甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年6月12日

(平成21年6月12日(金) 9:39~9:47  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。

2.質疑応答

(問)日本郵政の問題についてですが、与党内で、西川氏の続投を支持する声だったりだとか、辞めるべきだという声があったりする中で、総理は「早く結論を出したほうがいい」というふうなことを昨日のぶら下がり取材でおっしゃいました。甘利大臣としては、「どちらかが辞めるという結論ありきではない議論を」というふうに先日の会見でおっしゃっていましたが、現時点での郵政問題への認識について、お聞かせ願えますでしょうか。
(答)同じような話になりますけれども、この種の話は、目的と手段を混同しないように注意をすべきだと思います。目的は、国民にとってより良い郵政の民営化であります。そのための手段として、総務大臣は改善命令を出したわけでありますから、それに対してどういう回答が来るかということを、しっかり精査をするということが必要だと思います。最初に結論ありきということ、そういう手法をとりますと、混乱を起こすということになります。改善命令の内容を精査をして総理が近々判断をされると。その判断に閣僚たるものはしっかり従うということだと思います。
(問)一昨日の話になりますが、総理が中期目標の発表の中で、中期目標、2005年比15%減ということで、事前に我々が勝手に思い込んでいた14%というものから一歩踏み込むような形での数値を発表されましたが、今回、総理が発表されました中期目標についての御所見をお願いできますでしょうか。
(答)私が考えてきた上限を超える、かなり野心的な数値目標だと思います。この中でしっかり認識すべきは、基準年をどこに置くかということが非常に大きな問題です。基準年は、EUやアメリカや日本、先進国にとって、よりフェアであると。つまり、各国の努力の成果をきちんと評価できる基準年にすべきと。そういう点では、1990年というのは、ばたばた決めてしまったということもありますけれども、極めてアンフェアな基準年であります。EUにとっては極めて都合のよい、つまり、努力をする以前の年になるわけです。日本にとっては極めてシビアな、つまり、絞り切った努力をした後の年であると。だから、サボっていた者ほど得をする基準年になっていますから、これは誰が何と言おうとも、アンフェアな年であります。EUもそこそこの努力、日本ほどの努力はしていませんけども、そこそこの努力をした後の年が2005年になるわけでありますから、日本と比べればまだまだ努力は足りない年でありますけれども、そこを基準年としたというのは、よりフェアな年に基準年が近づいたということだと思います。そこから換算して、マイナス15%。実は、EUの主張も、アメリカの主張も、2005年基準からすると、日本よりは目標値が低いわけであります。それを超えた目標値を設定したということは、相当、総理が決意をされたんだというふうに思っております。
 ここで注意すべきは、前提があるんですね。例えば、原子力発電でいいますと、2020年までに新しく9基が立ち上がることと。これは、じゃあ確実にクリアできるかというと極めて不透明であります。それから、すべての原子力発電所の稼働率を、今60%台の稼働率を80%まで引き上げるということ、これがもう既に織り込まれていますけども、これも甚だそこまで本当にできるかというのは未知数であります。つまり、未知数を前提とした上で、更に高い目標を掲げているということでありますから、相当、日本にとっては厳しい取組になると、相当な決意をしなければならないというふうに思っております。
 途上国が、「先進国の目標値が高ければ高いほどいい」と言うのは当たり前の話であります。なぜならば、自身のところで、もう技術的にも体力的にも企業がクリアできないとすると2つの方法しかありません。
 1つは、排出権を買うということであります。つまり、お金を払うということです。これは、途上国にとってはCDMという手法、つまり、技術を移転してもらって、それによってCO2を下げると。下げた分は売買すると。つまり、技術の移転も、お金も入ってくるわけですから、それは先進国が厳しければ厳しいほど、自分のところに技術とお金が入ってきますから、ハッピーになるに決まっていますから、うんと厳しい、1トンも出すなというほうが一番理想的なのだと思います、彼らにとっては。
 それから、それが不可能な場合はどういう企業行動をとるかというと、生産移転をするわけです。日本から会社がなくなっちゃうわけです。日本から、そういう縛りの緩い国、途上国に、生産拠点が全部移転をするというわけです。これも、途上国にとっては極めてハッピーです。そこに雇用が生まれ、経済効果が出るわけです。日本は失業が生まれるわけであります。
 でありますから、そういうことをしっかりと見据えなければならない。しかも、日本から生産拠点が移転した場合には、地球環境全体にとって見れば、CO2というのは、実は減らないんですね。地球環境にいいことがない、日本の資産が失われる、日本の雇用が失われる、こういう結果を招くわけでありますから、空はつながっていますから、つながっている空をきれいにするという全体的な視点で、物を考えなければいけないというふうに思っております。

(以上)