原口内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年2月16日

(平成22年2月16日(火) 10:20~10:45  於:会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。閣議後の記者会見を始めさせていただきます。今日は、私の方からまず2点でございます。公務員制度改革でございますが、私たち正に政治主導、国民主権を徹底する上でも大変大事な改革でございます。昨日、総理はじめ、関係閣僚ともお話をいたしましたけれども、仙谷大臣が衆議院の予算委員会で答弁をいたしましたとおり、これは労働三権、この回復の問題と人事院の制度の問題、これの改革を並行的に行いながら、今回、ツーバスケットにしていたものをワンバスケットにすると。で、ワンバスケットの中でしっかりとした政治主導の人事というものができるようにすると、こういう形で今議論を進めており、ほぼ、決着に向けた地歩を固めつつあるということをまず申し上げたいと思います。
 2点目でございますが、年金記録に対する国民の信頼回復と日本年金機構の適正な、かつ、円滑な業務管理運営体制の確立は喫緊の課題でございます。そのため総務省に外部有識者からなる年金業務監視委員会を本日付けで設置いたします。年金業務監視委員会は、随時、日本年金機構、厚生労働省及び関係者からのヒアリングや審議を行います。その上で、日本年金機構、厚生労働省の業務実施状況について、行政評価局に行政評価・監視の実施を要請します。メンバーは、別途報道資料を配布、事務方の方からさせていただきますが、弁護士、公認会計士、社会保険労務士、学識経験者、地方公共団体職員など6名で構成しておりまして、第1回目の会合は、2月23日に開催予定でございます。
 私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)2問お願いします。1問目は、菅財務大臣が政府税調で、消費税の議論を来月から前倒しして実施される意向を示されました。消費税をめぐりましては民主党のマニフェストで4年間は引き上げないと明記されておりますけれども、地方側は安定的な財源確保のために地方消費税の増額を望んでおります。大臣は来月から本格化する消費税議論の中で、地方の意向をくみまして地方消費税の増額というのは主張されるのかどうかをお願いいたします。
(答)これは直間比率や様々な税の歳入構造改革について、しっかりと議論をするということを来年度の税制改正大綱をまとめる上でも、随分議論をしてきました。今回の菅大臣の消費税についての議論は、総合的な議論の中で消費税だけを抜きにしては話をしないという、今までのスタンスを繰り返してお話をされたものだというふうに承知をしています。
 その上で地方消費税についての議論も同じように、歳入構造の一体的な改革という中で、しっかりと議論をしていきたいと思っていますが、何回もここでも申し上げていますけれども、1997年に財政の後年度負担、つまり財政自体をどのように健全化していくのか。あるいはその持続可能性を、膨大化していく、拡大していく福祉や医療の予算も含めながらどう考えるかというものをですね、1997年から作り出していますけれども、そのときの資料を見ると、今の税収は国税収入92兆円なのです。経済成長は名目で3.5%で税収の弾性値が1.1ということで計算すれば92兆円なのですよ。その92兆円であるべき、あるはずだと機械的に計算したものが、今現実にはなぜ37兆円なのかと、そこから議論をしなければ、増税ありきの議論は全く意味がないというふうに思っています。税収が現実に増えなければ、様々に拡大する行政サービス、地方の公共サービスについての下支えの財源そのものがなくなるわけですから。私のスタンスはそういうことでございますので、消費税ありきという議論には立たないということをまず申し上げておきます。
(問)今の大臣の御発言から推察しますと、そうすると、地方消費税の増額は必ずしも税源の確保にはつながらない可能性があるので、その議論には少し慎重に対応していこうというようにお考えということでよろしいでしょうか。
