菅大臣記者会見要旨 平成21年10月13日

(平成21年10月13日(火) 11:37~12:00  於:官邸記者会見室)

1.発言要旨

 それでは、閣議後の定例会見を始めたいと思います。

 まず今日、閣議の、閣僚懇談会で少し報告とお願いをしたのですが、総理から仰せつかっておりました雇用対策について、10月16日に雇用対策本部を立ち上げたいと。総理が本部長で私が本部長代行、副本部長には、官房長官、厚生労働大臣、経産大臣、国土交通大臣、農林水産大臣、少子化担当大臣、金融担当大臣、さらには、財務大臣、文部科学大臣、これらの皆さんに副本部長になっていただくと。他のすべての大臣にも一応本部員ということでお願いしております。事務局長には、厚生労働の副大臣である細川律夫さんにお願いするという形にいたしております。スタートは10月16日でありますが、実質的な作業は今、厚生労働関係と私のもとの経済財政の部門でいろいろと準備を進めておりまして、16日に立ち上げ、臨時国会前には一定のプログラムを提示できるようにしたい、このように考えているということを申し上げ、協力を要請いたしました。皆さん前向きにとらえていただきました。

 また、国家戦略局あるいは国家戦略室について、いろいろと皆さんに御心配というのか、いろいろな報道をしていただいておりますが、今週中には何人かの民間からのメンバーを決める、あるいは公表することができるのではないかと思っております。鳩山政権ができてまだ1カ月に満たないわけでありますけれども、組織としてはゼロからのスタートでありますので、やはりしっかりした人を民間からお願いしていくには、それぞれの今就いておられる仕事との関係などを考えますと、若干の時間はかかりましたけれども、やはりそれなりの方にお願いするには、この程度の時間は必要であったろうと、こう思っております。さらにだんだんと形が整っていけば、いろいろな立場での参加、アドバイザー的な形の参加も含めて順次お願いしていきたいと、このように思っております。

