鳩山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年3月3日

(平成21年3月3日(火) 10:17~10:49  於:総務省会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 今日は、閣議では、国家公務員の人事管理における能力・実績主義をいよいよ4月1日から始めます。人事評価を始めますから、各閣僚よろしくお願いしますと発言しました。
 それから、「外国人が快適に観光できる環境の整備に関する政策評価」を終えましたので、本日、国土交通省及び法務省に改善を勧告します。法務省の方は、私、前におりましたけれど、生体情報をとりますので待ち時間が長くなるきらいがあるので、これを短くしようということです。二階経済産業大臣からは特別に発言があって、「今の鳩山さんの発言ではあるが、観光関係は400万人従事しているのであるから、主要産業の一つであって、ぜひやらなくてはならない。」ということでした。
 それから、今日、「構造改革特別区域法及び競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部を改正する法律案」の国会提出が閣議決定されました。これは、社会教育施設、例えば、図書館、公民館等の管理及び整備に関する事務について、首長が実施できるようにするという内容です。
 それから、いわゆる「かんぽの宿」の譲渡に関する問題に加えて、国会でしばしば指摘されております、日本郵政公社時代の不動産売却について、1万円が半年で6千万円に化けると、千円が4千9百万円に化けるというような全く訳の分からない不透明な中で、譲渡が行われてまいりました。しかも、日本郵政が、この土地はここに売りましたという譲渡先、所有権移転先のリストが全く不正確で、どこか特別に企業を隠しているような様相を示しておりますので、これでは国民の信頼を得ることはできません。したがって、本日、私の名前で日本郵政株式会社に対して、日本郵政株式会社法第14条に基づく「報告要請」の文書を発出いたします。御承知のように「かんぽの宿」は、法律第15条による「報告徴求」という形で、段ボール箱が一杯来たわけでございます。第15条の「報告徴求」は、現在の日本郵政株式会社の業務に関するものに限定されますので、公社時代の業務を対象にすることはできません。そういう解釈になっております。しかしながら、郵政公社時代の不透明なバルク超安売りという、貴重な国民の財産を超安売りをするということが続いていたわけでありますから。したがって、何もしないとうことでは国民の信頼に応えることができませんので、第14条に総務大臣の日本郵政株式会社に対する監督権限が書いてありますので、監督権限に基づいて報告を要請することにしました。報告を要請しますのは、公社時代における不動産売却の全部に関する事実関係、あるいはこれら事実の分析結果、全部出しなさいという命令ではなくて、残念ながら要請をいたします。期限は、2週間後の3月17日までに出してくださいというふうに要請をいたします。
 なお、「かんぽの宿」の報告徴求の中身は、今精査中でございますが、オリックス不動産と日本郵政との最後にできた契約書については、要点、問題点をまとめた資料を、できれば本日、国会に提出をしようと思っております。以上です。

2.質疑応答

(問)東京中央郵便局の関係でお尋ねします。昨日、大臣、現地を視察されて、だいぶ取り壊しが進んでいる現状が分かりましたが、それを踏まえて、今後、日本郵政に対して、説明を求めたり、工事をストップさせたりするような、何らかのアクションというか、大臣としての動きをされる御予定はありますか。
(答)私がどういう権限を行使できるかは、今検討中でございます。閣議後、塩谷文部科学大臣と河村官房長官と協議いたしました。合意いたしておりますのは、重要文化財として保存すべきであるという1点でございます。ただ、日本経済新聞等が強く主張していますように、採算とか、利潤とか、そういう問題があるわけでしょう。ですから、そう簡単に、私の直接の権限である部分はできるわけですが、そうではありませんから、私はこれから3大臣協議は続けてまいりたいと思いますが、世論が、トキを焼き鳥にして食べると不老長寿の薬ができるとか、何か分かりませんけれども、そういうことで、世論が、とにかくあの辺を超高層ビルをいっぱい造って、どんどん、どんどん、儲けさせるべきだということであれば私は世論に従うつもりですけれども。私は3大臣で合意をした、重要文化財として残した形での開発というのが正しいと思いますから、その場合どういうことになるのか、またいろいろ報告を受けたい。
