鳩山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年12月26日

(平成20年12月26日(金) 11:08~11:35  於:総務省会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 1つは「労働力調査結果、消費者物価指数及び家計調査結果」について閣議で報告をいたしました。失業率は3.9%、0.2ポイントの上昇ですが、これは相変わらずですね。既に事務方からレクはあったと思いますが、例えば、就業者数が1年前に比べて42万人減っている。ですが、失業者は10万人しか増えていないというのは、結局、非労働力人口が増えている。年齢が上になっていく、あるいは経済的に状況が良くないので、職探しをしていない。ILOの基準では職探しをしていないと失業者にはなりません。そういう要素がありますので、実際にはもっと厳しい状況だと。
 それから、「地域医療の機能強化に関する関係閣僚会議」がございまして、私からは、今まで公立病院の関係は、地方財政計画等で2,900億円くらいだったものを700億円増やして、3,600億円という、増額をしております。つまり、こういう比較はあまり意味はないかもしれないけれども、今年の苦労して苦労して地方交付税が4,100億円増えた。しかし、公立病院にかかわる地方交付税措置が700億円増えているというのは、相当な割合を占めているということですね。これは、過疎地の医療に80億円、それから、産科・小児科・救急医療に600億円ということで増額をしている。それから、総理も今日は入られて、活発に議論いたしましたが、特に消防と医療の連携の問題ですね。結局これは、ルールをきちんと定めて協議会を作って、たらい回しにならないようにあらかじめルールを作っておこうと。これは今まで出来ていないのです。救急搬送の数というのは、もちろんずいぶん増えてきています。119番して、そこへ到着するまでの時間というのは、ほとんど変わっていないですね。ところが、そこから病院までの時間というのが、どんどんどんどん長く掛かるようになってしまっています。これは、簡単に言えば、呼ばれた現場から病院までの時間は、平成9年で19.9分、平成19年で26.4分ですから、ずいぶん掛かるようになってしまっているということもあって、そういうことで、たらい回しがやはり増えている。最悪なのは川崎市、その次が東京消防庁、その次が横浜市。この辺が、とりわけ産科・周産期関係でみると時間が掛かっているということです。福岡市とか北九州市というのは成績優秀ですね、浜松市、静岡市、神戸市も短いのですが、川崎市、東京消防庁、横浜市では産科・周産期関係で30分以上掛かる割合が非常に高いというデータが出ております。これをやめさせるために、事前に消防と医療とが連携をしておくべきだということで、いろいろお話をいたしました。
 それから、「鳩山プラン」でございますが、縄文以来の伝統である自然との共生を基本としてきた我が国の歴史、文化。とりわけ、風土が大事だと思いますが、豊かな自然環境を大事にしながら、活力ある地域社会を形成する「地域力創造プラン」、「鳩山プラン」と言っていただいておりますが、19日に公表いたしました。その3本柱の1つである、「定住自立圏構想」について、本日、要件や手続きを示した要綱と、総務省の財政措置を取りまとめました。
 要綱においては、人口4万人を超える中心市、中心市の条件としては昼夜間人口が昼間の人口の方が多いと、1以上という比率で、つまり昼間の人口の流入が起きているということです。ただし、合併した都市は、周辺からは昼間流出してしまう場合は特別に見るのですが、そういう中心市が周辺市町村と1対1で議会の議決を経て定住自立圏形成協定というものを結ぶ。中心市は周辺市町村と協議をして、定住自立圏の将来像を提示する「共生ビジョン」を策定するといった手続きでございまして、まず、中心市が中心市宣言をするわけですね、「定住自立圏で、うちは中心市になろう。」という宣言をして、協定を結んで、ビジョンを策定するということです。
 財政措置としては、中心市及び周辺市町村の取組に対する包括的な特別交付税措置。これは中心市には4,000万円、周辺の市町村には1,000万円くらいを目途に特別交付税で措置をするということです。交付税で何らかの措置がある地方債によるネットワーク関連インフラ整備というものを支援いたします。交付税措置のある地方債は地域活性化事業債、過疎対策事業債と辺地対策事業債で、自前の金が少なくても交付税で何割みるとかというものがあるのですが、そうした色々な地方債を認めて、定住自立圏構想の中での、ネットワーク関連インフラ整備に使う。それから、外部人材の活用、地域医療の確保等に対する特別交付税。やはり、外部から「参謀」と言ってはなんですが、そういう能力のある人を定住自立圏構想を実施するところに引っ張ってきた場合に700万円とかという特別交付税措置等をすることにしております。
 それで、地域活性化統合本部というものがあるものですから、関係府省には国庫補助事業の優先選択などの支援策をお願いをしようと思っています。つまり、いわゆる「個所付けで定住自立圏構想のところに優先的に頼むよ。」という考え方をとります。
 今、先行実施団体が21市、19圏域があるわけですが、今後、本要綱に基づいて具体的に検討を進めていくものと思います。
 もう1つは、心身障害者用第三種郵便制度の悪用がひどいと。大口のものを調べたら、まだ調べきってないですが、大口のところを調べたらみんな悪用されていて、つまり、80円ですけれども、大量に発送すれば41円という仕組みがあります。それがですね、この制度では8円とか、15円とかという、超低料金になる。広告郵便という概念は1通41円ですね。ですが、心身障害者団体の場合は、第三種郵便で、8円とか15円という超低料金というのがありまして。8割は有料購読者でなくてはならないということだと思うのですが、これを悪用して、大量のダイレクトメール広告が送られていたという件でございます。この間、大阪に放りっぱなしにされた「ねんきん特別便」等の配達遅延事故の監督上の命令を私、出したわけでございまして、業務全般の見直しを命じたところでございます。
 今回のこともですね、こういう不正利用がずっと続いていたと思われるわけで、このようなものを調査もしないで、ほっぽり投げていて、悪用され続けていたと。結局、安くなったということは、その分がどこかで不当利得が発生しているとみるのが当然でして、その不当利得をどこかで分けたのではないかということは十二分に考えられるわけです。そうであれば、刑事訴追もあり得るような事件ではないかと私は思います。しかも、我々が80円払っているものが、そういう悪質なものがなければもっと低料金でいけるということだって、まあ、要するに、元々郵政は税金で作られたものですから、これは悪用してかすめ取った奴がいると、こういうことだと思いますよ。で、これは厳しくやりたい。「監督上の命令までしなくていいだろう。」というのが、私に渡された書類であったけれど「それは駄目だ。」と。監督上の命令を出すということで、事務方に厳しく指示をしました。やはり、郵政は信頼が大事ですからね。いよいよ年賀はがき、年賀郵便の季節になりますしね。やはり日本の文化風土の中で、郵便事業に対する信頼というのが、非常に高い。それを傷つけるような悪質な行為は許さないというのが、監督者としての私の考え方でございます。
 以上です。

