菅大臣記者会見要旨 平成21年10月23日

(平成21年10月23日(金) 12:26~12:55  於:官邸記者会見室)

1.発言要旨

 それでは、定例会見を始めます。

 今日は、緊急雇用対策本部の第2回会合が開催されました。もう官房長官の報告なり、直接の取材もあったと思いますが、私はこの緊急雇用対策本部の本部長代行ということで、細川律夫厚生労働副大臣に事務局長をお願いして、取りまとめをしたものであります。1週間という短い時間ではありましたが、実は相当前からいろいろ準備をしておりましたので、かなりしっかりした内容がまとまった、このように思っております。

 内容等については、資料が、少なくとも関心のある方には届いていると思いますので、あまり細かくは申し上げません。大きな項目としては、貧困・困窮者支援、さらには新卒者支援といった緊急的な支援措置、また、介護や農業、林業など雇用創造といった分野、特に、単に講習を受けて、講習が終わっても仕事がないということではなくて、そうしたスキルアップの講習が、そのままトライアルな雇用などと組み合わせて実際の就職につながっていくような、そういうことをかなり工夫した内容になっております。

 さらに、こういったプログラムを単に発表して各省庁にお願いするというだけではなくて、緊急支援アクションチームというものを設けました。大きく2つに分けまして、貧困・困窮者支援チーム、こちらのほうは主査として山井厚生労働大臣政務官が、また、新卒者支援チームには高井美穂文部科学大臣政務官を、こういう形で、ちょっと前後しましたが、緊急支援アクションチームのチームリーダーには山井和則政務官を。先ほど申し上げたのは、この緊急支援アクションチームの内側に、貧困・困窮者支援チームと新卒者支援チームというものを設けたところであります。また、緊急雇用創造チーム、これはたしか細川副大臣自らがチームリーダーになっていただいていると思いますが、いずれにしても、単に政策を発表するだけではなくて、そこに盛り込まれたものが実際に具体化していくように、それぞれの立場で見守って、場合によってはフォローしていきたいと思っております。

 実は、昨日、民主党幹事長、幹事長職務代行、国対委員長と総理と私と官房長官で、民主党の首脳会議をやりましたが、その席でも私のほうから小沢幹事長に、この緊急雇用対策本部で取りまとめたものについて、場合によっては全国の自治体にもいろいろお願いしなければいけない。全国の、例えば連合の支部にもいろいろ協力をお願いしなければいけない。その場合に、民主党としての対応が、政府だけでは必ずしも十分ではないので、できれば党としても受けとめていただきたいということをお願いしまして、国民運動委員長の小川敏夫参議院議員に受けとめていただくという方向で了解をいただきました。これから、そういった意味では政府として取り組むと同時に、経済界、労働界、場合によっては学校などにお願いし、自治体にもお願いし、また民主党としては、党としても地方組織を含めて、地方議員を含めて取り組むように、そうした形でお願いといいましょうか、取り組みをしていただきたいと思っております。

 もう1点、予算編成等の在り方の改革について、これはもう今週初めに発表いたしましたが、きちっとした形で閣議決定し、来年度の予算編成にそれが具体化されるようにということで、今日の閣議で決定していただきました。いろいろな論点が出ておりますが、実は取りまとめたときには、22年度から実施するものと、23年度以降に実施するものに分かれておりました。今回は、とりあえず22年度、つまり、来年度から実行するものをさらにより具体化した形で閣議決定いただきまして、それを全閣僚において、それぞれの立場でそこに盛り込まれたことを実行していただくようにということに、閣議決定という形でなったわけであります。内容については、もう既に御報告をしているところも多いので、質問でもあれば、またお答えさせていただきたいと思っております。

 もう1点、今日、荒井聰衆議院議員が、総理大臣補佐官に任命され、同時に、国家戦略担当の総理補佐官ということに決定いたしました。元々、この国家戦略…現在は「室」ですが、国家戦略室は、総理の直属の機関でありまして、私はその担当という形で、まさに担当させていただいているわけですが、その意味では、総理が自らの補佐官を増員して、荒井聰さんを国家戦略室担当にしていただいたというのは、私にとっては大変心強いことだ、このように思っているところであります。これから国家戦略室、国家戦略担当ということで、いろいろ一緒に働けるものと、このように思っております。

