古川副大臣記者会見要旨 平成22年1月27日

(平成22年1月27日(水) 18:06~18:30  於:合同庁舎第4号館11階共用第1特別会議室)

1.発言要旨

 それでは今から定例会見を始めたいと思います。今日皆様方への御報告は、お手元にお配りいたしております予算制度改革に関する実務者会合につきまして御報告させていただきたいと思います。昨年10月23日の予算編成等のあり方に関する閣議決定に基づきまして、平成22年度開始までに国家戦略室において指針を示すこととされております3つの事項につきまして、実務的な検討を行うことといたしております。
 まず第1は、予算執行の抜本的な透明化であります。予算がいつ誰に対してどのように使われたのかを国民にわかるように情報開示の抜本的な強化を行ってまいります。
 第2は、各省での予算執行監視チームの設置であります。副大臣をトップとし外部有識者も入ったチームが、各省の予算執行を常時監視し徹底的に支出のチェックを行うことにより、無駄の排除に向けた取組が自律的になされるような体制を構築してまいりたいと思っております。いわば事業仕分けの各省の内部化という側面もあるかと思いますが、そういうことをきちんとやれるような政治主導の予算執行監視チームを各省に設置したいと思っております。
 第3は、政策達成目標明示制度の導入でございます。従来、行政というのはどのような施策に幾ら予算をつけるかということばかりが重視されておりまして、その施策が実際に国民にもたらす成果の検証というのが二の次になってまいりました。新政権においては、PDCAサイクル―Plan-Do-Check-Action、これをやはりしっかりつくっていく、そのことを大きな柱として行政運営をやっておりますので、そういう意味では政府として最優先すべき政策につきまして、それが国民にどのような成果をもたらすかに着目した目標を定めてその達成度合いを客観的に検証する仕組みを導入すると。22年度については試行的にこれについては導入するということで閣議決定させていただきました。
 国家戦略室のそもそもの任務は、この税財政の骨格について企画立案することによります。税制あるいは予算の大きな枠組みというのはまさに国家経営の基本でもあり、そういうものを通じて新しい国家のマネジメントの体制をつくるということ、それをデザインするというのが戦略室の役割だと考えております。そのことがまさに国の形をつくっていくことにもつながるというふうに考えております。今回の作業は、新しい国家マネジメントの一環といたしまして、予算編成とそして予算執行の効率性を高めて、税金の無駄遣いのない、そして意味のある予算執行がきちんと行われることを通じて、国民や納税者の信頼を確保することを目指すものでございます。
 本日から開始いたしました実務的な検討会合を、今後精力的に短期・集中的に開催して、新年度から直ちに新たな予算執行評価体制をスタートできるように、今後速やかに指針の策定を進めていきたいというふうに考えております。私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)この実務者会合ですけれども、今日が第1回目の会合ということでよろしいのですか。
(答)はい、そうです。
(問)それぞれについて指針をまとめるのはいつ頃になるということでしょうか。
(答)とにかく来年度スタートするまでには各省に対して指針を指示していきたいと思っておりますので、そういう意味では早急に原案をまとめて調整等も行っていきたいというふうに思っております。
(問)ペースとしてはどれくらいのペースで議論されていくのですか。
(答)実務者会合は、実務的なメンバーが集まって、適宜実務者ベースでやってもらうということで考えております。
(問)では何か仰々しく会議をやるというよりは、もう機動的に。
(答)今回のこれを見ていただければわかりますけれども、関係部局に外の人も入ってくるという意味です。役所の中だけの会議というよりは、外の人も入ってくるというのはありますが、基本的にはまずここの実務者ベースのところで叩き台をつくってもらって、その叩き台を私たち政務三役を含めたところで見て、具体的な指針、各省等へ示すような指針の原案をつくっていくということになろうかと思います。いわば我々政務三役が議論するための材料としての叩き台を事務ベースでつくってもらうというものでございます。必要があれば朝でも晩でも随時集まってやってもらうということであります。
