大島副大臣記者会見要旨 平成22年5月14日

(平成22年5月14日(金) 12:20~12:47  於:消費者庁6階記者会見室)

1.発言要旨

 積極発言はありませんので、質問からお願いします。

2.質疑応答

(問)昨日の政務三役会議の内容から、お願いします。
(答)政務三役会議では、今日、福島大臣からお話があったと思いますが、農薬について福島大臣として取り組みたいということについての意見交換が行われました。
 あとは、前回も記者会見で述べたと思いますが、ツールアフリカがその後どうなっているかという発言がありまして、私どもとしては今、そういう消費者事故がないかどうか、国民生活センターのPIO-NET等に情報があるかどうかをウォッチするとともに、上海万博等あるものですから、類似の事件が起きないように同じく注意喚起していきたいという意見交換をしました。結論として三役として決めたものはありません。
 農薬については取り組むということで、まずは勉強をしていくということで確認をしたということでございます。以上です。
(問)先ほど福島大臣から農薬の話も出ていたんですが、もうちょっと詳しく聞きたいんですが、厚労省と協議をするに当たって、消費者庁として、厚労省から話があった部分だけでなくて、残留農薬基準のルールであるとか決め方であるとか、農薬全般について、かなり幅広く検討されるというお話なんですが、この協議について結論を出す回答期限みたいな、そういうものは何かあるんでしょうか。
(田中次長)一番最後のお答えをすれば、期限が定められているというものではありません。
(問)定められていなくても常識的に、政務三役の方針としては、どれぐらいまでにやらなきゃいけないものという認識なんでしょうか。
(答)農薬については、私自身もそれほど詳しくありません。残留農薬基準の設定の仕方あるいはその安全のあり方等について、まずは福島大臣を中心にして、今回の大臣の問題提起に基づいて、どういう論点があるか整理をしてみることが大切だと考えております。
 これは、これまでの関係府省の考え方についても、いろいろとあると思いますので、農薬の問題については、まず今回の、厚生労働省から消費者庁に対して意見を求められたことを契機にして、この問題について大臣の持たれている問題意識に基づいて、論点整理を行っていくことが必要だと考えております。
(問)その論点整理なんですが、扱うのが非常に幅広いので、その論点整理が終わるまで今回、厚労省から求められている協議の結論は出ないということなんでしょうか。
(田中次長)まだ、大臣との打ち合わせが十分に進んでいるわけではなくて、これから大臣に御指示いただけるということになっています。大臣といたしましては、自分たちで、御自分で、今言われました農薬の使い方なり残留農薬基準の設定の仕方、それから今回の案件であるネオニコチノイド系の農薬の基準のあり方等について、十分聞いて納得した上で回答をしたいという御意向と伺っております。
(問)わかりました。
 あと1点いいですか。そのネオニコチノイド系農薬というのを再三言われていたんですが、私も詳しくないので、さっと説明していただけるとありがたいんですが。
(野村消費者安全課長)ネオニコチノイド系というのは、ニコチン類似の成分を主成分とする殺虫剤系統になると思いますけれども、比較的、その人体に対する毒性が低く、殺虫能力が高いと言われているようでありますけれども、そのネオニコチノイド系の中のアセタミプリドという殺虫剤の使用量なり対象品目についての協議を食品衛生法の65条の2に基づいてちょうだいしております。この物質が一部養蜂家の間などで、ミツバチの減少の原因になっているのではないかというような議論があるようでございますけれども、そうした点を中心としてよく勉強するようにということを御指示いただいているところであります。

(答)副大臣になる前、去年頃にアメリカの方が書いた本で、ミツバチがいなくなってしまうという本を読んだことを覚えています。多分、その中にネオニコチノイドに関する記述があったのかもしれないと思います。
 今、アメリカではミツバチが巣箱から集団脱走というわけじゃないんだけれども、いなくなって養蜂家の人たちが被害を受けているという、そのドキュメントというか、取材した本が出ていて、それをたまたま去年読みました。因果関係がどうなっているかは私もわからないですが、そういうことがアメリカにおいては発生していると。
 日本においてはどうなのかなという、今、課長が述べたことは承知はしているんだけれども、それとこれとを関連づけるかどうかは、なかなか軽々には発言できないと思います。ただ、そういう本による示唆は重要であるかなとは思います。
(問)ちょっと話変わって、医療事故についてお尋ねしたいのですが、どうも警察庁によると、昨年に警察が届け出を受けた医療事故が152件あるという報道がなされております。152件の中には、おそらく消費者事故の疑いがあるものも含まれると想像されるんですけれども、日ごろ消費者安全法の発表を見ておりますと、医療事故は厚労省からは少し来ているようですが、警察庁の医療事故というのは記憶にないんですけれども、警察庁から消費者庁に、医療事故が消費者安全法に基づいて通知されているという事実はあるんでしょうか。
(答)私が伺っている限りにおいてはないと思いますが、次長あるいは課長から補足をお願いします。

