますが、全体に明るい方向が続いていると、そういうふうに認識しております。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)2問伺います。まず1点目ですけれども、来年度の一般職の国家公務員の採用を半減するという首相指示が今年の4月に出ておりますが、昨日、峰崎副大臣の定例会見の中で、財務省としては、削減は国税庁や税関の業務に支障を来すというような御発言もありました。財務大臣として、今回のこの来年の職員の採用抑制方針についての賛否を含めた見解を伺いたいというのが1問目です。
 2問目ですけれども、民主党のマニフェストの企画委員会で財政健全化に取り組む方針を明記する方向になっているようですけれども、その書きぶりについて、財務大臣として消費増税を含めた税制の抜本改革について、その時期を含めて、どこまでマニフェストに書き込むべきだというふうにお考えになっていますでしょうか。以上2問です。
(答)まず、新しく採用する国家公務員の件ですが、考え方全体は、総務省を中心に出された方向について、財務省としても基本的な方向は了解をして、基本的な方向としての歩調は揃えていきたいと思っております。ただ、個別に、特に税関の場合は今色々な課題、もちろん薬物を含めた課題があって、もともと強化をしなければいけない状況にありますので、それはそういう要素のあるところまで機械的に原則どおりということにはなりませんので、そこは総務省の理解もいただいて手当てをしなければならないと思っています。 それから国税についても、これは、1つは国税の退職者というのは、ほぼ全員が、いわゆる肩叩きとは違って、定年まで勤めた人が辞めるという形になっていて、今回早めの肩叩きができないから全体で新しい人の採用を抑えるのとは状況が1つは違います。それと、やはり国税のほうもこの10年間ぐらいの傾向で言うと、例えば色々な事業所に調査に入るといった頻度が段々下がっていると。そういう意味で、なかなか徴税活動について、もちろん色々工夫もしなければいけないのですけれども、人員の面でも余り急激に下げると、徴税活動そのものが十分な形がとれなくて、結果として税収に対してマイナスの影響を与えるおそれが高いという状況があります。そんなことで、この分野についても、今総務省のほうにそういう事情をしっかり説明した中で、そういうことも勘案した形の採用というところで今協議をしているという状況にあります。
 それから、2点目の企画委員会の件ですが、基本的にこの会議は仙谷さんと高嶋さん、つまり内閣と党の代表者を中心に議論されている場所でありまして、私が財務大臣という形で直接参加したり、あるいは直接そこで意見を言ったりということはいたしておりません。私の立場では、皆さんの前でも色々申し上げていますが、直接的にその場に出てどうこうという仕組みにはなっておりません。あえて言えば、そこで上がってきたものを、政権公約会議というところに上がった場合は、私も総理や、確か官房長官とともに出席をする場がありますから、そういう手続きになっています。そういった意味では、今企画委員会でどういう形でまとめられるかということは、まさに企画委員会の議論の中で考えていただけるものと、そういうふうに思っております。
(問)2問お願いしたいんですが、1つは小沢さんの「政治とカネ」の問題なんですが、政倫審へ出席して説明する意向を表明しましたが、政倫審出席で国民に対する説明責任というのは十分果たされるとお考えでしょうか。また、内閣支持率がこういう問題で下がっているわけですが、事態打開につながるとお考えでしょうか。
 あともう1問、普天間関係ですが、総理は昨日、5月末で全て出来上がるのは難しいと、5月末決着を事実上断念のような発言をされました。この判断をどう思われますでしょうか。
(答)小沢幹事長が国民あるいは国会への説明ということで政倫審に出席の意向を示されているというのは、報道としては聞いております。これまでも、私もまだなかなか十分な理解を国民の皆さんにいただけているというところまでは行っていないので、できるだけ説明されるほうがいいのではないですかということをこういった席でも申し上げてきましたが、そういう点では政倫審という場でしっかり説明されるのも1つの大きな場ではないかと思っております。それが、そこで十分であるかないかというのを今からあまりあれこれ先回りして言うことはすべきではないのかなと。つまりは、政倫審という場でもしそれが進むとすれば、やはりそれによって国民の皆さんの理解が得られることを期待するということであります。