 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)予算編成の関係でお願いいたします。先日の予算編成のあり方に関する検討会の論点整理の方向で、今日、閣議決定されたわけですけれども、これまで菅副総理は、今まである種固定化されてきた省庁ごとの予算シェアみたいなものは、やはり打破する必要があるということを、ずっと訴えてこられました。今日の閣議決定の内容を踏まえた上で、そういう省庁ごとの予算シェアを打破するための実現に向けた副総理自身の動き方について、今、どのようにお考えになっているかというのを教えてください。
(答)たしか9月29日でしたか、そのときの方針の表現はちょっと忘れましたが、私の理解でいえば、今進行していること自体が、予算のシェアを大きく変えているいろいろな行動が起きていると思っています。たしか29日のそれでは、シーリングをという方式をとりませんでした。つまり、シーリングというのは、基本的に去年を100として、例えば5%カットといったやり方が一般です。ということは、少なくとも95%までは、ある意味でのシェアは変わらないということですから、思い切って増やすところ、思い切って消すところはできないという構造に、長年なってきました。その中に、膨大な無駄が隠されていたわけです。  今やっている作業は、そういうシーリングを外しまして、それこそゼロベースで、それぞれの場面、補正予算の問題、今、本予算の問題がありますが、ゼロベースで出していくということでありますし、また、それをチェックするほうもゼロベースでチェックをするということでありますから、まさにそのことが今、進んでいると理解するのですが、今回の予算編成等のあり方についての改革において、精神としては、もちろんそういう考え方は入っておりますが、たしか、この具体的な中には、逆にいうと、シーリングとか云々ということそのものを入れておりませんので、特にそこに的を絞った表現にはなっておりません。  ただ、来年度から間に合うかどうかは別として、再来年度を含めて、これからの方向性の中、あるいは来年度の問題でも、これから具体的な来年度の予算編成の中では当然ながら、省庁間のシェアが大きく変わるような方向に、我々としても推し進めていきたいと思っています。
(問)そのときの副総理自身の具体的な関与の仕方というのは、どういう場面を想定されておられるのでしょうか。
(答)これは、予算編成の基本方針というものが9月29日に出ておりますが、そのときの基本方針は、主に概算要求を出すに当たっての基本方針ということでありました。今後、どの時点になるかは別として、いろいろな税収見通し等もかなり見えてくる。あるいは、現時点でのいろいろな雇用統計等も、だんだん新たなものが出てくる。そういう中で、これから12月末に向けての予算の編成のまさにいろいろな作業の中で、適当な時期がいつになるかまだ決めておりませんが、もう一歩、もう二歩、踏み込んだ予算編成の基本方針を打ち出す。そういった中にあって、その中身は国家基本戦略室のほうで取りまとめていくことになります。
(問)その予算編成の基本方針なのですけれども、これは税収見通し、国債発行を含めて、歳入の大枠を示すものと理解してよいのか。  あと、これは来年度以降もつくるという理解でよいのか。来年度以降もつくるなら、予算編成はもうちょっと前倒しでできると思うのですけれども、大体、来年度以降の基本方針はいつぐらいに示すものなのか。  あと、もう1点、複数年度予算の実施年度は、今回は入れなかったということですが、複数年度予算の実際の実施に当たっても、来年度のしかるべき時期に閣議決定して進めるということでよろしいのでしょうか。
(答)最初は何でしたっけ。3つぐらいあった。
(問)その基本方針は、歳入、税収見通しとか国債発行を……。
(答)当然、そういうものを念頭に置いて基本方針は考えたいと思っています。ただ、その時点で細かい、例えば税収が幾ら幾らで、国債が幾ら幾らで、いわゆる埋蔵金が幾ら幾らで、税収が幾ら幾らで、トータルが幾ら幾らといったような完全な数字を出す状況になるかどうかは、あるいは出すべきかどうかは、現時点ではまだ確定的には考えておりませんが、少なくともあるトータルのイメージをきちんと出さなければならないと思っています。これは、ほかの場面でも、皆さんからの御質問によく答えたことですが、あえて私が「二兎を追う」とこの場で申し上げたのは、当面のこの厳しい雇用情勢、まだまだ予断を許さない経済情勢、景気情勢というものを見た中での来年度の予算ということと、それから中期的、さらには長期的な財政規律の回復という問題、財政健全化という問題と、どのような形できちんと組み合わせるのか。あえて私が「二兎を追う」と申し上げたのは、その両方を念頭に置いているという意味で申し上げたところです。  今の来年度からのということは、実は今週頭に御報告した中にありますように、来年度においては、中期財政フレームというものを、この数年度との関連を含めて策定したいと。つまり、平成23、24、25年度の3年間の歳入見込み及び各分野の歳出の骨格、あるいは歳出削減策などを含む中期財政フレームを策定したいと考えておりまして、これ自体が複数年度であると同時に、中期的なまさに財政のフレーム、財政規律につながる財政フレーム、こういうものになると認識いたしております。  そういった意味で、今年度はもちろん、年度途中の政権交代ということ、さらには昨年のリーマンショック以来の世界的な不況ということなども含めて、先ほど来申し上げていますように、個別対応でまいりますが、来年度以降は、そうした中期的なフレームをつくることでやっていきたい、考えています。
