野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年9月16日

(平成21年9月16日(水) 9:35~9:51  於:第4合同庁舎6階605号室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日の閣議におきまして、内閣総辞職となりました。
 そのほか、私のほうから1件。
 一昨日、9月14日、ウィーンにて開催されている第53回国際原子力機関、IAEA総会に出席し、政府代表演説を行いました。
 演説においては、原子力平和利用の推進などについて、我が国の考えを表明するとともに、総会で正式に承認がなされました天野之弥(あまの ゆきや)次期IAEA事務局長のもとで、一致団結して困難な諸課題に立ち向かっていくことを呼びかけました。
 詳細については、科学技術政策イノベーション担当にお問い合わせをください。
 さて、最後に一言、内閣総辞職に当たりましてごあいさつ申し上げます。
 私は、福田前内閣から麻生内閣ということで全部で411日間、この内閣府での大臣を担当させていただきました。御承知のように、私の守備範囲は21担当ありまして、最初に言われたときには大丈夫かなと不安でありましたけれども、おかげさまで、それぞれ大変重要な仕事でありますけれども、自分のできる限り精いっぱい取り組み、それなりの成果を上げることができたのではないかと思っています。
 最後の閣僚懇談会の中でも総理に申し上げたんですけれども、それぞれ21、個々に申し上げれば大切な仕事ばかりですけれども、とりたてて幾つかトピックとして申し上げるならば、4点あります。
 1つは、40年前の環境庁ができて以来、久しぶりに国民に向き合う形での新しいコンセプトのもとで、消費者庁という新しい行政組織を誕生させることができました。今、スタートいたしましたけれども、今後、この消費者庁の存在そのものが、これまでの人間の生き方をまた新しく変えていくであろうという期待を持っております。
 2つ目には、これも恐らく世界初と言われていますけれども、最先端研究開発プログム。科学技術立国と言われながら、なかなか国民と直接科学技術に携わっている人たちのかけ橋がつくりづらかった中、こういう大きな基金を創設することによって、皆さんが、いい悪いは別にして大きく宣伝をしていただきましたので、国民には科学技術の奥の深さ、また、この国を将来支えてくれるであろう有能な人たちがいるという発見をしていただき、夢や希望につながったのではないかと思っています。
 3つ目は、宇宙開発基本計画ができたということ。これも日本の底力というか、まだすべて全貌が明らかになっていない大きな魅力の一つだと思っています。また、さらに有人という、非常に子供たちにとっても夢や希望を与えることができるプロジェクトを織り込むことができ、なおかつ、それを現実的に結びつけてくれるごとくのHⅡ-Bの成功が、何よりも私にとってはうれしい出来事の一つでありました。
 最後には、今般、閣議を休ませていただいて、最後の御奉公ということでウィーンのIAEAの総会に出ました。原子力も、世界的には日本は優れた技術を持っているという高い評価がある中で、日本国内でなかなかそういう正当な評価を受けていない1つでありますけれども、今後の地球温暖化で新政権が高らかな数字を出す中で、原子力が、かけがえのないクリーンエネルギーとして活躍しなければならないということが明らかな中、その平和利用の最先端を行くIAEAの事務局長として、トップとして、日本初はもちろんのこと、アジア初となる天野さんが選ばれたということは、私たちにとっても大きな希望となるわけであります。
 いろいろありますけれども、この初物づくしということは、言いかえれば、政治主導でこれだけのことを麻生政権のもとでできたということを、心から応援いただいた皆さんに感謝を申し上げ、ここでも何度か申し上げましたけれども、政治とか政策というのは、瞬時には皆様方に評価されづらい。後年、皆様方の後輩の皆さんがきっといいプロジェクトだと評価していただくことを希望しながら、野党という立場になりますけれども、また与党に返り咲くときには、これらがしっかりと国民生活の中に深く浸透し、新しい日本づくりの担い手になっていることを期待しているところであります。
