大島副大臣記者会見要旨 平成22年3月25日

(平成22年3月25日(木) 16:16~16:45  於:消費者庁4階記者会見室)

1.発言要旨

 午前中に報告があったかと思いますが、子ども用の金属製アクセサリーについて、今年1月に米国で販売されている中国製子ども用アクセサリーからカドミウムが検出されたとの報道を受け、私の指示で輸入品を中心とした子ども用金属製アクセサリーのサンプリング調査を行い、本日その結果を公表したところでございます。
 既に御案内のとおり、本調査では一定量を超えるカドミウムの溶出は認められませんでしたけれども、国民生活センターがあわせて実施した鉛の溶出試験においては、一部の製品より一定量を超える鉛の検出が認められました。
 これを受け、消費者庁としては、消費者に対する注意喚起、事業者に対する要請を行ったところでございます。さらに、私の方から子ども用製品に関する鉛規制の課題や問題点、規制のあり方等について論点を整理し、子どもの誤飲事故を防止する観点から有効な対策を検討するよう事務方に指示しました。
 子ども用の玩具とアクセサリーとは違うわけです。今回は100円ショップなど、あまり販売価格が高くない量販店で販売をされているアクセサリーのサンプリング調査ですから、大人用のアクセサリーだと、子ども用の玩具とは違って子ども用の規定が適用されないわけです。でも、値段から見ると1,000円もしない、500円、200円とか300円とか、非常に安い金額ですから、子どもが身につけることもできますよね。ですから、大人用なのか、子ども用の玩具なのかという領域について、規制のあり方について一定の検討が必要かなと思います。これについては本日事務方に指示をして、関係省庁とともに検討するようにしました。
 以上でございます。他は質問を受けながら答えていきたいなと考えております。

2.質疑応答

(問)本日、消費者委員会のほうで消費者基本計画、これが了承されて、福島大臣のほうに報告されたということですけれども、事実上中身のほうも固まって、あとは閣議決定という段取りだと思いますが、この消費者基本計画の内容についての受けとめと、とりわけ中に食品安全庁の設置が突如として盛り込まれておりまして、これについての説明、今後の展開などについて説明をお願いします。
(答)今回の消費者基本計画については、従来、皆さんに御説明したとおり、まず項目立てから始まりまして、パブリックコメントをいただきながら幅広く皆さんの声を伺い続けました。加えて、政策会議でも2回ほど消費者の分科会を開いて与党議員の意見を伺い、さらに議会でも質問研究会が2回ほど開催されました。質問研究会ですと消費者庁を始め、各省庁からのヒアリングも行って、論点を整理して、そちらも福島大臣に届けていただきましたので、議員の意見、あるいは寄せられた意見を十分に踏まえながら消費者基本計画をつくることができております。この中で、個人的に私の思いで、1年ごとの閣議決定の見直しを入れて、どうしても5年計画ですから、一旦つくった後、どうやってそれをフォローアップしていこうかなと考えました。今回、具体的に書けているところと今後具体化するところとありますから、1年議論をして、来年の消費者基本計画の閣議決定の段階では、やはり1年間どういうことをやったかの総括と、今後1年間何をしていくかということを具体に書きながら、ローリングをしながら5年計画をしっかり行っていくということが必要だと思っています。
 閣議決定ではなくともよいのではないか、という意見もあったのですが、やはり閣議決定をすると関係各府省がそれぞれ責任を持つということになりますから、そういうことでローリングを入れています。
 もう一つ、食品安全庁につきましては、政府内での議論がまずございます。私どものマニフェストの中にも食品安全庁について、これはつくるということでお約束しておりまして、これも関係各府省との合意形成が行われたので、食品安全庁も今回の検討の中の23番で、リスク評価機関の機能評価やリスク管理機関を一元化した食品安全庁について、関係省庁の連携のもと検討を行うと具体的に書きました。これは結構大変な合意形成だと思っております。
(問)合意形成といいますと、これは特に関係するのは厚労省と農水省ですね。農水省のほうは5カ年計画の中でこの件を盛り込んでおりますね、検討すると。厚労省のほうは私は知りませんけれども、厚労省のほうとしても一緒に一元化した安全庁をつくっていくんだということを合意しているということですか。
(答)この文書は、先ほど言ったとおり、30日の閣議決定を控えた文章になっておりますから、消費者庁、そして農林水産省、厚生労働省は了解しているということでいいと思います。
(問)そうすると、今後どういう枠組みの中で具体的に設置に向けた検討をしていくんでしょうか。それとも、もう設置に向けたと言っていいんでしょうか。
(答)マニフェストでは、食品安全庁についての連携のもとに検討を行うという、設置するということを書いておったと記憶をしております。
(問)インデックスじゃないですか。
(答)インデックスにもあるし、マニフェストにも明確にうたっているんです。ですから、今後、私たち消費者庁が中心となって、関係各省庁との連携も必要なものですから、それで具体に食品安全庁に向けて検討を行っていくことになるかと思います。
(問)設置に向けてですね。
(答)設置に向けてという表現まではできるかどうかというのがありますが、設置に向けて検討を行うということですね。
(問)新しく庁をつくるとなると、行政組織の肥大化といいますか、そういった批判も一部ではありますけれども、その点で言えばつくっていったほうがメリットが大きいという。ちょっとそのあたりの説明が余りにもないものですから、結構突然出てきた感じがあって。
(答)この食品の安全の問題は、民主党がマニフェストをつくる段階においては、私たちとしては大きな関心事でもありまして、その関心事について、食品安全庁という形で食品の安全を専門に担う機関を設置するという方向を決めているものですから、これに則って食品安全庁について検討を行うと。この文面だと、食品安全庁について、関係省庁の連携のもと検討を行うということですが、設置するということも含んで検討を行うということになるかと考えております。あとは農水省の基本計画の中にもこれは入っているので、農水省とも連携をもちろんとりながらという、農水省の思いも強いと思います。
(問)厚労省はどうなんでしたっけ。
(答)これは何とも言えませんが、厚労省についても了解をしているということでよろしいかと思います。
(問)特に基本計画というものに盛り込まれてはいないんですか。そういうのがあるかどうかも知りませんけれども。
(答)厚生労働省の計画については承知しておりません。

