福島内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年10月1日

(平成21年10月1日(木) 16:23~16:45  於:第4合同庁舎6階605号室)

1.発言要旨

 今日は前倒し閣議で、しかも時間が長引いて、申しわけありません。
 まず初めに、補正予算の見直し、あるいは執行停止についてです。これは今も精力的に精査をしておりまして、考え方をまとめます。これの発表方法については、内閣全体として出す方向もあるやに聞いていますので、いつ、どういう形で発表するかは、内閣全体の発表の仕方と合わせたいと考えています。私の担当部分の平成21年度補正予算については、いまもって鋭意、まだ精査中です。
 それともう一つは、平成22年度予算の概算要求についての検討、見直しなんですが、これについては昨日から、9月30日から検討を始めました。資料をもらい、それからヒアリングを続け、ぎりぎりまで、これは精査をしていき、結論を出したいと考えています。
 それから2点目は、これはまだ私自身の構想というか、なかなか実現はあれなんですが、社民党は民主党と同じで、安全委員会を内閣府の外局に置き、独立した機関として安全委員会を設けるべきだという考え方に立ってきました。これは、例えば国土交通省のもとに事故調、事故調査委員会があれば、どうしても癒着が起きる、あるいはどうしても人間関係がある、本当にインディペンデント、独立した安全委員会になるのかという思いから、社民党は内閣府のもとに、内閣府の外局になると思いますが、安全委員会を設けるべきだという考え方に立ってきました。
 これは、例えば約20年前の日航機事故、御巣鷹山に日航機が落ちましたが、8.12連絡会の人たちも、当初から内閣府の外局に事故調査委員会を設けてくれと主張してきました。その後の多くの交通事故などの被害者の皆さんも、同じように主張をされてきました。ですから、そして私は昨日、ある市民集会で、ガス湯沸かし器と、それからシンドラーエレベーターの遺族の皆さんの話を聞きました。実はこれは私は何回も、例えば議員会館でも話を聞いております。例えば飛行機、電車あるいは、プールみたいなのもあるかもしれないですね。事故が起きたときに遺族の皆さんが思うことは、お金が欲しいとか補償が欲しいとかということではないんですね、絶対に。まず、事故の原因究明をしてほしい。事故原因の究明をきちっとやって、二度と同じ被害者を絶対に出さないでほしい、これが被害者あるいは遺族の皆さんが、本当に痛切に思うことで、そういう方たちと私たちは今までおつき合いがありました。ですから、今は行革の時代ですから、内閣府のもとに、すぐ安全委員会を設けるということについては、実現可能性としては、これは大仕事で大変なことは私も理解ができます。しかし、内閣府のもとに安全委員会を独立した機関として置いて、きちっと事故の原因の究明をし、かつ二度と事故が起きないようにということを、やはり提言できるような仕組みの模索を私自身も大臣として、まず始めたいというふうに考えています。
 例えば飛行機の事故もありましたし、記者の方が取材ヘリで落ちてしまうと。これも例えば送電線についてのナビゲーションがあれば救えたんじゃないかとか、いろんな意見もあるんですね。だとすれば、やはりこれは命にはかえられませんので、内閣府の外局に安全委員会を設けることができないかということを、実現可能性としては今の時代、困難なことは理解ができますが、命にはかえられないということから、当事者の皆さんを含め検討していきたいと考えております。
 今からそのことを主張していけば、今すぐではなくても、いずれやはり、こういうことは実現できる日も来るというふうに思っておりますので、すぐではなくてもあきらめずに、ちょっと私の中で構想を温めていきたいというふうに考えております。
 消費者庁の中には、やはり事故原因の究明という部分があります。消費者庁の中の事故究明と、今私が申し上げている安全委員会は別個のものですけれども、しかし、消費者庁と消費者委員会の集会に、遺族の方たちが発言するということに見られるように、消費者庁が、あるいは消費者委員会が、どこまでさまざまな被害の事故原因の究明と再発防止に努力をできるかということについては、消費者庁それから消費者委員会の皆さんとも大いに協議をしていきたいというふうに考えています。