(答)今の議論はステップアップ、2段階ステップアップされたと思います。地方消費税の議論が財源確保に当たらないなんていうことは一言も言っていません。しかしその前提で、これだけ疲弊した地域あるいは経済に更なる増税をすれば、かえって財政赤字は拡大するということを申し上げているので。今、二つステップアップされたというのは、経済のまず安定的な成長が一つだということと、それからもう一つのステップアップは、税全体の仕組みの中で考えるべきだということ、このことがまず最初にあって、何が何でも消費税を取りに行かなくてはいけないという議論をですね、囲碁で例えてみると、目先の2目、3目を取りにいってですね、10目を失う議論と変わらないということを是非御理解いただきたいと思います。
(問)もう1問お願いいたします。枝野行政刷新大臣が、出先機関の統廃合に伴う国家公務員の削減につきまして、政府の地方分権改推進委員会の第二次勧告を基に、 3万5,000人以上の削減を目指すというようなお考えを示されました。ただし、この二次勧告の削減幅につきましては、十分な議論を尽くして導き出されていないというふうに妥当性を疑問視する見方もあります。大臣、今後、枝野大臣と同様に削減幅の最低ラインは、3万5,000人という前提で出先機関改革を進められるお考えにありますでしょうか。その辺お願いします。
(答)地域主権改革の中で工程表を示して、出先機関の原則廃止ということを私たちは申し上げています。その中でも例えば一人一人の人間の尊厳を保障する、個別の機関を挙げて例示をするとですね、例えば労働基準監督局、こういったものはやはり中央政府の責務としてですね、人間の、その労働における権利を保障する、国民の労働における権利を保障するということで大事だと思います。しかし、そうではないものもたくさんある。で、枝野大臣がお話になったのは、自民党政権下での勧告の最低ベースであって、私たちはこの4年間で公務員の総人件費を2割削減するということもマニフェストでお約束をしていまして、それとの関係でも地方の出先機関の原則廃止というのは、これはセットで改革をしていかなければいけないものでございますので、枝野大臣と私の考え方は全く一致していますし。先ほども議席で、答弁に入る前に少しお話をしましたけれども、これまで以上にタッグを強く組んで変革を進めていきたいと、こう思っております。
(問)よろしくお願いします。ゆうちょの限度額についてお尋ねをしたいと思います。一部報道によると、原口大臣と亀井大臣が限度額撤廃について合意したというような報道がありましたが、その事実関係について。
(答)それは、多分何日か前の大きな新聞で、私と亀井大臣が会って、限度額撤廃とかで合意をしたという、その新聞の記事を。
(問)そうです、読売新聞の2月13日付けですね。
(答)そうですね。個別の新聞名を言われたから言いにくくなったのですが、亀井大臣とそのことについてその日に会ったという事実は全くありません。そして様々なところで私と亀井大臣の考え方は一致していますが、限度額どうのこうのということでですね、今外に向けて発表できるようなものについて、話し合った事実もありません。
(問)まだ決まっていないと。
(答)話し合った事実はありません。私と亀井大臣だけで決めてですね、そしてどうこうするということになっていないのですね。幾つかのパラメーターを連関しながらやっている。ちょっと言うと、四次関数を解くみたいな話で、四次関数のほかの解が決まらないのにそこだけ決まるということはないのですね。
(問)基礎自治体の選挙制度について大臣のお考えをお聞きしたいのですが、基礎自治体の選挙制度は、まあ40人、50人くらいの、まあ規模の大きい自治体になれば、定数の中で有権者は一人しか選べないと、そういった中で、より有権者の民意というものが、地方の政治に反映できているかどうかの考えと、その選挙制度について今後その地方行財政検討会議など、地方の在り方を考える会議において、地方議員の選挙制度についても議論する考えがあるかどうか、お聞きしたいと思います。
(答)結論から言うと、正にそれを議論しているというところでございまして、三つぐらいの私が今持っている論点、一つは二元代表制ですよね、地方議会。この在り方をどうするのか、それから昨日、全国県議会議長会の会長さんからも御提言がありましたけれども、地方議員の身分や職能についてどのように定義をしていくのか。それから三番目は今の選び方、選ばれ方でありますけれども、今のような中選挙区というか、むしろ大選挙区のその中で一人しか選べない、あるいはその議員の選定要件についても、私たち国会議員とほぼ同じということであると、フルタイムでそこに行ける方だけが議員でもしあるということが外形的にも制約されているとすると、多くの私のところに今届いているのは、その代表制のミスマッチを起こしているのではないかと。多様な国民がその中に、主権者が被選挙権を行使できないのではないかと、こういう議論をしているところでございまして、いずれにせよ昨日も会議をやらせていただきましたけれども、地方政府基本法や様々なところの考え方の中で、私たちとしても整理をしていきたいし、議会制度全体については、やはりこれはもう国会で十分に御議論を頂きたいと。民主主義の基本に関することは、やはり立法府のお力を大変お願いするところが多いというふうに考えています。