(問)今日の会合にはこの有識者の方々3人はいらっしゃったのですか。
(答)ええ、今日来ていただいておりました。私も頭だけちょっと顔を出していまして、今申し上げたようなこの検討することの意味合いというものについて皆様に述べさせていただき、実務的に具体的な案を早急に取りまとめていただきたいと、お願いして出てきました。今日はお3方ともいらっしゃいました。
(問)あとは実務的にこのお3方とチェックを受けながら、事務方が叩き台を作成するという……。
(答)チェックというかもうこの3人も一緒になってやるということです。チェックするという何か外部監査役という話ではなくて、実務的に自分で書いていただく。皆さんの今までの認識と若干ずれがあるかもしれないのですが、今までの政府がよくやっている外部の人というのは、大体官僚のほうで案をつくって、それに対するアドバイスを受けるという形で外部の人を取り入れておりました。しかし、新政権においては、第三者的にああだこうだ言うだけではなくて自分たちで書いてもらう。一緒になってそれこそ原案をつくってもらう。私たちが政務三役として検討する原案のドラフトのペーパーを役人だけでつくるのではなくて、ここにもメンバーと書いてありますけれども、ドラフトをつくる過程の中にそれぞれ分野の専門的な知見を持っているこの実務者の方々の考えも活かした原案を役所の人と一緒になってつくってもらいたいと思っております。
(問)この前財政の検討会を始めましたけれども、3月末までに論点整理を行うということになっていますけれども、論点整理を行った後の具体的な策定というのは、やはりこの検討会でやっていくということになるのですか。それともこの検討会は、そこでとりあえず一区切りついて、あとは政務三役をはじめ政府のほうでつくっていくということになるのですか。
(答)先日も申し上げたと思うのですけれども、初めてのことでありますから枠組みについての論点整理というものをここでしていただいた上で、その上で具体的な数字等も含めた中身をどうしていくかについては、これは政治的なプロセスに入ってくると思います。その時点でどういう体制で議論をしていくかを検討していきたいと思っております。
(問)昨日S&Pが日本国債の格付けの見通しを下げるというふうに発表したのですけれどもこれについてどうお考えかと。今後の影響とか全般的にいかがでしょうか。
(答)これはどの大臣もお答えしているかと思いますけれども、民間の格付会社によります格付について逐一コメントすることは差し控えたいと思っております。しかし、いずれにせよ、やはり国際的な市場からの信認を維持するということは非常に大事なことです。私たちも、さきの予算編成でもそういう市場の信認をどう確保するかということを常に念頭に置いて予算編成も行ってきました。まさに中期的な財政運営に関する検討会などでどうしたら財政規律を維持して財政健全化を進めていけるかということを検討しているわけでございます。政府としては今まで進めてきた、そしてまた今計画しているそういうところに基づきまして中期財政フレームや財政運営戦略を策定して、財政健全化に向けての道筋を示していく、これまでのやってきた歩みで引き続き進めてまいりたいというふうに思っております。
(問)これを受けてこの際なので伺っておきたいのですけれども、巨額の国の借金と長期金利のマーケット、国債のマーケット、このバランスに対する基本的なお考えというのはいかがでしょうか。
(答)まさにこれはマーケットの関係者の人たちがどのように認識しているか、やはりそういうところが非常に大事だというふうに考えております。だからこそ私どもは特に経済財政政策を行うに当たっては、市場の声にも真摯に耳を傾けようということでマーケット・アイ・ミーティングというものも行って市場関係者の皆さんの常にその時々のビビッドな感覚というものに耳を傾けるように努力いたしております。そして昨年来からもそういう市場の信認を確保するという視点からの財政運営のあり方、そういったものを常に注視した財政のあり方ということを検討しているわけでございます。今後ともやはりそこは市場との対話といいますか、市場の声にしっかりと耳を傾けながら経済財政運営を行っていくということがやはり一番大事なことだと思っております。
