原口内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年6月9日

(平成22年6月9日(水) 11:43~12:03  於:会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。引き続き、総務大臣、内閣府特命担当大臣(地域主権推進)を仰せつかりました原口一博でございます。記者クラブの皆様には、鳩山政権下でも大変お世話になりましたが、菅新内閣、新政権下でも、どうぞよろしくお願いいたします。
 私の方からは2点申し上げたいと思います。
 先ほど、閣議、そして、閣僚懇談会が行われました。総務省、これまで、緑の分権改革、地域主権改革、ICT維新ビジョン、行政刷新、年金記録の問題、そういう問題についても果敢に取り組んで道筋を示してきました。前政権で示した変革の道筋をしっかり実行していく、これを行ってまいりたいと思います。基本的に、副大臣、大臣政務官、これは留任をさせることを決定いたしました。同じチームで更に強力に改革を実行に移していきたいというふうに考えています。特に菅新政権では、これまで続いた、いわゆる親が政治家であるという、そういう歴代総理とは根本から違い、菅総理とは若いころから、例えば、政治の改革については、菅さんは、未来株という、つまり、一人一人が浄財を集める形で政治活動を行ってこられました。私自身も23歳のときに、菅さんに初めてお会いをして、政権交代可能な政治を刷新することで、日本をよみがえらせようということを、一緒に歩いてきた仲間であります。27歳のときに、初めて、地盤・看板・かばん、何もない中で、県議に、私も当選させていただきましたが、そのときに参考にしたのが、菅さんの選挙のやり方でありました。つまり、参加、そして、浄財。それも大きなお金ではありません。当時は、私たちにとっては大きなお金でしたけれども、300万円という、大きな、1,000円のカンパを集めることによって、県会議員の選挙をさせていただきました。この原点、市民が主役。そして、クリーンで、開かれた、明るい、そういう政治を引き続き行っていきたいと思います。強い経済、そして、強い財政、強い社会保障ということを、新総理、提唱をされています。ちょうど旧政権下の税調の三役、当時は菅総理は財務大臣でした。そして、官房長官が戦略担当でありましたけれども、この三人でまとめた財政再生への道筋、そして、変革への道筋。これを着実に前進をさせていきたいというふうに考えているところでございます。
 そして、二番目でございますが、これからの私たちのスケジュール。その総務省の中心。今日、先ほど省議を行いまして、幹部に対して訓辞を行い、そして、人が生きる総務行政ということで、私の方針を示させていただきました。第八代、第十七代の内閣総理大臣、これは早稲田大学をおつくりになった大隈重信侯でございますが、大隈重信侯は教育者でもございました。こういう言葉を残しておられます。これは学生の皆さんにおっしゃった言葉だとも受け取れるのですけれども、多くの方々に共通するのではないかと思います。「諸君は必ず失敗する。成功があるかもしれませぬけど、成功より失敗が多い。失敗に落胆しなさるな。失敗に打ち勝たねばならぬ。」という言葉であります。5月にシリコンバレーに参りましたけれども、世界の大きな成長を支えている人たちは、失敗・挫折に心を折ることなく、前進をする人たちであります。失敗をあげつらい、そして、人を排斥するのは、ある意味、そのときは、その人たちにとっては、排斥する側にとっては、それは快感なのかも分かりません。しかし、そんな社会を続けていたら、この資源が、いわゆる地下資源という意味では限られている日本、少子高齢化が進む日本では、とても太刀打ちできるわけではない。私たちは地域主権改革、あるいはICT維新ビジョンで、一にも、二にも、三にも、地域を支える、日本を支える教育の改革を目指してまいりたいというふうに思います。それはどういう教育の改革かというと、共につながることによって、共に問題を共有することによって、解決型の教育をしっかりと目指していきたい。答えが一つしかないというふうに教えられた人たちは排他的です。100点満点がすべてだと教えられた人たちは、200点も300点もあるということが分かりません。そういう教育ではなくて、みんながひとしくつながることによって、問題解決を共有して、そして、未来を開く。ICT維新ビジョンでもこれを訴えていますけれども、そういう総務行政をやっていただきたい。私は、夜登庁ということを、2回連続やりませんでした。それは何か。私たちは人間らしい働き方。そう言いながら、夜中の会見で、皆さん、今日寝ておられない方もいらっしゃるのではないかと心配をしていますけれども、人間らしい働き方、これが中心となるのだということを申し上げたいと思います。