(野村消費者安全課長)この半年の間で、警察のほうから医療事故関係ということで通知いただいたというケースはございません。
(問)それは、どう考えればいいのか。152件には、消費者事故が疑われるものは1件もないと考えればいいんでしょうか。
(野村消費者安全課長)業務上過失致死の可能性を探っていくために、そういう情報を集めておられるんだと理解しておりますけれども、情報の収集状況、調べの進展状況によっては、おっしゃられるように消費者事故が疑われるものというものが出てくる可能性はあるかもしれませんので、その段階での取り扱いということは、またその段階で、適切に行われなければいけないと思っております。
(問)本当にいつもいつも、くどく、「縦割りが残っていますね」と申し上げておりますが、まだまだ一元化は解消されていないということを、またちょっと改めて申し上げたいと思います。
 それから、またこれも別の報道ですけれども、医療事故の原因究明に当たる新しい組織づくり、これは厚労省が進めているようなんですが、これはどうも、今頓挫していると。多分、新しい組織は事故調査委員会だと思うんですが、この事故調については消費者基本計画の中でも、網羅的な調査機関のあり方について検討すると。今年度中検討を開始して、来年度の早い時期に結論を得るとしているんですが、この検討スケジュールをちょっと教えてください。
(答)検討スケジュールについては、基本計画上は平成22年度に検討を開始して、23年度の早い時期に結論を得るということになっています。この網羅的な検討の内容については、各府省における事故調査の実態がどうなっているか、そして独立性、中立性、公正性、網羅性、そして消費者あるいは被害者の目線で、それが機能しているかどうかを消費者庁としてまずは把握するということが1点あると思います。
 もう一つは、今後、類似の事故が起きないようにすることが大切だと思います。こういう事故が起きた、その原因究明と類似の事故が起きないようにするような事故の究明方法が私は必要だと思っておりまして、そのあり方について、どのように行っていくのか、どういう体制、仕組みが一番望ましいか、効果的であるかということについて、今検討を始めているところでございます。
 補足があれば、お願いします。

(羽藤審議官)補足的には、今、事務方でこの議論をめぐって、過去の具体的な事案に照らし合わせながら、原因究明のための調査機関が必要であると求められ、また期待される点での論点、あるいは当事者や事業者が例えば先ほど医療事故の関係の言及がございましたけれども、その場合であれば医師法や薬事法において、例えば医師法21条は、異常死の場合に警察署に届け出るという義務づけが行われているわけではありますけれども、当事者や事業者が事故をめぐってどのような制度的な状況の中で、何を求められているのかということについては、まず私どもとして把握しながら、繰り返しですけれども、過去の事案などで採り上げられている制度的な課題を今、担当審議官として担当課長と整理しつつあるということであります。
 したがって、今後これらの整理の上、具体的な検討についての当面のスケジュール、あるいは工程表的な詳細についての御指示を政務三役からいただき、その後、然るべく公表があり、方針や考え方、整理の仕方についての公表があると。そのような御指示をいただくことになると思っております。