(問)今の財政の再建の検討の件なのですけれども、今日の参院の予算委員会で、仙谷大臣が財政再建の関係で民主党の議員の方に対して御答弁されているのですが、数値目標について、現在非常に経済の振幅が大きいので数値を入れた目標というのは容易ならざる状況なのでもう少し様子を見たいというような形のお話をされていて、数値目標をすぐに入れるのはちょっと難しいのではないかというようなニュアンスではないかととらえたのですけれども、そうすると発言どおりに6月に出てくる目標というのは、数字で何%、債務残高対GDP比は何%とか、そういう目標は入らないのかなというふうにとらえてしまうのですが、そこは副大臣はどのようなお考えでしょうか。
(答)繰り返しになりますけれども、今、中期財政フレームや財政運営戦略をどのような形にするかについて、有識者の人を交えて枠組みについて検討を始めたところでございます。その結果を踏まえて、ではその枠組みの中でどのような形で、どういう数字かわかりませんけれども数字も含めてお示しをし、具体的な中期財政フレームや財政運営戦略をつくっていくということになろうかと思います。今の時点でどういう数字は出ないとか、あるいはどういう数字が出るとか、そういうことをコメントする状況ではないというふうに認識いたしております。
(問)数値目標、債務残高の対GDP比というのは、去年の閣議決定でもそこは重視するというような確か文章が入っていたと思うのですけれども、短期はともかく中長期のところで何らかの指針が入らないというのはあり得るのかどうかという気がするのですが、そこは副大臣はどういうお考えですか。
(答)繰り返しになりますが私の考えというより政府としての考え方は、今この検討会において論点整理を行い、そこの枠組みで示されたものの中で具体的な形での財政フレームや財政運営戦略を立てるということ、それ以上でもそれ以下でもありません。
(問)明治大学の菊地先生の専門は何ですか。
(答)ここに書いてあるように公共経営学科が専門ということです。
(問)では経営学が専門ということでよろしいのですよね。例えば下の方は公認会計士になっていますけれども、何か資格的なもの、領域があるのかということでいうと。
(答)ちょっとその資格があるかどうかまでは私は承知しておりません。
(問)それから、これはもう政治家は入らないということでいいのですよね、政府関係部局の中には。
(答)これは先ほども申し上げたように、かなり実務的な、専門的なところの論点を、例えて言えばそれこそ会計基準を決めるような案をどうするかというような話でございますから、そういう意味では関係者、そしてそれぞれの分野の専門家の人で我々政務三役が検討する叩き台をつくってもらうということでやっております。そこの作業のところに政治家が絡むということは今のところ考えておりません。
(問)国家戦略室の運営について政治家とのかかわりをお伺いしたいのですが、先日の内閣府の政策会議の新成長戦略の分科会の席において、サポートチームの扱いについて質問がありまして、平岡衆院議員から今どういう立場であるのかよくわからないと。うろうろしている状況であるということで、提言としては、今後ちゃんとした国家戦略なりをつくるとしたら継続的な組織や手順をつくるべきではないかということをおっしゃっていたのですが、ここは7人衆院議員が入っておられると思うのですが、その活用の仕方とかかかわりの仕方、処遇についてどうお考えなのでしょうか。
(答)これは私前回の記者会見のときにも申し上げたと思うのですが、仙谷大臣が国家戦略も兼務されることになりましたので、菅大臣と仙谷大臣で国家戦略と行政刷新を分けていたときには、サポート議員の人を刷新のほうが5人で戦略室が7人という話はありましたが、まとめて12人仙谷大臣の下でどういう形でサポートしていただくかということを物事によって検討して、それぞれ個別にお願いしていくという方向で今やっておりますので、そういう意味では昨年の段階のときの菅副総理が国家戦略担当大臣だったときとはサポート議員の位置づけがちょっと変わっております。仙谷大臣も御存じのようにかなり幅広いいろいろなところをカバーしなければいけないので、そういう意味では、全体として仙谷大臣の下でこの12人の人たち、それぞれ得意分野等を持っておられますから、その人たちの得意分野をできるだけ活かしていただくような形で、今後個別にそれぞれの議員の人たちにサポートをお願いしていく、そういうことを考えております。
