鳩山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年10月21日

(平成20年10月21日(火) 10:35~10:58  於:総務省会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。私からはですね、「ICTビジョン懇談会」の開催について報告いたします。10月30日を予定いたしておりますが、これはICT、情報通信技術分野の中期的なビジョンを描くことを目的として、「ICTビジョン懇談会」を開催することといたします。
 これは今から4年前でしょうか、麻生総理が総務大臣の時代に、「いつでも、どこでも、何でも、誰とでも」ネットワークにつながる「ユビキタスネット社会」の実現というビジョンを掲げられたのですが、もちろん現在もそういう意欲を満々に持っておられる総理でございますので、光ファイバ、ブロードバンド、あるいは地デジへの完全移行等を含めまして、我々が頑張っていかなければならない。
 結局、そういう「ユビキタスネット社会」というビジョンでございますから、やはり、まさにビジョンで、どういう社会が情報通信という意味であるべき姿なのかということを話し合ってもらって、描いてもらうという意味で、私主催の懇談会という形にいたしました。
 具体的なことは、後で事務方から、皆さんに御報告申し上げます。

2.質疑応答

(問)衆議院の解散総選挙の時期がですね、各方面からいろいろと意見が出ていますけれども、大臣自身、どのようにお考えか、改めてお聞かせください。
(答)私の基本的な考え方は、よく「政局」という言葉が使われますが、政局、政局という形で物事が議論されると、非常に危険だと。やはり国会議員も、あるいは政府も役割は1つで、それは、よりよい社会や地方や国を作っていくということが仕事なので、したがって、総理がいつもおっしゃっておりますように、今、景気対策、経済対策、金融の問題、例えば中小企業は12月、1月にかけては非常に大変な時期を迎える。というのは、12月にはボーナスを支払わなければならない。1月は、月の後半しか、いわゆる商売が成り立たない。しかし給料は払うというので、仕事、商売をやった人間は皆、分かると。中小企業はとりわけ、12月、1月をどうやって乗り切るかということで、普段から神経を使うのだということを今日も繰り返して、おっしゃっておられます。そういう意味で言えば、信用保証協会100%保証になるのだと思いますが、あるいは別に政府がいろいろ保証するようなやり方もあるようですが、そういう対策をきちんと打って、日本の社会を、とりわけ、経済的に非常に厳しい局面を迎えておりますから、きちんと立て直すというのが、まず第1の仕事であって、その次に政局というのがくるわけですから、順番を間違えてはいけないと思います。
 解散というのは、総理大臣の専権事項でございますので、一閣僚に過ぎない私は、一切申し上げる権限もない。ただ我々は仕事をする。まさに仕事師内閣であっていいと思うのですね、当面。
(問)大臣、昨日、地方6団体の麻生知事会長たちがですね、麻生総理に官邸で会いまして、補正予算に盛り込まれた地方自治体向けの260億円では、1つの自治体に対しては薄い措置にしかならないので、これを何とか増やしてほしいというような要請がありましたが。
(答)内閣府の方で扱った260億円、もちろん私が責任者になりますけれども、これは都道府県に15億円と市町村に245億円という、そういうやり方で政令市でも4千万円が上限、中核市で3千万円が上限いうことで、これは、財政の厳しいところ、あるいは財政力指数が低ければ低いほど多くいくという仕組みになっておりますから、したがって何と言うのでしょうか、要するに、同じ地方といっても、地方都市より、その周辺の方にものすごく厚くなっております。そういう特殊な、非常に苦しいところをまず立て直そうという発想でございますので、あの金額では、いわば都道府県から中核市を含めた市町村を根本から立て直すような金額ではありませんから、当然地方6団体からはそういうお話でしょう。
 私も、地方6団体、知事会長である麻生福岡県知事等とお会いをいたしまして、6団体の方が私に強くおっしゃったのは、やっぱり「真水」ですよと。つまり、地方債を発行してしのげと、あとから交付税でみてやるというやり方は、結局、その交付税全体の額が、その分増えないで、全体の額が抑えられていけば、結局、100%みてやる、80%みてやるといっても、実際、お金に色が付いてるわけではないから、そういうやり方ではなくて、できる限り、現金という言い方はちょっと変ですが、「真水」で地方を元気にする方法を考えて欲しいということが、何よりも一番強烈な要求でした。もっともだと思います。