 それから3点目は、これは社民党党首として、一言です。
 三党合意の中では、自然エネルギーの促進やCO2の削減ということは、私たちは合意をしました。しかし、CO2削減のために、原子力発電所の推進ということについては三党合意には至っていないというふうに考えております。
 これは、環境大臣がCO2削減のために原子力発電所の推進という報告書を出したというふうに報道があります。私は、これはきちっと精査をしようというふうに考えておりますが、社民党としては、これは三党合意を、やはり超えているのではないかということで、あるいは意見の調整や協議ということを、しかるべき場所でやっていきたい、あるいはどこかそういうところで、きちっとしていきたいと考えています。
 今日の段階では、社民党の三役会議などで、やはりこれについては社民党の立場を、一言やはり言うべきであるという結論に達しましたので、このことについては、社民党としては問題があると考えるということで、記者会見の場で発言をさせていただきました。
 以上、3点です。

2.質疑応答

(問)2点目の安全委員会の話ですけれども、大臣は「私の中で温めていきたい」とおっしゃったんですけれども、温めていくプロセスで、消費者庁の職員の方とか消費者委員会の委員の方に何か検討を指示するとか、そういうことはあり得るんですか。
(答)そうですね、それはあり得ると考えています。
 なぜそう言うかといいますと、国土交通大臣や、副大臣が辻元清美さんなのでちょっと話をすると、国土交通省としても事故調に関して罰則の規定を設けたらどうかとか、いろいろお考えのようなんですね。ですから、そっちが実際は現実問題として進んでいるというのがありますので、消費者担当大臣として、例えば私の範囲内で何ができるか、すぐ内閣府の外局で安全委員会ができなくても、それは消費者庁あるいは消費者委員会の皆さんと、大いに意見交換をしたりしていきたいと考えています。
(問)将来構想ということで、どういう組織がいいのかということを大臣として考えていこうと。
(答)そうですね、はい。これは御存じ、オランダ等の外国には制度がありますので、すぐ日の目を見なくても、いずれまた、問題にならないほうが本当はいいんですが、消費者庁、消費者委員会と話をすることと、どういう独立したものがあり得るかどうかということについて、私は検討していきたいと考えています。
(問)消費者庁と消費者委員会に諮るのは、大臣の中でめどはあるんですか。
(答)つい先日、消費者庁と消費者委員会に2つのテーマで頼みましたので、またちょっと議論をするというところから、どうだろうか、何ができるだろうかというところで、実質的な話をちょっと聞いてみたいと考えています。
 つまり、これはまだ、すぐ「大臣としてやれ」という指示ではないので、ちょっと意見や知恵を、専門家や消費者庁の職員からいただきたいと考えています。
(問)これは生活製品についてということなんでしょうか。対象はどういうところなんでしょうか。
(答)それも含めて消費者庁の中で、どこの範囲までそういうことができるかということも、きちっと議論をしていきたいと考えています。
 つまり、航空機やそういうのはちょっと、もちろん難しいとは思うんですね、正直。それは安全委員会と違うわけですから。ただやはり、消費者庁をつくったみんなの思いは、生活製品などについても、それこそ原因究明と、それから再発防止の思いがあると思いますので、一つは、情報の一元化と事故原因の究明・解析ということを両方に頼みましたけれども、消費者庁と消費者委員会に、消費者庁としては、どこまで一体こういうことについてカバーし、できるのかという議論もしていきたいと考えています。
(問)例としてはエレベーターとかエスカレーターとか、例えばですけれども。
(答)そうですね、エレベーターについても、利用者ということだったら、消費者と言えますので、そのことも含めて考えてみたいと思っています。何かできるか、つまり、今の現状でどこまでできるか一生懸命考えて、対応していきたいと考えています。
(問)国土交通省から切り離すということではないんですか。国土交通省から今の運輸安全委員会を切り離してというような構想では……。
(答)いや、ですから2点ありまして、本当は国土交通省から、その事故調を切り離して内閣府の外局にするのが将来的にはベスト。しかし、そこまではやはり、これはとても力仕事なので、そこまでいかなくとも現時点で、消費者庁としてはどこまで一体できるのかということを、職員の皆さんと大いに議論したいと考えています。