(問)クロスオーナーシップのことですが、大臣は今週の東洋経済のインタビューに答えられて、それは記者の質問で、これは別に大臣を糾弾しているのではないですよ。地方ではテレビと新聞が同一資本で支配されているけれども、そのことを指すのかと聞かれて、大臣は、巨大資本が、巨大な通信社だとかがどんと投下されると言論が一色に染まると、そう答えられていまして、ところが実情はですね、例えば本当に地方に、いわゆるローカルといったところに行くと、もうそこの新聞社がもう世論も操作して、例えば警察の不祥事もつかんでいるから、警察も手を出せないわけですよ。つまり、もう衆人環視の前で強盗殺人でもやらない限り、そこの職員だとかは逮捕されないのですね。で、秋田魁事件などは、これは氷山の一角であって、そこに幾ら巨大な通信社がどんと来ても、そこの新聞社が持っている緻密なネットワークに、情報網には勝てないわけですよ。役場単位で、役所単位で記者を出していて、警察署単位で記者を出しているというようなところにかなわないわけです。幾ら世界的な通信社が来てもですね。そうなると言論を一色に染めようもないのですよ。そこであるのはもう地方のそこの人が息を潜めて暮らすという現状なわけですよね。つまり、秋田魁がやったことは自分のところがやる、経営するゴルフ場を県費で出させたわけですよ。そういうところが各地あるわけですよね。で、ちょっと僕は大臣の御認識はすごい高尚過ぎるというか、レベルが高すぎるのではないかと思うのですけれども、いかがでしょう。
(答)メディア自身が、その自らが権力性を持ち、そして。
(問)権力より強いんですよ。はるかに。
(答)土着化をして、そしてそれがクローズドされてだれからもチェックを受けないと。私はその秋田魁の話の個別のことを申し上げる気はありませんけれども、今のお話を総じて言うと、土着権力化した誰からもチェックを受けないメディアについてどのように考えるかという御質問だとすると、私はそれはやはり一義的にその民主主義の中で国民自体がそこの地方議会や様々なところで、それをしっかりと適正化するプロセスというのが必要だというふうに思っています。また、東洋経済のあれは、私が申し上げているのは、単に今の新聞と放送との間だけを言っているのではなくて、射程にあるのはもっともっと大きなものも含めて言っているのですという意味でございますので。あの記事を見て、ああ少しそこのところを足しておけばよかったなと私も考えているところでございます。
(問)今日の国会での答弁の中でKDDIの国際オペレータの話で、大臣の御答弁で、下支えできるところを検討したいというふうに御発言あったのですけれども、具体的に言うと何かこれは予算措置でもして支えますというお話なのか、具体的な下支えのイメージをできればお願いします。
(答)幾つか私の頭の中にあってお話をいたしました。今日の重野委員の御質問はNHKの国際放送のような、そういう公共的な役割があるのではないか。先ほども申し上げましたように、答弁で申し上げましたように、日本人妻のかたがたが、それこそ日本の親族に連絡を取るという意味でも大変大事ですし、災害時についても大変大事。それを一つの企業の経営判断やその経営の中の数字だけでやれるのだろうかという、その思いを持って言ったわけです。で、支援は、まあ予算措置も一つはあるかも分かりませんけれどもほかにも幾つか考えられるのかなと思って、中身について指示をしてみたいという思いで答弁をいたしました。
(問)大臣が冒頭御発言になった年金記録の関係ですが、社会保険庁がなくなった時点でこの監視はいったん終わるという位置付けになっていたかと思うのですけれども、このタイミングで新たな監視機関を設けるというねらい、それから厚生労働省、監督している厚生労働省に対する御不満があるからこういう委員会を作るのだと思うので、その辺の本音の部分をお伺いできればと思います。