 それから、普天間の件について、総理が、私も報道で聞いている限りですが、詰めなければいけない問題があれば、6月になってももちろんやらなければいけないというような趣旨のことをおっしゃったと思います。さらに、5月末の決着を断念したわけでもないという趣旨のことも言われたように報道されております。いずれにしても、大きな大きな問題で、前の政権でも、10年以上かかってもなかなか決着というか、実際の移転まで行かなかった大きな課題でありますので、現在総理は、5月末決着を目指しながらも、6月になってもさらなる努力もしなければいけないという、そういう意欲というか、そういう考えを示されていることは、私の立場としては十分理解ができると認識をいたしております。
(問)小沢さんの問題について追加でお伺いしますが、小沢さん本人の問題はさりながら、閣僚や民主党からなかなかそういう小沢さんに対する厳しい声が上がってこないということが国民の民主党政権への失望、支持率低下にさらに拍車をかけているのではないかという声も国民の中であろうかと思うんですが、副総理の認識を問います。
(答)色々な見方があり得るし、またあることも承知をしております。私も色々な場面を経験してきましたので、やはり野党の時代は党の結束という言い方が一般的でしたが、今は政権担当もしておりますので、内閣と党という、もちろんそれは連立もありますが、それ以外のところはもちろん民主党の議員が大部分なわけでありますけれども、そういう中で、基本的には結束というか、そういうものをしっかり守りながら、同時に国民的に色々な疑問を持たれた問題について、どのような形で対応していくかというのは、常にその2つのことをしっかり考えながら、それぞれの議員なり、それぞれの立場の人が行動していくと。特に閣僚については、それぞれ重い役目を担っておりますので、そういう意味ではそういった「政治とカネ」の問題、あるいは党の問題も、もちろん広い意味では責任を担っている立場には変わりはありませんが、例えば私のような立場で言えば、まず第一義的には、財政とか経済とか、そういった問題に一番大きな責任を負っておりますので、重点というのか、優先度ということで言えば、そういう自分が担っている責任の一番重要なところに重点を置いて行動すると、そういう姿勢で私の場合はやっているつもりです。それが全体として十分かどうかというのは、確かに色々な意見があるということは、それはそれとして承知しております。
(問)2点お願いしたいんですけれども、先ほどの民主党のマニフェストの企画委員会には御参加されていないということは了承しているんですけれども、日頃から財政再建を仰っている立場として、民主党のマニフェストに消費税の増税方針を明記するメリット、デメリットについてどうお考えかというのを、まず1点教えてください。
 それから2点目は、昨日の峰崎副大臣の会見の話ですと、来週にも税調の3人の大臣でお会いにあって、今後の方向性を確認するということでしたけれども、大臣としてはどのような方向でまとめたいと思っていらっしゃるのか、お考えをお聞かせください。
(答)先ほどの質問ともやや似ているのですが、マニフェストというのは基本的には7月の参議院選挙に、7月とは確定的ではないかもしれませんが、次期参議員選挙に向かって党を中心に政権公約としてのマニフェストをまとめようとしているわけです。ですから、それにどういう形でどうするかというのは、選挙を見通しての色々な判断もあろうかと思います。ただ、私の立場は、ですから先ほども言ったように、それはそういう形で議論をされることはよく理解をできるわけです。同時に、私の財政を担当している立場からすると、今、ギリシャの問題が少し落ち着いてきてはいますけれども、新しいイギリスの新政権も、今、朝テレビを見ておりましたらポルトガルの政権も、やはりヨーロッパもギリシャに限らず、財政健全化というところに非常に政策のウエイトを置く、また置かなければなかなか信認が得られないという、そういう認識を非常に強く持っておられます。