鳩山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年10月28日

(平成20年10月28日(火) 9:14~9:47  於:総務省会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。本日、第2回給与関係閣僚会議が開かれまして、私としては、人事院勧告は公務員の労働基本権の代償措置であるから、これを守っていきたいと、これを勧告どおり実施したいという意見を申し上げました。舛添厚生労働大臣からもそのような意見が述べられましたが、中川財務大臣からは、将来の負担増につながる部分もあるからもっと議論をしようではないかということで、結論を得るに至りませんでした。次回はまた、追ってタイミングを図って開催されるものと思っております。
 それから、私から閣議で発言いたしましたのは、11月19日水曜日に全国都道府県知事会議を開きまして、総理大臣、閣僚と知事との話し合いを長時間やりますから、私が司会役をやるので、どうぞよろしくというお願いをしました。
 それから、「地域の元気」を取り戻すために中心的な市を捉えて、周辺の市町村と連携をして1つの定住自立圏として発展させようという構想があります。そして創意工夫をしてもらおうと。だから、定住自立圏というのは、中心市があって、周りの市町村と例えば医療等で連携をする。この全体を1つとして、人口が流出しない、むしろ増える。つまり中心市に働きに来ても、近くへ帰って寝るというような構想でございます。総務省としては、名乗りを上げるところを募ってきたわけでございます。この夏にそうした形で定住自立圏構想に取り組もうという意欲ある団体を募集したわけです。募集をいたしましたところ、応募いただいた団体のうち、先行実施団体として中心市20市、18圏域などを決定いたしまして、具体化に取り組んでもらおうということでございます。詳細は後ほど、御説明を事務当局からいたします。
 なお、有識者の御意見をいただくとともに、関係省庁が連携して支援施策等を展開していくため、私が主催する「定住自立圏構想の推進に関する懇談会」を今後開催予定でございます。
 私といたしましては、自分の地元は応募いたしておりませんが、すぐ近くの八女市が名乗りを上げておりまして、多分、八女市は周りの町村とのことを考えているのだろうと思います。黒木瞳さんという女優の出身は黒木町ですね。私はその辺は、地元ではありませんけれども、いろいろ視察して歩いたことがあります。八女市と矢部村とか、蕎麦のおいしいところで矢部村に蕎麦を食べに行ったことがありますけどね。黒木町とか星野村も入ると思いますが、ちょうど私の久留米の家があって、耳納の山地というのがあるわけですね。筑後川と耳納の山の間が私の地元なのですが、その耳納の山の向こう側が、今度の定住自立圏構想ということで名乗りを上げたのだろうと思いまして、地勢的なことが分かっているものですから、なるほどこういう形で構想をやるのだなというふうに思います。以上です。

2.質疑応答

(問)株価の下落が今、続いていますけれども、今の状況を踏まえて金融危機を優先して11月中の選挙はないのではないかという見通しが強まっていると思います。こういった状況の中で内閣はどのように対応していくのか、それと地方への対策も踏まえてお聞かせください。
(答)グリーンスパンさんではないけれども、「100年に一度」というような経済危機か、金融危機かという状況があるのでしょう。この間のASEMでも、温家宝首相がやはり「100年に一度」と言ったというような報道を見ましたけれども、そういう状況にある中で、我が国の経済をきちんと守り、世界経済あるいは金融危機や経済危機に対して、我が国が貢献するという、世界の金融や経済の難問題、これに我が国が協力をするという、イニシアチブを取って協力をするというぐらいの姿勢を見せることは、我が国の国際貢献として、実質的にも名誉的にも大変大きな意味を持つだろうと思っておりますので、全力を挙げて政府は取り組んでいくでありましょう。
