野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年4月17日

(平成21年4月17日(金) 9:05~9:17  於:第4合同庁舎6階605号室)

1.発言要旨

 皆さん、おはようございます。
 本日の閣議について、特に御報告することはございません。
 私から一つございます。
 お手元の資料のとおり、20日、北京におきまして、国際原子力機関(IAEA)が主催する「21世紀の原子力エネルギー」閣僚級会合に出席し、地球温暖化対策としての原子力平和利用の推進について、政府を代表して演説を行います。
 今回の出張では、併せて中国の政府要人との会談を行います。19日には上海で、科学技術部の万鋼部長と会談し、日中韓のイニシアチブによる東アジアの科学技術協力のための政策対話について、意見交換を行います。20日は、国家工商行政管理総局の周伯華局長と会談し、日中の消費者政策の整備・推進についての意見交換を行います。詳細は、科学技術政策・イノベーション担当及び国民生活局までお問い合わせください。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)消費者庁関連法案が、今日、衆議院本会議で可決される見通しで、今国会で成立することがほぼ確実な情勢になっていますが、改めて受け止めと、今後のスケジュールとして、いつごろまでに消費者庁を設置したいとお考えか、併せてお聞かせください。
(答)まず、今日の衆議院本会議で消費者庁関連3法案が可決・成立する運びであることは、担当者としての私にとっては、本当に大変喜ばしいことであるとともに、責任の重さを今まで以上に痛感しています。
 今回、特にこういう「ねじれ国会」の中にあって、与野党で意見が分かれることの多い重要広範議案ではあったものの、最終局面では公党間で修正協議を積極的に行っていただいた結果、全会一致という形で、すべての政党の御支持をいただいて修正された法案が委員会で認められたということは、我が国、そして国民にとって大変明るい材料ではないかと思っています。
 消費者行政がこれまで、国家戦略として、我が国で他の先進国並みにきちんと行われていたかというと、いささかお寒い限りでありましたし、そういう状況について多くの国民が、それ自体を知る機会もなかったことは事実です。
 50時間を超える衆議院での審議が行われたわけですが、国民の目に見える場所で、与野党そして政府が真摯にやり取りした今回の審議を経て、この国の消費者行政がいかに劣悪であったかが、また、消費者行政がしっかりしないと、国民生活の安全・安心が導き出せないということが明らかになったことで、これまで十分できなかった数十年にも及ぶ忘れ物を取り戻せたような思いがあります。
 ただ、これは、あくまでもまだスタートであります。行革のいろいろな縛りがある中で、野党の方から「もっと大きくやれ」、「もっとたくさんやれ」という意見が多く出されましたし、そのことは私自身も初期に思っていたことでありますが、片や行革の縛りの中で、限定がかかりながら最大限の力を発揮しなければならなかったということもありました。今後は1日も早く消費者庁を創設し、しっかり運用する中で、国民のためにどんどん大きく育っていけるよう、これまで以上に努力をしていかなければいけないなと思っています。
 その創設時期がいつになるかということですが、これから参議院での審議がございますし、これについては、まだどの程度審議時間を要するか未定でありますので、参議院でしっかりと御審議をいただき、そして参議院でもきちんと法案を通していただいて初めて、創設に向けた具体的な手続に入ることになると思います。私の理想は、とにかく1日でも早くということで、差し当たり年度内にというお約束をしておりましたが、年をまたがずに、今年のできる限り早い段階でという理想、希望は持っています。
(問)消費者庁長官の人事、人選については、前回の会見で、民間人も含めて幅広くということを仰っていましたが、どのような基準で選ぶべきだと考えていますか。
(答)やはり、何といっても第一号の人事ですから、インパクトがあると思います。ですから、いろいろな方たちから自薦、他薦が多数出てくるでしょうし、そういう様々なご意見を、報道の皆さんを含めて様々ある御意見を伺いつつ、やはり良い船出ができる船長さんを選びたいなと思っています。
(問)民間人のほうがふさわしいかどうかということについてはいかがですか。
(答)まだ、その点については、何も縛りをかけていません。
(問)IAEA閣僚会合での演説は、どのような中身になりますか。