(問)そうしましたら、この予算編成の基本方針というのは今年限りのもので、来年からは中期財政フレームに変わられるのですか。
(答)いや、ですから、今年限りというよりも、今年も既に9月29日には、要求に対しての基本方針を出していますし、それから、それが11月になるのか、12月まで入るのかは別として、その段階ではまたその段階での基本方針を出します、編成にあたって。ですから、今申し上げているのは、来年度の予算編成に対する基本方針が、順次、その段階、その段階で出てくる。今回の閣議決定は、さっき言いましたように、来年度に関わるところについて、具体化して閣議決定した。今週の頭に報告したのは、全部の報告ですから、もちろん23年度以降についても盛り込まれたものを、検討会では決定したわけです。閣議決定したのは、来年のものです。
(問)雇用対策に関して、昨日の事前ブリーフで、かなり政治主導でまとめたというふうに聞いているのですが、副総理からごらんになってというか、実際に本部長代行でまとめ上げられて、どの点が政治主導だったのかということが1つ。  それから、JALの関係なのですけれども、先ほど前原国交大臣らと一緒に報告を受けられたというふうに聞いているのですが、この問題に関して、副総理の問題認識をお願いします。
(答)緊急雇用対策自体が政治主導というよりも、見られていてわかるように、今、我が政権そのものが、ほとんどの分野で政治主導でやっております。  ただ、政治主導というのは、すべて政治家がやるということではないことももちろんのことです。つまりは、大きい方針とか大きい時間的な見通し等を政治的に決めて、場合によっては、具体的なところはそれぞれの役所のそれぞれの立場の経験を、当然、活かしてやるということです。  ですから、私は、今回の緊急雇用対策はトータルとして、あえていえば、当然のことですが、政治主導だったと。つまり、この時点で臨時国会を前にして、そういうものを、しかも、内容がかなりあるものをしっかりつくろうということで、従来から言っていますように、1週間前に形式上は指示がありましたけれども、その前からかなりいろいろな形のところに声をかけて、準備しておりました。また、逆説的かもしれませんが、今回の国会では、これに伴う補正予算は出さないかわりに、既にいろいろな形で積まれている資金を、一部は前倒しを含めて積極的に活用して、具体的な雇用につながるものをつくろうと。これも、別に役所から、「どうぞお使いください」とか「どうぞこうしてください」というのが出てきたわけではなくて、まさにそうした補正予算の見直しとある意味では裏表の関係で、凍結されたもの以外のものを大いに使う、そういう形で組まれているところです。  それと、さらにいえば、フォローチームもお役所に任せたわけではありません。その意味では、案をつくるところ、そしてそれを実行させるところも含めて、当然ながら、政治が相当程度主導していくという姿勢が、私はすべてに現れている、このように思っております。  それから、JALのことについて、今日、この再生問題については、関係する閣僚の間で情報交換、意見交換を行いましたが、特段の方針を決めたとか、そういうことではありません。そういう中に、私も同席して話を伺ったということです。
(問)関連なのですが、このJALの問題で、内閣府の、副総理の所管部分として、今まで何か検討ですとか、あるいは分析とか、なされていることはあるのでしょうか。
(答)この内閣ができる前から、JALの問題はかなり問題視されていましたから、そういう意味では、私自身はこの組閣の前から、何人かの方からいろいろと意見を伺ったり、意見を言いに来た人がおりますので、資料をいただいたりいたしております。そういうことはやっております。
(問)今の関連ですけれども、内閣府の関連ですと、企業再生支援機構が先日発足して、その活用がかなり検討されているようですけれども、それについて、いずれにしても公的資金を使う形になると思いますが、こういった再生の仕方について、所管する大臣としてどうようにお考えでしょうか。
(答)先日、この企業再生支援機構の発足には私も出かけまして、所管する大臣として発足のお祝いの御挨拶もしてまいりました。今回の問題に関して、どういった関係が出るのか出ないのか、そういうことを含めて、今日の段階では、まだそういう具体的な段階ではなくて、一般的な情報交換をしたというところです。

