菅大臣記者会見要旨 平成22年4月13日

(平成22年4月13日(火) 9:33~9:51  於:参議院議員食堂)

1.発言要旨

 今日は総理が訪米中ですので、総理代理という形で閣議に出席をいたしました。皆さんが写真撮影されている前の部屋からなかなか次の部屋に移るタイミングが、いつも総理が立ち上がられるのがタイミングになるわけですが、そういえば私が立ち上がらなければいけないのだなということでちょっと時間がかかりましたが、それ以外は順調に閣議も済みました。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)いわゆる沖縄の密約問題で、先週裁判所が国が敗訴の判決を出しましたが、その中で裁判所は歴代の事務次官や財務官などの調査の必要性を指摘しています。財務省として新たな調査を行うという考えはありますか。
(答)実は財務省は私が財務大臣になって以降、かなり追加的な調査を命じまして、一部そういう方に対する、当時の関係者に対する聞き取り調査も追加的に私が大臣になった後やっております。事務方の説明だと、今回の判決というのは、結審があった後の作業になったために、そのことが必ずしも判決の中では、まだやる前のことを前提とした判決だったというふうに事務方の説明にはなっております。それはそれとして、ただあの判決はなかなか厳しい判決で、つまりはもし資料がないとすれば、それは相当なレベルの関係者が組織的に、簡単に言えば捨てたのではないかという趣旨のことが判決の中に盛り込まれています。そんなことでこの判決に対して、今申し上げたように既にある程度やっているのですが、更に当時の関係者で、まだ現在、簡単に言えば生きておられる方にさらなる調査をするかどうか、あるいはした場合にどの程度の効果が見込めるかどうか、少し政務三役を中心にまずは検討してみたいと、こう思っています。
(問)財政健全化法案ですが、今国会への提出は可能なのかどうか、現時点での準備の状況をお願いします。
(答)法案という意味での準備は色々なところに今お願いしていて、出し方の問題も、場合によっては仙谷大臣のところにかなり負担をおかけするような形になるかもしれないということで、まだそういう調整まではいっていませんが、事務方の作業なり一般論的な準備は進めています。一番大きな問題は、こういうことをこのタイミングで出すことについて、連立各党、ある意味では民主党自身も含めた連立各党との中での理解が、あるいは賛同が得られるか、つまり国会という場はもちろん内閣も関わりますけれども、各党の中での議論ですので、特に与野党議論ということになると、そこは国対なり各党との関係になりますので、その部分がまだどうなるか、これからの努力だなと、こう思っています。
(問)JBICの政府金融の見直しについて、これまでの国会審議の中でも大臣は前向きなご答弁をされておりますけれども、政府系金融機関の見直しの進捗状況について、特に関係閣僚間の調整などが今どういうふうになっているのかというのが1問目です。
 2問目ですけれども、昨日民主党の小沢幹事長の定例の記者会見の中で、昨年の衆議院選挙のマニフェストの修正について消極的に取れる発言がありました。半年で基本が変わるというならば、とても国民に納得されないと、そのような言いぶりなんですけれども、この発言についての受け止めと、当然子ども手当等々主要な昨年の衆議院選挙のマニフェストの政策内容を修正するということになれば、これは基本という話になるかと思うのですけれども、今後党側をどのように内閣として説得していかれるお考えなのかどうか、以上2点です。
(答)政策金融については、特に海外の仕事を進める上での問題などは戦略室の中に確かタスクフォースか何かが出来て議論されていると理解しています。一度関係閣僚が集まってやりましょうという話はしておりますが、私が出るような場での議論にはまだなっておりませんが、少なくとも関係するそれぞれのところである程度の議論というか、検討がそれぞれのところで多少始まっているという理解です。私のところで言うと財務省の管轄も割とあるものですから、JBICの位置付けなど政務三役の中で少し本格的な議論をしなければいけないと、こう思っております。
 それからマニフェストについての幹事長の発言というのは、私も報道で見ました。一般的に言えば、マニフェストというのは選挙に当たっての国民との約束ですから、基本的にはそれを実現するということを目指していくというのは当然のことですし、ある意味でその当然の立場を改めて言われたのだと理解しております。と同時に、私は政権公約会議でも申し上げたのですが、マニフェストは入りと出と両方入っております。つまりは207兆の総予算を見直して、そこからかなりの無駄遣いを省く中の財源を使ってこういうことをしようという入りと出と両方になっておりますので、マニフェストというのは入りと出の両方を含めた約束というか、こういうことでいきたいという中身になっておりますので、そういう意味で、先の予算の場合も最終的には暫定税率などについては、実質的にはマニフェスト通りには実行出来なかったということで、総理自ら国民の皆さんに謝罪をされた経緯もあります。そういう意味で何か出の方だけが約束されて、入りの方は約束されていないということではないので、今与党の中、そして政府、そして合同の会議で色々議論されていますので、そういう中で結果としては予算というのは入りと出と両方で予算を組むわけですから、そういうトータルの中で議論が進むと、こう思っています。