 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)2点お願いいたします。まず補正見直しの関係でありますけれども、近々まとまる形になるかと思うんですが、補正見直しで出た財源について、いわゆる通常国会冒頭で提出をして、二次補正に投入すべきだとお考えになられるか、それとも来年度2010年度当初予算に充当すべきだと考えているか、まずこの御所見を伺いたいというのが1点目です。
 2点目ですが、雇用対策に関連してですけれども、週末のテレビ番組で、副総理自身が、いわゆる住居や生活保護のあっせんの必要性について触れられておられました。当然、その場合、地方自治体との連携が必要になってくるのではないかなと思いますが、そこら辺の段取りについて、今どのようにお考えになっていらっしゃるか、以上2点お願いいたします。
(答)まず補正見直しで、少なくとも麻生内閣で決めた補正の中からある程度の額が執行が止まるとか、いろいろな形が予想されております。それを通常国会に、総理も第二次補正が必要になるだろうということを言われていますが、その財源に充てるか、本予算の財源に充てるかというのは、物の考え方ですので、私からこのお金をこちらとか、あのお金をこちらというのはあまり適切ではないのではないかと思っています。従来のこの第一次補正も、さらに言えばその前の本予算、さらにその前の麻生内閣時代の補正も、いわゆる埋蔵金というものが、ない、ないと言っていたものがどんどん出てきたり、あるいはそれを中心に組まれたりした経緯もありますし、また税収見通しの議論もありますし、そういうものはトータルした中で当然考えなければいけない段階が来ると思いますし、それは必ずしも私の国家戦略室単独で考えることではなくて、必要なときに必要な形で議論をしていきたい。ですから、このお金をこちらにといったような言い方はできないし、しないほうがいいと思っています。
 それから、雇用に関して、住宅の問題などでの自治体との関係ということですが、まだこれは本格的に私が動いているわけではありません。ただ、東京に関連して言えば、私、都連の会長ということも務めている関係で、若干都議会の関係者に、特に昨年の派遣村の、私自身もいろいろなかかわりを持った経験の中で言えば、やはり自治体、東京の例で言えば区とか、市とか、都とかが非常に重要ですし、また私も民主党の雇用対策本部長として各地を視察した経験によれば、もちろん国の施設もありますけれども、例えば企業の寮といったようなもの等々ありますので、そういう管理の問題などを考えたときには、自治体の協力は、これは不可欠だと思っております。そう遅れない段階でそういったことについてもお願いするべきところにはお願いする。まだ、今申し上げたように正式な本部にはなっておりませんので、段取りはこれからですが、そういう形で考えています。
(問)総理が先日の北京で、二次補正について景気刺激的な要素ということを言っておられるわけですけれども、この今度まとめられる雇用対策以外に追加経済対策的なものをまとめるお考えはあるんでしょうか。
(答)実は、雇用と景気は極めて密接に不可分のところがありまして、もちろん景気が上昇することで雇用が回復するという、そちらのいわばベクトルもありますが、中には、今考えている一つの介護といったような分野で言えば、新たな雇用が創出されることによってGDPが伸びるということによって、サービスという形で伸びることによって景気の回復に寄与することも十分あるのでありまして、そういう意味では、まず今の雇用対策本部で考えなければならないプログラムの中には、既に一次補正で積まれたいろいろな財源も活用する中で、景気に対しても私はポジティブな効果のある、そういうものが打ち出せるというふうに考えております。
 それに加えて、二次補正ということになった段階で、景気刺激的なものがどうなるかということですが、基本的には景気に対してはまだ警戒心を解くことはできませんので、景気刺激的な要素を考えなければならないと思っております。
 ただ、今申し上げたように、それは従来型の、例えば公共事業を改めて積み増すといったような形にはならないで、新たな雇用を創出しながら、新たな需要につながっていく。そういうものをそれぞれの立場で知恵を出していただきたいし、出していきたい。
 ですから、単純に二次補正で景気刺激だといった途端に、どのくらいの公共事業にどのくらいのお金を使うかと、そういうふうな発想に短絡的になるということにはならないだろうと思っています。
(問)そうすると、今度の雇用対策プログラム以外に追加の景気対策的なものはつくらないということでよろしいでしょうか。要は、雇用対策イコール景気対策のものだという認識でよろしいですか。
(答)それは今回の緊急雇用対策本部が、10月末の臨時国会に向けてのものの中では、今申し上げたように、景気刺激にもつながるような雇用対策を提案しますので、少なくともその10月末の臨時国会では二次補正は考えておりませんので、あくまで二次補正というのは、総理が言われたようにやるとすれば1月。ですから、まずは今のいろいろな仕組みの中で、あるいは積んだ金の中でやった上で、1月の通常国会では、それを継続する上で必要があれば、その段階では補正予算を組むことは十分あります。さらには本予算につながりますから。
(問)今月15日に概算要求が出そろって、いよいよ予算編成が本格化すると思うんですけれども、まず1点、来年度の税収の落ち込みというのが予想されると思うんですけれども、公債発行についてどういうふうな姿勢で臨まれるのかということと、あと、今回の予算編成、どういう性格の予算を編成したいというふうにお考えなのか、この2点お願いします。
(答)公債発行につきましては、先ほど申し上げたように、簡単に言えば、麻生内閣当時の見通しが場合によっては大きく下方に修正といいましょうか、変わる可能性があるということもありますし、そういうものを踏まえて、二次補正、さらには来年度の本予算ということになりますので、なかなかこれは難しいというか、悩ましい問題だというふうに思っております。そういった意味で、先ほど申し上げた埋蔵金というのか、他のいろいろな要素もありますので、総合的な形で判断することになると思っておりまして、私の立場で今その内容に絡むようなことを申し上げることは控えたほうがいいだろうと思っております。
 その上で何でしたっけ。
(問)来年度の予算編成は、どういうふうな予算を編成しようとしているのか。
(答)私は来年度の予算は2つの大きな柱があると思っております。一つは、言うまでもありません。マニフェストで国民の皆さんにお約束したことをまず初年度の予算の中にしっかりと盛り込んで実現を図っていくという、この第一の要素です。
