原口内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年1月26日

(平成22年1月26日(火) 18:37~19:00  於:会見室)

1.発言要旨

 お疲れ様です。閣議後の会見を始めさせていただきます。御苦労様でございます。
まず、夕張についてです。本日の閣僚懇談会において、財政再生計画の年度内策定に向けた作業を進めている夕張市に関し、夕張市が目指す財政の再生と地域の再生の両立を支援すべく、同計画の総務大臣同意後には、この計画が円滑に実施されるよう、特段の配慮を関係各大臣にお願いしたところです。
 先週の会見でも申し上げましたが、昨日の全国都道府県財政課長・市町村担当課長合同会議で事務方から説明させたとおり、来年度の地方交付税については、 1.1兆円増額確保するとともに、その算定においては、段階補正及び人口急減補正の見直し等により条件不利地域や小規模の市町村においては、しっかりとした公共サービスが確保できるように配慮するつもりでございます。
 このような財政力の弱い団体に対する支援は、夕張市の財政基盤の強化にも資するものであって、今後のですね、再生を総務省としても、政府としても支援をしていきたいというふうに思います。これが1点目です。
 2点目は、予算執行監視チームの設置についてであります。国民主権の下、予算執行プロセスを抜本的に透明化し、可視化する。そして、年度末の使い切りなどの無駄な予算執行を排除する観点から、総務省に予算執行監視チームを設置します。副大臣、大臣政務官を中心として組織し、必要に応じ顧問をはじめとする有識者を招へいして、重要な調達、今までも幾つもやりました。1社入札をしてみたり、不透明なことが幾つかありました。こういう調達や補助金交付等の決定、執行計画の策定及び執行状況のチェック、それから達成状況の検証、政策や次の予算への反映、いわゆるPDCAサイクルを政治主導で回してまいりたいと思います。この予算執行監視チームについては、予算執行編成等の在り方の改革について、これは去年の10月23日に閣議決定していますが、平成22年度開始までに各府省に設置されるとされていますけれども、総務省ではいち早く立ち上げて、第二次補正予算が成立次第、執行監視を始めることとしたものでございます。詳細は後刻、事務方から資料を配布させます。
今日、後ろがタイトで、会見時間に限りがありますが、できるだけ質問を受けたいと思います。

2.質疑応答

(問)まず1問目ですが、昨日、今年度の二次補正予算案が衆院を通過しました。政府与党としては補正予算案を早期に成立させて、これに続く来年度の本予算案の本格的な審議入りにつなげていきたい、そういうお考えだと思うのですが、野党は政治と金の問題の追及を非常に強めていて、国会、予断を許さない状況にもなっています。大臣、こういった状況をどう受け止めて、今後の国会での論戦をどう乗り切っていかれるお考えでしょうか。
(答)政治と金の問題については誠実に丁寧にお答えをすると。そして御理解を頂く。政治の改革、信頼なくして改革なし、この姿勢を国会の中で誠実に説明をしていく、これに尽きると思います。また、国会論戦の中でも特に大きな政治主導、今までの常識が常識とされない、正にパラダイム自体が変わっているわけで、そのパラダイムの枠組み自体の変化というものをしっかりと国民の皆さんにお示ししながら、変革の方向性、ビジョンやあるいは理念といったものをきっちりと議論できるように、そしてそのビジョンや理念に裏打ちをされた具体的な、これは予算という形で今回出しているわけでございまして、今日も林委員でしたか、財政の基本的なフレームワークについてお話をされていましたけれども、あの方と私は大学からの同級生ですけれども、1990年代の終わりに当時の政権が出してきた財政の基本的なフレームワークでいうと、GDPが3.5成長していく中で、もう実際には今ごろ、その当時の試算からいうと92兆なければいけないのですね。それがもう25年前の税収に落ち込んでいる。一体これは何かと。つまり、今の日本自体の生産性やあるいは発展性を阻害しているものは一体何なのかということをしっかりお示しをし、5月に中期財政フレームということを私たちは出すようにしていますけれども、その中でも大事なのは三つだと思っています。 
