鳩山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年5月22日

(平成21年5月22日(金) 8:30~8:59  於:会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。閣議で私は、平成20年度政策評価等の実施状況等について報告をしました。
 それから続いて、ヤミ専従については、このようなことを閣僚懇で申し上げました。いわゆるヤミ専従については、昨年一斉点検をしたけれども、正直言って、点検は生ぬるいものであった。例えば、石破農林水産大臣は非常にお怒りになったと思うし、御苦労をされたと思う。したがって、これはやり直さなければならないということで、この7月末を目途に、一斉点検ではなくて、今度は一斉調査という形でやらせてもらうと。いわゆるヤミ専従というのは、1日4時間以上職場を離れることを年間30日とか、という定義みたいなものがあるけれども、準ヤミ専従というのか、短時間であっても年間30日以上離れた場合とか、あるいは、許可無くふっと居なくなって労働組合の会合に出るなどは、これは職務専念義務違反であると。こういうようなものは全部厳しくやる。対象は労組の役員レベルに限るけれども、非常に厳しく今度は一斉調査をやって7月末までに報告をしていただくので、各大臣は、それぞれの管轄する職員の問題であるから、よろしく御協力を願いたいと、こういうふうに申しました。以上です。

2.質疑応答

(問)自民党が次期衆議院選挙から世襲を制限する方針を示しました。国会議員を親族に持つ候補が、同一選挙区から出馬する場合は公認しないとの案でございます。ただ、対象を新人に限ったり、当選後の追加公認が可能な内容で、実効性に疑問の声が出ていますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)民主案と似ているの、大体。同一選挙区から親族が出るという意味では民主案と大体同じ。私は、ど世襲政治家ですから。しかし、同一選挙区から出たわけではないですよ。例えば、祖父の鳩山一郎が亡くなりまして、17年くらいたって、私は無所属で立候補いたしました。自民党公認でも何でもない無所属ですが、考えてみると、祖父の選挙区は、東京第1区、港、千代田、中央、文京、台東と。その旧1区が与謝野大臣の選挙区の東京第1区と私が小選挙区で当選させてもらっていた、東京第2区に分かれたわけですから、同一選挙区ではないですよね。だから、そうやってみたら小選挙区はまだ4回しかやっていないから。何か、非常に限定的で中途半端という。本当に世襲制限をするのであれば、親が国会議員だったら、子は出るなと。そして、現職にも適用しろと、だから小沢一郎さんも鳩山由起夫さんも私、鳩山邦夫も麻生太郎さんも全部、次の選挙は出られないようなことを決めたら、かっこいいではないですかと申し上げている。自分たちだけ、うまい飯を食って、後は駄目よというのはですね、今まで自分たちまではのうのうとして、後は駄目という物事の決め方は、余り利口なやり方とは私は思わないというふうに感じますので、やるなら徹底して、「鳩山さん、あなたもおじいさん、お父さんも政治家だったから、公認しないから福岡6区から出るなよ。」と。選挙区が違ったって親が政治家だったからという有利さを私だって持っているわけだから。鳩山邦夫も由起夫も両方出るなと、次の選挙に出るなというくらいのことを両党で話し合ったらかっこいい。それなら従いますよ。だけど、同一選挙区だからなんて、細かいことを言ったら、うちの父は参議院の全国区だった。その時の後援会の影響力で兄が北海道から出られたのです。私が福岡に行ったって父が全国区で選挙をやった、いろいろな後援会のときに応援した人たちがやってくれているわけだから。親が全国区だったら、由起夫も邦夫も立候補するな。こういうことを決めたらどうでしょうか。
(問)政策評価の話なのですけれども、前の年度と比べて大分増えているのですが、どのように。
(答)増えているというのは量ですか。
(問)金額で。総事業費の、公共事業が中止・凍結となった金額が、前の年度よりも大分増えているのですけれども。