(問)補正予算の件ですけれども、先日おっしゃった自殺とDVと地方消費者行政の強化は削らないとおっしゃった、方向性は変わっていないんですか。
(答)それも含めて中身について、もう一回全部見直している、精査をしている最中です。
(問)それは削減するという方向でやっているんですか。
(答)今回の補正予算を細かく全部、精査をしていくということで、今作業中です。
(問)さっきの事故調の話ですが、改めてJR西の漏えい問題が今回大きなところだと思うんですが、そこに関して大臣に何か思うところがあるから、これだけ外局にするのかなと、どういうところに問題があると思われますか。
(答)事故原因の究明と再発防止のためには、情報が漏れるとか癒着とか、中立性、独立性が揺るがされるということは、あってはならないというふうに考えています。それで、やはり同じ役所の中ですと、人的なものや今までの関係や、いろいろ癒着が起こりやすいという面が正直あるのではないかというふうに思っています。
 ですから、今回の漏えいというか、中身について教えてくれというふうに、一緒に働きかけたのか聞いたのかわかりませんが、このことそのものが、私はやはりきちっとした独立した安全委員会は必要だというふうに思っています。
(問)前原国交大臣とは、そのことについて何か話したんですか。
(答)長く時間をとってではないんですが、それぞれ前原大臣と辻元副大臣に、「私はこういうことを思うんだけれど」と言ったら、それは確かに前原大臣も、民主党のマニフェストにも、内閣府の外局で安全委員会というのは、以前なのか、ありましたというか、ただ今は、罰則の強化やいろんな観点で、このことについてはきちっと対応していきたいと考えていますというふうに言われました。
(問)大臣が国交省まで行かれたんですか。
(答)ちょっと会ったときの話です。
 国交省が今、努力をなさるというのは、もちろんそれはとてもいいことで、国交省にそれはゆだねますが、内閣府の担当大臣としては、そういう遠い将来の方向性と、現時点で消費者庁で何かできるかという、その二段構えで取り組んでいきたいと考えています。それが、たくさんの遺族の方たちと今まで話をしてきた、私の思いです。
(問)原発の件ですけれども、小沢環境相には何か申し入れとか具体的には。
(答)いや、まだそれは、これは正直言ってまだ新聞報道だけなので、きちっとその報告書を読んで、それからだと考えています。
(問)今日、報道で、鳩山総理の政治資金団体が、鳩山総理のお母さんの所有のビルを格安で借りていたという報道がありました。この差額は寄附に当たるし、政治資金規正報告書に書くべきではないかという議論も、これから起きてくるんではないかと思うんですが、この総理の「政治と金」の件について、どのように思われますか。
(答)そうですね、私はその件については、実は新聞報道でしか見ていません。ですから、それが寄附に当たるのかどうかということなどについて、まだちょっと私自身は、今の段階では判断ができません。ただ、政治とお金の問題については、何はともあれきちっと説明をされたり、その必要はあると思います。
(問)安全委員会の件なんですけれども、「非常に困難だ」というふうに先ほど大臣おっしゃいましたが……
(答)頑張ります。
(問)大臣は、どの辺が困難であると思われますか。
(答)そうですね。やはり今、税収が少なくなって、私は消費者庁をとにかく大きくするということが、一つのすごく大きな仕事だと思っておりまして、今、税収が減って経済状況が悪い中で、新しい組織をつくるということはお金も人もかかりますので、時期的に、なかなか国民の理解が得られるかどうかというところで、ちょっと困難を感じるということです。
 ただ、私は、そういうことは絶対に必要で、そういうところがあれば、やはり命を救うことができるし再発防止ができると確信をしていますので、私が大臣のときに、少しでも進めることができればというふうに考えています。
(問)社民党党首としてお伺いしたいんですが、海上自衛隊のインド洋の給油活動についてですが、岡田外相は昨日のテレビ番組で「基本的には延長したくないけれども、絶対にノーではない」というふうに発言されたんですが、この受け止めをお聞かせください。
