甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年1月27日

(平成21年1月27日(火) 10:43~10:59  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 私からは、報告は特にありません。どうぞ。

2.質疑応答

(問)公務員制度改革の工程表に関しまして、渡辺元行革担当大臣が、非常にいいかげんな工程表が出てくる可能性が高いと批判していまして、その上で、独自の議員立法も検討するという考えを表明しているんですが、今の担当大臣として、どのように受け止めますでしょうか。
(答)この工程表は、渡辺さんがつくった基本法に工程が書いてあるんですね。それをさらに具体的にかみ砕いて、ブレイクダウンをして、実施工程をつくって、それをバインディングすると。私の出すのがいいかげんなものだということは、元になっている渡辺さんのがもっといいかげんだということになるんですね。
 公務員制度改革は、天下りの一元化も渡辺さんがつくられたと。改革の粗々工程も渡辺さんがつくったと。給与法を3年以内につくると、策定するというのも渡辺さんがつくられたと。私は、「それでは遅いからもっと早くしましょう」と言ったと。そうしたら、渡辺さんは、「そんなのんきなことをいつまでやってるんだ」とおっしゃると。よくわからないんですね。まず、自分のつくったものについての評価を是非していただきたいと思います。しっかりしたものをつくりますから。
(問)内閣人事局をめぐる人事院との交渉ですけれども、なかなかお互い歩み寄れない状況に差しかかっていると思うんですが、大臣として、今の事態をどのように打開していくお考えでしょうか。
(答)この部分は、渡辺さんとも価値を共有できると思うんですが、国家公務員制度改革ですね、制度を改革をしていく100年来の大改革なんですね。人事院のおっしゃってるのは、現行制度の中でマイナーチェンジをするんだという意識のようなんで、公務員制度改革基本法の趣旨をよく御理解くださいと。足して2で割る改革なんていうのはあり得ないんですね。理念を失わせるような改革は、担当大臣としてできませんから、それは交渉ですから、棒を飲んだような対応はしてこなかったつもりですけども、改革の基本的な枠組みを踏み外してしまうようなことは、それはできませんから。
 ですから、歩み寄れる部分と寄れない部分というのはあるんです。私のほうは、先週の提案で、改革の趣旨をちゃんと体現をするぎりぎりの線というのを出させていただきましたから、これ以上、さらにそれを修正するような提案は、改革の本旨を変えるようなことになりますから、それはできませんと申し上げているんです。
 最終的に今日の10時までに、私どもの趣旨を理解して、再度御回答くださいと申し上げました。回答が来ましたけれども、昨日の回答と何ら変わっていません。いかに、自分たちの主張が正当性があるかということをいろいろと御説明をされているだけの文書ですから、昨日の回答と何ら変わらないということは、これは私どもとしては、それを了解することはできないということになります。
(問)工程表については、本部決定、もしくは閣議決定を予定されていると思うんですけれども、人事院との交渉が物別れに終わった状態でも、閣議決定なり、本部決定はなされるおつもりでしょうか。
(答)今日、この後、官房長官が人事院総裁と会われると思います。それは、官房長官のスタンス、総理のスタンスは、私のスタンスと変わりませんから、その趣旨を官房長官の側から説得をされると思います。その後、私と官房長官と総裁と3者で会う必要性があるかどうかを官房長官が判断されると思います。時間も来ていますから、これをバインディングをするということを申し上げていますから、本部決定なり何なりをする決断をしなければならないと思っております。礼は尽くして手順は踏みますが、基本を曲げるということはできないということを人事院には是非御理解をいただきたいと思います。
(問)人事院の理解を得たいということですけれども、人事院の主な主張としては、昨日の提案内容を実現すれば、基本法に書いてあることは実現できるじゃないかと、それで何が問題があるのかという多分主張だと思うんですけれども、それに対してはどういう反論をして、人事院に対して理解を得ようというふうにお考えでいらっしゃいますか。
(答)あのですねえ、今回の改革というのは、内閣の下に、時代の変化、世界の変化に機動的に対応して、諸課題を解決していく体制を構築すると。人事戦略であり、組織戦略であるんですね。内閣の下に責任体制を持つということなんですね。
