菅大臣記者会見要旨 平成21年11月17日

(平成21年11月17日(火) 10:24~10:47  於:官邸記者会見室)

1.発言要旨

 それでは、閣議後の記者会見をさせていただきたいと思います。

 今日の閣議の前に、予算関係の閣僚委員会を開きました。その中で、まず、予算編成に関する閣僚委員会における合意というものをまとめさせていただきました。皆様のお手元にも行っていると思いますが、この中で、来年度の予算編成の基本方針並びにマニフェスト工程表の主要事項、さらには三党連立政権の合意書、その他重要事項について、予算編成に関する閣僚委員会で議論も行い、その取り扱いを決定すると。従来は、財務省の主計局を中心にこういうことが議論され、形式的にはもちろん閣議にかかったわけですが、そういった部分について、基本的には閣僚委員会の責任のもとで議論をして、取り扱いを決定するという形を確認をいたしました。その上で、同閣僚委員会のもとで、国家戦略室が、行政刷新会議の協力を得つつ、国債発行額の上限を含む「予算編成の基本方針」の原案を作成すると。ある段階で、国債発行額、さらには税収見通し等々を踏まえた全体像、さらには、この3番目ですが、マニフェストの主要事項等の取り扱いについても、同閣僚委員会のもとで、国家戦略室が中心となって論点整理を行うということですので、従来、場合によっては、主計局がある部分やっていたようなところも含めて、マニフェスト等の重要事項については、論点整理という形で一つの形をつくっていくと、こういうことを確認をいただきました。仙谷さんのところでやっておられる仕分け作業と並行する作業と理解しておりますけれども、なかなか大変な作業だなと思っておりますが、しっかりやっていきたいと、こう思っております。

 これにも関連しますが、もう一つ、これも皆さんの手元に行っていると思いますが、予算重点指針というものを閣議に報告をし、了承をいただきました。これは、補正予算と本予算についての基本的な、この段階における方向性ということであります。内容は、文章をお届けしてありますので、細かいことは、それを見ていただければと思っております。別紙の形で補正予算に関連することを、特に、多少詳し目に、さらに説明をいたしております。その中で「経済対策検討チーム」の設置ということも出ております。この経済対策検討チームというのは、全体としては補正予算をまとめるに当たっての検討チームという理解であります。というのは、本予算については、もう既に各省から概算要求が出ておりますので、そういう意味では、もう概算要求が出た後における対応は、先ほど申し上げたマニフェスト等の主要事項については、国家戦略室で取り扱うというところであります。補正予算については、まだ要求が出される前の段階ですので、副大臣級の会議でいろいろと議論をしていただく、場合によってはいろいろ提案をしていただこうと、このように思っているところです。

