鳩山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年11月4日

(平成20年11月4日(火) 10:26~10:43  於:総務省会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。私からは特にありません。

2.質疑応答

(問)今日、総務大臣主催の「地域力創造に関する有識者会議」の初会合がもう始まっておりますけれども、総人口が減る中でどのように地域力を高めていくかという議論がこれから始まるわけですが、総務大臣としてはどのような議論を期待されるか、御所見を伺います。
(答)いわゆる諮問、答申という形のものとは違うと思うのですね。例えば私が前にいた所の法制審議会では、「こういうふうにしたいがどうですか。」と、今日、国籍法の一部を改正する法律案が決定されましたけれど、それに対して「OK」とか、「こう直せ」という答えがきますが、それと違って、月尾先生にお願いをした「地域力創造に関する有識者会議」というのは、やはりいろいろな考え方とかビジョンとか、また、地域の活力や発展や新しい地域の形はどういうパターンがあって、どういうものがいいのかというようなことを私は様々なビジョンとしてお示しをいただければありがたいというふうに思っています。
 総務大臣に任命されたときに「地域の元気を回復せよ。」というのが総理からの唯一と言っていいほどの指示でございますので、地方自治体と、その住民と、あるいは地域の、例えば農業とかあるいはほかの企業とか、そうしたものが皆で協力し合って、地域力を高める仕組みを考える。その考え方としてどういう例えば基本的な考え方があるかということを議論してもらおうということですよ。ですから、例えば農工商連携などというのも1つの考え方であって、もちろん農業政策というのは大変重要ですが、農業だけを単体で考える見方と、農商工連携という考え方があるわけです。私もこの週末は、例えば米から作ったパンを食べたり、とれたてのそば粉をあっと言う間に蕎麦にする機械で、とろろ蕎麦をごちそうになりましたけど、いろんな考え方があると思いますから、そもそも地域力というもの自体に定義があるわけではなくて、いろいろな考え方があるから、地域力とは一体何ぞやということも議論していただければありがたいと思います。
 地域とか地方という場合には、やはり自然が豊かであるという概念があるとするならば、自然との共生という考え方も強く打ち出すというか、自然を利用するという、自然を破壊して奪うのではなくて、自然と共に地域力を生み出すという考え方をお出しいただくというのも1つの案です。月尾先生というのは、私の環境革命というふうにいつも申し上げますが、私の環境における何人かの先生のお一人でございまして、心から尊敬している先生です。総務省総務審議官もなさったし、自ら、カヤック、カヌー、いろいろやっておられますよね。自らが自然体験をさんざん積んでおられる先生ですから、月尾先生だったら、そういうようなことも含めて、自然というものも含めて御議論いただけるのではないかと思っております。
 したがって、この有識者会議では、ビジョンというか、大所高所の御議論もいただいて、では、政府は、総務省は何ができるかということも同時に考えていただければありがたいと、こう思っております。
(問)2兆円の定額給付金をめぐってですね、所得制限を設けるかどうかという、閣内で意見が分かれているようですが、大臣の御意見はいかがでしょう。
(答)これはですね、子供や高齢者に厚くするというのは在るべき姿で、本当は高額所得者は除くべきです。それは定額減税という考え方は高額所得者には有利でないと、定率だったらうんと有利になるわけですから、有利でないわけですから、そこの所はいいのですが、実際年収が1千万円とか、2千万円、3千万円ある方に定額減税をして差し上げる必要があるかどうか。これは消費の拡大という意味ではあるのですけどね。本来はそうあるべきだと思いますし、経済財政諮問会議でもそういう議論は出たわけです。ところがですね、これは、今後、政府・与党で詰めていかなければならない話だと思っていますが、今年度中に差し上げたいという場合、問題はですね、窓口の手続が非常に困難になります。フローにおける所得を把握するというと、これはどこかというと、一般には税務関係ということになります。そうすると、その税務署にある個人情報を転用するわけではないですか。そうすると「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」というのがあって、この改正をする必要があるのではないですか。違いますか。そうでしょう。そういう法改正をやってそれだけの時間があるか、年度内に給付できるかという問題でございまして、だから所得制限を設けるためにうんと遅れてしまうのか、それよりも迅速にお渡しできるかという2つの価値を、どちらを取るかという問題だと思います。実際、自治事務でやるわけですから、市町村の窓口でやって、例えばそれで、口座に振り込むとか、いろいろなやり方があると思いますけれども、そこに個人情報を使うわけですよ。「あなたは所得1,100万円なので、駄目」なんていう、それをやれるかどうか。だから理念としては、高額所得者は、資産ではなかなか捉えられませんからフローでしょうね。フローである所得が高い人には遠慮してもらって、その分、所得の低い方に手厚くなればいいと、私は思うのですが、果たしてそれが可能かと、スピードはどうなるということを考えますと、私は年度内給付を、スピードの方を重視すべきではないかなと思います。