(問)具体的にどういう役割が誰で、いつからどういうものをお願いしていくとかそういう計画というか予定が今あるわけではないのでしょうか。
(答)あることについてはこういう人にお願いしていきたいとか、内々こういうところでこういう人にということをその担当の議員などとも話もしておりますが、それはちゃんと決まったときにまた皆さんにもお伝えできると思います。
(問)今月もうこれから開催されているダボス会議のことでお伺いしたいのですが、昨日仙谷大臣も閣議後の会見で、国会の了承が得られればという前提つきで、参加の方向の考えを示しているのですが、これまでも古川さんは何回も参加されてダボス会議の意味合いというのも十分御理解なっていると思うのですけれども、この場で日本が、実際に仙谷大臣が参加されたときにどういうメッセージを発する場になればよいと期待されますでしょうか。
(答)もともと総理がダボス会議に出席の意向で準備いたしておりました。鳩山総理はこれまでダボスに行った総理とは違いまして、総理になるまでに2度ダボスのほうにも行っておられます。ダボス会議の中でもそれこそ主催しているシュワブ博士をはじめ総理をよく知っている人が何人もいるわけでありまして、そういうダボスのことをよく知っている人で、ダボスのコアのメンバーからも認識されている方が新たな日本の総理になったということで、先方でもぜひ今回は総理に来ていただきたいという思いもあって、総理もぜひ行きたいということで準備といいますか検討してきたわけでございます。そういう意味では総理が行けなくなったということは非常に残念なことで、総理自身が一番、多分残念な思いになっておられるのだと思いますけれども、一方でやはりちょうど政権交代も起きて、世界の中での日本に対する関心、そして今後どうなっていくのかということに対する注目というのは非常に今回のダボスではもともと高いということもございました。ですから、そういう中では総理が行かれるのが一番よいというふうに考えておったのですが、こういう状況の中で、総理が行かれることが断念せざるを得なくなったという状況の中で、総理としては国会の状況さえ許せば、やはり自分の名代として誰かやはり参加して日本が政権交代によって、以降これから新政権においてどういう方向を目指しているのか、そしてまたどういう役割をこれからの世界の中で果たしていこうとしているのか、そういうメッセージを伝えることは極めて重要だというふうに思っております。
 特にダボス会議というのは、毎年1月に開催されるということで、いわば世界の今年いろいろ議論されるそうしたアジェンダのアジェンダ・セッティングの場というような形にもなっております。ここ数年だんだんと日本に対する関心というのは薄れていって、昨年はもう日本に対するセッションもなくなってしまうような状況にありました。そういう意味では世界の関心も、今回は日本が今大きく変わりつつあるという、この政権交代を受けての変化の中でもともと日本にかかわるようなセッションというのも立ち上がっていたわけでございますので、やはり政府のしかるべき立場の人間が参加して、今のこの新政権で目指そうとしている姿、方向性というものを示していくということは極めて重要なことだと思います。そのことは日本の国益にもかなう話でありますし、また日本の世界におけるプレゼンスを高めることにもつながると思いますので、私個人としては、できるのであれば国会の御理解もいただいて、その上で仙谷大臣が総理の名代としてダボスに行かれて、新政権としてのこれから日本がどういう方向に進んでいくのか、そして世界の中でどういう役割を果たしていくのか、そういうメッセージをぜひ発信していただきたいなというふうに思っております。
 よろしいですか。ではどうもありがとうございました。

(以上)