(問)政府税制調査会の方で法人税や所得税の専門家の議論が進みまして、今週消費税の議論がなされて一通り主要税目が議論されます。今後税調のこの議論について大臣としてはどのようにされていくおつもりなのかお聞かせ願えますか。
(答)かなり活発な議論を進めるようにお願いしてありますので、ある段階になればその専門家の皆さんの議論の経過なり、中間的なまとめがあるとすればそういうものをまずは税調全体で聞く、あるいは私個人でその前に聞くかもしれませんが、そういうことになるだろうと。その扱いについては聞いた上で次の段階についてどうするかを考えていきたいと思っています。
(問)最近増税によって景気がよくなるとか、増税によって景気をよくする方法もあるというようなご発言をされていますけれども、普通、直感的に言うと、増税すれば一時的に景気は悪くなるのではないかという受け止めが多いと思うんですが、どういった理由でそういうことを考えられているかを説明していただけますか。
(答)1つは3月24日の予算が成立した時に、私の記者会見で申し上げた中に書き込んだというか、申し上げましたが、デフレという状況、今の日本のデフレ状況というのは、先進国の中でもこれだけ長い期間デフレ状況から脱却出来ていない国は私の知る限りは日本だけです。その原因について相当この間色々な専門家や、また私の足元の事務方に検討させました。そういう中でやはりお金の流れが、循環が悪いと。もっと別の言い方をするとお金を持っておくことと、それで物を買うこと、使うことの中で、持っておくことそのものの方が、そうしたいという意欲が強いと。物の少ない時代、例えば昭和20年代、30年代、40年代ぐらいまでは、テレビや洗濯機や自動車、新しい製品が出てくれば、お金さえあれば使いたかったわけですが、2000年に入ってからはお金があれば使いたいというよりは、お金があっても使わないで、お金で持っておきたいという意欲が非常に傾向として強まって、それが今のデフレ状況の背景にあります。そういう時にお金を使わない状況がデフレであり、あるいは経済の成長を妨げているとすれば、お金をもっと循環させて有効なところに使うためにはどうすればいいか。1つは国債で、借金でやるやり方、1つは税によって分担してもらって、それを使ってやるやり方という、いずれかであることは、これはどなたが考えてもそれしかないわけですから、そういうやり方があるのではないかということを申し上げているわけです。
 更に言うと、この間、私は経済財政担当でもありますし、その部局に過去のいわゆる増税といいましょうか、税率を上げた時点の経済に与えた影響を再度詳細に検証させています。例えばある時期、3%から5%に消費税を上げた時に、上げた途端に非常に消費が低迷したと。それはその通りなのですが、その直前には消費が増えているわけです。つまり駆け込み需要があって、その後駆け込み需要の反作用が出て、ある長さで見れば必ずしも景気にマイナスではないというのが、私が聞いている事務方というか、専門家の当時の分析です。それから当時も、実は増税と言われながら直前に所得税を中心とした減税がかなり行われています。ですから昨日の講演のことを多分言われているのだと思いますが、過去のそういう部分的な増税の部分だけ取り上げて、それが、景気が悪くなった原因だということが客観的に言えるのか、そうではなくて政治家自身が、私も含めて、どうもそういうことで選挙に負けたと。例えば1998年の参議院選挙で橋本政権が大きく負けて退陣したとか、幾つかの例があるわけですが、それがそういうことであったというふうに多分皆さん方も思っているし、多くの国民にもそういう形で伝わっていると。それが本当なのかどうなのかということを今徹底的に検証させていると。そういうことを含めて申し上げているわけです。
(問)NHKの世論調査で内閣支持率が先月よりマイナス6ポイント下がりまして32ポイントになりました。支持率の下落が続いていることの受け止めと、もう1つ、民主党の岐阜県連が内閣支持率の低下に歯止めがかからないなどとして新体制を求める意見書を提出しました。この2点について受け止めをお願いいたします。
(答)支持率が下がっているというのは大変残念なことだと思っております。もちろんそれにはそれなりの理由というか、そういうものを国民の皆さんが何らかの理由を、あるいは原因を感じておられるからだと思っております。そういう中で私の役割としては、今経済財政を担当する大きな役割を総理からいただいておりますので、その分野でしっかりした行動を取り、しっかりした結果を出すことで国民の皆さんの支持を回復する、高めていく努力をしたいと、こう思っております。この7カ月間、幾つかの経済対策や成長戦略や雇用対策を色々打ってきました。色々な見方はあると思いますが、結果として経済状況が少しずつ上向いてきて、まだまだ予断を許さないところはありますが、二番底の懸念もかなり薄らいでまいりました。いよいよこれからがこの20年続いた長期低迷経済状況から脱却する攻めの段階だと思っております。そういう意味では、この7カ月間でもある程度のプラスの結果が出てきていると思いますが、いよいよこれから本格的に長期的な成長路線への転換につながるこれからの1年だと、こう思っておりまして、そういうことに全力を挙げることで支持の回復を努力したいと、こう思っています。

(以上)