菅大臣記者会見要旨 平成21年10月9日

(平成21年10月9日(金) 11:15~11:48  於:官邸記者会見室)

1.発言要旨

 閣議では、今日も鳩山総理が日中韓の会議で出かけておられましたので、私が臨時総理代理ということで出席をさせていただきました。

 閣議そのものでは、余り大きな案件はありませんでしたが、閣議後のいわゆる閣僚懇の中で、いつものとおり闊達な意見が幾つか出ておりました。ただ、今回は中川元大臣のお葬式に出かけられる方もありましたので、比較的短い時間で閣僚懇が終了をいたしました。

 閣議の前に基本政策閣僚委員会を開きまして、正式にはこれが2度目でありますが、総理が出席されない形の最初の基本政策閣僚委員会でありました。出席者は、社民党の福島大臣と、国民新党の亀井大臣、官房長官と私で、陪席として小川勝也総理大臣補佐官に同席をしていただきました。

 中身については、若干官房長官のほうからも報告があったと思いますが、主に今後の日程等についての、現在いろいろ相談をしているところについて御報告をいたしました。今後もこういう形で議論していこうということになりました。

 また、前々から、両大臣からは、本人出席以外に何らかの形でそれぞれの党の議員がかかわれるような形を考えてほしいという申し出が来ておりまして、それについては平野官房長官のほうから、いろいろ工夫といいましょうか、何らかの形を考えたいということで、お引き取りをいただいたところであります。

 また、ちょっと前後するかもしれませんが、雇用対策本部について、昨日、厚生労働副大臣の細川律夫さんとも相談をし、今日も官房長官とも、多少立ち話的ではありましたが、相談をし、また、この基本政策の閣僚委員会の中でもその問題を説明を申し上げました。

 その中で、一応原案としては、総理に対策本部長になっていただき、私がその代行、そして関係大臣に副本部長、そして、細川律夫厚労副大臣に事務局長という形を考えているということを申し上げ、両大臣に参加されることについての御意見を伺いました。福島大臣は消費者担当でもあり、また青少年担当でもあるので、関連もあるので、ぜひ参加をしたいということでありましたし、また亀井大臣も、金融という面もありますし、みずからも参加をされたいということで、まだ最終調整はこれからですが、基本的には厚労大臣、経産大臣、国土交通大臣、農水大臣、それに福島、亀井両大臣、あと官房長官がどうされるかまだ確認をとっておりませんが、官房長官にも副本部長という形で各大臣に参加をいただき、事務局長を細川さんという形で具体的に動き出したい。遅くとも来週中には何らかの形でこの雇用対策本部の立ち上げを行いたいという、そういう方向で今調整を進めているところです。

 また、いわゆる25%の中期目標実現のためのせんだっての環境関係の閣僚委員会での決定を受けまして、合意を受けまして、昨日も事務局長をお願いした小沢鋭仁環境大臣とも、電話ではありますが、いろいろ打ち合わせをいたしました。タスクフォースについては、小沢大臣のほうから、事務局長のほうから、従来の例も含めた一つの構想といいましょうか、こういうところにいろいろお願いしたらどうだろうという案も出てまいりましたし、また、副大臣を中心にして事務局長のもとに作業をする、そういう段取りについても、これも来週ぐらいにはスタートさせたい。まずはブレイン・ストーミング的にこの問題の実現に向かってどういう取り組みをしていくのか、いろいろまず意見を出していただこうではないかと、こういうことも相談いたしました。またさらには、有識者会議というものを閣僚委員会の横にといいましょうか、図面でいうと横につくるということになっておりますので、これについても一、二、既に私の中では候補者的な方にこの間お話をしている方もありますけれども、具体的な形でそういった人選にも入っていきたい、このように思っているところです。

 また、昨日は、総合科学技術会議がありまして、鳩山総理の25%削減の目標を実現するという方向性も含めて、グリーン・イノベーション、これは私がSTSの会議で申し上げた一つの考え方ですが、それを総合科学技術会議の皆さんもみずからの一つの方向性の柱にこの表現を入れていただきまして、これからの科学技術振興の一つの柱として、グリーン・イノベーションを推進していこうと。また、同席された鳩山総理も、一層の科学技術の振興のために努力をしたい、あるいは力を入れたい、自らからの研究者としての経験も踏まえてその意欲を示されたということは、昨日の記者会見でも申し上げたとおりであります。