 問題はですね、だからどこまでできるか。それはもう事務方が徹底して詰めると思う。理念が体現できればいいけど、理念が体現できないで、べらべらべらべら、皆、しゃべると期待しますよね。高額所得者が除かれるのだったら、我々の方がもっと手厚くなるのだと期待してしまうではないですか。それでやはり全員一律だよとなった場合に期待に応えられないという部分があるから、これ、あまりべらべらやるべきことではないですね。まだじっくり詰めて、どこまでできるか慎重に考えなくてはいけないので、あっちでアドバルーン、こっちでアドバルーンというのは、私はよくないと思いますよ。
(問)分権改革の関連なのですけれども、第一次勧告で一級河川の移譲について提言があったのですが、これに対して国交省が20水系を各知事に示しているのですけれども、大体の川は幹線流路延長を見ても短くて、整備力はほとんど変わらないと見られているのですが、これについて大臣は、どう評価されるのか。
(答)私は、だから、それはそういうことでは困る。本当の一級河川であっても県内で完結する小河川ばかりね、20個ばかり選んで回答しているというふうに聞いておりますから、やはり地方分権というのは、抵抗が強いし、ハードルは決して低くないから、真剣に頑張っていかなくちゃならんなと、こういうふうに思うわけでございます。
 今日も実は閣議で、河川のことは申しませんでしたが、その話があったから、「地方改革分権推進委員会の方で、次なる勧告というのに頑張っているから、総理が決断されるという一文が入っているけれども、どうぞ、閣僚の皆さん、御協力を願いたい。」ということを申し上げたら、若干の反ばくを受けましてね。「地方は金をよこせ、金をよこせばかりで、何をできるのだ。」というようなことを言われまして、私はあえて反論しませんでしたけども、お願いだけしただけですから。
 地方分権改革というのはなかなか大変ですな。何というか、やはり国対地方というのがあるわけですよ。我々がよほど地方の味方をしないと、全力で地方の味方をしないと、戦いは大変ですね。私は今日の閣議でもつくづく、そう思いました。
(問)分権委員会はですね、県内完結河川53水系と、ちょっとだけ複数県にまたがる12水系の65水系が移譲対象だと言っているのですが、残り今45あるわけですね。そこを大臣、直接。
(答)65引く20イコール45、はい。
(問)直接国交大臣等に渡すようにという活動をされていく。
(答)今日、私は国土交通大臣に反ばくされたわけではありませんからね。国土交通大臣は何も発言されませんでした。それはやはり詰めていかなくてはならんでしょう。それはやはり事務方で徹底して詰めていかなくてはならんし、私が乗り出さなければならないという局面は、当然、予想されております。
(問)いずれにしても大幅な上積みを求めていくという。
(答)もちろんですよ。地方分権か中央集権かというのは、私は二者択一とは決して思っていないのです。中央集権のいいところもあるわけだから、というか中央集権でなくてはいけない部分はあるわけだから。ただ、今の河川の話とか、道路の話とか、あるいは農業関係の農政局とか事務所とか、住民に密着している方が、住民をよく知る都道府県がやった方が明らかにいいという部分を、徹底して移すことが地方分権だと私は思っているのですが、それでも、それは結局権限よこせ、金よこせかと、こういうふうに反ばくされるわけですから、なかなかきついなとこう思います。
(問)閣議ではどの大臣が反ばくを。
(答)いや、それは言いません。
1兆円の件でございますが、「漂う1兆円」なんてなかなか巧みな見出し、あなたのところでしたっけ。
 1兆円と7千億円は、私は完全に別枠という理解できております。別枠という理解を私がしてもいいような状況はあったというか、あると思います。ただ、やはりこれは常に財源の問題が伴いますから、単純に言って、特定財源、道路特定財源というのが、5兆3、4千億円あるとすれば、もちろん「まちづくり交付金」とかそういうのも含めてですね、道路に使わない部分も一部あるけど、3.3兆円が国で、2.0兆円か2.1兆円くらいが地方なのでしょ。ところが、ガソリン税の4分の1が地方に入ってくる。それから補助金ですね、5,800億円くらい入ってくる。大ざっぱに言えば、逆転して地方が使っているのが3.3兆円くらいで、国が使っているのが2兆円。その1兆円を道路目的ではないけど、ぽんと奪えば、国に残るのは1兆円ですわね。そうするとあまりに少なくなるから、建設国債を出すとか出さないとかという話になるのではないかというふうな話が出ていますけれども、これは建設国債を出す出さないは別にして、私の理解は、7千億円はこれまでと同様に6,800億円でしょうけれども、入ってまいりますと。1兆円は削られた地方交付税5兆円、あるいは6兆円と言われるものの復活の1兆円の地方交付税増と、こういうふうに私は捉えているのですが、財源問題等がありますから、これからまだ詰める部分があるのだろうなとは思っています。
(問)質問、ございますか。ありがとうございました。

(以上)