鳩山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年1月16日

(平成21年1月16日(金) 10:33~11:00  於:総務省会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。この場をお借りして、私から『「安心ネットづくり」促進プログラム』の公表について御紹介をさせていただきます。
 一昨日、「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」の最終会合に参りまして、「最終取りまとめまでしていただいて、ありがとうございます。」というふうにお礼を申し上げ、その最終取りまとめを御報告いただいたわけであります。これに基づいて『「安心ネットづくり」促進プログラム』が策定されましたので、後ほど報道発表させていただきます。
 第169回国会において成立した青少年インターネット環境整備法等の趣旨を踏まえ、これまでの取組を整理した上で、総務省における今後のインターネット上の違法・有害情報への対応として行う施策を示したものでございます。
 インターネットをはじめ、科学技術にはいつも申し上げるように「光と影」と両方ありますから、科学技術が人間性を蝕むということは十二分にあり得ることですから、それこそですね、一般のファミコンからパソコンみたいなものができたとかいうような時にも非常に心配があったわけですが、今やインターネットでございますから、海外を通じて違法・有害情報が入ってくることも十二分にあり得るわけで、そこをとにかくきちんとやっていきたい。もちろん大人もそうですが、子供の人間性を守る、人間的成長を守るということで、「影の部分」と戦うというのがこの趣旨ですね。
 子供たちが適切な時と場で、インターネットや携帯電話を安心して利用できるように、ペアレンタルコントロールという話もありますから、親や保護者の問題、教育機関の問題、まさに社会総掛かり、文部科学省的にいうと学校、家庭、地域総掛りで子供を守っていくということでしょう。それで、安心で安全なインターネット環境を整備することが重要です。
 総務省においては、今後、『「安心ネットづくり」促進プログラム』に基づいて、これまでの取組をさらに強化してまいりたいと考えております。
 以上です。

2.質疑応答

(問)2点伺います。まず、1点目は消費税の増税をめぐって2011年度にという政府方針があって、それに対して党内でかなり強硬な反対意見も飛び出しているのですけれども、これについてどういうふうにお考えになっているかが1点と、財務省の財政審の方で定額給付金の在り方については、これも厳しい意見が出て、「検討した方がいいんじゃないのか。」という意見が出ましたけれども、この2点についてお願いします。
(答)与党と政府の関係というものは、議院内閣制の下では一体感もあり、必要な緊張関係もなければならないわけで、政府イコール与党ではありません。
 したがって、我々政府としては、消費税に関する「中期プログラム」、つまり3年後に消費税増税をという基本方針については、これは国税の税制改正法に書き込むということで、既に閣議決定もされておるわけでございます。なお、実は議論がありまして、消費税の増税ということになりますと、地方消費税の問題もあるものですから、「中期プログラム」関係は、地方税法の改正案にも書き込むべきではないかという考え方があるのですけれども、これは、昨日もいろいろ相談をいたしまして、「国税の方で書き込めば地方税法の方で書き込まなくてもいいのではないか。」というふうに、昨日は一応まとめたところでございます。
 これは、私は当選2、3回のころからですね、消費税ということではありませんが、高福祉高負担か、中福祉中負担か、低福祉低負担か、もちろん行政の無駄は省かなければならないが、要するに高福祉低負担という議論が多すぎると。高福祉低負担という議論が当時の共産党や社会党が盛んに言っておったと。これでは中期的、長期的には財政はもたないということを言い続けたわけでございますから、総理の決断によって、中福祉中負担に見合った「中期プログラム」、これを法律の中にきちんと書き込むというのは、正しいことだと思っております。
 国民だって税金は一円でも安い方がいいに決まっているけれども、しかし将来のことを考えれば、今のままの税制では福祉が持たないわけですから、社会保障が持たないわけですから、安定的な社会保障ということで、消費税の増税について触れる決断をされたことについては、高く評価します。
 財政制度等審議会が、ああいう事後的、事後的というのは、つまり衆議院を通ったものについて意見を言うのは極めて異例というか、初めてのことだということです。意見は意見として我々は受け止めなければならないと思いますが、総務委員会でも定額給付金の質問一色でしたから、これは私は何度も申し上げているのですが、経済対策としての75兆円、全部が真水ということではありませんが、75兆円の経済対策のうちの2兆円なのです。だから、あと73兆円で例えば学校の耐震化だとか、あるいは障害者の福祉の問題とか、あるいはとりわけ雇用の問題とか、あるいは教育の問題とか、それはきめ細かく、もちろん中小企業の問題も含めて、きめ細かく手を打ってある。それに加えて、国民の家計への緊急支援。それは雇用を失ったとか、ボーナスが激しく減額されたとか、あるいは給料が減額されたとか、あるいは、今は下がったけれども、石油がひどく高くて困ったと。原油の高騰というのは、私の地元で言えば農業を直撃しましたから。昨日も「あまおう」といういちご作りの方々20数人と夜に懇談しましたけれど、それはみんな食べなくてはいけないわけですからね。そういうことであれば、畜産、酪農も一緒でしょ。これらはもちろん別に農水省予算の方でやっていますけれども。やはり、そういういろいろな意味で緊急の家計支援というのはやろうと。それといつも言うように先進国で一番この世界同時不況から早く抜け出すための、一つの契機作り、切っ掛け作りですか、反発の切っ掛け作りになると思っております。