 私はその中で、とりわけ地方部門という、地方を元気にするという仕事をやるわけでございます。私が新聞等を読んでおりまして、非常に、事実に反するなと思うことは、解散というのは総理大臣の専権事項であって、いつも申し上げておりますように、誰も口出しをすべきでないし、できない事柄であります。麻生総理という方は、総裁選挙に本命視されて、その頃から今日に至るまで、とにかく日本の経済あるいは世界の金融の問題をきちんとしなくてはならないということを、ずうっと言い続けておられるわけで、解散の「か」の字もおっしゃったことはないし、我々と話をしている時も、とにかく解散というのは、総理大臣が思ったときにやるわけですから、何もぶれてないですよね。麻生太郎総理大臣は、総裁候補のときから何もぶれてない。だから、当時は10月26日が投票ではないかだとか、それは総理がそうなさればなったかもしれないけど、そんな雰囲気、どこにもないわけです。今回も、それは分かりませんよ。いつ総理が解散されるかは全く分からない。分かりませんが、ただ与党だか、政府だかが、まるで11月30日で準備を進めてきただなんて、準備を進めてきたが先送りだとかいう、それは断じて事実と違う。別に何もお決めになったことがないのだと思いますから、私は。最初から、まず仕事をしようと。「先送り」って、何か決めておいて延ばせば先送りですが、何も決めてないものは先送りでも何でもないので、それは解散は明日かもしれないし、明後日かもしれない。あるいは来年の何月かもしれない。それは総理がお決めになるときに初めて決めるのであって、先送りというのは決めたものを送れば先送りだけど、総理は何もぶれておられないと思います。
(問)地方に対しては、どのように、この危機の中で。
(答)実は閣議後、総理と二人でお話をしました。総理は1つには、総務大臣経験者でありますから、地方の問題については、私の百倍の知識と経験をお持ちでありましょう。総務大臣を2年くらいやられていて、それは私がとても太刀打ちできるものではない。それからしつこいようですが、全国161か所を回ったという中で、地方の状況というものをよく把握しておられる。という中で新しい経済対策の柱、3番目、「地方」と。生活者、中小企業、3番目は「地方」と打ち出されて、あるいは一般財源化される部分を1兆円は回しなさいとか、あるいは財投というか財融というか、お金は、今、地方に60兆円ばかり、多いときは70兆円ばかり貸し出されていたわけでありますけれども、その機能を今回、10月1日に公営企業金融公庫から名前が変わって地方共同法人としてのいわゆる「機構」、「地方公営企業等金融機構」になったでしょう。多分、総理の指示は、そこでその部分は扱ったらどうかという御指示だと私は読み取っておりますけれども、そういうふうに非常に地方に対して、温かい、地方振興というか、地方を元気にするためには、総理は私に対して、「鳩山、地方を元気にしろ。」とおっしゃったけど、総理自身が地方を元気にしようと懸命に思っておられる。そういう御指示に私は非常に感動いたしております。そういう意味で今後のことについて御相談をしたわけでございます。
(問)すみません、先ほどの総理の指示の1兆円ですけれども、すでに道路特定財源からですね、7千億円ぐらいの金が入っていますが、これとの関係はどうなんですか。
(答)これはですね、私、総理に申し上げているのです、それは。私は道路ということにこだわる人間ではない。道路特定財源というものがありますが、ものすごく雑に言うと、譲与税も含めて、国庫に3.3兆円、地方に2兆円入るわけです。だから国が3.3兆円で地方が2兆円とこう思いがちですが、実はガソリン税の4分の1である、今、あなたのおっしゃった約7千億円、6千8百数十億円だと思いますが、これが自動的に地方へ来るわけですね。同時に、補助金も5,800億円ぐらい来るわけですね。そうしますと、今度は逆転して、使う方は地方が3.3兆円、国が2兆円という形になっておるわけでございます。
 ですから、その問題がありますから、一般財源化すると、ガソリン税の4分の1というのは、制度的にどうなるのか。制度的に非常に揺らぎますから、これをいったんなしにするという考え方も含めてですね、地方へ道路という使用目的を決めない形でどんと出せというのが総理のお考えだと、こういうふうに考えております。これは今後の詰めを急いでいきますが、これは本予算の関係になります。
 その前に地方に対して第2次補正ということであるならば、当然、「地方経済対策臨時交付金」とか、いろいろな名前があり得ると思いますが、そういう形での交付金をどういうふうに地方にお配りできるかということが課題になると思います。
 昨日、夕張市に行っている間にですね、ものすごい株価の下落があって、こうなってくると法人事業税や住民税も心配ですが、やはり、地方交付税がどういう計算になってくるか。しかも地方税収自体も当然反射的に、法人税の14.7%とか何とかという規定になっているでしょう。すると地方の法人2税にも響いてくるし、交付税の計算の基、32%の基の方も響いてくるし、いや大変ですよ。地方を元気にするための地方の財源の確保がいよいよ大変な課題になってきましたから、「株、上がれ」と言いたいですね、本当にね。こんなことになると大変だ。