 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)国家戦略室の体制についてお伺いをいたします。政府として、もとの民主党の職員さんを秘書等の公務員として採用するような動きもあるようですけれども、民間並びに官僚出身で5、6人雇いたいというような御発言もありましたので、スタッフの対応状況とその見通し、あとスタッフがそういう意味でそろうという意味で、いわゆる当面の体制が整う時期的なめどはいつ頃になりそうかというのを伺いたいと思います。
(答)民間から国家戦略室に入っていただく方をいろいろな形で今お願いをし、あるいはいろいろな条件、あるいは御本人の今までのお仕事の関係などを整理をしていただいている方がいます。まだ最終的にどの段階で何人になるとはちょっと言えない状況ですが、遅くとも来週中ぐらいには、そのうちの何人かは正式に御紹介することができるのではないかなという段階までは来ております。その段階で、一応担当大臣の私と国家戦略室長の古川副大臣と政務官の津村君、それに民間から参加していただく少なくとも2名ないし3名ぐらいは来週中には決まるのではないかと思っておりますので、そういう目安です。それから、既に担当する立場で財務省から来てくれている高田君、あと3人の事務の秘書官、国家戦略室という位置づけではありませんので、一応それは別扱いとして、最低限の陣容を来週中にはまず固めたいと、このように考えています。
(問)党職員のほうはどうでしょうか。
(答)党職員についても、今申し上げた枠とは別に、何人かの職員にこの戦略室の担当になってもらいたいというのは以前から一般的には党のほうにもお願いをしているところで、それについても少し話が進んでいるようですので、つまりは官房長官と幹事長の間で話が進んでいるという、これはちょっと報道で見たんですが、いるようですので、そろそろそういうことも詰めていきたいと、こう思っています。
(問)今の関連で、一部報道で前の東大総長の小宮山宏さんを国家戦略室のメンバーとして起用したいという内容の報道があったんですが、その辺の具体的な起用方法について、それと小宮山氏をどうして選ぶことにしたのか、その辺の理由、期待についてお願いします。
(答)これはまだちょっと少し順序が逆になっているようですが、実はまだこの閣僚委員会が開かれる前に、ぜひ会われたらどうですか、小宮山先生からもぜひいろいろと意見具申をしたいと言われたので、お会いをいたしました。その時点では、まだこの枠組みが見えておりませんでしたので、またいろいろな形で御協力をお願いしたいと言ったら、それはいいですよ、大いに協力しますよと言われておりまして、実はそこまでなんです。
 ですから、頭の中では別として、今の段階ではまだ具体的にお願いしているわけでもありませんし、位置づけを決めているわけでもありません。
 ただ、先ほど申し上げたような枠組みの中では、私自身は有力な候補者といいましょうか、いろいろ協力していただく有力な候補者だとは思っています。
 理由をあえて言えば、私も一度は行ってみたいと思っておりますが、小宮山ハウスというんですかね、自らのお宅を非常に省エネのお宅にされて、家庭から排出するCO2が80%は削減できるということをある意味で自ら主張もされていますし、ある種実行もされているというふうにお聞きをいたしております。もちろん、専門的な立場でも、東大の元総長として、あるいは科学者としてもこの問題に深い造詣を持っておられますし、そういう意味では、学問的にも実践的にもこの分野では大変有力な方ではないかと私自身は思っています。
(問)先ほどの官房長官の会見で、閣議の前の閣僚委員会で経済情勢についてお話があったというお話があったんですが、どのような内容だったのか教えていただきたいんですけれども。
(答)雇用対策本部については先ほど少しこの場でも説明し、また基本政策閣僚委員会でも両大臣の参加も含めて基本的に合意をいたしました。それに加えて、経済、景気の見通しなどについて、特に亀井大臣のほうから、以前からいろいろと個人的にも御意見をいただいております。
 そういった意味で、その場でもそうした景気の状況、経済の状況は決して予断を許さない状況であるから、積極的な取り組みが必要だろうということも言われまして、私も経産大臣などとも意見交換をしておりますということを申し上げました。そういったことで、今後の取り組みをこの問題でも強めなければいけないという点で認識を共有、共通にしたというところです。
(問)もう1点、ちょっと重複になりますが、戦略大臣としての質問になりますけれども、おととい、予算編成のあり方の検討会があったと思いますが、来年度予算の関係で財政規律に関する指摘というか、意見が出たと聞いていますけれども、大臣は今後の財政規律のあり方について、現時点ではある程度景気情勢を見て、規律については棚上げしてもいいとお考えなのか、それとも、来年度予算について、ある程度の規律が必要というふうにお考えなのか、年度末向けてどういうふうに議論していこうとお考えですか。