 一つは、経済の発展を支える生産性、つまり活力そのものをどう上げていくかということですね。それなくしては、3.5なければ財政は、その当時の試算で、 1.75と3.5で試算していましたけれども、1.75ぐらいだと財政は発散するというような議論をしていたわけでありまして、まず経済成長についてどのようにやっていくのかというのが一つ。 
 もう一つは特別会計も含めた中央政府の資産をどのように圧縮していくのか。右側の負債と左側のストックのところが余りにも肥大化していると、このことをどう変えていくのか。そして、その結果として財政の健全化の道筋を立てながら、国民生活の豊かさ、私は創富力、富を創る力と言っていますけれども、それを確立していくのか、こういったことをしっかりとお示しをしていきたいと。いずれにせよ、今国民の皆さんが一番求めておられるのは経済、景気の回復でありますので、一日も早い予算の通過をお願いしたいと思います。
(問)先日開催された公的年金の積立金の運用の在り方に関する検討会において、原口大臣は新興国の株式投資を念頭に置いた積極運用を主張されましたが、この課題に対しての大臣の問題意識、対応策とか、そういった考え方について改めてお伺いします。
(答)これは、今までの年金運用というものについて、いわゆる世界のスタンダードとも随分違うのではないかという問題意識を持っています。つまり、今日の多分日経新聞だったと思いますが、非常に論点をきっちりまとめて書いてありましたけれども、国内の、世界のダイナミズムから取り残された年金運用というのは、これはあり得ない。正に大きな経済のパラダイムが変わって、そして取り残された運用はあり得ないという一方で、では年金で国民の皆さんからお預かりしているお金は世界最大であると。それを今までその運用の総括といったことも、私は十分に行われてこなかった。どこかに長妻さんと私の意見が違うとか話がありましたが、そこは論点では全くありません。全額国債でやるというのであれば国債のリスクをヘッジすることはできないわけですから、国債が暴落したときに年金も暴落する。国債は今1.5くらいですから、国民の皆さんにお約束をしている4.2を確保しようとするのであれば、4.2と1.5を埋める政策が必要だと、こういう話になるわけです。それは何で埋めるかというと、税金で埋めるのですかと。それは国民の皆さんにお願いなんかできない、そういう財政状況だと私は認識をしております。とすると、答えは幾つかのバリエーションだと。120兆円を一つの機関が、余りにも大きな、市場に対するインパクトを与える機関が、一元的に運用していいのか。幾つかのヘッジを掛けていく必要があるのではないか。ファンドオブファンドの考え方が必要なのではないか。何も危険なところに運用しろということを言っているわけではありません。考えられるリスクを極小化しながらも、国民の利益を極大化するためには、それはそれなりの運用についての見直しが必要なのではないかということを申し上げているので、ここは是非、今回検討委員会、私、主導してできましたので、この間の3回目の会合も、中身はまだ市場のことを考えて公開されていませんけれども、多くの世界の成長点が年金やそういったもので前進をしたということだけ、最後に付け足しておきたいと思います。以上です。
(問)今日の閣僚懇談会で、夕張について、各省に特段の配慮をお願いしたということですけれども、その交付税の増額以外で、各省の配慮とは具体的にどういったことを指しているのでしょうか。
(答)それは各省で考えていただくことですけれども、一元的に、私がこうだとお話をする前に、まずは総務省としては、北海道、夕張市の御努力を期待したいと思います。道を飛び越えて中央政府が何かをできるかということでもございませんので、各省、北海道とも夕張市ともよく連携をして、それぞれ今回、経済対策メニューを持っていたり、あるいは地域の再生メニューを持っていたりしますので、そのメニューをどのように統括していけるのかということだと思います。