(答)御不満というか、不満は政権を取る前からありましてね、むしろ、それを本音で語れといってどこまで語ればいいのかというのは、非常に考えをめぐらすのですが、率直に言って、長妻大臣を私たちはしっかりと支援をし、この消えた年金記録の問題を早期に決着をさせたいと思っています。私たちの行政評価局だけでもですね、消えた年金の第三者委員会、本当にその日本全国の御協力を頂きながらずっとやっているわけですけれども、これエンドレスにやれるわけありません。また、年金自体はもともと大きな企業の企業年金が1989年だったと思いますが、中小零細企業まで広げられたために制度の矛盾が記録の不備の矛盾の中にも入っている。ということは、何を考えているかというと、今現在ももしかしたら消えた年金というのは出続けている可能性もある。これ可能性ですよ。だとすれば不断にわたって外部からの監視、あるいは業務改善といったものに取り組まないと、片方で記録が回復する、しかし片方でまた同じようなミスが起きる。脱退手当金の問題もありましたし、そういったことを考えて、今回の組織の立ち上げに至ったものであります。不満がそのまま出たわけではなくて、そもそも主張してきたことを貫徹するということで御理解いただきたいと思います。
(問)今日、大臣、国会で、有線放送の関係で、違法状態にあるのか、調査を省内でされるというような御発言をされたかと思うのですけれども、これは敷設に関してということなのでしょうか。道路やですね、電柱のその敷設のところに関することなのでしょうか、どういうことなのでしょうか。
(答)今日の有線ラジオ放送事業についての早期正常化に向けた城井委員の質問についての私の答弁、それが何を意味するかというところで質問の趣旨はよろしいですね。これまでですね、違法状態を早期に解消しなければいけない。総務省においては、定期的に正常化の進ちょくについて報告を受けてきましたけれどもいまだに正常化していない。で、その正常化に向けた取組をしていくということでありまして、一方でこれは答弁の中でもお答えをしましたけれども、総務省自身の対応としても、私は、今日委員が指摘をされましたけれども、問題がなかったかというと、それは問題はなかったとは言えないと思っておりまして、今日政治家の影という言葉もありましたけれども、そういうものがあったかどうかも含めてしっかりとしたコンプライアンスを省の中でも徹底をし、そしてなぜこういう状況になっているのかということを調査をし、併せて違法状態については速やかに適正にやっていただくと、そういうことを申し上げたところでございます。
(問)政治資金規正法についてで、民主党が衆院選のマニフェストでもうたっていた、企業団体献金の禁止の関係についてなのですが。その進ちょく状況や今後の見通しをまず伺いたいのと、あと、お金の掛からない選挙にするために、そのインターネットの選挙への利用の緩和という、個人献金をしやすくするための措置等も多分お考えかと思うのですが、そのような具体的な企業団体献金の禁止に伴う措置や手当について、具体的にお考えの2点を、その時期として、次の参院選まであと半年ということになるので伺いたいと思います。
(答)これは、政府というよりか各党各会派で御議論いただいているテーマでございまして、民主党については、企業団体献金禁止のその前倒しも含めて、政治改革本部で一定の議論を進めているというふうに承知をしています。その上で、企業団体献金禁止については、私もこの職になる前に民主党の改革本部の役員をしておりましたので、できるだけ早期にこれは決着をつけるべき問題だというふうに考えています。その上で、ネット献金も含めた様々な個人献金を容易にする仕組み、私も自分がどのくらいかなと思いましたら、去年全体で42,000円です。本当に有り難いことですけれども、その42,000円で、ではやりくりできるのかというと、それはなかなか難しい。で、そういったことについて公平公正にやれる仕組みというものを作るためには、何といってもインターネットをしっかりと利用するやり方が大事だと思っています。そこは税調でも議論をしている話ですけれども、そのような議論と合わせて、それから個々の政治家の活動のオープン性、説明責任自体を果たすためにもインターネットや様々なメディアの活用というのは大事だと思いますので、そういう意味で前向きの御議論をお願いできるべく、私たちも論点整理をしているところです。昨日、エストニアの首相と話をしましたが、エストニアは130万人の国ですが、インターネット投票というものを世界で初めてやれた国だということで、昨日首相と30分くらい様々な意見交換をしたところでございます。

(以上)