 本当に我ながら、自分の全く担当したことがなかったようないろいろな仕事にチャレンジできて、不安もありましたけれども、大勢のすばらしい内閣府のスタッフとともに、二人三脚で仕事ができたことを心から感謝申し上げ、最後になりましたけれども、ここにいる皆さんも、記者会見に常に御同行いただきましたことを改めて感謝し、とてもいい仕事をしていただきたいということを最後にお願い申し上げまして、あいさつにします。
 ありがとうございました。

2.質疑応答

(問)次の大臣に社民党の福島党首が内定ということなんですけれども、福島さんにしろ、そうでないにしろ、次の大臣に期待されることをお聞かせください。
(答)1つは、実は消費者庁、大変産みの苦しみがございまして、法案提出後も民主党がなかなか応じてくれず、ずっと空転しておりました。そんな中、社民党の党首であった福島さんが直接、やはり消費者庁を早くつくろうということで社民党としてのメッセージを送っていただきましたことと、民主党から対案が出たときにも、第三者機関でするのではなく、やはりきちっとした行政組織の中で消費者庁をつくるべきという方向性を示していただいたということで、消費者庁に関しては大変ありがたいパートナーであったと確信しております。
 消費者庁をつくりました。頑張ってつくると拙速とすぐ皆さんに言われてしまうのだけれども、おぜん立てはさせていただいたので、その中身の充実に向けて、ぜひ御活躍を願いたいと思います。
(問)大臣は21担当されていたということなんですけれども、福島さんもまだ内定段階ですが、少子化担当相とか男女共同参画も兼任されるということで、兼務の場合というのはづおでしょうか。
(答)福島さんがどうのではなくて、そもそも私の持論とすると、少子化対策というのは、やはり今回のマニフェストでも大きな争点になったから、兼務ではなく、やっぱり単務というんですか、一つの組織、そして十分なスタッフ、十分な予算をもってして、初めて少子化担当大臣というのが実効性があるのではないかと。ですから、大変厳しい仕事ですけれども、その辺りのところをしっかり、党首でおられますから、大臣としての仕事の限界を超えて、厚生労働省に負けない少子化担当大臣になってもらいたいなと思います。
(問)2点伺いたいんですが、1点は先ほど消費者担当の件ではなくて、全体として、民主の鳩山政権に対する期待といいますか、注文といいますか、こういうことをお願いしたいということがございましたら伺いたいのと、あともう一点は、今回、非常に民主党が躍進したわけですけれども、地元の岐阜県のほうの保守王国と言われてきましたけれども、立て直しについてはどういうふうに考えていらっしゃるのかというのをお伺いしたいと思います。
(答)民主党に対しては、政権をとられたのですから、何をなさるかは私が申し上げる必要もなく、しっかりと取り組んでいただきたいと。ただ、今回の自民党もそうでしたけれども、必ずしも政治の中で数が多いということはプラスばかりではなく、やはり組織のまとまりを欠く、どうしてもさまざまな意見が集約できずに、ばらばらなイメージを持たれてしまいがちになるので、やはり今、世界にとっても日本にとっても、今、有事ですから、そこのところはしっかり取り組んでいただきたいなと思っています。
 地元の立て直しにつきましては、私一人の問題ではなく、私は岐阜1区の選挙区支部長として、また初心に戻ってこつこつと、野党になったことで地元に滞在する時間がはるかにたくさん与えていただけるので、マンツーマンのそういう政治活動をする中で、もう一度信頼を取り戻すことに専念していきたいと思います。全体につきましては、それぞれ組織がありますから、取り組んでいけばよろしいのではないかと思っています。
(問)科学技術担当大臣が置かれるかどうかよくわからないんですけれども、後任というか、今度、民主党政権で科学技術政策を担当する方へのメッセージというか、期待というか、そういうのがあれば教えてください。