(答)私、B/Cとかいう表現の信頼性がどの程度あるか分からないけれども、やはり、需要予測を的確にやらない。必要性の判断が甘い。したがって、とにかく公共事業として認めてもらうが、事業採択しながら着工しない、あるいは完了しないというようなことが多いのではないのか。それだけ厳しくやるようになってきていると評価していただければ有り難いと思います。
 政策評価法を施行したのが平成14年度からで、7年間で227事業、約3.9兆円の公共事業等を休止又は中止ということでございます。やめなさいという権限があるわけではないのですけれどね。
(問)今朝の毎日新聞で、熊谷組が事実上のダミー団体を使って政治献金をしていたことを報じているのですが、政治資金を管理する総務省の所管大臣として、御見解をお聞かせいただけますか。
(答)私は、まだその新聞を読んでいないのですが、政治と金の問題というものは、ずっと問題になってきているので、今、見ますけれど、熊谷組のダミー献金3団体、3,000万円、国会議員20人とこうなっていますけれども、事実関係がよく分かりませんから、また話は聞きますけれども。とにかく政治家が襟を正すことですよ。本当にそう思う。倫理の問題ですから、自分で清潔に政治資金をきちんと管理して、やっていこうという意志の問題が根底にあると思いますね。もちろんそこには政治資金規正法というものもあるわけです。だから、企業団体献金を全面禁止すると、一般の後援会等ではもう、企業・団体から献金は受けられないようになっているけれども、政党や支部は受けることができるわけでしょうから、企業・団体献金全面禁止というのも一つの考え方だと私は思いますね。全面禁止すればダミーであれ、何であれ全部政治資金規正法違反でやれますから、将来はそういうふうにした方がいいのかもしれないと思いますけれど。ただ、個人献金ならよくて、企業・団体献金なら悪いという決めつけ方というのは、実は、本当は難しい問題があると思いますよ。だから一般的に言えば、企業も社会的存在、正に法人であり、社会的存在だから、政治がより良い方向に進むことを望んで企業が献金することはおかしくないということが基本的な理屈だし、私もそれはそうだと思うわけですが、それでは個人なら全く問題がなくて、企業・団体だったらいけないという決めつけもまた問題だと思うわけで、一番怖いのは、個人から個人に献金をして、実は全部ヤミに潜ると。会社だといろいろな証拠が残るけれど、個人だったら残らないではないですか。個人から個人に全部アンダーグラウンド、水面下で大量の金を渡しているということだってあり得るわけですよ。だから、政治資金の問題というのは永遠に難しい問題かもしれないけれども、とにかく私は政治家本人が厳しく倫理観を持ってやることだなと、そして、政治資金規正法を厳しく適用することだと、こう思っております。
(問)日本郵政の問題なのですけれども、今日取締役会がありまして、先般の指名委員会で承認された西川社長の人事がまたここでも承認されると思うのですが、改めてこの人事についてどう思うかと、後任について、もし大臣が厳しい態度で臨むとこれまでおっしゃっていますが、後任としてはどんな人がふさわしいと思われるのか。そのために大臣は今どんなことをされているのかというのをお聞かせください。
(答)私、詳しい事実関係は知りませんが、この間の指名委員会というのは、現在の9人をそのままというものなのですか。指名委員会でやっていることは、まだ表に出てこないの。それが今日取締役会に掛かるときに初めてリストが出てくるということですか。
 少なくとも、指名委員会というのはお手盛りのものですからね。だって、自分たちの仲間うちだけでやっているわけですから、当然ああいう結果になる。そして取締役会で株主総会に諮る議案を作るということでしょうから、それを見てからしか判断できません。私は、ずっと申し上げてきた正義という鏡に照らしてみれば、全く理解できない不正義。不正とは言いません。不正というのは、犯罪になりますから。不正義と思われる事柄が、これだけ一杯あって、不透明で滅茶苦茶で、やらせで、出来レースで、そういうものを私が認めるというのは、私が今まで、生まれてから今日まで、培ってきた自らの正義感とか信念を全部捨てることになると思いますけどね。