 今日の朝日新聞が書いておられるように、「東京中央郵便局歴史検討委員会」というところで7人の専門家と2人の日本郵政で、協議をして、ほとんどの方が、全面保存を言ったのに、もうその時には、ほぼ同時に、設計の要請をしているというような話がありますね。「委員会の報告書の公表とほぼ同時に地上38階建ての高層ビルに建て替える現在の計画が発表されたこと、高層化の結論在りきだったのではないかと疑問を呈した」と。疑問を呈したのはある委員でしょうか、これは。委員の一人ですね。だから、まずまたやっているのですね、そういう不透明なことを。不透明というのか、出来レースというのかね、本当にこれはね、私は朝日新聞を信用していますから。これはひどいですよね。これが事実だったら大変なことですよ。そうでしょう。歴史検討委員会で検討したら、みんなが全面保存と言ったのに、もう38階の高層ビルは造る、壊すと、分からない。それが一つ。それから、もう一つの問題は、これももっと調査してみますけれども、要するに文化庁が重要文化財に指定をしたいという、当然それだけの価値のある物ということで、調査しようとしても、調査さえ拒否されたと。昨日、私についてきた人はそう言っていましたね。河村官房長官や斉藤環境大臣は、それぞれ、自由民主党、公明党を代表する、保存するための議員連盟の中心をやっておられるわけですね。そういうものを一切無視して、結局、文化財に指定する話をとにかく拒否をするというか、そこにやはり大きな問題がありますよね。ただ、「かんぽの宿」の場合は、問題点を洗い出して、もうこれは契約を白紙に戻させましたから、今後の在り方を考えればいいのですが、これもう一部の解体がなされているという、緊急事態発生ですから、これはどういうふうに進めていったらいいのか、今、私は残念ながら結論を申し上げることはできません。それは、ただ横槍を入れているだけだと、日本経済新聞はお書きになっておられるけれども、まあ経済新聞だからしょうがないかもしれないけれども、本当に利益とか利潤とか、金で計算したものだけで世の中が動いていいのでしょうか。豊かさというのは一体何であるかと考えるときに、お金で買えないものがあるのではないですか。幸せだってお金で買えないでしょう。お金で買えないものが、いわば文化財の価値ではないでしょうか。あるいは重要文化財というとてつもなく重要な物の価値ではないのでしょうか。だから、それと開発して生まれる利益と、私は最終的にという言い方は変ですけれども、国民の判断がとても大事だと思いますね。みんなが日本経済新聞のように開発も利益のためには、あなたはノスタルジーがあるかどうかしらないけど、あんな物はぶっ壊せばいいんだと、外壁だけ残せばいいんだと、文化財の価値は、登録文化財の価値も無くなるけど、世論の8割、9割がそうおっしゃれば私はもう自論は引っ込めますよ。だけど、私は日本人というのはそんな国民だとは思わないから。具体的に自分が何ができるか、とにかく徹底していろいろな方と協議をしていきたい。ただ、私のトキを焼き鳥にすべきではないという気持ちはみじんも変更はありません。昨日、私、本当に泣けてきたんですよね、御覧になったでしょう。ちょうど爆弾が何発か命中したような穴があいていて。機械を取り出しただか何かわけの分からないこと言っていましたよね。機械といったって、入れたんだったらどこからか出せるはずではないですか。ひどいよね。アスベスト除去の工事だけやっているというふうに聞いていたが、違ったのですね。
(問)大臣、先ほどおっしゃったオリックスと日本郵政の間の契約の件ですが。
(答)問題点ですかね。要約であり。
(問)どういった問題点があったのですか。
(答)それは前から申し上げておりますように、一番の問題点はですね、少なくても2年間は日本郵政の事前の承諾なく、譲渡、移転、担保権の設定はしないとか、本事業またはその主要な一部の第三者に譲渡してはならない。けれども、ただし、事業の発展とか、継続的な運営に資さないとオリックス不動産が判断すれば個別資産の譲渡・閉鎖はできると。あるいは、なんというのか、SPCというのは非常にはやりですね。公社時代の怪しげな安売りはSPCが土地ころがしに一役二役かっているでしょう。事業の発展的かつ継続的な運営を行うことを前提とする特定目的会社等への譲渡はできるというのだもの。こんな馬鹿な話はないでしょう。要するに、申し上げたように、オリックス不動産と、だから事業譲渡だから普通の不動産の譲渡とは違うというのは分からないでもないが、相手が消えて、オリックスに決まったら条件をうんと緩めて、オリックスの独自の判断で売ってもいいという契約書になっているのだもの。これはたぶらかし契約書でしょう、これは。前にも、国会でも1回申し上げましたけれども。これはひどいですよ。厳しい条件を付けてみんな追い払っておいて、出来レースだから、これ。それで、オリックス不動産だけ残ったら、「それじゃ契約しましょう」と、うんと緩くするって。それはひどい。これは正に欺瞞そのものですよ。この中身はそのまま国会へ出します。