2.質疑応答

(問)定住自立圏について具体的な仕組み、財政支援を含め決まったわけですが、今、19地域ある先行地域が、大臣としては将来的に定住自立圏の数がどのくらい増えることが望ましいとお考えですか。
(答)定住自立圏構想は、3大都市圏は原則除くわけです。ただ、秩父だとか、3大都市圏だけれども、大分遠いところにあるところは、3大都市圏と言われていても、それは中心市になっていただいて結構と、こうしておりまして、240市くらいが定住自立圏の中心市足り得るわけですね。もちろん、双子型というのもあるけれども。ですから、どれくらい手が上がってくるかということですが、今後の動きを見てみないと分からないのかな。今まで話があったものも含めて30数団体ですが、先行実施をして、来年の4月1日から本格的にやっていって、いろいろな財政支援があるという中で、それが有効に機能して、正に定住自立圏というものができていくような感じがするとなると、もっと手が上がるのではないか。どうでしょうか、50とか、そういうものは立派に出来上がっていくとは思いますけれども。
(問)市議会議員の年金が積立金の枯渇で、2012年にも破たんする危機に陥っています。毎年、百億円以上の公的資金が投入されていますけれども、地方財政の厳しい中、今後、総務省として、こうした状況にどう対応していくのか。また、公費負担率の引き上げが必要なのか、国会議員の年金と同様に廃止という選択肢はあるのか、大臣の御所見を伺えますでしょうか。
(答)確たる所見はまだ持っておりません。ただ、平成の大合併の影響をもろに受けていますのでね。要するに大合併で議員の数が減った、そして、退職された方が大量に出た。掛け金を払う方が1人で3人を支えるというのは、所詮無理な形ですから、そこをどう考えるかというのは地方自治の問題もあるでしょうけれども、予想を上回る合併の急速な進展による議員数の急速な減少、地方行革の一環で議員定数や報酬を減らしていく、そうするとますます掛金が積み上がっていかなくなる。今はですね、都道府県、市、町村の3議員共済会が中心となって研究会を設置して、今後の地方議会議員年金制度の在り方について、今、議論していただいているわけです。ただし、都道府県議に関しては、議員も余り減っていませんし、合併が全く行われておりませんから。道州制になると都道府県も大変なことが起きるということでしょうけれど。市が一番大変みたいですね。ただ、いずれにしても市も町村も1人で3人を支えるという形になっているのは間違いありません。総務省においては、地方議員の代表者や学識経験者からなる検討会を設置して、具体的な対応策を取りまとめていくつもりでございます。ただ、議員活動というのは大事ですから、昔は名望家政党という言葉もありますけれども、いわゆる地域の名望家が自分で職業を持っていて市議会議員、町村議会議員というケースが非常に多かったけれど、今はプロというか、それだけを仕事にする議員が増えてきている。そのことは議員活動に専念をしていただくためには、そういう議員の姿というのは望ましい。そうなると、やはり老後の保障というのは、きちんとなければならないということですから、地方議会議員年金という制度をなくすというのは、私は酷な話だと、良くないと。つまり、我々の国会議員互助年金というのは廃止されましたけれども、あれは法律に退職金を払うと書いてある。実際は我々は退職金をもらわない。国会議員にあった年金制度は、退職金の分割払いですね。これが地方議会議員年金と同じか違うかと言われると、多少質が違うと思っていいのではないかということでございまして、そういう意味では何らかの形で制度が成り立つようにしなければいけないというふうに思っております。今後の検討ですね。
(問)先ほど御説明がありました低料第三種郵便のことでお伺いしたいのですが、先ほど監督命令を出すというお話がありましたが、これはいつ、どういう内容でお考えなのか。それから刑事訴追もあり得るということですが、これは郵便事業会社なり、日本郵政に対して、そういうふうに、刑事訴追するようにと働きかけるのか。
(答)私は一般論として申し上げたのであって、それは不当に利得を得ている者が、民法上、刑法上いろいろあると思いますけどね。今日、監督上の命令を発出する予定でございまして、またそれは事務方から説明させます。先ほど申し上げたのは、私はこれは悪意を持って、不当な利得を得ることであれば、それは何罪になる分かりませんけど、そういうのは刑事事件にはなり得るということを申し上げたわけです。金が。もちろん民法上の不当利得返還請求というのもあるのだと思いますけど。
(問)明日福岡の方で郵便の現場を視察されるとのことですが、どういったところを御覧になりたいと思いますか。
(答)それは、いわゆる視察でございますので、郵便事業会社の仕事がどんな形で進んでいるのかなと、大変なんだろうと思いますし、信頼を得なければならない仕事ですから、特に年賀状関係で最繁忙期である郵便事業の現場を視察する。できれば、職員の方を激励したいと思いますし、そういう意味で郵便事業株式会社の新福岡支店と福岡支店を訪れることとしております。新福岡支店では、郵便物の区分や配送、福岡支店ではお客様窓口を視察する予定でございます。だから、昨日も郵政民営化委員会に参りましたけれども、それは光と影の影の部分はとにかくできるだけなくさなくてはならないということでございますので、影がどういうところにあるかということも見なくてはいけないですよね。