 もう一つは、マニフェストでも触れている部分もありますが、新たに鳩山政権誕生の中で大きな課題となっている、あるいは夢として述べられていることを実現していく。
 私は、一番大きいのはやはり25%のCO2の削減目標、いわゆる中期目標を実現していくと。私はこのことは日本社会を大きく変えていくと同時に、ある種の新たな活性化をもたらすことが十分に可能だと。そして、地球環境という、地球に住むすべての人々にとっても最大とも言える関心事に対して、きちんと対応する。ある意味では大きな人類にとっての目標であり、夢であると思っております。
 そういった意味で、今申し上げたように、一つには、雇用も含めてマニフェストで述べたことをしっかり実現することと、そうした地球温暖化の防止に向けて大きく新たな方向性を打ち出していく、この二つが大きな柱になると、このように考えています。
(問)そうしますと、財政規律については、そういうふうな方針を踏まえながら、埋蔵金なども活用しながら堅持する方向でやっていくという姿勢でよろしいんでしょうか。
(答)財政規律については、たしか先週でしたか、この前のこの場でもいろいろと御質問があった中で、私の考え方を申し上げたつもりですけれども、財政規律そのものは、常に頭の中に置いておかなければならない、念頭に置かなければならない問題です。
 と同時に、これは藤井財務大臣がよくおっしゃっていますけれども、それはやはり国民の生活があっての財政なのであって、財政があっての国民の生活ではないという趣旨のことをよく言われておりますけれども、つまりは、財政規律をしっかり持った中で、これまでの膨大な借金を、どういう形かで、将来につけを大きく残さないということは、今の世代の私たちの責任であるという、その意識は強く持つ必要があると同時に、そのやり方を間違ってきたのがこれまでの政権だと。つまり、目標はしょっちゅう立てたけれども、3年、5年、まして10年たってみたら、その目標がすべて失敗に終わってきたのがこれまでの政権の財政運営でありますから、私たちもその轍を踏まないように、単に財政規律ということを言っておけば財政規律が達成されるわけではないということを踏まえて、しっかりと念頭に置きつつ、同時に、場合によっては柔軟に対応しなければならないときには柔軟に対応していく。こういう考え方で臨みたいと思っています。
(問)今の財政規律のお話ですけれども、今までの政権とは違う形での財政規律、あるいは中期的な財政目標というプランみたいなものを鳩山政権として考えたいというようなイメージが今おありになるのかどうかというのを1点お伺いさせてください。
(答)新しい財政規律の基準というよりも、これは私個人の考え方で言えば、今、財政の中身が根本的に変わりつつある過程にあると思っています。
 つまり、なぜこれまで財政が、何度もこの場で言いましたが、ここまでおかしくなったかというと、景気が非常によかったとき、税収が非常に高まったときも大量の建設国債を発行して、日米の貿易インバランスを是正するといったようなことをやってきたわけです。 そして、景気が悪くなったら景気が悪くなったで、景気刺激といってまたたくさんの赤字国債、建設国債を出してきたわけです。つまり、景気がいいときも、景気が悪いときもなぜこんなに建設国債、赤字国債を大量に出してきたかという、その根本のいわば反省というか見直しがなければなりません。
 ですから、結局は、コンクリートの塊をつくることが日本の政治だと。つまりは、政治的な権力がそれを支えていたんです。ですから、よく2,200億円のいわゆる社会保障が切られたというのは、厚生省が2,200億円切ったというのが一般の見方、あるいは財務省が切ったというのが一般の見方ですけれども、私は、逆に言えば、コンクリートの塊をもっとつくろうという政治勢力が強いから、結果としてそういったことになったんだと。今その根本のところを変えつつあるわけですから。
 つまりは、根本の財政が硬直化していった原因であるものを今、除去というのか、どういう表現をしていいのかわかりませんが、変えようとしているわけですから、そこから生まれてくる新しい財政のあり方というのは、私はもう少し、少なくとも数カ月あるいは1年程度様子を見る中で、新たな財政規律というものが私は十分に生まれてくると。
 今、例えばの例ですが、多くは国交大臣が頑張っていただいていますが、空港特会の見直しとか、国幹審の見直しとか、すべてはとにかくつくることが目標で、使うことが目標でないものを山のようにつくってきたわけですから、今度はつくるとしたときには、つくることによって使うことを考えていく。そうすると、できるだけ安いもの、できるだけ効果的なものをつくっていく。今までは使うことを考えないで、つくることだけで、それが内需拡大になるという視点から財政運営がされてきた。
 ちょっとくどくなりましたけれども、根本から今変えているんです。根本から変えているという認識を皆さんには持ってもらいたいと思います。
(問)今の質問に関連して2点ほど伺いたいんですが、そうしますと、当面は数値的な、いつまでに何を達成するという旧来型の目標は立てないで様子を見ていくというお考えでいらっしゃるんでしょうか、予算のつくり方が変わっていくところをですね。
(答)これは、私一人ですべてを申し上げることはできませんが、私自身の中のイメージで言えば、今急いで新たなそういう目標を立てるのはまだ、今動いているときですから、大きく根本が動いているときですから、今すぐということは私の中では考えていません。
 例えばプライマリー・バランスがどうとか、いろいろなことはすべて失敗してきたわけですから、そういう意味では、本当にプライマリー・バランスのことをもう一回言うときには、つまりは財政運営のあり方そのものが変わってきた、あるいは変えることができるという見通しを持たないまま言ってみても、結局は意味がなかったという反省を込めて今申し上げたんです。
(問)昨日の補正予算の見直し等の作業を見ていても、各省の大臣、要求大臣になってきているような方もいらっしゃるように見受けられますが、そこは放っておくとどうしても要求側のほうへ持っていかれる懸念があると思うんですが、その点の御心配はないんでしょうか、基準がない中で。
(答)私は、要求大臣、あるいはそれを逆に切ることを含めて検討する大臣という言い方はありますけれども、つまりは国民の皆さんに対して、日本の将来に対して責任を持つ立場で予算を見ると。あえて別の言葉で言えば、担当大臣としてだけ物を見るのではなくて、国政全般に対して責任を持っている国務大臣として、自ら担当するところの予算を見ると。そういう姿勢をしっかりそれぞれが持っていれば、私は、個々のことは個々のこととして、いろいろな議論の中で十分そうした方針を貫いた形での予算編成ができると、こう考えています。

(以上)