甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年6月9日

(平成21年6月9日(火) 9:29~9:45  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 私からは特にありませんが、どうぞ。

2.質疑応答

(問)大島自民党国対委員長が6月の第3週からの国家公務員制度改革関連法案の審議入りに向けて、趣旨説明ができるんではないかというふうに発言をされましたが、党内では依然、例の幹部公務員法の成立というか、議論に向けて署名活動する動き等もありまして、なかなか現状難しい動きが続いているのかなというふうに見ているんですが、この辺の一連の動きについて、大臣のお考えをお願いします。
(答)まず、ようやっと審議入りに向けた環境整備がスタートするということで、ほっとしているというところであります。幹部公務員法その他補完法を提出されている方々は政府提案の法案を全面的に支持するという表明を正式に行っておられます。だとすると、いろいろ改善提案があるんであるならば、政府案を与野党でより良いものにするという機会の際に、一つの意見として御提出いただくというのは、正しい道だと思います。
 今まで、どちらを先にやるかという議論が収束しないものでありますから、野党側にそっちの問題が片付いてから話を出してくれと言われ続けてきたわけです。それによって審議入りがずっと遅くなってしまったわけでありますから、ちょっと随分遠い道のりをたどってしまったなという感がいたします。早くこういう状況に持っていってもらいたかったというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、対決法案ではありません。9割が賛成した基本法を具体化する法案でありますから、当然9割が賛成してもらって進めるべきものだと思っております。合意が形成されましたら、それ以降のスピードは早くなると思っております。
(問)日本郵政の社長人事について、与党内からも政府内で早く決断するようにというふうな意見が上がる中で、昨日総理はぶら下がりで最終的には自分で判断する。ただ、タイミングとして今がいいのか、それとも株主総会がある29日がいいのか、そういうふうないろいろな見方があるという趣旨の発言をされたんですけれども、大臣から御覧になって、この日本郵政の社長についてはどういった段階でどのような決断をされるのがいいというふうに思われますでしょうか。
(答)総理は一貫して、この問題が収れんする、問題点が収れんしてくるという環境をつくることが大事だとおっしゃってきたんだと思います。そのために時間が必要だと。最終的に判断をする際には、総務大臣もこの郵政改革の目的は何なのかという点をもう一度総務大臣、それから西川社長双方が思い起こすことが大事だと思います。郵政を国民にとってより利便性の高いものにするための改革でありますから、そのために双方がどういう手立てをとるか、どういう歩み寄りをするかということであります。目的は、国民にとってより利便性の高い郵政制度をつくるということでありますから、そこの一点に向かって、双方が努力をしていただければ収れんをしてくると思います。
 最初からどちらが辞めるという選択肢を最初から持ってしまうということは適切な判断ではないと思っております。
(問)読売新聞が週末に行った世論調査で、内閣支持率が29.5%と微減しまして、3割を割ったような状況。一方で不支持の理由として、首相に指導力がないという項目の数値が上昇しております。日本郵政社長の人事ですとか、厚労省分割が影響したと思われるんですが、どのように大臣は思われますか。
(答)総理は、何事も観測気球を上げて、そして党内外の反応を見ながら結論を誘導していくというタイプなんだと思います。ところが、観測気球を上げた段階で、それが結論と誤解されてしまっているので、その後ですね、対応がぶれたというような報道になるんだと思います。詳細に総理の発言を検証してみますと、そこで結論を出しているということではありません。こういう指摘についてどう思うかというような問題提起型だと思います。それが決断がぶれるというような誤解を与えてしまっているのは残念だと思います。支持率が微減をしたと。これは内閣の一員として残念だと思っております。支持率は高いほうがありがたいわけでありますから。ただ、もうすぐやってくる総選挙は政権を選択をする選挙であります。つまり、国民の生命・財産をどちら側に預けるかという選択です、危機管理も含めてですね。ですから、漠とした、ふわっとしたような情緒論での政策論議ではなくて、正に具体的に危機管理をどうしていくのかと、この国の将来像を具体的にどう描くのかと、国民の生命と財産をどう守っていくのかというところの具体的な政策論を闘わせてもらいたいというふうに思っております。次第に国民の皆さん方も自身の生活を預けるということにとって、どちらが責任を持ってもらえるか、どちらが地に足についた政策を推進してくれるのか、その判断を下されると思っております。
(問)もうすぐ行われる総選挙に向けて、一つ与党内で内閣改造というのをおっしゃる方もいらっしゃると思うんですけれども、政権浮揚にとっては一つのカードでもあり、一歩間違うとマイナスにもなると思うんですけれども、大臣、内閣改造についてはどのようにお考えでいらっしゃいますか。