 もうこれで結びにしますけれども、大隈侯も、次のような言葉も残しておられます。「学問は脳、仕事は腕、身を動かすのは足である。しかし、いやしくも大成を期せんには、まずこれらすべてを統ぶる意志の大いなる力がいる、これは勇気である。」。菅総理が、様々な施策の基本となる考え方を国民にお示しをし、国民の皆さんと共に日本を立て直す勇気を共有していきたいと。その先頭に、総務省が立って、そして、これまではよく総務、財務という、いろいろな激しい責め合いもありましたけれども、今日、閣議の前に野田大臣に話をしまして、野田大臣とは松下政経塾の先輩、後輩でありますけれども、総務、財務の若手の勉強会、これを立ち上げさせてほしい。そして、国の財政、地方の財政、全体に責任が持てる、そういう政策の基盤となる議論を更に密接に、これもオープンでやろうではないかということを提案いたしまして、野田大臣から快諾を頂いたところでございます。
 以上、私の方から新しい総務大臣に就任する、再任させていただくに当たり、皆様に2点お話をさせていただきました。以上でございます。

2.質疑応答

(問)幹事社、北海道新聞の中橋です。
(答)長い間お世話になりました。
(問)まだまだおります。まず、再任おめでとうございます。
(答)ありがとうございます。
(問)今後ともよろしくお願いします。
(答)よろしくお願いします。
(問)まず、再任に当たって、冒頭で大変恐縮なのですけれども、今朝、一部報道で、荒井国家戦略担当大臣の事務所費問題ということが報道されました。鳩山総理のクリーンな政治ということで退陣されてですね、その直後、新内閣発足直後にこういう政治とカネの問題がまた出てきた。この問題についてどう受け止めていらっしゃるか、まずそれを伺います。
(答)総務大臣は、これは何回も申し上げていますけれども、政治資金規正法を所管する大臣として、個別の案件についてはコメントをすることを控えさせていただきたい。これは歴代の総務大臣の姿勢であります。その上で一般論でございますけれども、すべてをクリーンに、そして、しっかりと説明を果たす、これが大事だというふうに考えています。以上です。
(問)もう1点、お願いします。今、冒頭、抱負ということを伺いましたけれども、これまでの鳩山政権下での総務行政と、菅総理に代わっての総務行政、何か変わるところなどありますでしょうか。
(答)基本的には変わりません。鳩山政権下でまとめてきた、一丁目一番地である地域主権改革、行政刷新。今、6月に向けて、天下りではないかと思われるいくつかの形態について調査を進めています。人質型、持参金型、様々な天下りの形態についてもしっかりとやっていきます。また、昨日、新しく大臣に就任をしました蓮舫大臣とお話をいたしまして、様々な事業仕分けの結果を受けて、更にこの総務省の横ぐしの機能、そして、行政刷新会議との一体化、一体的な変革の取組。これを更に進めていきたいと思います。8か月半、見てみて、やはり非常に、一番印象的だったのは、要するに税金の無駄遣い、国の政治を変えると言いながら、これずっと歴代政権も言ってきたのですね。なぜこんなに随意契約や一者応札や、あるいはこの間、使い切り費を1,000億円、総務省だけで予算をセーブすることができましたけれども、これに手が着いていないのだろうというのをずっと思っていました。財投を改革すれば特別会計の矛盾は無くなる。あるいは、入口の郵政を改革すれば、天下りや、あるいは官製談合というのは無くなると、前の政権は説明してきたはずです。しかし、それはある意味では、入口の改革と出口の改革を一体的にやらないと、出口の改革に対して、それを先送りする口実に使われてしまえば、今のような状況になってしまうのではないか。つまり、何を私が今ここで言いたいかというと、財政についても歳入・歳出の一体改革。そして、税金の無駄遣いや様々な問題についても、入口だけ押さえたつもりでも、結果、国債でバイパスができればですね、今のような状況が起こるわけで、改革のすり替えということを絶対に許さないというのが、この8か月半の私の大きな気付きでございました。それを着実に実行していきたいと思っています。
(問)ビデオニュースの山本です。放送法改正についてなのですけれども、放送の定義があいまいで、解釈によってインターネットが規制の対象になるという余地がですね、払拭できないという懸念の声がありますが、放送法を改正した場合、法文で明確にインターネットが規制の対象外だということを明記するお考えはお有りでしょうか。
(答)国会の答弁でそれをきっちり言っていますし、通信は何であるか、放送は何であるか、それを事細かく定義まで私たちは書いているわけですね。インターネットに規制があるという、その考え方は、この法文のどこを取っても読めない考え方でありますし、私たちが国会で何回も答弁をしている。これはやはり立法者の意思というものが、法律を使う上で大変大事なものなのですね。そこを御理解いただきたいと思います。
(問)共同通信の藤田です。よろしくお願いします。
(答)お世話になりました。引き続き、よろしくお願いします。
(問)先ほどの、野田大臣とお話になったということなのですけれども、地方財政に関する若手の件。