 とりあえず、私からは以上です。

2.質疑応答

(問)2問お伺いをします。
 1問目は、予算編成についてです。今、二次補正が念頭の経済対策検討チームを設置されるという御発表がありましたけれども、それとは別に今日の一部報道で、いわゆる民主党のマニフェストの具体化に向けて、来年度予算に向けた副大臣級の検討チーム、作業部会を設置するというような報道がありました。それと一緒のものなのか別のものなのか、その確認をさせてください。それが1問目です。
 2問目は、デフレについてです。昨日のQEの会見で副総理はデフレの懸念を示されましたが、日本銀行はどちらかというと、デフレ認定については慎重というか消極的だと思います。その姿勢のそごについて、副総理はどのようにお考えかということと、あと政府と日銀の間で、今後、政策対話を検討されておられるようですが、その政策対話において、デフレの認識について、すり合わせをどのように進めていくお考えか、以上2問、お願いいたします。
(答)最初のほうについては、若干説明の中で少しあいまいだった点が従来あったかもしれませんが、今申し上げましたように、ここに書いてある作業チームは、補正予算を念頭に置いております。本予算については先ほど申し上げたように、もう既に概算要求が出ている中で、一緒になった場で、それぞれ提案をしてもらうということの必要性はないと思いますので、逆に言えば、例えば子育て支援について、厚生労働省から具体的な制度設計の説明を聞くとかということは、国家戦略室としてはやらなければならないと思っていますが、それよりもさらに別に何かをつくるということは、作業チームをつくるということは、考えておりません。
 それから、デフレの認識云々についてですけれども、この経済財政担当部局の中での扱いは、一定のこの慣例的なルールというものがあるようで、ある期間このデフレが、デフレといいましょうか、いわゆる、いろんな指数がデフレの傾向を継続したときには、デフレ状態にあるという表現をするという慣例があるようでありまして、そういったことで、最終的には月例経済報告の中で、何らかの表現がされると思いますけれども、そういう意味合いで、若干の発言を先日私からも申し上げました。日銀との関係は、そういった意味で、私どもも、あまり主観的にものを言っているわけではなくて、客観的なデータからものを申し上げているわけですので、そこは日銀にもそういう裏づけ等は、理解を当然されているものと思います。明日ですか、あさって、また日銀の政策決定会合がありますので、まだ参加者、ちょっと今日中に決めなきゃいけないと思っていますが、そういうことも含めて、そういうフォーマルな場、場合によってはそれ以外の場も含めて、日銀との意見の交換は、きちっと、日銀の独立性を侵さない範囲で進めていきたいと、こう思っております。
(問)今のお答えは、副総理御自身が日銀の金融政策決定会合に出ることを検討されるということですか。
(答)今そこまでは私自身は考えていませんが、この間、津村政務官に出てもらっていますけれども、まずちょっと、昨日からいろんなことが立て込んでいて相談していませんが、できれば3人の政務三役のうちのだれかが出たほうがいいかなと思います。
(問)補正予算に関してなんですけれども、これまで補正予算の規模について、大体2.7兆円規模というお考えを示されていましたけれども、一部閣僚から異論が出ているようですけれども、改めてその規模についてはどのようにお考えになっているのかということと、あと予算編成に関して、与党間の連携を密にしてほしいという要望も出されているようですけれども、これについての対応について、お願いできますでしょうか。
(答)まず補正の規模の問題で、これは昨日も取材にはお答えしましたように、当初は第二次補正の中で施行凍結をしたもの、2.9兆のうち2.7兆が本年度に入ってくるということで、入るというか戻ってくるということでしたので、そういう規模を想定していたことは事実です。しかし、基本政策委員会で、上限をあらかじめ決めるのではなくて、いろんな効果的な内容が出てきたときに、ある意味でそういうものを待って、結果として幾らになるかを考えればいいではないかという御意見がありました。それも一つの考え方でありますので、あえて、この段階での上限のような形の数字は外したところです。実際にどうなるかということでいいますと、多少ざっくばらんに言えば、これはだれもが考えていることですが、景気対策という足元の重要性と、それからいろいろな財政規律という中長期の、いわゆる財政規律という問題をいかにバランスさせていくかという、これは私もですが、すべての閣僚が常に念頭に置いていることだと思いますし、総理もそういう趣旨の話をされております。そういう中で、多少意見が、これはどの党でも、あるいはどういう立場でもかなり意見の幅があることはあるわけですけれども、今日閣議で了解された、この予算の重点指針等の中でも、そこをしっかりとバランスのとれたものにしようということで積み上げているわけですから、そういう大きな流れの中で補正予算についても考えていくことになると。そうすれば、おのずから、どういう程度になってくるかというのは、私は議論していけば煮詰まっていくものだと、このように思っております。
 それから、与党間での議論ということで、昨日の基本政策閣僚委員会で、それぞれの党首から御意見をいただきました。そこで予算に関しては、この基本政策閣僚委員会のもとに何らかの、いわば作業チーム的なものを設けようということになりまして、今日、多少の案を、もちろん民主党の、総理、官房長官とも相談した上で、社民党、国民新党の党首にも、こういう形の作業チームでいかがでしょうかということを提案をしております。各党首が指名する人、数字は書いておりませんが二、三名ずつぐらいの規模の、そして国家戦略室あるいは財務省の副大臣クラスが参加する、そういう場を考えたらどうだろうかということを今お示しをしているところです。そう遠くない時期に形を決めて、基本政策閣僚委員会の責任のもとで議論いただこうと、このように思っております。