(答)今回の結論は23年度のなるべく早い時期に得るということにはしているんですが、事故自体は、今も起きているかもしれないし、今後起きるおそれも多分にありますから、そのときの対応は、政務三役を中心に積極的な対応をとっていくことが必要だと、これは改めて考えております。
 シンドラー社のエレベーター事故についても、もし類似の事故が起きた場合には、福島大臣を中心として政務三役が積極的に他省庁に対して働きかけて、その事故の原因究明について、今言っていた消費者の目線、被害者の目線から、そして今後の事故の防止ということが非常に必要だと思っておりますので、それを働きかけていくということを同時並行的に、今でもやっておりますが、さらに、そういう観点で事故を見ていくことが私としては必要だと思います。ただ様々な事故が起きているものですから、そこはマスメディアの皆さんの広範囲な御関心事も、記事などで参考にしながら、具体的に働きかけていくということ、あるいはPIO-NET等もあるかもしれませんが、どういう事故が起きるかという想定はなかなかできにくいものですから、その時々に応じて積極的に取り組んでいきたいと今は考えております。
(問)わかりました。
 こういったことをお尋ねするのも、パロマの湯沸かし器事故で、一連の28件中27件が業務上過失致死の時効になってしまって、かなり泣き寝入りしている遺族が多いという問題も現実にありますので、なるべく急いでほしいという思いでお尋ねしております。
 それと、一番最初に聞いた医療事故、警察庁に事故情報がありながら、消費者庁になぜ来ないのかと。厚労省がどういう基準で20件弱の医療事故、重大医療事故を通知しているのか、そこに漏れはないのかと。医療事故の数はもっと多いはずなんです。それでたった重大事故は20件弱しか来ていないというのはどう考えてもおかしいし、厚労省の中で選択、選別されているんです。だから、そういうところをもうちょっと消費者庁として検証していただきたいと思います。
(答)医療事故については、なかなか即答できないところがあるので、今の問題提起については、一度受けとめさせてください。医療事故は非常に深いので、前回、医療事故というよりも美容整形等については公表していくという方向だと、皆さんにお知らせしていたと思いますが、医療事故と消費者事故というのは深い議論が必要ですし、私も即答はできないものですから、一度考えさせてください。これはなかなか難しい議論です。
(問)立派な公表の基準ができたのはわかりますので、あとはまず集める方法、公表の手順をつくっても集まらなかったら意味がないので、まず集めることを考えていただきたいと思います。
(答)わかりました。ありがとうございます。
(問)消費者基本計画にもある独立した事故調査機関の考え方なんですけれども、よく言われる刑事事件捜査と事故原因調査の調査の究明との兼ね合いなんですけれども、まだ具体的な検討をどういうものにするかとかというのはこれからなんでしょうけれども、現時点で、大まかでもいいんですけれども、どのように考えられるのかというのがあれば。
(答)今回の基本計画の中での「消費者事故の独立した公正かつ網羅的な調査機関の在り方について検討」ということで、新しい機関を設置するかどうかの問題は、まだこの時点では踏み込んではいないと考えております。
 これは、次の段階で消費者委員会における調査、審議も踏まえながら関係省庁、関係機関の協力を得て、最も効率的に機能する仕組みということですから、新しい機関をつくることもあるかもしれないし、あるいは新しい機関のあり方、大きな機関なのか、小さな機関なのか、あるいは今ある組織体制の中で、効率的に機能する仕組みがあるかもしれないし、ここは検討課題かなとは思っています。
 今のところは私としてはここまでしか言えなくて、それは先ほど審議官がおっしゃられたスタディーを積み重ねながら、どういうやり方が一番正しい、一番効率的で行き届いた体制が組めるかということなのかなと思っております。
 私の個人的な考え方として、組織をつくることも大切なんだけれども、今ある組織に魂を吹き込むということも大切だと思っています。ですから、ここをどうやって機能させるかが検討課題かなとは思っております。ですから、組織の具体的なイメージは、今のところはまだ持っていないということなんです。ただ、最も効率的に機能する仕組みはつくっていきたいと思っています。
 ちょっと抽象的ですが、これはまだ今スタディーを始めたばっかりなので、具体的な仕組みをイメージしづらいところがありまして、これからスタディーしながら中身を深めていくということになります。おそらく23年度の早い時期にはこうだということを言えると思いますが、まだ始めたばっかりなので、そこは許してください。
(問)その組織のあり方とは別にして、先日、三、四回、毎週あったのが、日航機事故の8.12の連絡会の美谷島さんなんかとか、あとシンドラーエレベーターの市川さんとかが参加した勉強会が開かれていて、それに今、羽藤審議官なんかも出られたと思うんですけれども、そこでも、事故が起きている中で、やっぱりどうしても今の現行法律上、警察が証拠をなるべく、資料をすべてごそっと持っていってしまう。その中で事故調査というのが延々できない状態でとまっているというのはおかしいじゃないかという問題意識で議論されていたんですけれども、だからこそ、独立した調査機関、権限を与えられたものが必要だという話になるんでしょうけれども、具体的にどういう組織になるかとかとは別に、現状でその刑事事件捜査が優先されてしまう。だからこそ「事故原因調査」という事故を防ぐための道を探るためのその調査が後回しになってしまうというか、本格的なものがいつまでたってもできないというか、そういう現状に対してはどう思われるのかなというのをお聞かせいただければ。
(答)今の御指摘は重要な論点だと思います。ですから、検討課題の優先順位としては、まずはそこから議論をしていくことも必要だと思っています。被害者の方、皆さんの気持ちと、あるいは団体が持っていらっしゃる考え方は、私たちとしても十分に勉強させていただいて、どういうやり方が一番正しいかを考えていきたいと思います。
 今の論点についての整理は急ぎたいと思いますが、その点はどうですか。

(羽藤審議官)事故が起こった際には「だれが」ということでの犯罪捜査の問題と、それから、なぜ起こって、どうすればよくて、そして対策は何かということでの原因の調査究明の問題との間で今御指摘があったように、しばしば利害関係においても相矛盾するところも出てき得るのであると、このような指摘はこれまでもあると承知しております。
 その中で、まず事故原因の調査機関というものは、現在どのようなものを対象にして何を担っておるのかという点、それから先ほど申しましたけれども、過去の事例からして、こういった事故原因の調査究明機関が必要とされている分野、テーマというのはどういうものがあるのかという点、それから、原因調査究明と犯罪捜査との関係におけるこれまで指摘されている課題、その上で、例えば事故原因の調査究明機関に必要な機能としてはどういうものかということ、例示で挙げますと、よく言われておりますのは、ある特定の分野におけるその所管官庁の影響力から独立していなければならないという独立性とか、あるいは専門性や技術性が必要であるとか、あるいは警察や検察の捜査権との関係、すみ分けのあり方や強制的な調査の権能というものを持ち得るのかとか、あるいは警察や検察に調査結果を使用するということのあり方やその関係でのファイヤウォールを設けるのかとか、今申しましたような論点は一つの例ですが、私として担当課長と今整理をしつつあるところでもあります。
 いずれにしても、そういう中で、繰り返しですけれども、政務三役に御指示いただきながら、さらに論点を集約をして、具体的な取り組みについての方針を、さらに明確に御指示もいただくというふうに事務的な作業を進めていきたいと思っています。

(以上)