 私ここのところだけは本当に強く申し上げたいのは、なぜ取締役を変えたら改革の後退なのですか。全く関係ないではないですか。汚れたものを掃除したら改革は進むのですよ。民営化という改革と考えた場合ですけれど、それは民営化して、国民の共有の財産をまるでこのどこかに消し去るようなことをやっている民営化という、美名か何か知らないけれど、やっているとすれば、それらをきれいに掃除すれば民営化は、改革は進むのではないですか。私は改革推進のために、これだけ厳しい戦いをやっている。それを私が人事をいじったら改革が後退するなんて全く逆だと。改革を進めるために私は人事について考えると申し上げているので、そこは世の中全くおかしいのですよ。まるで人事を変えたら郵政民営化を否定するような話、そうではない、郵政民営化を進めるために見直すのでしょう。間違っている部分があるから。影の部分があるから。例えば4分社化したけど、その4分社の一体感がないために、うまくいかない部分があるならば、もっと一体感を出せるようにしましょうとか。郵便局長さんたちが集荷できるようにしようとか、いろいろなことをやっている。そういうのは改革であって、私は、第三分野の保険等もかんぽ生命が、民営化されたかんぽ生命が自由に売るようにすべきだと思う。それは海外からいろいろ文句を言われるけれど、それは日本の民間企業ががん保険を売ってなぜ悪いと。もちろん競争条件はなるべくイコールにしなくてはならないと思うけれども。そうやって、いろいろ進めていこうと。それが間違った進め方になるならば、それは間違わないようにする。だから、JPエクスプレスの件もそうなのですよ。JPエクスプレスという会社が、いいとこ取りをして、過疎地などは、事業会社場合によっては局会社に、「あなたたち頼むよ。」と、そういうことはしなさんなということで、10月の合併を私は認可しなかったのですね。出資だけOKしたと。にもかかわらず、もう10月完全統合に向けての文書を全部、郵政側は、ばらまいているわけですよ、いろいろなところに。だから私のところに内部告発があるわけですよ。こんなものが来たと。あなたは10月にJPエクスプレス、つまりゆうパックとペリカン便が完全合体することを認可したのですかと。認可していないのに、もう決まったように人事配置等の情報がどんどんきていますよと。そういういい加減な、ガバナンスの全くできていない部分があるから、そういうガバナンスなんかをきちんとさせるというのは改革の前進ではないですか。それを、私が人事に何かものを言ったら改革の後退だというのは私は理解できない。理解できないというかそれは全く誤った、ためにする議論だと私は思います。
 そして、では人事に案はあるのかと。一杯あります。いろいろな方が協力してくださっていますから。
(問)今、大臣、西川社長を再任することはですね、自らの培ってきた正義感をすべて投げ捨てることになるというふうにおしゃっていたのですけれども、それは、つまり認可しないということなのでしょうか。
(答)私はだから、それはこれから株主総会というものがあって、株主総会で財務省というか、これも政府なのだけれど、あるいは国がどういう判断を示すか。国の一部である私がそういう言い方をするのは変かもしれないけれども、6月29日で、まだ一月以上あるわけですね。で、株主総会の結果が出てきたときに日本郵政株式会社法第9条で、私に与えられている認可権限は非常に重いものと思いますから、それは慎重に真剣に考えて行使をいたします。私は西川さんという方に、何の恨みもないし、好きだという感情も、嫌いだという感情も何にもございません。何もありませんが、しかし少なくとも日本郵政という会社が国民の財産をかすめ取って売り飛ばそうとしたという事実があって、それで責任がないなどということで、私がそれを認めれば、自らの、生まれてから今日まで一生懸命私なりに持ち続けてきた正義感だとか、そういったものを捨て去ることにつながるなという感想を述べておりますので、それは実際に認可するかどうかのときに、この重い権限をどう使うか判断をいたします。
(問)補足の質問ですが、端的で結構ですけれど、この日本郵政の改革を進める上では一般人の、財界とか経営者の方の方が理想的だというふうに大臣はお考えですか。その御見解をお願いします。