(問)確認ですけれども、補正予算及び本予算の編成に関してつくる作業チームというのは、経済対策の作業チームと今おっしゃった与党間の調整のチームと、この2つということでよろしいんでしょうか。経済成長に関する作業チームというのは、どこかでつくるんでしょうか。
 それともう1点、先ほどマニフェストの質問がありましたが、これに関連して、マニフェストの予算を圧縮することは、今度の予算で考えていくんでしょうか。
(答)ちょっと、私もいろんなものに関連しているものですから、多少整理が必要だと思っておりますが、といいますのは皆さんも御承知のように、いわゆるチャレンジ25というものの中でも副大臣会議があります。その中でも、今、環境にかかわる問題として、いろんな施策の案を出していただいています。そこでも、私のほうからは、これをやれば幾らの費用がかかって、どれだけのCO2削減効果があるか、あるいは経済効果がどのくらいあるかということもあわせて提示してほしいということも言っておりまして、それを受けることに、そう遠くない時期になります。それと、その一部がこの補正予算ともダブりますので、そういう意味で、ちょっといろんなものがややダブって動いているということです。
 それから、今言われた成長戦略等の議論を本格的にする場合には、これはこれとして、また何らかの形をとる必要があるだろうと。もう既に私が知っているだけでも、幾つかの省で、それぞれ独自に成長戦略の議論を始めておられますし、それは大変結構なことだと私は言っているんですが、そういうものをどこかの段階では、こういう一緒の土俵に乗せていく必要はあるだろうと思っています。ただ、今すぐ補正の議論の前にというか、その成長戦略の議論を今すぐ始めるというつもりはありません。ちょっと間を置いて、多分補正が実質上、税の議論が実質上、終わった後になるかなという、そのぐらいの展望です。
 それから、マニフェストについては、圧縮という言葉がありましたが、マニフェストの内容の中で、多くの場合は、例えば高速道路の無料化のように、いろんなところでその効果を含めて、試験的にまず部分的にやっていこうというようなことも書かれているところもありますので、必ずしも圧縮という発想でものを見るつもりはありません。ただ、実際に初年度からやるのがどうなるかということは、もちろん来年度の予算ですから、つまりは初年度、イコール来年度の予算にどこまで盛り込むかということは、検討の中身に入ります。
(問)補正予算の関連で伺いたいんですが、こちらの別紙にある紙、さっき配られたものですが、「即効性のある」というところに書かれていますけれども、エコカーとかエコポイントとか、既にやっていることもかなり入っていて、新規的なものが見当たらないんですが、即効性があるものについて、今、大臣はどういうものを考えられているのかということと。
 あと、公共事業をやらないということで、短期的に成長率については影響が出てくると思いますが、ある程度、昨日出たような高い成長率が維持できなくても、やむを得ないというふうにお考えなのかどうか、それでも底割れしなければ、何とか支えられればいいというふうな方針で今度の補正予算を組むのかどうか、その2点について伺いたいんですけれども。
(答)まず即効性の高い政策ということで、一つの例示としてエコカー、エコポイントがあります。確かに、これまでもやられてきたことですが、これを延長するかどうかというのは、かなり大きな判断になりますので、そういう点は、まさにこの政権としての新しい取組ということになります。
 また、住宅、建物のエコ化という、あえて言えばエコ住宅と言ってもいいんですが、こういうことについても今検討しておりまして、これを取り込もうとすれば、もう一つ大きな柱になってくると、このように考えております。
 それに、いろんなところに書いておりますが、何か財政出動をしなければ需要が拡大しないという発想が非常に広がっておりますが、私はそれは間違った考え方だと思っております。例えばソーラーエネルギーでの発電の、クリーンエネルギーと言ってもいいですが、それを固定価格で全量買い取るということを決めれば、既に今、一部値段を上げただけでもソーラーパネルの販売力が大変伸びております。例えばエコ住宅というときも、断熱性の高い窓ガラスや壁をつくることを、例えば建築基準法で義務づけたとすれば、それも新しい需要につながるわけです。
 また、雇用のところでもよく申し上げているように、ミスマッチで、一方で失業者がいると、一方で、介護の分野のように人を募集している人がいる、こういうところで3万人とか5万人とかが働けば、それに伴って新たなサービスという財源も生まれるわけですから、これも成長につながるわけです。ですから、先だって発表した緊急雇用対策の中での10万人の新規雇用というのは、それがちゃんと定着した段階では、私は300万円としても、3,000億程度のGDP引き上げ効果は、時間は若干かかるものもありますが出てくると思っております。
 そういった意味で、何か景気が悪くなることは覚悟の上でやるのかということは、全くありません。何としても二番底にはならないように、景気を効果的に刺激し、引き上げていく、そういう中身として補正予算も組んでいきたいと、こう思っています。
(問)確認ですけれども、エコカーとエコポイントは、補正の財源で延長したいというお考えなんですか。
(答)ですから、そういうことを含めて検討するということです。それは、かなり即効性の高いものだという認識は持っています。

(以上)