(答)これは、鳩山総理が代表であったときも「延長しない」というふうに発言をされていらっしゃいましたので、延長をしないということで、この内閣はやっていくべきだと考えています。
(問)安全委員会の話なんですけれども、今後、閣僚委員会など開催を求められて話をされるという……
(答)安全委員会の件ですか。
(問)はい。
(答)少し外国の制度や、いろいろ精査をして、それから考えたいというふうに考えています。
(問)補正予算の見直しの部分について、ちょっと確認させていただきたいんですけれども、最初「命にかかわるところについては、基本的に削らないという方向である」ということを一番最初におっしゃっていて、そこから今、ぎりぎりまで精査しますよというようなお話を先ほどいただきまして、若干トーンといいますか、そのお話の内容が変わってきているようにも見受けられるんですけれども、これは基本的に精査した結果、これは削らなければいけないという判断に至ったときには、削るということも当然排除はしないと、そういう理解でよろしいんですね。
(答)はい、そのとおりです。
 どれも大事な予算だということでは、全く一貫して変わりません。DV予算も、自殺のことも、地方消費者行政の強化も、これは私の担当の部門で大事だと思っています。しかし本当にどうかという精査をぎりぎりまで行い、この部分はどうかということがあれば、それは検討しなければならないと思っています。ですから、大枠のことと個別の細かい政策と、両方あると思っています。
(問)青少年の雇用に向けた調査についても、削るべきときは削るということですか。
(答)私が今日申し上げられることは、すべてについて精査中だということです。
(問)その判断のポイントというのは、どういったところにありますでしょうか。
(答)判断のポイント、それはそれぞれなんですが、例えば不要不急かどうかとか、そのようなことなどはあるかもしれないですね。
(問)消費者庁なんですが、そういう各省庁が消費者行政に、消費者にかかわることの事故なんかについて、原因をきちんと究明して、足りなければ準拠していくというのが消費者庁の姿勢としてあるわけですけれども、先ほどの安全委員会の話というのは、それでは足りないというようなことを考えていらっしゃるということなんでしょうか。
(答)私自身は、航空機とか列車とか、それはやはり、消費者行政というものからはちょっと、はみ出ちゃうというふうには思っているんですね。消費者と言えるんでしょうかね、そのことも含めて、これからちょっと検討していきます。
 ただ、消費者庁がどこまでやれるか。私の思いは、とにかく人の命を救うために独立して、事故究明や再発防止ができる機関が必要である。やっぱり航空機や列車、ヘリコプター、エレベーターなどは大きいもので、それについては安全委員会、国土交通省の事故調を引っぺがして、内閣府の独立した機関にすることが最終的には望ましいのではないかと、私は思っていると。しかし、その消費者庁で扱うことが、それが入るかどうかも含めて、ちょっと検討したいと思っています。もしそれが入るということであれば、ちょっと消費者庁の扱うことが大きくなりますが、事故調との関係とかどうなるかということはあるかもしれませんが、今は国土交通省に事故調があるので、消費者庁とは、やっぱりそれは今の段階ではこっちにあるので、消費者庁ですぐ扱うというのは、ちょっと難しいんじゃないでしょうかね。それも含めて消費者庁がどこまで、そういうことに接近というか扱えるかということは、検討してきたいと考えています。
(問)食品安全について、前にちょこっと、食品安全委員会のほうも評価していきたいというふうにおっしゃられているかと思いますけれども、あれも何かそういう構想はあるんですか。
(答)いや、私が考えているのは消費者庁と、それから消費者委員会と食品安全委員会のそれぞれの活性化ということですので、それも最近は、消費者委員会の方たちと懇談をしたり、またいろいろ、こういうことをやってほしいということを言い、消費者庁にも指示を出しました。また食品安全委員会は科学的知見をやるところですが、どうすれば、もっと食品の安全という観点からいいかということを、また考えたいというふうに思います。
(問)消費者庁長官についてなんですけれども、もうどのような扱いにするかというのは、総理とはお話しされたんでしょうか。
(答)いや、総理は「これからコペンハーゲンに行く」と言って立ち去っていかれましたので、今後また話をしたいと思います。

(以上)