(答)麻生総理は、総理就任後、今の内閣を組閣されて、御自身の考え方を形にあらわされたわけであります。いよいよ総選挙に臨むと、新しいマニフェストもできるわけであります。これから先、総選挙で信任をいただいたならば、こういう日本をつくっていきますということを表現する際に、それを具体的に見える形で人事として国民に示すということは一つの手段であろうかと思います。でありますから、私はその選択肢は総理は当然お持ちで、行使する余地はあっていいと思っております。ただ、麻生総理は一度自分が託したものは、最後まで信頼をしていくという方です。改造論が出ますときには、今の内閣はきちんと自分の仕事をやっているではないかと。瑕疵がないものをどうして変えるのかという発想を持たれます。それは、閣僚にとっては大変励みになる言葉でありますけれども、もっとクールに戦術上の選択肢も持たれて私はいいと思います。
(問)郵政の問題なんですが、先ほど大臣がどういう歩み寄りをするかというようなお話をされましたが、鳩山大臣はこの話には落としどころがないとか、自民党内でも敵がいれば戦うというような発言をエスカレートしているようなんですが、甘利大臣は鳩山大臣と大変仲がよろしいように思うんですが、どういった考え方で、というか、何かアドバイスがあれば、個人というかですね。
(答)鳩山大臣は非常に純粋なところをお持ちの大臣ですから、思い込んだらそのまま言っちゃうというところがあります。ただ、目的は国民にとってより良い民営化とは何かと。鳩山大臣自身が郵政民営化には賛成をされたわけであります。その郵政民営化の中で、部分的に国民から問題点が指摘をされている事実もあります。だとしたら、民営化の方向は賛成されているわけですから、国民にとってより良い民営化のために、さらに何をしていくかという視点が大事なんでありまして、そのために、どういう手段をとるかと。目的があって手段があるわけでありますから、目的に向かって西川社長はどういう努力をすべきなのか、そして鳩山大臣はどういう指導をすべきなのかと。両者ともより良い民営化ということについて反対はされていないわけですね。両者が反対をしていたら、もう入口からぶつかってしまう話なんですけれども、両者が向かう目的は一緒なんですね、一緒なんです。そのために、じゃあ、どこに乖離点があるのかと。そういうことを詰めていくのが本来の政治だと思います。ですから、最初からどっちかが辞めるしかないという選択肢しかないというのは、正しい方向ではないと思います。
(問)そういった話は御自身に直接……。
(答)鳩山大臣にですか?余り詳しく突っ込んだ話はしておりません。近々、私なりの考え方は言わなければならないと思います。
(問)温室効果ガスなんですけれども、次の中期目標がそろそろ政府でまとまるのかということだと思うんですが、甘利大臣、先日テレビに出たときに御意見も言われているようなんですが、6案の中からどれを選択したほうがいいかとか、お考えがあればお聞かせください。
(答)これは、総理が近々、恐らく、今週中にも判断をされる、決断をされる問題であります。要は、公平な基準のもとに全員参加ということなんです。一人だけいい格好しいをして、結局足をすくわれるということになっちゃいけないんですね。これも目的と手段を見誤ってはいけないと思います。目的は、地球の温暖化防止、今地球上に排出されているCO2と地球がその力で吸収しているCO2の割合が出すほうが2倍以上になっています。ですから、半分以下に抑えていくと。そのために、それぞれの国が公平な基準で、公平・公正な基準で取り組むと。そこに商売、排出権で一儲けしようとか、これを金融取引としてどうビジネスに仕立てるかと、そういう商売思惑先行型ではいけないんであって、そこをしっかりと見抜く必要があるんですね。政治家は評論家ではありませんから。それから国益を踏まえなきゃなりません。日本が世界の犠牲になって、世界が救われるんならまだしも、日本が世界の犠牲になって、世界は状況は変わらなかったというのであるならば、政治は国民に対する責務を果たさない、国益にのっとった行動をしていないということになりますから。そこら辺の各国の思惑がうごめいている、渦巻く中で、日本は正しい選択を世界に提示をしなければならないというふうに思っております。
(問)この案がいいとかというのは、なかなか言えないかなと……。
(答)私が決めるわけではない。ただ、少なくとも私が一つだけ言えることは、基準年は90年基準年というのは極めてアンフェアな基準年です。努力をしていない者が儲かるという基準年、これは断固粉砕をしなければならないと思っております。
 ありていに言えば、イギリスの金融筋は、排出権を先に買って商売のためにみんなとってあるんですね、ストックで。しかも買値が今の取引価格より高いときに買っていますから、これをちゃんと商売にするためには、煽って排出権を引き上げていかなきゃなんないんですよ。そういう思惑の中で動いている話であるわけですからね。しかも、EUはスタートが15で今が27ですから、もうアローアンスを持っているわけですね。何にもしなくても、排出権余力を持っていると。しかも、今EUの経済効率といったら日本よりも悪いんですからね。日本よりも経済効率が悪い国が排出権余力を持っているという基準の設定がこれは政治折衝で既に日本は負けているわけですからね。それを公平な基準に取り戻すということが大事なんですね。

(以上)