3.資産公開関係質疑応答

(問)資産について、副総理のお話になりますが、土地と建物について拝見しますと、大体、副総理と奥様で2分の1ずつの共有というケースが多いように見られました。また、定期預金については、奥様のみ1,000万円というような形になっておりました。立ち入ったことを聞いて恐縮ですけれども、このようにされている特別な理由があれば伺いたいというのが1点です。  2問目については、制度全体についてになりますけれども、閣僚の資産公開の場合は、配偶者並びに扶養する子供についても資産を出すことになっております。一方で、いわゆる国会議員の資産公開では、あくまでも議員個人の資産のみということになっています。そういう意味で、議員公開の部分について、閣僚と同様に家族の資産についても公開すべきか否か、その点、どのようにお考えかというのを伺いたいと思います。
(答)私の場合、土地と建物といっても、これは実はマンションの底地でありまして、妻の伸子と半分ずつ所有しているものなので、土地も建物も半分ずつということになっております。それから、定期預金というものについては、ここに書いたとおりになっているわけで、私にももう少しあると思っているのですが、多分、定期にしていないのではないかなと。ものすごいといっても、そんなにびっくりするほどものすごい額があるわけではありませんが、多少はあると思います。ただ、「面倒で」などと言うと怒られますが、あまり細かく見ていませんので、定期にしないものが多少あるのではないかと思います。  それから、配偶者についてというのは、前から議論があります。特に、配偶者も自ら仕事をして収入のある人の場合、なぜそこまでやるのかということもあります。一方では、しかし、政治家がまさに政治の権力を乱用して資産を増やすということに対する、ある種の公開という形での歯どめですから、自分のほうにはそういうお金が例えば入ったとして、自分のほうにはカウントしないで、奥さんのほうにカウントするということもあり得る問題ですので、ここはある意味では配偶者の方には大変恐縮ですが、政治家、国会議員になった場合のある種の社会的な責任が及ぶというふうに理解しなければいけないのではないかと思います。
(問)全体的な傾向として、前の政権、自公政権のときよりも、新しい政権のほうが、あまり資産をお持ちでない方が増えたように思うのですけれども、それも一つの政権交代のあらわれと受けとめていらっしゃいますか。
(答)資産は、それぞれ多い人も少ない人もあるのではないかと思いますが、一般的にいえば、それは資産というのが親代々のケースもかなりありますから、今の民主党、あるいは今の閣僚には、親代々という形ではなくて政治家になった方が多いわけですから、そういうものが結果として影響しているのかなとは、感想としては思いますが、分析まではしておりません。

(以上)