 だからこそ、国税5税が、今年、調子がどうなのか、法人税等非常に心配でございますから、そうでなくても地方交付税がきちんと確保できるかという問題があります。きちんと確保するだけではなしに、それに上乗せして、交付税とか交付金が配れる形にしませんと、地方は元気になりませんと、今日の閣議でも若干、私、そういうような発言をしましたら、与謝野大臣から、新しい経済対策の、1番は生活者で、2番は中小企業・金融、3番に地方と書いてあるのだから、政府の責任で皆でやる仕事だという、力強い応援はもらいましたね。
 いつも申し上げているように、何と言うのでしょうか、地方が今、財政的に落ち込んでいるとしますね。だから、地方交付税も低いでしょう。それをマイナス部分をゼロに戻すのではなくて、そこから上を上積みしなければ、新しい経済対策の地方という目標は達成できない、こう考えております。
 あの、ちょっとよろしいですか。
(問)はい。
(答)私、気になることがちょっとあるものですから、毎日新聞の10月5日の記事でございますが、公営企業金融公庫、10月1日に地方公営企業等金融機構に変わっているわけですが、「引当金を取り崩し、公営公庫から数千億円」と、こういう話が出ているわけです。これは、一種の埋蔵金論議なのかもしれませんが、現在、3兆4千億円ある、いわゆる準備金は、金利変動のための準備金で、名前は債券借換損失引当金等という、非常に難しい名前だったのですが、早い話が、資金調達の方は短期で10年ぐらいの形で、資金を借りて、実際に貸す側は最大28年ということですから、その間に金利の変動がありますと、これは、外為も同じでしょう。ドルが幾らになると、埋蔵金が逆埋蔵金になる話があるではないですか。これもそういう意味で、金利変動の準備金として積んであるわけですが、これは、地方が返してきたというか、払ってきたお金が現在は、3兆4千億円ありますということですから、この金は、地方のお金だということは忘れてはならないと。
 新しい機構になって、今までの勘定は、管理勘定としては20数年後には終わって、新しい一般勘定になっていくということなのでしょうが、20数年後の話なのですけども、そのときには、1兆2千億円ぐらいは残るのではないかと。だから、それを先に取り崩したらという話なのだと思いますが、そんなことは絶対にできない話でございましてね。金利の今後の動きによっては、その1兆2千億円は消えてしまうかもしれませんし、大体、釈迦に説法だと思いますが、地方公営企業等金融機構法附則第14条は、「機構の経営状況を踏まえ、機構の業務が円滑に遂行されていると認められる場合において」「公庫債権管理業務を将来にわたり円滑に運営するために必要な額を上回ると認められるとき」、その準備金を、国に帰属させることができる」というのですが、10月1日に始まったばかりで、円滑に遂行されていると認められるとか、将来、円滑に運営するための必要な額を上回るなんていう判断が、10月の今日、21日、判断できるはずがないので、国に帰属させるなんてことは、法律的にもあり得ないということで、そういう記事があったものですから、きちんと反論はしておいた方がいいと。毎日新聞に反論しているのではないですよ。毎日新聞が書かれたのは、当然、そういうことをおっしゃる方がいるから書かれたわけで、それに対する反論は、きちんと私はしておきます。
(問)都道府県の不正経理の問題で、会計検査院がいろいろ指摘しておりますけれども、それについて、総務省として何らかの対応をするのかということが1点と、そもそも日本は成熟した安定国家になっているにもかかわらず、補助金をばらまくというような中央集権体制自体がおかしいという議論もあるわけで、地方分権担当大臣としての御見識をお伺いしたいのですが。
(答)極めて不愉快な話ですよ。要するに、地方が元気が出なければ、国が元気にならないということを言い、地方が疲弊しているから、地方をとにかく元気にしなくちゃならんということで、熱意を持って仕事に取り組んでいるときにですね、地方公共団体が補助金を「預け」だとか何か、いろいろな方法で、場合によっては、消えたのもあるのではないかという指摘を受けるというのは、極めて、言語道断でございまして、これは綱紀粛正というのか、きちんとやってもらわなければ困る。