日本の場合は、私の申し上げた、昨年よりも多くの国債発行はできるだけしないようにしたいということを申し上げましたけれども、実際にはこの水準でも国債の残高が増えていくのですね。ですから、私はそういうことを考えると、他のヨーロッパ諸国、あるいは欧米諸国などでは、これは経済とも関係があるので非常に難しいのですけれども、いわゆる出口戦略などで言えば、1年、2年の間に、例えばGDP比の3%ぐらいまで単年度の赤字を縮小するとか、色々な目標を立てておられます。また、色々今消費税の議論も、ヨーロッパの諸国の水準と日本の水準はかなり違います。そういうことを含めて、私は本当にこれは皆さん方にも申し上げたいのですが、もうちょっと大きい目で報道してもらいたいというか、大きい目で分析してもらいたいのですね。何か知らないけれども、マニフェストにどう書いて、党内のどうだとかいうのは、それはもちろん政治部の記者だから仕方なのかもしれない、政治部だけではないかもしれないけれども仕方ないのかしれませんが、もうちょっと、国の単位の問題ですから、ソブリン・リスクというのは。だから、そういう国の単位で、それも1年、2年で今の日本の状況が生まれたわけではないわけですから。そういうしっかりしたところからちゃんと解説するなり分析するなり、あるいは色々な発言に対して色々なことを論じるなりしてもらいたいなと。何かものすごく目の前のことにやや話がなっていて、そういう構造的な、今からこの20年間、過去の20年間、10年間どうだったのだと。このままいったら、これから5年先、10年先にどうなるのだという、その大きなところをちゃんと踏まえた上での議論をぜひしてもらいたいし、また私が先ほど申し上げたように担当している立場は、そういうことを考えてどういう財政運営、経済運営をしていくかと、それを考えて言わなければいけないことは言うようにしているつもりです。
(問)2点目の質問を。来週の税調の3大臣の確認の件のお答えをお願いします。
(答)ですから、これは実は皆さんも見てもらったらわかるように、予算の審議の継続している段階から、今申し上げたようなことも念頭に置きながら、幾つかの場をつくってきたわけです。その1つが、税調はもちろんその前からありましたけれども、税調の専門家委員会という場をさらに加えて、そしてその専門家委員会の皆さんに、確か3月ぐらいからでしたか、2月ぐらいからでしたか、いわゆる所得税、法人税、消費税についても議論をいただくと。さらに4月に入って積極的にいただくと。また、番号の問題もかなり今ネジを巻いています。新年金制度についても動きを強めています。つまり全部がこの財政構造に極めて関連した問題です。ですから、今の御質問の税調専門家委員会の座長の神野先生と時折意見交換をしておりますけれども、一度税調会長の私と副会長の仙谷さん、それから原口大臣、両大臣、私を含めて、この段階での専門家委員会の皆さんの検討状況の話を聞き、さらに、その上でさらに積極的な検討を色々な形でお願いをしたいと。例えば、所得税などでも、一般的に言えば、この10年間で、主に、今の専門会委員会の皆さんは、過去の10年間、あるいは20年間の税制の検証をしてもらっているわけですが、例えばの話、この10年間ぐらいで所得税は累進性が非常にフラット化したと。それによって色々言われています。再配分機能が低下したとか、あるいは税そのものの徴収機能が低下したとか。税制全体がこの10年間でトータルすると減税になっているのですね、制度的に。景気の問題を除いてもですが。これは所得税に限りません。そういう問題とか、あるいはよく消費税については逆進性が言われるわけですが、逆進性に対しては、例えば複数税率の問題とか、あるいは逆に還付の制度とか、還付をするためには番号が必要ですから、番号の問題も今並行していますが、そういうふうに総合的に物事を進めていますので、そういう中でやはり非常に重要な議論の場が税調、そして今の税調の専門家委員会の場になっていますから、そういう話を神野先生からお聞きする中で、さらに色々なケースを想定して専門的な立場で御意見をいただきたいと、こう思っています。

(以上)