(羽藤審議官)もちろん、今お話が副大臣からございました消費者基本計画については、所要の手続を今とっておるものでございますので、事務的な調整途上のものではございますけれども、その事務的な調整途上で、今日、私どもの案というもので消費者委員会にお諮りをしました。お諮りをした内容については、先ほど来お話がございますように、「関係省庁の連携の下、検討を行います」ということで、この「関係省庁」には厚生労働省も含まれたものとしての事務的な調整を了しておるものであると御理解をいただいてよろしいかと思います。
 なお、先ほど来ございます農林水産省が中心となってつくられております「食料・農業・農村基本計画」については近々閣議で決定されると認識しておりまして、未だ最終的に内閣の意思として固まったということではないというふうに承知しておりますけれども、これまでの事務的な調整においてはほぼ同文の内容が盛り込まれているというふうに承知をしております。
(問)食品安全庁に絡んでなんですけれども、まだ気が早いとは思うんですが、もし食品安全庁という新たな庁をつくる際に、既存の消費者庁の機能への影響とか、例えば一部権限の移譲ということもあり得ると認識しておいてよろしいんでしょうか。
(答)これは今後の検討課題だと思うので、まず今回は、先ほど審議官も申し上げましたとおり、閣議決定はこれからです。オーソライズはほぼできているとは思うのですが、閣議決定が終わってから正式にオーソライズされるものなので、その議論については、今のうちからどうかとはなかなか言いづらいところがあると思います。この23番が盛り込まれて、閣議決定が終わってから、検討課題を議論することになるかと思います。
 マニフェストだと次のような文言になっています。「食品安全庁を設置し、厚生労働省と農林水産省に分かれている食品リスク管理機能を一元化する。あわせて、食品安全委員会の機能を強化する。」です。今回政府内で、農水省の基本計画については私の所管ではないのでコメントはできませんが、同じ気持ちで計画をつくられるのかなと考えております。
(問)関連してなんですけれども、30日に閣議決定される見通しということですか。
(答)予定ですね。
(問)その前に政府の政策会議を開きますか。
(答)消費者政策会議を開きます。
(問)それはいつの予定ですか。
(答)これは事務的に説明していただけますか。30日前までには開く予定ですが。