(答)そうですね。新聞でも報道されているとおり、今回初めての理工系の総理大臣ということで、ぜひその強みを生かして、科学技術がとても大切だということは国民はわかっているけれども、やはり実感が伴わない。実感が伴わないから、例えば選挙のときのイシューになりづらい、そういうジレンマを抱えているので、やはりこの国が、少資源または少子化、高齢社会の中で、他の国と伍して生きていくための武器は科学技術しかないんだということを高らかにやはり御宣言いただきまして、しっかりとした、例えば2,700億円の基金をつくりましたけれども、まだまだあれが足りない、これが足りないと言われている中、この基金を恒久的に進めていくということを、やり方に文句をつけるのではなくて、この2,700億円というものが、次もその次も、必ず日本の底力として設置されるというぐらいの心意気を見せていただきたいなと願っています。
(問)消費者庁の設立に非常に思い入れがあられると思うんですけれども、設立してすぐに大臣を離れるということで、何か悔しさみたいなことはありますでしょうか。
(答)88時間も審議に出ておりましたので、全くそういうことはありません。しっかりと審議に応じて、そしてそれを経て形にして送り出しましたから、あとは担当大臣がそれを育てるのではなく、国民、消費者と事業者が育てていく役所だと思っておりますので、できたことが大変うれしいと思っています。
(問)さっきのごあいさつとちょっと重なってしまうんですけれども、この1年余りを振り返られて、自分のカラーがこの辺は出せたかなと自負するところと、もしおありになれば、それとあと、今後の自分の政治家としての人生の中に糧になったこと、こんなことが今後糧になっていくんじゃないかなと思われることがあったらお願いします。
(答)自分のカラーというのは、この大臣就任するまでは、皆さんが名づけ親なんですけれども、郵政造反とか郵政族と言われていたけれども、それから新たに消費者族とか、または科学技術にかなり自分なりにコミットしたので、そういうところでも、自分のカラーというか、新しいカラーをこの1年でつくれた思いがいたします。自分の政治家としてのフィールドが大変広くなったなと。
 今後は一国会議員として、多くの国民の皆さんがいろいろな不安や不満を抱える中、少なくとも冷凍ギョーザからロケットまでの守備範囲をいただけたということが、自分の新しいカラーになったんじゃないかなと思っています。
(問)何か今後糧に、政治家としてやっていく上で、何か糧になるようなことというのは……
(答)そうですね。内閣府という独特の役所、いろいろな人が、ある時期、あるミッションのためにやってくるという中にあって、多くのすばらしい人材と出会いました。今回、政権交代で脱官僚と言っているけれども、これはとてももったいないことで、やはりそれぞれの官僚の皆さんのスペシャリティー、専門性というのをしっかりと見きわめて、自分で大きな青写真をかく中で、そのピースを、部分部分を埋めていただく、そういう人たちとの出会いがあったということです。今後、議員立法を手がけていくわけですけれども、そういうところでいいアドバイザーを何人かいただくことができたなということで、それをしっかりと取り組んでいきたいなと思っています。
(問)この前も出た同じ話で申しわけないんですが、国民新党の亀井代表が郵政担当相になるということで、何か御感想は……。
(答)当時を振り返ると、亀井先生というのは、郵政民営化のコンテンツそのものよりも、反小泉みたいなところで対立軸をつくっておられた方なので、何か随分この4年でお勉強されたのかなという思いがしています。
 ただ、今回早急に提出される凍結化法案というのは、事実上、今の日本郵政では上場ができない環境にある中、そんなに大層な話ではないわけですけれども、今後、速やかに数年先の日本郵政のあり方、例えば確実に郵便局会社と郵便事業会社が赤字になるという予想がされている中で、選択は幾つかあって、3事業一体に戻すのか、または完全に分離させて、郵便局会社と郵便事業会社を国営に戻していくのかという大きな岐路に立っているわけですね。その辺りのところがまだはっきりされておられないので、そういうところを見守っていきたいなと思います。

(以上)