(問)今、夕張市の話が出たのですけれども、それに関連して、夕張市のみならず、地方自治体は今どこも財政が厳しい状況にあるのですが、確定申告の時期ということで、大臣、ふるさと納税についてお伺いしたいなと思っているのですけれども、地元の佐賀県も含めて、どういった感じでふるさと納税を展開していくのかということを。
(答)佐賀県の場合はふるさと納税をすると、これも私が県議会議員時代に、それまである意味眠っていた「九年庵」といったところのポストカードをもらったりということができるわけです。これのもともとの発想はイスラエルの税制にあったのですね。イスラエルのかたがたは国外にも随分出て頑張って、そして自分の国を何とかしようということで外から納税をされています。例えば、高校までふるさとにいて、そしてその後、都会に出ていく。実際の若年労働力は、ふるさとにはその恩恵はいかない。最後、やはり自分のふるさとで老後を迎えたいという人たち、つまり一番働けるところを都会で、そしてその税金は都会でといったことについては、やはり税を選択制にしようというのが、ふるさと納税の、幾らかのふるさとに対する税金で支えようというのが、その趣旨だったと思います。今まだ発展途上だということだと思いますけれども、この考え方そのものを私は大事にしていきたいし、野党時代から提案をしてきた話であります。
(問)よろしくお願いいたします。クロスメディアの禁止、あるいはクロスオーナーシップの問題についてお伺いしたいと思います。主要な新聞、テレビなどの大手メディアがこの問題は御自身の問題であるにもかかわらず、報じない、余り報じられない状況の中、先日、大臣が出演された「TVタックル」の中で、大臣がお話をされて、それが生放送でなく収録であったにもかかわらず、オンエアされたことに、大変ネットなどのユーザーなどでは非常に歓迎するといいますか、期待する声も上がりました。大臣が今回そういうテレビの一角で発言できたこと、その手ごたえみたいなことについてお伺いしたいと思います。何か状況が少しは変わってきたとお考えになりますか。
(答)これは個別の番組内容というか、自分が出てやったことについては慎重に発言をしたいと思うのですけれども、クロスオーナーシップというのは何も新聞社がテレビ局を持ってはいけないとか、それだけの話ではなくて、巨大な資本が今度もっと別のところから一色にきて、そして今の放送文化やあるいは新聞文化や様々なジャーナリズムを壊してしまう、そういったことに対する危機感は既存のメディアのかたがたにも、私はあると考えています。そういう意味からしても、言論の多様性をクロスオーナーシップの規制ということで議論をするのは大変大事なことではないかと。例えばこの間、インドへ行きましたけれども、インドは広い国ですから多様な通信業者がいらっしゃいますけれども、例えば一つの大きな通信資本で、放送も新聞も全部持ったとすると、それは今とは全く違う、ある意味、非常に言論が一色になったようなことになるのかも分からないということをインドで感じました。そういったことは多くの人たちが共有をしてこられてきたのではないかなと思います。個別の番組については、ツイッターでは言えても、こういう場では言えないかなと思います。
(問)今のクロスオーナーシップに関連した質問なのですが、現行の法令の中では総務省令でマスメディア集中排除原則が規定されている、その中に一条文としてクロスオーナーシップの問題が入っていたりするのですが、これは何回か出ている質問なのですが、マスメディア集中排除原則との関係ですね、特にマスメディア集中排除原則については緩和していくという方向が打ち出されているのではないかと思うのですが、それとこのクロスオーナーシップの規制というのは、ある意味逆方向にも感じられるのですが、そこの関係というのはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