(問)大臣、先ほどの定住自立圏の先行実施市、圏域の話ですけれども、これは、各圏域でですね、「こういうことをやりたいぞ」というのを言ってきているのだろうと思うのですけど、これに対して総務省としてですね、どういう支援ができるのかというのを具体的にお願いしたいのですが。
(答)これはですね、定住自立圏というのは自治体が協定を結ぶのですよ。例えば医療でこういうふうに派遣するとか、いろいろ引き受けるとか、そういうふうになっていくわけですから、各省が定住自立圏というものに対して、連携して支援措置を取るべきだということが骨太2008に書いてある。ただ、具体的な支援措置については、まだ決まってない。だから、先行実施してもらって、いろいろな内容や希望を承っていく中で考えていくということなのです。だから先行実施なのですよ。今は、皆で支援しようということまで決まっておりますが、具体的にこういう金がいく、ああいう金がいくということは決まってないのです。例えば平成21年度の概算要求に出したのは、デジタル・ディバイドの是正、つまり定住自立圏におけるケーブルテレビ整備等への支援、これは優先的にということでしょうね、ある意味でね。農産品直売等への支援とかありますけれども、これからです。
 協定を結んで、定住自立圏ができると、それはいいことがいっぱいあると思うのです。いいことがいっぱいある、それが1番いいわけで、それに対して、金目の支援をどう考えるかということは、後から来る話であって、これは定住自立圏構想として、協定を結んで1つの自立圏ができることに最大の価値があるわけだから。もちろんそれを促進するためには、今後、金目のことも考えるけれども、全てが金目のものが先に立つ、金を出さなくては世の中、進まないという事柄もあるが、そういう事柄ではないと思っています、むしろ。
(問)大臣、給与関係閣僚会議ですが、結論を出す時期は、大臣としては、どのようにお考えでしょうか。
(答)私には分かりません。それほど遅くない時期にあると思います。今日で2回目だったのかな。2回もんだということで、それほど遠くないときに3回目があって結論を出すのだろうと思います。3回目に結論が出るかどうかは知りません。確定ではありませんが、それほど遅くない時期と思っております。
(問)大臣は、先ほど、人事院勧告どおりでというお話でしたけれども、それで財務大臣が反対しているということでしたが、具体的にはどの辺りの議論で慎重論が出たのですか。
(答)要するに給与やボーナスは基本的に今回改定しないわけです。労働時間が15分短くなるわけです。ただ、いわゆる医師のような専門職の給与を上げるという話。それから例のですね、課長補佐には出ているわけだから、課長補佐は現状8%でしょう。それが名前が変わるぐらいでしょう。だから、係長や係員は業務調整手当を若干上げる。4%、2%。これは、要するに局長や課長が仕事をしてないというわけではないですよ。やはり課長、課長補佐は今、既に出ているのですけれども、係長とか係員というのかな、若手がバリバリにやるわけでしょう、仕事を。そういうところにちょっと厚くという部分がありますから、これは当然、将来の負担増になりますね。それからですね、もちろんメリハリの効いた給与にしろということは、前から言われておりますが、地域手当の問題なのです。公務員給与と民間給与を比較するのが、人事院なのだけれども、地域別にやったらどうだということを、非常に財務省は前から言っているようでございますが、今日も中川財務大臣からはそういうような発言になっています。例えばですね、「来年の勧告においては、地域別官民給与の実態を公表したらどうか」と、こういうことも言っておられるわけです。東京の地域手当の支給割合の引き上げというのがありますね、16%から17%。要するに東京の民間給与に比べて、皆さん、苦労しているのかな。東京は諸物価が高いとか、その影響で東京の民間給与が高い。それに比べると、ということで16%を17%に引き上げるという、これも将来負担になります。月例給というのだそうだが、いわゆる月給については変えないという人事院勧告ではありますが。
(問)すいません、さっきの道路の話ですけども、1兆円の件ですが、7千億円をですね、1兆円の中に含むのかというのと、全く含まずに7千億円プラス1兆円になると話は違ってくると思うのですけれども、地方側としては、地方枠の総枠がですね、今までどおり7千億円を含んで、道路の枠を確保してくれという話だと思うのですね。ですから、7千億円プラス1兆円じゃないと、ほとんど意味をなさないというか。