 財政制度等審議会長は何と定額給付金にはGDP押し上げ効果2%あるとおっしゃっていただいたようで、そんなにあるのですかね。私どもは0.2%とか0.4%と考えていますが。財政制度等審議会の会長は2%とおっしゃったようですね。驚きました。そんなに多く見ていただいてありがたいと。
(問)大臣、定額給付金でですね、これは技術的な問題かもしれないのですが、2次補正と関連法案というのが別個にあって、2次補正が通った段階で市町村としては、その予算措置が必要な、ある程度の準備というのができるのか、それとも関連法案まで通らないと動き出せないのかというと、どういうふうに考えればよろしいでしょうか。
(答)これはですね、私どもの基本的な考え方は、2次補正が通った段階で、補助要綱を正式決定して、1,804市町村に補助要綱をお渡しして、やっていただくということでございます。
 ですが、既に事前に、来週前半を目途に、情報発信をいたしまして、大体こういう補助金交付要綱になるであろうというものはお配りいたします。
 そして、地方の事務費、市町村の事務費は、生活対策を決定した、つまり平成20年10月31日、生活対策で定額給付金を決定した翌日以降の事務費、やはり市町村はそれなりの態勢を組んでいるでしょうから、それは全部補助金で、事務費として交付をしましょうということでございます。
 ですから、あとは地方議会の補正予算がいつ成立するかという問題もありますが、あなたがおっしゃるのは財源法案でしょう。我々は、財源法案が成立をしなくても、そこまでの準備は可能であるという判断でございます。ですから、財源法案の年度内成立が確実と見込まれる状況になったら、事務費補助金の執行は可能だろうと。そして、財源法案が成立した時点で、即、定額給付金の執行が可能だというふうに考えております。
(問)財源法案の年度内成立が確実になるというのは、どういう状況のことをおっしゃっているのでしょうか。
(答)それは高度な政治的な判断が必要かもしれませんね。
 ですから、ここから申し上げることを頭に入れてください。事務費は昨年の10月31日までさかのぼって、いろいろ掛ったものについてお支払いするということですが、要するに財源法案、繰入特例法というのかな、財融法というのかな。これが成立するまでに進めておくことが可能なことが一杯あります。給付リストの作成、申請書の印刷、申請受付体制の整備、振込についての金融機関との調整。場合によっては、申請書の郵送、受理。申請書を郵送して、逆に送ってもらって受理するところまでやってもかまわないのではないかと。受理しておいて、財源法が確定したら、直ぐに交付というか、給付するという形がとれるのではないかと、我々は考えております。ただ、財政当局と若干の調整はいるのかなと。今のところは財政当局といろいろと話をして、そのような形で考えていると。もちろん、市町村の補正予算の成立は必要ですね。だから特例法が成立するまでに、今言ったように給付リストの作成、申請書の印刷、申請受付体制整備、振込についての金融機関との調整、場合によっては申請書の郵送、あるいは逆に受理。ここまでは進めておくことができるだろうと。財源特例法が成立したら、即、交付に入ると。
(問)大臣、関連ですけど、財源法が成立していない段階というのは、自治体への概算交付ができていない段階だと思うのですけど、それで、各地方議会で補正を通してもらうなんてことは可能なのですか。
(答)それは、地方議会でやっていただきたいと思いますね。
(問)地方議会にはお金が渡っていないのに。
(答)地方議会は、これ、それぞれの地方の判断になるのかなと。補正ですから、1日、2日でできるのだろうと思うのですけれども。これはどうなんだろう。市町村によって判断が若干異なるのですかね、どうでしょう。専門家はいないのか、今日は。
 確かに金も渡ってもいないし、渡す財源法が成立していないのに、地方議会が補正予算なんかやるかなとおっしゃっているんでしょ。まあ、やっていただけるように私はお願いしていきたいと思いますが。概算交付については今後、財務省と調整を行うということですね。
(問)先ほど、いろいろできることをおっしゃってましたけど、これは地方の各議会で補正が通った後、初めて可能ということですか。それとも、補正が通ってなくても可能だということですか。
(答)難しい質問ですね。私は補正予算をそれぞれの地方議会で通していただくのと並行して進めていけるものと、私の頭の中では思っておりますがね。
(問)そうなると、補助要綱を出して以降は即座にやってもらいたいということですか。
(答)そうですね。補助要綱は予算が成立したら直ぐ出しますから。だけど、実は補助要綱の予告編を今日か来週に出すのです。「こういうものでやりますよ。」というのは、区も入れると1,804自治体に出すということです。総務委員会よりも緻密な議論ですな。やはり、なるべく早め早めに進んでいけるように全力を尽くすという、年度内給付開始に全力を尽くすというのが、私に与えられた仕事だと思っておりますので。