(答)マス排の原則というのは、同じ放送局だったら放送局が地方の放送局に対して資本をどれくらいにするかという話で、これは私たちは60年ぶりかな、放送法の、放送と情報通信の法律の大改正を今考えているのですね。その中でマス排規制の強化というのが大きな項目です。それに、この間、私が提案をしたクロスオーナーシップ規制というものを更に議論してくださいというのをタクスフォースにお願いしている。そこで、一時的な今のリーマンショック以来の地方の放送局の経営ということを考えて、ここから先はブランチがある、選択肢があるのですけれども、一時的に地方の放送局に対するマス排規制を緩めるのか、あるいはそうではないのかという議論を今しているわけです。
(問)そうすると、原則はマス排規制を法制化して強化するというのが原則論であって、緩和は例外、行き過ぎたときの例外を。
(答)そうですね。例外が緩和ということです。
(問)マス排規制を強化するというのがベースにあるということなのですか。今のお話を聞いていると。
(答)そうですね。マス排規制を、正確に言うとしっかり明文化して、そして、そこのことについての規定を法文化すると言った方が正しいですね。
(問)その中で地方の経営の今の現状というものを勘案して、先ほど一時的にというようなお話がありましたけれども、それは限定的な、期間限定的な措置として緩和というものを盛り込む、それを実施するということなのですか。
(答)期間限定的にするのか、それとも地方の局についてはもっと長い措置にするのかというのを議論していると、先ほど、そういう意味で申し上げたのです。
(問)以前、マス排の問題のときには、緩和というようなことが強く打ち出されて、大臣の御発言があったと思うのですけれども、その規制の強化というのがベースにあるということなのですか。
(答)そうですね。マスメディア集中排除原則というのは、独占を排除するためにとても大事なことですよね。その原則をしっかりと書き込みましょうというのがまず第一弾。では、その第一弾のことを今すぐ強く規制をやるのですというのが第二弾。その実際の現実に向かい合ったときに、それを今すぐ強化、強化、強化してしまうと地方の放送局はもちませんねと。だとすると、今ある規制についても少し緩める方向が大事なのではないかということで御議論を今頂いているということを申し上げたと思います。
(問)正に今の関連ですけれども、まず第一の原則というのが独占と集中を排除していく、そして第二に、しかし、当面暫定的に弱いところの経営を追い込んではならないからその例外を設けるというふうにおっしゃいました。それは原則と例外というふうにも聞こえますが、同時に中央と地方というふうにも聞こえます。ここのところもエリアによって、あるいはキー局とか全国紙の集中ということと、それから地方、地方も地方単位で見ると確かに集中していますが、この取扱いの違いについて御説明いただけないでしょうか。
(答)今正に、その詳細なところを御議論いただいているというところでして、これは地方の放送局の経営にも大きく影響を与えますので、このぐらいに今日は止めておきたいと思います。御理解ください。
(問)政治と金のお話についてお伺いしたいのですけれども、先ほど、冒頭、国会の中で丁寧に説明していくことが大事だという趣旨のことをおっしゃられましたけれども、大臣として今、新聞等でも報道されている陸山会の疑惑について、国会で真相解明に乗り出すべきと考えていらっしゃるか。また具体的に言えば、小沢幹事長の参考人招致に民主党としてどう対応していくのか、今のお考えをお聞かせいただきたいのが1点。あともう1点が、23日と25日に小沢幹事長はそれぞれ記者会見を行っていますけれども、その説明について説明責任を十分に果たしていると考えられるか、その点についてお聞かせください。
(答)1と2をまとめて申し上げますが、政治資金を所管している大臣として個別の案件についてはコメントすることができません。一般論として申し上げているのは、先ほど丁寧に説明していくべきと言ったのは、正に政府や民主党としての話であって、私のところでしっかりと言えることは、疑いを持たれた議員並びに団体は誠実に国会でその疑いを晴らす、このことが必要であるということを申し上げておきたい。
(問)今のお答えを聞くと、個別の案件はということですが、疑いを持たれた方は国会に出てきて説明することもありうべしだというふうに理解してよろしいでしょうか。
(答)一般論としてですね。
よろしいでしょうか。ありがとうございました。

(以上)