 権限がよそに行ったまま、どうやって責任を全うするんでしょうか。そこの御理解をいただいてないということなんですね。人事全般に対しての説明責任というのは、戦略機能の内閣官房の下に、人事戦略、そして組織戦略を一元管理していくということなんです。
 それは、責任を持つから説明責任を負うんですね。責任体制が分散してて、それで説明責任を果たせということは、改革の趣旨が御理解いただいてないんじゃないかと思います。で、自分たちのところに級別定数の権限は置くよと。それから、どういう人材を採用し、どう育成し、どう任用していくか。これはお互いがプランしましょうねと言ったら、責任体制がどこにあるのかわからないんですね。だから、人事管理戦略、組織管理戦略を一元的にきちっと内閣官房で、政治主導でやっていくという基本法の趣旨があるわけですから、そこは責任を負う体制をとらせてもらわないと全うができません、と申し上げています。
(問)関連ですけれども、人事院の側は、政府から一定の独立性を持った中立行政機構としての人事院がこれでなくなってしまうというようなことをずっとおっしゃっていると。ただ、この改革の本旨として、内閣のほうに一定の権限を集中していく中では、これまでのような人事院の役割は終わったのだと、そういうふうに基本法にも書いてあって、そのように大臣としても理解していらっしゃるというふうに受け止めてよろしいでしょうか。
(答)人事院をなくすなんて言ってないんですね。人事院は、事後チェックをしっかりしてくださいと。あるいは、内閣の下に、人事管理、組織管理を戦略的にやっていくということに対して、意見もどうぞ申し出てくださいという仕組みにはなっているわけです。それ以上に、自分たちが全部仕切るんだとおっしゃってたら、今までの制度の中で、マイナーチェンジをしていこうというならそれでいいんです。100年ぶりに、基本的に、基本から変えていきましょうと、人事管理、組織管理についてですね、そう申し上げているんですし、基本法が100年来の大改革と言われるゆえんはそこにあるんです。現体制のまま、マイナーチェンジをしていこうというんだったら、100年ぶりの改革でも何でもないですからね。
 だから、そこの基本的な理解をしていただいていないんですね。自分たちの従来のあり方を前提として、どう対応していくかというスタンスから全然離れてないもんですから、だからこの改革の基本理念というものを共有させていただきたいということを再三申し上げているんですが、どうも組織防衛論に終始して、後付けの理屈が出てくるような気がしてなりません。
(問)以前の顧問会議で、連合の高木会長が、基本権の付与が実現しない以前の顧問会議の報告書どおりでは反対だというような意見書を出されていたんですけれども、今後、連合とはまた独自に大臣がお話しされたりするというのは。
(答)連合とは、私自身、水面下で何度も自分なりの人脈ルートを通じてお話はさせていただきました。そして、今日、連合、公務労協代表10名の方と1時間話し合いをさせていただきました。やろうとしている趣旨については、賛同すると。しかし、手順が、順序が逆であるというのが連合の方々の御主張です。つまり、基本法の与野党協議での修正部分に、自律的労使関係を検討するから自律的労使関係を措置するというふうに踏み込んであると。これは、労働基本権、スト権は別ですけれども、協約の締結権について、労働側に付与すると。つまり、使用者側と労働側の関係、民間型の労使交渉関係を確立していくということに基本法の修正協議は踏み込んでいるんだから、それを明確にすることが先ではないですかと。その後に、基本法制約の代償機能等々を含めて一元管理するというのであって、一元管理の方向については評価をするが、手順が逆ではないですかというのが、連合側のかねてからの御主張なんですね。
 今日は、とにかく労働基本権に抵触しないぎりぎりの部分でどこができるかということを模索して、基本権の問題が決着をしたら、その決着に伴う移管という2段階にちゃんとしてありますという御説明をしたんですが、なかなか了解は得られませんでした。
 結論から申し上げますと、理解はするが、了解はできないという表現でありました。ですから、今日が連合との話は、公式には最後になりますが、連合側からは法修正の自律的労使関係を措置するということの意味が、きちんと労使関係制度検討委員会に伝わるようにしてほしいという御要望がありました。
 修正協議の立法府の趣旨は、修正当事者からもどういう意味でこの修正をしたのかというのは、是非情報発信をしていただきたいと思いますし、国会答弁の中で、修正協議者からの発言については、きちんと検討委員会に引き続き紹介をさせていただきたいと思ってます。

(以上)