(田中次長)現在、官邸のさまざまな事務の都合で、30日の閣議の前に開く方向で官邸と調整しております。
(問)同じ日と。
(田中次長)同じ日です。
(問)わかりました。
 それとあと、食品安全委員会の機能評価というのがよくわかりくにいんですけれども、何を機能強化するんでしょうか。
(羽藤審議官)現時点で消費者基本計画の案において挙げておりますこと、それから農林水産省において最終的な調整が行われていると承知しておりますものは、「リスク評価機関の機能強化」ということでありますので、それは食品安全委員会が今担っておりますリスク評価の機能、そのことについての強化ということに尽きるんだろうというふうに受けとめています。
(問)要するに、食品安全委員会は自分たちで実験をやったりとかということがこれまでほとんどされていなかったというか、そういうところの強化という意味合いですかね。
(答)ここはさまざまな点で強化することがあると思っていて、評価の度合いというのは、確かに今御指摘のあったとおり、食品安全委員会については、自分のところで評価できる、できないという判断があったりもして、ただ、どこまで強化するかというのもこれは議論をしながら決めていくということで、強化はしっかりしていくということをうたったことは大きいと思います。リスク評価をして、かつリスク管理機能も一元化するということです。食品安全については、私たちとしては、リスク評価とリスク管理をしっかり強化してやっていくという、これは政権の意思だと考えていただいていいかと思います。
(問)食品安全庁の話なんですけれども、これから検討するという話はわかるんですが、もう少しこの組織、食品安全庁とはどういうものかという具体的なイメージというのはさすがにあられるとは思っているんですけれども、いかがでしょうか。
(答)これは、省庁が入っていることなので、具体的に私のイメージがそのまま消費者庁のイメージというわけではなくて、このイメージは、閣議決定が終わってから、福島大臣を始めとする政務三役での議論を踏まえ、関係省庁と連携しながら決めていくということになるかと思います。今回はここまで到達したことも到達点としては高いかなとは思っています。この基本計画の中に盛られたということが到達点としては、マニフェストを守ったということでは、先ほど御指摘のあった農水省あるいは厚労省の皆さんも努力していただいているのかなと考えております。
(問)カドミウムのことなんですが、先ほどおっしゃっていた文言の中で、アクセサリーの大人用か子ども用かという領域について規制のあり方は一定の検討が必要かとおっしゃったんですが、これは具体的に言うと、例えば子ども用というふうに規定をした上で、そういうものに関しては鉛やカドミウムの含有をより規制を厳しくするとか、そういったところまでを踏まえていらっしゃるのか。あと、関係省庁というのは具体的にどちらがあれなののかという。
(答)子どもの遊び方だとごっこ遊びといって、大人のアクセサリーのようなものを身につけるごっこ遊びで使うものが玩具の扱いになっていて、それを口の中に入れたりするおそれもあるので、子ども用については基準が厳しくなっているのですが、大人のものは大人が身につけて口に含むことがないと考えるので、そんなに規制がかかっていないので、今回の事例も踏まえて検討しなければいけないなと考えています。あとは次長から補足していただきます。

