菅大臣記者会見要旨 平成22年4月6日

(平成22年4月6日(火) 8:42~8:56  於:参議院議員食堂)

1.発言要旨

 今日は1件、平成22年度予算執行調査の件について、これは閣僚懇でもご報告をいたしましたが、例年財務省として予算執行調査をやっております。今年も今日から着手するということを閣僚懇でも申し上げました。特に今年は従来以上に力を入れて、調査件数も当初は83件ですが、最終的には100件程度、秋以降も含めて追加をすることにいたしております。調査の通年化ということでやっていきたいと思っております。少し詳しいことは財研の方に投げ込みをしますので、是非よく見ていただきたいと思っております。

2.質疑応答

(問)JRの不採用問題で、関係閣僚で協議が進められていると思いますが、現状と大臣としての考えを教えてください。
(答)これは直接的には国交省がある意味で担当省庁として色々努力をしていただいております。最終的な政府としての考え方を今取りまとめて、もちろん原告団といいましょうか、そういう皆さんとの合意を図らなければなりません。もう相当煮詰まってきた段階で、いつの時点というのはちょっと国交大臣に聞かなければ分かりませんが、そう遠くない時期に結論が出ると、政府の考え方はほぼ固まったと、そのように申し上げてよいと思います。ポイントは、1つは判決が従来出ていますので、やはり判決の内容とそれ以降色々な議論の中で、ある意味で、判決で出されたものを超えたある種の給付というか、ある種の追加的な色々なものの負担もするということで、その辺りが国民の皆さんにもしっかり理解していただけるような中身にしないといけないと。もちろん原告団の思いは、長年の大変なご苦労もありますけれども、やはり裁判という手続があった中での最終的な1つの和解的なやり方ですので、そういう裁判の結論と和解の中身について、ある程度の上乗せがあるわけですから、それをきちんと国民の皆さんに理解されるものにしなければならないと、そういう姿勢で今ぎりぎりの調整をやっていると、こう理解しています。
(問)2問お願いします。日銀の白川総裁が間もなく就任2年になられます。日銀総裁人事は当時野党だった民主党が、色々な人事案に反対されたことを経て白川氏が就任されたわけですが、その白川氏の仕事ぶり、特に政権交代後、政府との連携やデフレ脱却に向けた金融政策面での総裁の仕事ぶりの評価を伺いたいというのが1問目です。
 2問目ですけれども、本日中期財政運営に関する検討会で論点整理が示される見込みになっております。副総理自身は国会答弁などで公的債務残高の対GDPを数値目標の1つとして掲げる見通しを述べられてきておられますが、論点整理から最終的な中期財政フレームが出来るわけですけれども、それに向けてどのような内容が盛り込まれることを期待されておられるでしょうか。
(答)白川総裁とは政権スタートから私も当初は経済財政担当という立場で、現在はそれに加えて財務大臣という両面で色々意見交換を続けております。そういう意味で私自身は白川総裁、非常によくやっていただいていると。もちろんそれぞれの独立性とかそういうものをお互いが分かった上で、しかし同時に政府と日銀がある意味では一体となって、特にデフレに対する対応をしてきているわけで、そういう点では私は政府と日銀のこの間の対応は非常に共通の目標を持ってそれぞれの立場で努力するということで、かなりいい形で進んでいる、このように思っております。
 それから中期財政フレームの論点整理ですが、この論点整理は特に国家戦略室を中心に色々と外部の専門家の方の意見を聞いた中で、ある意味ではそういう専門家の皆さんの意見を中心にした論点整理だと、こういうふうに理解をいたしております。この中期財政フレームは、今後もちろん6月に向けてさらに中身を詰めていくわけですが、中期財政フレーム自体が重要であることはもちろん言うを待たないわけですけれども、逆に言うと、それに沿った形での財政運営をやらなければなりませんので、そこについてやはり相当の議論や努力が内閣の中でも与党との間でも、さらに言えば野党、国民の皆さんとの間でも必要だと思っています。ですから、これはあくまで論点整理という段階ですので、それをちゃんと最終的な形にすることと、それを踏まえた財政運営が出来るようにすることと、ある意味ではこれからがスタートだと。まさにスタートの段階の論点整理であって、結論というよりはこれから本当にこういう形でやり切れるかどうかという議論がいよいよ本格的に始まるというふうに見ていただいた方が正確ではないかなと、私はそういうふうに思っています。