(答)日本郵政のトップとしてですか。基本的にそう思っております。世の中って、私も60年も生きてきてよく分からないところがあって、例えば私も子供のころ父が大蔵官僚だったから、官というのは素晴らしいものだと思っていたのですね、やはり。だって、家に来る人たち、相沢英之先生とか、塩崎潤先生とかという大先輩の大蔵官僚ばかり家に来て酒盛りして、よく家に泊まっていかれるわけですね、皆さんね。で、「あの橋はおれがかけた。」とか、「あの川はおれが全部きれいにした。」などという大蔵官僚らしい、セリフも聞いて、これはちょっと嫌だったけれども、官というものに対する私は信頼があった。自分の子供のころね。だから官が悪くて民が正しいという議論には私は全くくみさないけれども、ただ、民営化したわけですから、やはりトップは優秀な人望のある民間人がよろしいのではないかというふうに思っております。
(問)話題がちょっと違うのですけれども、昨日から裁判員制度が始まりまして、大臣、前職の法務大臣のときは、かなりこう、裁判員制度の推進にいろいろと御尽力されたかと思います。スタートがこの段階ということで、一部にちょっと早すぎたのではないかというような声もありますけれども、改めまして、裁判員制度がスタートしたことについての御感想をお願いします。
(答)一昨日、昨日の予算委員会で、裁判員制度についての質問が一つも無かったのですよね、法務大臣に対して。それは非常に残念だったと、先ほど森法務大臣と二人で話をしました。本当はもっと国会で質問があって、「いよいよ今日からですね。」とか「明日からですね。」という質問があったら良かったなと、こう思うわけですが、私はもともと裁判員という制度がいいか悪いか、実は分からなかった。分からなかったというのは、その裁判員制度が議論されたころです。ただ、法務大臣として考えるには、やはり、国民の司法に対する意識が高まる、で、国民の常識が判決に反映をするという意味で、これは大いに進めるべきことだと思いました。例えば1事件、何千事件くらいが裁判員対象になるのか、3千とか、そういう数字が言われているのかもしれません。凶悪刑事事件だけですからね。それに対してかかわるのは、1事件に6人だけれども、その候補者選びの段階で、多分100人くらいから絞り込んでいくのだろう。こう思いますと、3千事件掛ける100人というと30万人かな。それくらいのところに、やりませんかという連絡がいくと。すると、それはもちろん、嫌とか忙しいとかいろいろな辞退事由はできるだけ柔軟に認めるべきだということを私は申し上げてきました。ですが、そうなりますと、自分の友人が裁判員になったとか、友達の友達が裁判員とか、そういうことを意外と多くの皆さんが経験するようになると。そうすると、「自分もやることがあるかな。」とか、そういうことで司法に対する意識がすごく高まる。法治国家としてそれはすばらしいことではないかと思ったのが一つと、それから、最高裁の偉い方も、当時の対談、てい談みたいな、あるいはシンポジウム的なところで、やはり法曹というのか、裁判官や検察官というのは裁くわけでしょう、人を。民事でも刑事でも判決を下すのだけれども、やはり何というか、一つの専門の世界に閉じこもって仕事をしているから、幅広い感覚というものを失いかねない。したがって裁判員制度で世の中の一般常識というか一般的な感覚が裁判の結果に反映することは重要なのだということを、確か最高裁の方がおっしゃったのですよ。それはなかなか大胆な発言だなと思って、それを聞きました。ですから、そういう意味ではサイバンインコの活躍がちょっと足りなかったですかね。サイバンインコ殺害予告と出たことがあるのでしょ。10日くらい前にスポーツ新聞で読みましたけれど。
 最後の結論。やっている間に定着するし、機運が盛り上がってくると、盛り上がるというのか、盛り上がればいいのとは少し違うけれど、だんだん機運が醸成されてくると思います。始まってみて初めてそこで盛り上がりのようなものが感じられるのではないか。つまり、昨日始まったわけですね。昨日、既に起訴された事件で対象になりそうなものが数事件あるとういうことですから、その公判が始まるのがいつかということですけれど。7月くらいに第一号裁判員裁判が始まったときにいい空気が出てくるといいと思うのですがね。
(問)よろしいですか。ありがとうございました。
(答)はい。

(以上)