小渕内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年12月24日

(平成20年12月24日(水) 10:12~10:28  於:内閣府本府1階118会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日の閣議では、私の所管案件は特にございませんでした。
 次に、私から報告事項が3件ございます。
 1つ目は、「小渕ビジョン」及び「ゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム」についてであります。
 本日、持続可能な社会保障と、その安定財源の確保に向けた「中期プログラム」が決定されることとなりました。今後、社会保障の安定財源確保につ いて、国民の皆様の理解をいただくためには、それにより社会保障がどのように充実されるかを具体的に明らかにしていくことが重要であると考えています。
 とりわけ、私の担当する少子化対策については、まさに待ったなしの状況に来ており、少子化の流れを反転させるような思い切った対策を打ち出す必 要があると考えています。そして、思い切った少子化対策の内容を具体的にお示しし、それにより、本当に子供を生み育てやすい社会を実現できることを御納得 いただければ、そのための負担についても、未来への投資として、国民の皆様の御理解をいただけるものと確信しています。
 こうした観点から、私はこれまで、「100円のお買い物をしたとき、あと1円、子供たちの未来のために、子供たちの将来のためにいただきたい」 ということを申し上げてまいりましたが、このたびの「中期プログラム」の決定を受けて、私の考える「思い切った少子化対策」の具体化に向けて、策定後5年 目を迎える現在の「少子化社会対策大綱」を見直し、新しい大綱の策定に着手することにいたしました。
 具体的には、まず私が少子化対策担当大臣として、利用者や当事者の立場に立って思い描く「思い切った少子化対策」に盛り込むべき視点を、「小渕 ビジョン~5つの視点~」としてお示しさせていただきます。そして、この視点を踏まえて「思い切った少子化対策」を議論していく体制として、私の下に、若 い世代のメンバーを中心として、「ゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム」を立ち上げます。子育て世代の当事者や利用者の目線で、既存の政策や財源 の枠にとらわれず、もう一度、ゼロから少子化対策を考えていくためのチームです。専門家や現場の方々の意見を幅広く伺いながら、スピード感を持って精力的 に議論していきたいと考えています。
 2つ目は、「定住外国人支援」についてです。
 本日の閣僚懇談会におきまして、官房長官から「定住外国人支援の取組強化について、22日に総理から、早急に政府内に対応するための組織を設 け、必要な対策を速やかに講じるよう御指示がございました。その取りまとめを小渕内閣府特命担当大臣に担当してもらうこととしたので、関係大臣の協力をお 願いいたします。」という御発言がありました。
 今般の厳しい雇用情勢の下で、日系人を初めとする定住外国人の方々が困難な状況に置かれており、特にその子供たちが、就学等の面で厳しい状況に あるとのことです。先ほど御指示をいただいたばかりでありますので、具体的な状況を十分に承知しておりませんけれども、まずは速やかに体制を設けて、実態 の把握から始めたいと考えております。
 3つ目は、「少子化対策関係予算」についてです。
 本日、来年度予算案が決定されました。また、去る20日には、本年度の第2次補正予算案が決定されています。これら一連の予算案において、少子化対策について目に見える前進が図られましたので、主なものをお手元の資料のとおり御紹介させていただきます。
 なお、少子化対策関連予算の全体像につきましては、現在集計中でありますので、後日改めて共生社会政策統括官室から御報告させていただきます。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)こちらの新しいプロジェクトチームのほうなのですけれども、初会合はいつぐらいに開かれるのでしょうか。
(答)26日に非公式の初顔合わせをやる予定であります。会合としてしっかりやっていくのは、通常国会がスタートしてからの予定であります。
(問)1月中旬ぐらいになるのでしょうか。
(答)そうですね。月に2度ほどやりたいと考えているので、その辺の日程も含めて、26日に顔合わせをした際に、また皆さんと御相談させていただければと考えています。
(問)これをもって大綱の見直しに着手ということなんですけれども、報告を大綱に盛り込んでいくということでしょうか。
(答)大綱にどこまで盛り込めるかというのは、なかなか難しい部分もあるかもしれませんが、ここで話し合われた考え方というのは、しっかり盛り込んでいきたいと思っています。
(問)このプロジェクトチームの位置づけを、ちょっと確認したいのですけれども、大綱見直しのためのプロジェクトチームなのか、少子化対策を考えるためのプロジェクトチームなのか、どちらでしょうか。
(答)目先に大綱を見直さなければいけないということがあるわけで、もちろん、それに向けて今回のこのチームを立ち上げたということになります。
 ただ、大綱は5年ごとの見直しであります。今回の見直し以降の5年間というのは、少子化対策にとってものすごく大事な、これまでと違う5年間であると私は考えています。そうした中で少子化対策の在り方について、これまでの既存の考え方やこれまでどおりの対策でよいのだろうか、もう一度ゼロから考える必要があるのではないかということを考えました。これまでも、大綱の見直しは行われておりますけれども、私は全く新たな思いで大綱の策定に取り組んでいきたいと思います。今回のチームは、「小渕ビジョン」を基本として、これまでの政策や財源などにとらわれずに、実際に子供を育てる当事者の立場、利用者の目線、そうした現場の思いというものをしっかり反映できるチームとして、本当にこのままの子育て環境でよいのか、さまざまな議論を積み上げていきたいと考えています。
(問)政府が、昨年末に重点戦略をまとめていまして、それも今の少子化の現状を踏まえて総合的な対策をつくろう、総合的に考えようということで立ち上げて、重点戦略をつくっていますけれども、それとの関係はどのようにお考えでしょうか。