(答)あのですね。揮発油税の4分の1である7千億というか、6千8百数十億については、これは道路というものは外れるわけですよ。それ以上言うと、ちょっと問題あるかもしれないけど、これは道路から外れるわけですから、何に使ってもいいわけですから、使い勝手のいい金になる。だから、それ足す1兆円の、1兆7千億円だったら、私は万々歳と思うけど、それは財源という問題があるから、その辺はまだ最終調整はしていないということだと思います。それは財源の問題がありますから。そういう意味も含めていろいろ総理に御決断をいただくというような場面があるのだろうなあとは思います。
(問)今日の朝の総理との話では、具体的に、その道路の問題や交付金の問題でどういう指示があったのかを。
(答)いや、だから、今後、またいろいろ御相談したいのでと、私から報告しただけです。
(問)だけ。
(答)正直言うと、今、あなたが話したことも私、話しましたよ、総理に。こういう計算になりますけど、そこのところも御判断くださいと。総理は全部、分かっておられますから、総務大臣やっておられるから。総理はかなり地方に対して前向きに御判断をしてくださるものと思っております。
(問)今の関連で、道路の臨時交付金は、国土交通省のかなり聖域的な予算の枠だというふうによく言われていますが、これを実際、地方に渡すという形になると、かなり省庁間での調整が必要になってくると思いますが、その辺りは。
(答)それは、あなたのおっしゃるとおりの実態があるわけだから、これを打ち破らなくては総務大臣としての仕事をしたことにならないと思っています。意気込みですよ、問題は。気合いだけで全て、できるわけでありませんが、そんな聖域なんていうものを作らせてはいかんのです。要するに実態は、私も知っていますよ。結局、その6千8百億円は、地方に渡すお金だけど、ここを作れ、あそこを作れでしょう。違いますか。それを打ち破るんだ。それで何でも使えるように使い勝手のいいお金に変えるのだから、それが鳩山邦夫の仕事でございます。御理解ください。
 ただ額がどうなるかということになると、財源問題があるから、そう簡単にいける話ではないと申し上げている。
(問)大臣、すみません、話変わって、IP電話の関係なんですけれども、新潟県警に摘発された振り込め詐欺のグループが、IP電話を悪用していたようなんですね。仲介業者が間に入って、インターネットがあれば、どこからでも掛けられるという点を利用して、身元や居場所を分からなくすると。携帯電話のようにですね、IP電話の仲介業者に身元確認なり、規制するお考えはありますか。
(答)あの、私もインターネット・プロトコルということに全然詳しいわけではありませんが、法務大臣としてですね、ID犯罪と、こういうたぐいのことを言うわけで、G8の司法・内務大臣会議というのを主催してですね、ID犯罪のことを4つぐらいの主要テーマの1つにして、やったわけですよ。いろいろな意見が各国の司法大臣から寄せられたわけですけれども。またこれ、いたちごっこというのか、科学技術が通信手段を多様化させると、結局、追い付かない間に、悪いことをする人というのは非常に動きが早いよね。だから、「いつでも、どこでも、誰とでも」というユビキタス社会というものは、これを目指すと言ってやっているのだけど、それを悪用されて、誰とでも匿名でつながっちゃいますよというと、これ、困るわけです、犯罪に利用される場合は。これはほんとに新手の振り込め詐欺ですから、まず実態把握をして、これを防ぐ手段を考えなくてはならないということです。
 要するに接続事業者を通すからわけが分からなくなっちゃうわけでしょう。だから、接続事業者が本人確認させる、できればいいですね。困りますよね。科学技術、通信手段の進歩に遅れを取らないように頑張るとしか、言い様がないですね。腹が立ちますね。
 地デジの話も、昨日であと千日になったでしょう。新聞見たら、学校のテレビが地デジ対応になってないなんていう話があって、これは、文部科学省がやるのでしょうけれど。地デジのそれは予算も組んであるのだけど。広報宣伝が遅れているのではないかということをよく指摘されるわけではないですか。アナログの電波がもう来なくなりますよ、その間に地デジ対応をしないといけませんよ、生活保護世帯にチューナーをお配りしますよ、アンテナはどうのこうのっていうのを、一生懸命宣伝しているし、テレビでも随分、いろいろやっていますよね、広報。ところが、宣伝が行き届かないところに18万円出したらやってやる、19万円出したらやってやるでしょう、これ。もう本当に、悪いことを考えるやつは際限ないなと思って、強い怒りを感じます。何でも犯罪や詐欺に結び付けようとする、そういう風潮がもう情けない。これが27件、あるのだそうだ。地デジ詐欺。何でも犯罪に結び付けるんだな、ほんとに。とにかく学校教育からしっかりやらないとだめだね、道徳教育から、本当にそう思います。
(問)いかがでしょうか。
 よろしいですか。では、ありがとうございました。

(以上)