 あのですね、言わずもがなのことですが、私は自分で不可思議なことをしているつもりはありませんし、なんだかスタンドプレーだとか、功名心が勝っている人ではないかとか、いろいろなことが書かれますけれどね。私は、何もないですよ、そういう欲は。私はただ、正しいことは正しいと思って、田中角栄先生や金丸信先生から習った政治は国民のものであって、国民のためになるかどうかだけ考えろと。それだけですからね。国民の財産を、2,400億円を109億円なんて、こんなあり得ないでしょう、ほとんど価格を簿価というごまかしの簿価操作をやって。それは正義にもとるし、国民のためにならないから、やっているだけで。
 今回の東京中央郵便局の件は、やや世論に聞いてみなくてはいけない部分はあるけれども、国民共有の物でしょう。重要文化財という物は。だから守りたいと言っているので、功名心もなければ、欲も何にもございませんので、どうぞよろしく。
(問)大臣、郵便局は、例えば工事の差し止めとかというのはとりあえず考えていないのですか。
(答)その辺は、官房長官や文部科学大臣ともそういう手はずがあるのかどうかということも、篤とみんなで調べようということになっています。
(問)ああいった重要文化財等の保存となると移転ということが今まであったと思うのですけれども、そういう選択肢は大臣として考えていらっしゃらないのでしょうか。
(答)あれが移転可能かということですよね。徹底的にばらさないと移転できないのでしょうかね。そいうこともいろいろ人に聞いてみますよ。
(問)また「かんぽの宿」の件なのですが、大臣は以前、黒字化の努力をするべきだとおっしゃっていたのですが、今の日本郵政の体質、職員の高い給与ですとか、そういった今の体質のままですとなかなか黒字化というのは難しいとは思うのですが、そこら辺はどういうふうに見てらっしゃいますか。
(答)その辺をきちんとすれば黒字化は簡単だとほとんどの識者が言っていますね。7割、8割くらいのオキュパンシーがあって赤字のところもあるのかな。それは、いろいろな専門家はみんな黒字化するのはそんな難しいことであるはずがないとおっしゃっていますから、それは黒字化についてきちんと努力するように要請をしていくつもりです。
(問)大臣、定額給付金の関係ですが、麻生総理が昨日、今まで受け取らないとおっしゃっていたのに、受け取るというふうに一転して発言を変えられました。総理が受け取るとおっしゃったことへの感想と、そもそも受け取るのであれば最初から受け取るというふうに言っておけば良かったのではないかという批判もあるのですけれども、総理の給付金をめぐる発言の変遷について御見解をお願いします。
(答)私は、万歳をして良かったと思っているのですけれど。総理は、所得制限を付けるべきだという声が周辺からわっと出た時に、そういう条件の中で、いわゆる緊急の生活支援、ガソリンが200円になってしまうのではないかという時、これは金持ちは遠慮するという話が随分あった時に、そういう御発言があったのでしょうけれど。その後、サブプライムローンだけではなくて、リーマンショックが我が国の実体経済、あるいは実物経済と言ってもいいのかな、これに対して津波となってくるということが分かった場合に、もう重点が生活支援、その時はまたガソリンが皮肉にも下がってきて100何円になる、そういう段階では生活支援よりも景気とか雇用の方に明らかに重点が移る。移ったというふうに思われて、総理ははるか以前から、定額給付金はお受取りになるという気持ちを固めておられたと私は信じています。国民全員が受け取るニコニコ給付金ですから、総理大臣も国民であり、日本人でありますから。外国人も受け取れるのだけれど。そういった意味で、所得制限という話がわあわあ言われた時に、総理の唯一の弱点というのは、総理は非常に人柄が良すぎて、人の言うことに非常に耳を傾けて、それを取り入れようとなさる。私はそれほど人が良くないものですから、あまり人の言うことを聞かないのですけれども、総理はすごく人のいろいろな意見をよく聞かれて、私も経済財政諮問会議とかそういう場で「これは所得制限しなくては駄目ですよ。」と「金持ちに生活支援はいりませんよ。」という意見を総理にいろいろな人が言っているのを私は聞いていましたから。私はその時に「それは技術的に無理ですよ。」と申し上げました、経済財政諮問会議で。その時に一時的に、「では生活支援ということであるならば。」というふうに気を遣われて、受け取らないこともあるようなことおっしゃったのは事実だと思います。もう、重点は消費刺激ですから。私は、総理ははるか以前からお受取りになる気持は固めておられたと思って見ていましたけれども。実際発言されたのが昨日であったというだけのこと。
