鳩山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年12月12日

(平成20年12月12日(金) 9:22~9:40  於:衆議院議員食堂)

1.発言要旨

 おはようございます。今日はですね、青少年育成推進本部でフィルタリングの話をしました。
 閣議の中では、地方分権改革推進委員会の第2次勧告については、総理大臣から国会へ報告をするというふうに法律上なっておりますので、内閣として第2次勧告の内容を国会に報告しますということと、この勧告を受け、来年の3月31日まで、つまり、本年度中に地方分権改革の工程表を作っていきますので協力をしてくださいということを申し上げました。
 それから総理の部屋、別室に行きまして、私から2点報告をいたしました。1つは地方交付税については、地方が自由に使えるお金、地方交付税一般財源ということで、折に触れて総理からお話をいただいたおかげで財務省もやっと重い腰を上げてきてくれたので、まだ金額が詰まっているわけではないが、地方交付税の増額について実現できると思うと。今後とも御指示をいただきたいと。そして総理に申し上げたのは、結局、穴埋めのための地方交付税の増額を言っているのではありませんと。これは御承知のように収入不足というのか、それが出たときにはいろいろな法定加算とか折半ルールということで地方交付税は出てまいりますけれども、そういう意味ではなくて、いわゆる地方の歳出の積み上げ。つまり、基準財政需要の積み上げと同じ。例えば、1兆円基準財政需要を積み上げて、1兆円地方交付税を増額すれば、それだけ地方が活躍できる舞台が1兆円増えると。そうすると、3分の1に減ってしまった地方単独事業もできると、昨日の衆議院総務委員会でも、私はそういう答弁をしております。そのことを総理に報告をしました。総理からは、「そういうことが雇用にも直接結びついていく話だから、しっかりやろう。」と、こういうお話でした。
 今度の「地域活力基盤創造交付金(仮称)」1兆円ということもいろいろと雇用の拡大に大きな力があるわけでしょうけれども、それと金額は決まっておりませんが、地方交付税の増額、すなわち地方歳出の積み上げ、これがお互い相まって雇用の創出に力が出るということを総理から御指摘されたものと考えております。
 それから、もう1つは神野教授にお願いをしていた、地方共同の金融機構について、これは100年に一度と言われるような経済金融危機の中で、正にタイムリーな、総理の英断、御指示でこれができることになると思うと。つまり、神野教授に検討をお願いして、1か月間で7回審議をして、12月10日に報告をいただいたということでございます。中身は、皆さんもう御承知だと思いますから、新たな機構をつくるのではなくて、現在の地方公営企業等金融機構の改組ということでございます。
 それから、一般会計債についても貸付を拡大をすると。そして、貸付対象事業や貸付枠は、機構が自主的に決定をするということ。それから、簡素・簡潔で分かりやすい組織にすることで、名称も、例えば地方公共団体金融機構と、こうしたらどうだろうかと。今年の9月までは公営企業金融公庫、10月1日から地方公営企業等金融機構になっておりますが、これが公営企業以外にもお金を貸すと。地方の一般会計にもお金を貸すという意味では、地方公共団体金融機構という名前が考えられるかなということです。