(答)基本的に、ここでの演題が「21世紀の原子力エネルギー」でありまして、特に、地球温暖化問題の中で、原子力の新たな顔と言いますか、クリーンエネルギーの代表格だという側面、発電中にCO2が出ないということで環境エネルギーとして非常に優等生なのではないかという利点がにわかに議論される中で、そういうメリットをどう生かしていくかということを主眼に置いて、我が国の立場を明確に申し上げたいと考えております。併せて、3月のIAEA事務局長選において、日本が推した天野ウィーン国際機関日本代表部大使が、私たちの予想と違って残念ながら当選せず、天野大使の選挙戦が更に続くこととなりましたが、その際、IAEAにおいて、平和利用原則の下で厳格に取り組んでいる日本のプレゼンスが今一つ伝わっていないという指摘もありました。自分たちは当然のことをしているだけと思っているのですが、もう少し国際的にもアピールしたほうがよいのではないかということで、その点についても若干原稿を付け加えた内容のスピーチにしようかと思っております。
(問)上海で中国側の閣僚と会談するのは、先月、韓国に行かれて科学技術担当の閣僚と会談したのと同じ流れのものですか。
(答)先月韓国を訪れた際、韓国教育科学技術部の安秉萬長官と、科学技術分野において、日中韓の三者で連携していきたいという話をいたしまして、その時点で、既に中国政府にはお伝えしてあったのですが、改めて、直接、申入れと言いますか、御相談させていただこうと思っています。
(問)韓国とは具体的に何を行うか固まってきていますか。
(答)韓国との間だけでなく、中国も含めて日中韓で連携すると方向性を決めておりますので、韓国とは意見が一致したというその前提を持って、中国の代表とディスカッションしたいなと思っています。
(問)現段階で、大筋でもよいので、これを連携してやろうというような機運が高まっている分野はありますか。
(答)以前も申し上げたとおり、今まで、なぜそういう発想がなかったかというのが問題ではありますが、一番近い隣国同士で、このように経済が不安定な中、科学技術という分野は、そういう意味では非常に力強い、今後の底力になるというコンセンサスはありますので、そのコンセンサスをしっかりと形にした上で、その三者で協力をし合えないかということを話し合っていくという段階です。ですから、具体的にどういうことができるかということについて、相談してみたいなと思っています。
(問)日本が引っ張るようなイメージなのですか。
(答)そこは微妙なところですね。私たちが得手とし引っ張ることが良い分野もあれば、逆に、だからといって、リーダーシップをとることにより、そのトライアングルがうまくいくかどうかがわからない場合もありますし、そこは相手方のリクエストですとか思いといったものもきちんと斟酌しながらやっていきたいと思っています。
(問)消費者庁設立までの当面の課題としてどういうことが考えられますか。
(答)準備のための事務局ができますから、その場で、それこそどこに消費者庁のオフィスを置くかといった極めて事務的なことをこなしていくのだと思います。
(問)今回の出張で、中国側と消費者行政の話もするということで、中国のギョーザ事件についても当然話題になると思うのですが、どのようなことをお伝えになりたいですとか、どのようなことを伺いたいかといった点、お考えをお聞かせください。
(答)当然、話題にします。この冷凍ギョーザの件は、ずっと事案が未解決のまま長引いていて、これが中国、日本双方にとって損失になるということを、もちろんそれぞれわかっていますが、改めてそれを確認し合いながら、とりわけ食の安全というものは日本人にとって、今、非常に重要な関心事でありますから、相手方も十分わかっていらっしゃるとは思いますが、そういう話をしていきたいなと思っています。
(問)消費者庁関連法案の修正協議で、附則の中に、地方の人件費などの財政支援について3年以内に全般的な検討を加えるという文言が追加されました。附則にたくさん盛り込まれて課題が先延ばしになっている面もありますが、特に地方については、現実的に何か今後手当てしていくことが可能になると思いますか。
(答)先延ばしというわけではなく、当面は基金の利活用で、私が答弁したとおり、人件費にも使えるという確認が公党間の修正合意に盛り込まれましたので、それに則って進めていくわけです。その中で、そもそも、相談員の人たちをめぐってはいろいろな意味で格差がありますよね。格差というのは、例えば、「この地域にはたくさん相談員がいるけれども、この地域には全然いない」ですとか、相談員の処遇については地方自治の観点から各地方公共団体が決めておりますので、「この地域では処遇が非常によいけれども、こちらでは余り処遇はよくない」といったことですが、こうしたいろいろなばらつきがありますので、この3年間は集中育成・強化期間ということで、ばらつきがなくなるように、ある程度平準化させて、その上でステータスを法律に則ってしっかりと築き上げていただくということが、大事なのだろうと思います。
 それを見ていただいた上で、今後どういう人件費のあり方がよいかについては、地方とも相談しながら、どの道が一番継続して無理なくやっていけるのかという観点で、3年以内に考えていこうということです。当面は、非常にばらつきのある地方消費者行政をなるべくフラットに、どこに住んでいらっしゃる方でも、基本的なサービス等へのアクセスができるような取組を、基金を使って地方で頑張って進めていただきたいと期待しております。

(以上)