(答)一昨日の会議そのものは、直接に来年度の予算そのものを議論する場ではありません、御承知のように。つまりは、予算の編成のあり方を検討する委員会ということで、2度目の委員会を開いていろいろな意見を自由に述べ合ったわけです。
 その中で、私のほうからいろいろな議論の中で、当然ですが、財政を考える上では、例えばイギリスの例では、最初に歳入の見通しを立てながら、これはイギリスの例だともっと厳しいんですが、どの程度の、いわゆる借金の残高のガイドラインなどもイギリスの場合はあるわけですけれども、そういう中期的な財政規律というものもそういう中に一つの基準として入れた中で、数年度にわたる予算を編成するといったような議論の中で、言葉としてそういうことが出たということです。
 私がその場で申し上げたのは、ある意味で財政規律というのは常に念頭に置かなければいけない問題であるということはもちろん、と同時に、従来の自民党政権の中で、結局、例えば30兆以上の赤字国債を出さないと言っていた政権が、そのものが守れなかっただけではなくて、終わった途端にそれをはるかに超えるような国債を発行せざるを得なくなる、あるいはしてしまう。つまりは、財政規律ということをいうのは、常に念頭に置くべきかもしれないけれども、経済運営というところで、あるいは景気状況ということで言えば、同時に、短期的にはそれを超えて優先すべきことが出ることもあり得ると、そんな一般論で議論したということです。
(問)まさに景気が今よくない中で、おっしゃるような論点で来年度予算の規模をどうするかということも出てくると思うんですけれども、現在は景気に配慮していても、中期的には目標はどうなんだろうと。これは何らかの目標がないと予算がどんどん拡大してしまう懸念があるかと思うんですが、この点についてはどういうふうにキャップという箍をお考えでしょうか。
(答)ですから、先ほど申し上げたように、例えば前政権がプライマリーバランスを2010年度初頭までにバランスをとるとか、いろいろなことを言ってきましたが、既に前政権の段階でそれも方向といいましょうか、それを放棄したわけです。ですから、何か中期的な展望を持つことを、一般的にはそれは決して否定するものでもないし、意味があることだとは思いますけれども、この間の財政運営、あるいは今の足元の財政運営の中で、そうした形が、どういう形でとることが適切か。あまりのもこの20年間の財政運営は、私から見るとそういうことをやったにしては全くうまくいっていない。景気がいいときも国債を出し、悪くなっても国債を出している。つまりは、常に、例えば今から何年前でしょうか、バブル当時も非常に税収が高かったときも、逆に内需拡大をするためには、日米の貿易インバランスを少なくするためには、内需拡大のためには必要だということで、多額の建設国債を発行した時期があります。
 そういうことを考えますと、中期的ということをいう場合に、どういう考え方をベースにすべきなのか、私はもう少し過去の失敗を十分に検証する中で、それ自身考える必要があるだろうと思っています。
 個人的には、今、例えば公共事業のあり方も、いわゆる政府支出という言い方に変えておりますが、コンクリートを中心とした公共事業、政府支出から、人を中心とした政府支出に変えていこうと、こういう構造的な変化が重要であって、機械的に中期的な財政の健全化ということを言って、景気が悪くなったとたんに補正予算でまたいろいろな公共事業を積み増すという、その繰り返しを従来からやってきていますから、私はそういう意味では財政のほうの中期的見通しというものを、先ほど来言っていますように持つことは、意味はあるけれども、その中身、財政の構造そのものを今変えているときですから、そこがまず私は先に来るべきではないかと、これが私の個人的な見方です。
(問)2点お伺いします。
 先ほどの閣僚委員会の中で、今後の取り組みについて……
(答)経済ですか。
(問)経済で。強めていかなければならないということの認識を共有されたというお話なんですけれども、これは景気対策を今後打っていくという認識を共有されたということなのかということが1点。
 もう一つお伺いしたいのは、企業の資金繰りの問題についてお伺いしたいんですけれども、まさに今、亀井大臣のところで返済猶予制度のあり方について、ほぼ骨格が固まってきているようですが、政府としては、この臨時国会で法案を出して、年末、年度末の資金繰りの対応を強化しようとされていらっしゃると理解しているんですけれども、一方で、日銀は、これまで企業の資金繰り支援という形で行ってきたCP、コマーシャル・ペーパーですとか、社債の買い入れを期限が来る年末にもう打ち切っていいのではないかというふうな議論も出ているやに聞いています。まさにベクトルの方向が逆を向いていまして、政府の政策として整合的なのかという観点から、日銀のコマーシャル・ペーパー、社債買い入れの打ち切りの是非についてお伺いしたいんですけれども、2点お願いできますでしょうか。