(問)先ほど閣議が終わった後に、総理と官房長官と、行政管理局の関係でお話しになったやに聞いているのですけれども、どういったことをお話されたのでしょうか。
(答)まだそれは申し上げる段階にない。ただ、総理は、公務員制度改革に極めて熱心であられますので、総理の御意向についても、私としては、いろいろお話をして、お聞きしておきたいと思ったからです。
 屋山太郎さんが、「総理は熱心ではない。」なんて勝手に決め付けたものを言うというのは、実にけしくりからんことでありますね。人が熱心であるか熱心でないかというのは、表で簡単に見えることではありませんよ。評論家だからいいですけど。
(問)先日、西川日本郵政社長とお会いになられましたが、その後のぶら下がりで、「今は認可するつもりはない。」ということでしたが、オリックス不動産への譲渡について、最終的に認可するしないというのはいつごろを目途に出すか考えていますか。
(答)天下の産経新聞が、私のやっていることが職権乱用であると、こういう堂々たる社説を発表されまして、この社説を重く受け止めてですね、この社説が将来どれが正しく、どれが間違っているかをきちんと検証していきたいと思います。
 私としては、御承知だと思いますが、認可に掛ってくるのは会社分割という部分だと思いますね。これは私、よく分からないんです。私も実は頭の中、整理されていない部分があるけど。株の譲渡の話があるでしょ、売買の話が。国が100%保有している日本郵政株式会社の株式については、移行期間中に3分の2売ると、売らなくてはならないのかな。とにかく3分の1残すと。
 日本郵政株式会社が持っている4事業会社のうちの、かんぽ生命とゆうちょ銀行については、移行期間中に全部売れと書いてあるわけでしょう。しかし、それは、総理がおっしゃる今の経済・証券の状況、金融や証券の状況というのがあって、こんな時に売るというのは考えられない。それから、NTTとかがいろいろやったのだと思いますが、1年とか、2年で、実際よりも会社を作ってから早い時点で売却したという例はあるけれども、それは例外規定ですよね、東証との関係で。普通は3年くらいは売らないわけですから、それは慎重に時期を選んでやるべきだし、野党からは株式売却凍結法案も出たといういきさつもあるから、これは慎重に考えなくてはいけない。「かんぽの宿」の件で、会社分割して株を一括譲渡するというと、日本郵政の一部を売り払う話ではないですか。そういう意味でもこれは政治問題になるような気がするのですけどね。
 私の認可に掛っているのは、会社分割ということで、日本郵政がどこどこの「かんぽの宿」をどこかのホテルに売りましたというのだと、私の認可に掛ってこないのですね。しかし、国が100%株式を持っている日本郵政株式会社という会社ですから、しかも郵政民営化によってでき上がった会社で、その見直し等の議論が郵政民営化委員会も盛んにやっている段階で、少なくとも国民から疑惑の眼差しで見られるようなことは絶対あってはならないと。なぜ今急いでそんなことをする必要があるのかという点については、私は何も間違っていないと申し上げているわけで、「今、認可しろ」と言ったら、「認可しない」と言っているので、日本経済新聞と産経新聞は非常にオリックス寄りの発言を続けておられますけれども。まあ、オリックス寄りというか、私が越権だということを書いておられますけど、私は納得できません。大体、今日の社説でですね、「政府が規制改革に関する会議に財界人を登用するのは云々で、入札まで遠慮しろというのであれば引き受け手がいなくなる。」と。大体、自分が入札しようと思うような人間は政府のそういう審議会の委員になるべきではないのですよ、最初から。冗談ではないですよ。私はそういう点は厳しくもっと「李下に冠」というのはね、厳しく考えなければいけないと思いますがね。「引き受け手がない」なんて、最初から引き受けるべきでない。
 「規制改革、規制改革」というけど、私は市場原理主義者ではないのだから。私は哲学として、市場原理主義者ではない。市場原理万能主義は地球環境をあっという間に滅ぼしますからね。私の「自然との共生」というのは、まずはそこから始まるので、それは、経済は活性化しなければいけない、景気が良くなければいけない。しかし、市場原理万能主義でやってきていることに総務大臣が口を出すのが越権行為だと、こう言われると納得できないのですよ。市場原理主義者からみれば越権行為かもしれない。けれども、私には守るべき文化があるんだよ。それぞれの地域で「かんぽの宿」があって、それが地域と一体となって地域振興にもなって、ゲマインシャフトができ上がると。精神共同体だと。そういう文化の方を銭金以上に重視すべきだというのが私の基本的な考え方で、だから私は市場原理主義者とは合わない部分があるのですね。
(問)そうすると結論めいたものは少なくてもこの民営化委員会が意見書を出す3月中までは出ないと考えてよろしいでしょうか。
(答)先方の日本郵政株式会社が検討委員会を設けるのでしょう。それで一括なのか、個別なのかまで、あるいは時期まで考えて、もう一回考え直して意見を出してくるのでしょうから、それを見る形になるのでしょうけどね。明日、臨時閣議が入らなければ、私は日田の「かんぽの宿」に宿泊をします。
(問)ほかよろしいですか。
(答)ありがとうございました。

(以上)