(答)財政再建。
(問)財政再建ですか、検討会。これの趣旨と参加される方について、ちょっと詳しいことを教えてください。
(答)そうですね。まだ呼び掛けただけですから、両省に若い優秀な人たち、たくさんいます。それぞれ、私の考えですよ、5人ぐらい出して、そして、あるべき財政の姿といったことを、それぞれの所管というものは確かにありますけれども、菅総理の方からは、日本全体を、先ほど大隈重信侯の話をしましたけれども、すべてを統ぶる意志というものが大事だと、大隈重信侯はおっしゃっていますけれども、全体をマネージできる、そういう共通の議論、それをもっともっと深めていこうではないか。もっと言うと、目先の増税を、これは私の立場から言うと、何回も言ってきているのですけれども、増税をしにいって、かえって財政赤字を拡大させてきた。これの原因は一体何なのか。あるいは、この総務省で言うと、三位一体改革と言いながら、結果、地方が疲弊をし、そして、税収も上がらず、財政赤字は拡大した。それぞれ失敗の歴史を抱えているわけです。その歴史を総括をし、二度と同じようなことをしないために何が必要かと。これを若い人たちの、まだ白紙の目で議論をしてもらおうではないかと、これが、私が野田大臣に提案をした趣旨であります。まだ、更に詰めていきます。
(問)NHKの太田です。引き続きよろしくお願いします。
(答)よろしくお願いします。
(問)子ども手当についてですね、長妻厚労大臣が、昨日、満額支給は難しいというような認識を会見で示されたということですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。また、財源については全額国庫負担でということを交渉されていたと思うのですけれども、その考えにお変わりはないのでしょうか。
(答)後段から言うと、全額国庫負担というのは全く変わっていません。それから、長妻厚生労働大臣と、それから、当時は財務大臣が藤井財務大臣、それと、菅総理、当時は国家戦略担当・副総理と、四大臣でまとめたペーパーがございます。四大臣合意と言われるものでございます。四大臣合意に従って、地域主権戦略会議、こういう中で結論を得ていくというのが四大臣合意の大きな趣旨でございまして、それからすると、満額かどうかということも大事ですけれども、一体、サービス給付と現金給付の割合をどれくらいにするのか、そのバランスをどう考えるのか。あるいは、地方の財政の大きさと子ども手当との大きさ。子ども手当はばらまきだと言うような人がいますが、全く認識が違います。これは、働く方によって、あるいはジェンダーによって規制をされているものを、それを解き放っていこうと。社会全体で子供をはぐくむことによって、正に子育て、チルドレンファーストで日本を再生していこうというのが、この子ども手当でございまして、私は前にも申し上げているとおり、このバランス、全額給付2万6,000円というところを民主党のマニフェストで出していましたけれども、それと、サービス給付とのバランスが大事だというふうに考えています。
(問)朝日新聞の堀口です。よろしくお願いします。
(答)よろしくお願いします。
(問)郵政法案と新政権、立ち位置というか、御質問なのですけれども、3月下旬に限度額の引き上げを決めたときには、菅さんですとか、野田さんですとか、枝野さんとか、仙谷さんとか、決定前、正式に決める前、異論を述べていたという場面がありましたけれども、その上で、今の法案についての内容について、そのまま、やはりこのまま、今の内容でやっぱり成立させるというのが、大臣としてはベストなチョイスなのかという、そこを改めて確認なのですけれども。
(答)ベストなチョイスです。
(問)民放連の機関誌を担当しております赤塚と申します。よろしくお願いします。
(答)よろしくお願いします。
(問)6月7日に民放連会長が放送法の改正案について、早期成立を求める声明を出していますけれども、今回、会期末も間もなくなのですけれども、大臣として成立に向けての意志といいますか、見通しについてお聞かせいただければと思います。
(答)今日ですね、民放連の会長とは会談を行う予定が入っていると認識をしています。これは60年ぶりの大改正ということでございまして、また、その中にはマス排規制、それから、地方の放送局の、これは緊急避難的な側面もございますけれども、大きな支援。大変大事な法律でございます。何としても、これ与党・野党はございません。電波監理審議会のところでですね、私たちが思ってもいないような危ぐをお示しになることがあって、今、衆議院では修正されているものが、参議院で御審議を待っている、御審議をされているという状況でございまして、この国会の中でしっかりとこれを成立をさせていただきたい。そのために、私たちはありとあらゆる努力を惜しまないということを申し上げたいと思います。
(問)よろしいでしょうか。以上で終わります。ありがとうございました。
(答)ありがとうございました。

(以上)