 総理と今日、少しお話をしました。これからまた官邸とは打ち合わせをしますが、総理のお考えは、地方分権改革推進委員会の第2次勧告が出て、第3次勧告も出ますけれど、いよいよ我々は、分権、地方出先機関については、工程表を3月末までに作ると。それが一段落してから道州制、道州制は今ビジョンを議論してもらっていますけれど、道州制について基本法という話がありますけれど、それはすべて3月の地方分権改革の出先機関改革の一定の工程表が出来上がってから道州制の方に向かおうと、こういう総理からの御指示でございます。私の考えでもあります。
(問)来年1月の通常国会への提出というのはどのように考えていらっしゃいますか。
(答)もちろん3月まではないと、こういうことです。
(問)それ以降は。
(答)それは与党合意の内容にもなっていますから、どういうふうに進んでいくか、まだ確定的なことは申し上げられませんが、総理と私の考え方は、究極に、地域主権型道州制というものを見つめて、やはり日本の国の形は、将来道州制がいいと思っていますが、それは分権改革の出先機関の改革の目鼻を付けなければ混乱するでしょう。そういうことで、総理と少しお話合いをしました。
(問)これは通常国会に出すということでよろしいのでしょうか。
(答)出すなんて言っていない。
(問)3月以降、3月終わってから。
(答)出先機関の改革や義務付け・枠付けは大変なのですよ。そこをうまく軌道に乗せることが大事で、その後にしか考えることができないということです。
(問)3月に工程表を作っても、夏には3次勧告を受けて分権計画を作らなければいけないですし、一括法も出さなければいけないわけですよね。その前に道州制のことやるのは。
(答)地方分権一括法はいつ出すのでしたか。
(問)来年秋と言われていますが。
(答)来年の秋。だから、そこのところは状況を見ながら。道州制は、今、ビジョンを議論してもらうことは本当に大事なのでね。それはだからビジョンは大いに議論はしてもらっている。そこのところは、与党の考え方もあるでしょう、ビジョン懇の考え方もあるでしょう。その辺は調整していって、早い話が、国の出先機関の改革や地方分権一括推進法ができないような国だったら道州制はできませんから。そういった意味では、タイミングを計りながらとしか言いようがないですね。
(問)分権一括法や分権計画を作るのは大変な作業だと思いますけど、その前に出先機関と義務付け・枠付けの計画ができれば道州制の話も進めていくと、混乱しないですか。
(答)だから、混乱しないように持っていこうと思っております。
(問)そうなると通常国会に道州制の法案を出すというのは、現実性がないと思うのですが。
(答)そこは私が、今、断定的にものを言うべきではない。状況を見ながら判断ですね。あなたのおっしゃることは説得力は感じますよ。

(以上)