(問)中期財政フレームの関連で、その前提となる成長率について昨年末閣議決定された新成長戦略では名目3%、実質2%を目指すとしているのですけれども、その数字を堅持されていくのか、あるいは市場では1%が妥当ではないかという見方も出ているんですけれども、再設定することもあり得るのか、お考えをお聞かせください。
(答)確か私が見る範囲では、そういう成長の関係のことはストレートな形では盛り込まれていないように思います。先ほど申し上げたように専門家の皆さんに財政という枠の中で議論をいただいたようですので、と言うのは、副大臣は出ていますが私自身は出ていませんので、そういう位置付けでの議論だったと聞いておりますので、必ずしも成長をどのぐらいに予測してということにはなっていないのではないのでしょうか、皆さん文書を見られているのではないかと思いますが。成長率の問題は、もちろん成長戦略を含めて最終的には色々大きな関係を持っております。これは、党によっては、というかですね、4%成長が黄金律だとかと言っている関係者もいますし、昨年暮れに出した成長戦略の骨子の中に出した名目3%、実質2%もやや高めではないかと言う人もいます。それは両面ありますので、これは成長戦略の中ではこれから煮詰めていきます。中期財政フレームの中で、先ほど申し上げたように論点整理からさらにこの最終的な形をする時にその問題を入れることになるのかどうか、ちょっと今私の立場ではよく分かりません。国家戦略室の方で議論の進め方はやっておられるので、ちょっと分かりませんが、そういう関係になっております。
(問)自民党の方の件について伺いたいんですけれども、平沼さんと与謝野さんが新党を作るということですが、今見えている範囲でその新党の理念についてどう思うか、あと新党が出来ることによって参院選への影響をどう考えるか、その辺を伺います。
(答)あまり他党の関係の色々な動きをコメントすることは適切かどうか分からないので申し上げることは控えているのですけれども、多少の感想を言えば、何となくこれまで与謝野さんがやってこられたことと、平沼さんが言ってこられたこととは、郵政の問題とか、平沼さんというのは非常に、どういうふうに言ったらよいのでしょうか、ある意味で国のあり方等についてもかなり固い信念を持っておられて、私は与謝野さんは比較的リベラルな人だと思っていますが、平沼さんはちょっとリベラルとは違う路線ではないかなと。だから私の中ではお二人というのは、同じ自民党なり自民党系の人の中でもかなりそういう意味では違った政治的スタンスの方だと見ておりましたので、そのお二人が一緒になるというので大変だろうなと。もちろん郵政をめぐっても、もともとかなり立場が違うということもありますけれども、そんな印象があります。
(問)参院選への影響はいかがでしょうか。
(答)選挙への影響というのは、いつも言っているようにあらゆる要素があるものですから、ないとももちろん言えませんが、そんなに大きくあるかどうかも、ここは何とも言えないですね。
(問)中期財政フレーム、6月までに中身を詰めていくということなのですけれども、改めて歳入増に対して大臣のお考えと、どこまで具体的に書き込んだ方がいいと思っていらっしゃるのか、お考えをお聞かせください。
(答)先ほど申し上げたように、これは国家戦略室が中心になって取りまとめをされているわけで、もちろん私も直接その場には出ておりませんが、色々な機会にある程度の意見交換はしております。ですから、どこまでどうしたらよいかというところまで、あまり私からこうあるべきだということは言っておりません。ただ最終的なところでは、もともと3年間程度の財政のあり方を示すということになりますので、当然財政というのは入りと出があるわけですから、あるレベルの入りと出についての表現が必要になるだろうと思っています。ただ何回も言いますように、今日出されるのは論点整理ですので、結論ではありません。まさにこれからの議論を深化させるための論点を提示すると。特に専門家の皆さんの立場からの問題提起だと、このように受け止めています。

(以上)