(問)大臣御自身は受け取るということで変わりございませんよね。
(答)もちろんですよ。私は普段よりもぜいたくな夕食で追加的な消費需要を生み出すというふうに申し上げた。吉村剛太郎先生はうどんが大好きで、「おれはうどんでいくのだ。うどんで。」と言われた。私は「うどんでは先生駄目ですよ。先生はいつもうどんを食べているのだから、うどん食べても追加的な消費刺激になりません。」と言ったら、「2杯か3杯食べればいいのだろう。」と。「それは間違いなく、2杯3杯召し上がれば、追加的な消費ということになりますね。」とこういう方もおられるので。
(問)大臣、今日、住民基本台帳法の一部改正法案が閣議決定されていると思うのですが、改めて、その意義をお願いします。
(答)これは、私は前の法務大臣でございますから、外国人台帳法と思っていたことですね。これは、結局今の外国人登録制度だと、不法滞在でも、外国人登録ができてしまうわけです。それは法務省の認めている滞在期限の情報が地方には伝わっていないので。全然伝わらないわけではないと思うけれども。それを法務大臣、法務省に一元化して、在留カードという形にする。そして、外国人台帳の方は、住民基本台帳に外国人を登録させることによって、それとの連携の下で住民サービスとやるということでいいのだと思いますけれど。
(問)すいません。また「かんぽの宿」のことなのですが、日本郵政の下で、やはり黒字化がもしかしたら難しいから、早く民間企業に売却をして、黒字化を図った方がいいのではないかという意見もあるのですが。
(答)それは、今だって売ることはできるわけですからね。入札を掛けて、それぞれ地域地域で要請があれば。私は日本郵政が黒字化の努力をまずすることが、今すぐできるわけですから、黒字化の努力は。確かに雇用の心配はありますけれども、雇用の心配はあるけれども、それは日本郵政という巨大グループがあるわけですから、その巨大グループの間の配置転換ということは当然お考えいただきたいと思います。どの道、今度の条件であっても1年間しか保証しないのでしょう、現在の給料は。もっといい条件を出していたところがあっても、オリックスのそのような条件でいいことになっているのだから。
(問)場合によっては譲渡ではなく切り離して、不動産売却でということも。
(答)あり得るでしょうね。私が決めることではないから。それは当然あり得ることではないでしょうか。
(問)大臣、定額給付金の関係でもう一点なのですが、青森県の西目屋村というところが9日に支給を開始するということが決まったらしいのですが、これが全国で初めてではないかという話もあるのですけれども、この事実関係と全国第1号の支給開始ということについては。
(答)まだ、第1号がどこになるかということは分かっていないのですけれども、ぜひ、功名争いをして早く第1号を。別に表彰状は出せないけれども、どんどんと競り合って早くなるといいなという希望をします。事実関係はつかんでおりません。
(問)NHKの経営委員会が全員決まって12人になったのですが、これについて御見解をお願いします。
(答)良かったなと。やはり経営委員長もお困りだったと思うし、これは与野党で合意できたことですから、良かったと思っております。
(問)定額給付金に話が戻って申し訳ないのですが、支給が始まるとはいえ、大分当初の想定よりも遅れるということになってしまったのですが、迅速な対応という意味では、生活支援効果、景気刺激効果は弱まったのではないかという見方もあるのですけれども、定額給付金の効果が今もってどのような効果があるのかをすいません、もう一度お願いします。
(答)それは我が国の予算や財政の仕組みが全く違って、去年の10月くらいにすぐ配れると言うならば別ですけれども、やはり補正予算も組まなくてはいけない、財源法案もいるということが実態ですから、ここまできておりますけれども、それは民主党がもっと早く財源法案を参議院で処理してくれれば、さらに早くなったことは間違いありませんが、明日、処理をしてくれるということで、プレミアム商品券を発行する所も、うなぎ上りに増えていると聞いておりますし、やっと期待が高まってきたというふうに、私はやや贔屓目ですが評価をいたしております。
(問)ほか、よろしいでしょうか。
(答)はい。

(以上)