(田中次長)規制は何かというと、今食品衛生法なんですね。食べ物だ、あるいは口に入れるおそれのあるということで、子ども用の玩具、子どもが口に入れてしまうおそれがあるということである一定のものを決めているんですけれども、先ほど副大臣が冒頭申し上げたのは、そのエリアのカテゴリの中に入っていない、今回は入っていなかったものなんですね。したがって、食品衛生法違反にはならない。だけど、やはり実際の使用を考えてみれば、これはその辺のディスカウントストアで子どもが容易に買えて、子どもの遊びに供し得るようなものであって、本来なら食衛法の子ども用の玩具と同様に扱ってもいいのではないかという問題意識がありまして、そういうところを規制の含有量の濃淡をというのではなくて、規制のかかる網の範囲をどう考えたらいいのかということが一つの検討課題だと考えています。
(問)関連して、私の理解では、子どものアクセサリーの誤飲事故というのは消費者事故ではないと思っています。思っていますというか、そういうふうになるんだろうと思います。つまり、ライターの子どもの火遊びによる事故は消費者事故ではないというのが消費者庁の見解ですから、このアクセサリーの誤飲も恐らく消費者事故ではないと思います。
 となると、なぜ消費者庁がここに乗り出していくのか。厚労省に任せればいいはずなのに、あえてここに踏み込む理由は何でしょうか。
(田中次長)基本的には、今御提示いただいたように、所管が明確であって、それに基づいた措置が十分でなかった場合には、また現実の規制があって、その規制を適用するということに関して十分な措置がとられていない場合には、消費者庁の役割はそこに対して措置要求をすることだと思っております。今ここにあるのは、隙間というかどうかというのは考え方なんですが、現に今、子ども用玩具の範疇に入っていないものについては、今の現行法規制のもとでは食品衛生法違反だということでの規制を行うことができない状態になっているわけで、それに対して、消費者の利益の保護という観点から何らかの検討が必要であるとすれば、消費者庁としてはこれを検討していくという、そういう考え方でございます。
(問)基本的な認識として、消費者事故が起きているかわからない、しかもその事故は消費者事故に当たらないと思われる、その分野に対しても消費者庁は措置要求できるんですか。
(田中次長)今の話としては、措置要求ができないんですね。今のことに関して措置要求はできないです。措置要求をするのではなくて、私たちは新しい規制のあり方があるのではないかということを検討するということです。
(問)わかりました。
 それと、これは絶対無理だと思うんですけれども、アクセサリーの子どもの誤飲事故、どのくらい起きているかというのはわかるんですか。
(尾崎政策調整課企画官)お答え申し上げます。
 アクセサリーについての誤飲情報ということで、国民生活センターのほうからいただいた情報によりますと、年間数件から10件程度の誤飲情報があったと聞いておりまして、おおむね6年間で40件程度の誤飲事故があると聞いているところでございます。
(問)そこで、例えば鉛の中毒症状とかまでいった子どもはいるんですかね。
(尾崎政策調整課企画官)死亡とか重篤の症状の事例は今のところ聞いておりませんけれども、軽症、あるいは誤飲によって吐き出されたか、あるいはトイレに行ったときに出てきたかといったような程度のもので済んでいると聞いております。
(問)最後に1点だけ、今後のスケジュールなんですけれども、ということは関係省庁は厚労省だけということで、厚労省と消費者庁で何かプロジェクトチームとか何かをつくって、今後消費者庁の中で検討していくということなんですかね。
(羽藤審議官)補足として申し上げます。本件に関しては、現行の法制度、例えば食品衛生法でカバーをされる範囲、あるいは業界サイドで、例えば玩具に関するSTマークといった自主基準もありますけれども、このような産業界で取り組んでいただくようなこともあるのではないかとは思います。その観点からは、例えば、厚生労働省、経済産業省などを通じて関係者の努力を促すということもまた視野に入ってくるのではないかと思います。
(問)何か要するに我々に見える形で公開の場で何か議論していくという感じでもないんですか。
(羽藤審議官)その方法も含めまして大島副大臣から御指示をいただきましたので、私どもでどのような方法で検討を行うかということについて、早速に案をつくりまして、副大臣をはじめ政務三役に裁可をいただいた上でまた御紹介をさせていただくことにもなろうと思います。
(問)まだアップル社から多分回答は来ていないと思うんですけれども、日本クレジット協会に対する再質問なり、何か問いかけというのはしたんでしょうか。
(羽藤審議官)現在、先方との関係で直接補足的に伺うことを調整中でございます。 (答)ありがとうございました。

(以上)