 地方が金不足、金、金とお金のことばかり言うのはいやだけれども、地方が税財源が不足していることは間違いがない。そういう中で補助金がですね、消えたとか、別の用途に使われるということは、もう絶対にあってはならないので、非常に不愉快なので、これは厳しく指導していかなければならないだろうとこう思っておりますが、ただ補助金の問題というのは、例の19兆、19.1 兆だか分かりませんが、これを一括交付金化するということを言いますが、これはほとんどが、前にもお話ししたように、それは高齢者の医療であったり、市町村の国保であったり、あるいは介護保険であったり、あるいは児童手当、児童扶養手当であったり、あるいは高校以下の私学助成であったり、ほとんど決まっているわけです。これは、もしこれを全く一括しますとですね、地方によっては私学には金をやらないと、幼稚園の就園奨励をやらないというようなことにもなってしまいますから、やはり国として進めたい施策については、決してばらまきという意味ではなくて、これはやらなければいけない。ただ、ばらまきと指摘されるような種類の補助金があれば、これは見直していかなくてはならない。私は、そう思っています。
(問)大臣、先ほど、これに関連して、厳しく指導していかなければならないと、おっしゃいましたが。これは。
(答)これは、会計検査院の仕事に発出してますがね。
(問)これまで事務次官通知で、各自治体に対して、適正な補助金の使用を求める通知というのは出ていたのですけれども、これを超えて何か、考えていらっしゃるということでしょうか。
(答)地方自治という建前はありますよね。だから、地方の議会や、地方でも監査機能がありますよね、議会にもね。そういうことできちんとやってもらわなければ困るわけですけども、ただ、どういう方法があるか、考えてみますけれど、やはりそれはきちんと、今までは事務次官通知なのかどうか、私は不敏にして知りませんけれども、これはきちんと、やはり地方自治を侵すようなやり方ではだめでしょうけど、やっぱり間違っていることは間違っているわけですから、それは厳しくどういう指導をしたらいいか、考えます。
(問)さっきの補助金の関係で、大臣、おっしゃるように、医療とか介護とか教育とかは、それは当然自由度がないお金ですから、それは分かるのですけれども、今回問題になっているのは、国交省や農水省の補助金ですよね。そういう事業系の官庁が、お金をばらまいて地方を縛ってやっていく、そういうシステム自体を抜本的に見直していかなければいけないのだという、そういう御認識はあるのでしょうか。
(答)その辺は、先ほど申し上げましたように、あまり言い過ぎてはいけないと思うけれども、国の出先機関の問題がありますよね。それとそういう補助金の関係がありますよね。どうしても特定の省庁のことが多いですよね。今、あなたがおっしゃったように、国保だとか介護だとか、そういうものは決まったものではないですか。義務的経費じゃないですか。あるいは義務教育国庫負担金というの、これを出して、これで県費負担教職員の給料にするわけじゃないですか。そういうものと違って、いい加減に使って分からなかったなんていうのは、そういう補助金自体の有り様については、精査する必要はあると思いますね。もちろん目的のない補助金はないと思いますけど、精査する必要はあると思いますよ。ただ、その隙間はごくわずかですよ。ほんとに、19兆円の中でですね、これは義務的というものがほんと、多いですよ。
(問)ただ、少なくとも公共事業系では4.2兆があるわけで、事業系の補助金はもう廃止の方向でやっていくのだという御認識はあるのでしょうか。分権担当大臣としてどうお考えですか。
(答)これはですね、地方分権ということと密接に絡みますね。だから道州制だったら、もう完璧にそれでいいわけですよ。道州制だったら、道州制をにらんでいけば、まさに道州の税源、財源を与えて、国から公共事業で補助金を出すなんていうことは、全くない世界になっていくと思いますけどね。だから、地方分権という方向で言えば、そういう公共事業の補助金等を配るのではなくて、一般的に配ることもできるでしょうし、むしろ地方税源の充実を図る方が正しいですから、と思いますよ。交付税はそういう計算で国が与えるものではありますが、いわゆる一般財源ですから、そこで都道府県、市町村が自由に判断をして使うという方が、正しいことは正しい、間違いなく。そういう方向に将来、持っていくべきだと思いますが、本当は、その先に道州制を見ていきたいのですよね。
(問)ほかに、よろしいでしょうか。では、ありがとうございました。
(答)はい。

(以上)