2.質疑応答

(問)2点、伺います。今お話いただいた交付税ですけれども、財務省も重い腰を上げて、増額できると思うと。しかも、財源不足の穴埋めじゃなくてという話ですが、それは今年度の交付税の配分額15兆4,000億円よりも増額できる方向で調整が進んでいるという理解でよろしいでしょうか。
(答)そう、強く希望しております。
(問)それは、増額できることを。
(答)今の財政状況・経済状況が厳しいことは私だって分かっているわけだし、大体、昨日はほぼ確定してきたのですか、今年の国税5税の減額補正は6兆円を超すという話になっていますね。そうすると、地方交付税に2.2兆円ぐらいは優に響くと。この穴埋めはある。これは今年の分。来年の分として、総額が減ってきたのが20年度で少し増えたわけです。これがまた減ってしまうと、せっかく増えた分は、地方交付税額は15.4兆円よりは少しでも増やしたいと強く希望していますし、その総理指示で財務省が動き始めた。それがなければ前年より確実に減ってしまいます。
(問)それは増額の規模は、数千億円程度とか1兆円規模とか、そのあたりはどうなのでしょうか。見通しとしては。
(答)できれば大台に乗せたいと思っております。
(問)分権委員会の第2次勧告について、昨日、自民党の特命委員会が開かれまして、かなり強い反発の声が上がっていたのですが、これから政府・与党内の調整をどのように進めていくおつもりか、年内に閣僚折衝とか何か予定されていることはございますでしょうか。
(答)年内はそれほどではないかもしれません。つまり年内は、予算、それから2次補正の中身も詰めて閣議を開くでしょうから。極めて大胆な内容ですから、当然、与党からもさまざまな意見が寄せられることは当然で、昨日も私の所に、いくつかのグループの方々がお見えになって、「これは何だ」と、こういう話はいただいております。ですから、当然今までは与党と全く相談するということではなくて、地方分権改革推進委員会に大胆に作っていただいた。それは義務付け・枠付けも同じですから、国の出先機関も同じですから、これからさまざまな意見が出てくると思いますが、できる限り勧告の内容に沿った形で工程表を作り実現していきたい。
(問)最近のこの税制改正の論議の中で、たばこ税とか消費税をめぐって、総理指示と与党の方針というのがかなり開きがあって、そこの政府与党間の調整がうまくできていないんではないかという、そういう指摘もあるのですけれども、それはどう思われますか。
(答)私は必ずしもそう思わないので。大体、政府と与党の緊張関係というのは常にあるわけで、だから、その緊張関係の中で、できるだけいいものができていけばいいので。私は政府と与党が一体である必要は全くないと思う。緊張関係の中で議論していくことは大いに結構だと思いますよ。やはり政府は、我々は議員ではあるけれども、これは行政権ですから。いわゆる党の方々は立法権ですから。行政権と立法権が癒着してはいけないので、緊張関係の中で議論されていくというふうに私は思って。昔からいろいろあったと思いますよ。特に、自民党税制調査会は山中税調会長の時代から、あまり政府のコントロールが効いたためしもないのではないでしょうか。だからいいのではないでしょうか、そういう緊張関係の中で。
(問)大臣、その関係で、建前的には立法府と行政府ということで、緊張関係があっていいということなのでしょうけれども、大臣が前々からおっしゃっているリーダーシップという面では疑問符が付くのではないかという見方もありますが、その点はどうでしょうか。
(答)リーダーシップの本格的な発揮はこれからではないでしょうか。もう既に段々発揮されてきていると、私は思っていますけれども。
(問)大臣、地方の雇用とか経済の方の問題ですけれども、最近非常に雇用情勢が悪化していて、特に製造業を誘致して、地方は自動車産業とか誘致して雇用を守ってきたりしたと思うのですけれども、それが最近、非常に厳しくなっているようですが、現状はどういうふうに認識されておりますか。
(答)やはり、地方が国とも協力して、雇用を生み出す。これが特に今回は140万人とか言われますが、何百万人でも雇用を生み出すために、これは国も地方も全力を挙げるべきだと、こう思います。同時にですね、今のその雇い止めとかというような事柄が地方の法人地方税等の減収につながって、それで地方が余計財政が大変になっているという面があるわけですよね。だから、本当にこの雇用の問題と経済の問題はほとんど一緒でしょうから、これをとにかくまず景気、まず雇用ということが麻生政権の基本方針ですが、これができないと、地方を元気にするのが、鳩山邦夫の仕事だと言われてもですね、地方の法人事業税や何かが減ったらどうにもならないでしょう。そういった意味では、新聞にも出ているでしょう、特にトヨタなどの影響で、要するに法人住民税が7割とか8割消えてしまうところがあるとかね。恐ろしいことですよね。とにかく、まず景気、まず雇用と、こういうことですよね。
(問)大臣、昨日、自民党の一部のグループでですね、地デジだとか定額給付金で詐欺が出ているということで、もうちょっと広報を強化した方がいいのではないかという意見があったが、このへんの受け止めは。
(答)私もこの間、国家公安委員会委員長のところまで出向いて、とにかくお願いに行ってきたわけです。これは本当に世の中の悪い奴の考えることというのは、特に詐欺ということを考える人の知恵というのは、大いに警戒しなくてはいけないので。広報を懸命にやっているつもりなんですけれどね。それでも足りないのかなと、こう思って、いろいろ、やっていることはあるのですけれども。
 ぜひ、マスコミのみなさんにも、どんどん報道してほしいのですよ。お金をかけて政府広報もやっているけれども、それよりも、やはり世のマスコミ全体がですね、地デジ詐欺とか、これから給付金詐欺というのが出てくるわけですから、それに気をつけろということをどんどんやって欲しいですね。
 確かに「地デジの工事に来ました。アンテナを直さなくてはいけません、何を直さなくてはいけません。」と言われると、ああそうかなと思ってしまう人がいるのでしょうからね。とにかく広報には全力をつくしますが、みなさんに本当にお願いしたい。
(問)先ほど大臣が法人事業税や法人住民税が、例えば7割消えて、恐ろしいことだとおっしゃいましたけれども、来年度21年度の地方のその法人住民税、法人事業税がどのぐらい減るというふうに見積もられているのかというのと、それに対して7割消えるというのは恐ろしいことなのですけれども、それに対してどう対応をしていくのか。
(答)それは私、税収を見積もるだけの今、資料が頭の中にありませんから、それは全く今のところは分かりません。要するに1地域で例えば、それこそ工場閉鎖ということになれば、その本当にその地域が例えばトヨタにすべて頼るというわけではないけれど、大変な数の雇用がその1市町村内にあるとして、それが閉鎖して、そこに金が入ってこないと大変なことになるということですよね。それを個別でどういう救済方法があるかは、これから考えていくことだと思いますね。
(問)ございませんか。どうもありがとうございました。
(答)ありがとうございました。

(以上)