(答)まず景気対策ということについて言えば、先ほど申し上げたように、雇用も、雇用拡大というのは一種の内需拡大と平行した形でありますので、ある意味では景気対策に資するところもあると思っています。景気対策をどうするという具体的な話まで今日したわけではありません。ただ、こういった問題が重要な問題であるという、その段階での認識を共有したということです。
 それから、資金繰りあるいは日銀のことでありますが、日銀の方針については、基本的には、それぞれ政府と日銀という役割の中で独立した存在ですので、私がストレートにどうこうということは一般的には控えたほうがいいと、こういう認識をいたしております。
 ただ、多少中身のことを言いますと、資金繰りについて言えば、大企業の資金繰りはかなり安定してきているという認識を私も持っておりますし、いろいろなデータも出ております。先ほど、日銀が買い取りをしているCPとか社債についても、大企業にかかわる部分については、もうあまり需要がなくなっているという状況だという報告もいただいております。
 ただ、私たちも、特に注意しなければいけないのは、中小企業の資金繰りについては、年末に向けてまだまだというんでしょうか、大変厳しいものがあります。この金融大臣がやっておられることを、余り私はそのことに詳細にはかかわっておりませんので、その部分のことは関係者にお聞きいただきたいと思いますが、認識としては、中小企業についての金融はまだまだ大変厳しい状況にあると思っております。
 そういう意味で、先ほど申し上げたように、日銀そのものの方針は、日銀のいわば独立性の中で考えられると思いますから、政府と日銀とは、ある意味では必要な場合にはいろいろな議論をして、できるだけ連携をとるようにというのが日銀法の中でも述べられておりますので、私たちが中小企業の金融についてはかなり厳しい見方をしているということについては、他の大臣もいろいろ言われておりますけれども、私もこういう場で申し上げておきたいと。ですから、それとは矛盾しない行動をとっていただけるだろうということを期待をいたしております。
(問)2点お伺いします。本日の基本政策閣僚委員会について、普天間の話が若干出たようですが、どのようなやりとりがあったのかということと、あと、いわゆるモラトリアムの話をしたのかということ。あと、雇用対策本部について、亀井大臣と福島大臣から参加したいという要請があったということで、参加するということになったということなんですが、具体的にそれ以外に意見や注文というものは何かあったのかということをお聞かせください。
 あともう一点が、先日、社民党と国民新党から、国家戦略室等への議員の起用を求める声があったと思うんですが、これについて副総理の御見解をお伺いさせてください。
(答)まずストレートにモラトリアム云々の話はありませんでした。私の認識でも、それぞれの大臣が取り組んでおられる問題は、一番それぞれの大臣御自身が詳しく状況を把握されておりますので、どちらかといえば、この基本政策閣僚委員会は、それ以外の全体のことで必要なところの意見交換、情報交換が中心になるだろうと思っておりますし、特にその問題はありませんでした。また、普天間ということについても、個別のそういう表現での議論はありませんでした。全体として三党合意というものの中で進めていこうという、そのような一般的な話はありましたが、それ以上踏み込んだ話はありませんでした。
 それから、戦略室等への参加というのは、これは多分今日の場ではなくて、別の場の議論で出たというのは仄聞しておりますが、皆さんも御承知のように、この戦略室というのはまだ形が十分、今できつつあるということと同時に、あくまでいろいろなことについて立案する部隊でありますので、何か意見調整をするような、そういう会議体ではありません。ですから、どちらかというと、そういうところに参加をしたいと言われた方は、調整という意味で言われたんだと思います。
 そこで、冒頭申し上げましたように、この基本政策閣僚委員会それ自体、今は閣僚だけでありますけれども、場合によったら、両党の中からどういう形かで、直接または間接に参加をいただくような仕組みがないか、こういうことを従来から言われておりまして、今官房長官のほうで積極的にそういうあり方を検討している。そういう中で、両党の要望にこたえていくことができるのではないかと思っています。

(以上)