(答)重点戦略や、社会保障国民会議の中では保育サービスの充実とワーク・ライフ・バランスを中心に様々な提言がなされておりますが、果たしてそれだけで十分かというところを、今回は問題提起させていただきたいと思っています。例えば児童手当の拡充や経済支援の充実など、そうしたところは十分に盛り込まれておりませんので、そのようなところも含めて、しっかり話し合っていきたいということです。
(問)ただ、あの重点戦略での整理としては、経済的支援よりは、まず保育サービスだとか、現物給付を優先させるべきだという整理になっていたと思うのですけれども、そこは、大臣はそうではないというふうにお考えだということでしょうか。
(答)あくまでもそれは、やはりこれまでの少子化予算というものが決められていて、その枠組みの中で、できる限り効率的な少子化対策をするにはどうしたらよいのかということであったのだと思います。常々申し上げてきておりますけれども、日本の少子化にかける予算、子供とか家族とかにかける予算は、では果たして十分なのかというところの話もしていかなければならないわけです。枠組みがある中での議論では、やはり経済支援ももちろんやらなければいけない、ワーク・ライフ・バランスもやらなければいけない、保育サービスの充実もしっかりやらなければいけないということですが、もう少し全体的なレベルも、私は上げていかなければならないと思います。まさに待ったなしの状況で、もう2、3年しか残されていないと思いますが、特にそうした枠を決めた議論ではなく、本当にこの国の子供たちのためにどういう状況をつくっていかなければいけないのか、この国の将来を考えたときに、この少子化問題はどれほど重要な課題であるのかということをしっかり認識して、話を進めていかなければならないということで、ゼロから考えるためのチームを、今回、立ち上げたいと考えています。
(問)ただ、児童手当とか保育所整備の予算を抜いただけでも、1.5兆円から2.4兆円かかって、それさえも手当てできない状況で、予算を全く取っ払って議論するというのは、「絵に描いた餅」になるおそれもあるのではないかと思うのですけれども、その辺はどのようにお考えでしょうか。
(答)ただ、いつまでもそう言っていても、結局、大勢は変わらないと思うのですね。ですから、そこの枠を取っ払った議論がしたいと。
 ただ、おっしゃるように、「絵に描いた餅」をするつもりはありませんし、しっかりした安定的な財源の確保というものは、頭に置いてやらなければなりません。今回、「中期プログラム」が出た段階で発表させていただくというのは、やはり消費税が上がっていくという環境の中で、子供たちのために何ができるのか、子供たちについての投資ということをしっかり議論していきたいと考えているからです。
(問)新しい視点でというふうに先ほどおっしゃられたのですけれども、メンバーを見ると、何かしら必ず少子化関係の審議会なり検討会なりに出てくるような方々なのですが、そこでまた新たな今までにない視点というのは、生まれてくるのでしょうか。そこが、ちょっと疑問なのですが。
(答)それは、やってみなければわからないというところもありますけれども、メンバーはかなり厳選させていただいて、それぞれ現役で子育てを経験されながら、いろいろなところで発言されている方々を中心に集めさせていただきました。まだ皆さんとお目にかかって私の気持ちをお伝えできていないのですけれども、これまでにもいろいろな形で御発言いただいて、よい御意見をいただいてきた方々であると思いますので、今回のこのチームの位置づけというものがどういうものであるかということをしっかり御理解いただいて、今まで以上に、そうした枠組みだとか、そうした新しい考え方とか、真の意味で子供を育てやすい社会とは何であるのか、この国の少子化問題を本当に解決するためにはどうしたらよいのかという視点で、積極的に御発言いただきたく、また期待していただければと思います。
(問)少子化対策のプロジェクトチームで、ちょっと追加で確認なのですが、この大綱に反映させるということなのですが、取りまとめの時期というか、見通しについてと、あと、先ほどちょっと質問にも出たのですが、財源の枠ありきの話ではないと思うのですが、最終的には幾らぐらいの財源が必要となるのかというような規模も出していきたいと考えられているのかという2点を教えてください。
(答)時期ですけれども、とりあえずこのプロジェクトチームの中での結論というものは、大体、半年ぐらいを目途にと考えています。ただ、大綱の見直しについては、来年中ということであります。
 財源の規模ということでありますけれども、やはり先ほどからお話ししているように、「子供たちのために1%」ということを、これまでにも何度か申し上げてきましたけれども、そうすると、プラス3兆円ぐらいになるのでしょうか。大体そのあたりを目途に、何ができるのかということを考えていきたいと思います。
(問)今言われた「プラス3兆円」というのは、消費税値上げ分の5%のうち、1%を少子化対策にという理解でよろしいのでしょうか。5%とは限らないですが、値上げした分を新たにプラス3兆円、少子化対策にという。
(答)社会保障費という形で消費税を上げていくことになるのだと思いますが、大体、社会保障費というと、皆さん、高齢者の関係で、年金、医療、そうしたところに注目されるわけですけれども、やはり社会保障費の中には子供のことがしっかり入っているわけで、今回の消費税の話の中にも、「少子化対策」という言葉が入っております。ですから、そこに含まれる1%ということです。
(問)外国人支援の関係なんですが、取組として新たな部局などを設けられる御予定なのか。それから、その法制化のようなものを含めて考えていらっしゃるのか。
(答)私も、今日、御指示をいただいたところでありますので、具体的なことはこれからですけれども、できるだけ速やかにということでありますので、年明けの早い時期に内閣府にしかるべき体制を立ち上げたいと考えており、準備を進めていく予定であります。
(問)これは、どれぐらいのスパンで対策をまとめるかというのは。
(答)これは、「必要な対策を速やかに講じるよう」という御指示でありますので、速やかに講じていきたいと思います。

(以上)